徒然なる中・短編集(元おまけ集)その2   作:VISP

6 / 61
英語翻訳はGoogle先生です。
所々おかしいかもですが仕様です。


エヴァ新劇にTS転生その4

 第7使徒ガギエル殲滅後、エヴァ2号機から降りた式波とシンジを歓迎したのは、空母の乗組員らによる歓声、そして胴上げだった。

 

 「うわわわっ!?た、助けてミサトさーん!」

 「あっはっはっはっは!」

 

 功労者のパイロット二人の対照的な声と共に、胴上げは暫く続いた。

 その後、横須賀に到着した太平洋艦隊は2号機とパイロットのネルフ本部への輸送任務を完了した。

 

 Thank you very much for your help this time!」(今回は大変お世話になりました!)

 

 空母から停止した2号機を降ろす作業が始まり、ダブルシンクロと戦闘の影響がないか念のためチルドレン二人の検査のために本部施設へ移動する寸前。

 突然式波がオーバーザレインボーのブリッジへ向け、英語で大声を張り上げた。

 その大声たるや歴戦の下士官でもそう出せない程の声量であり、まるで演説の様に朗々と横須賀港に響き渡った。

 

 I will never forget the cooperation of your fleet!(貴艦隊による協力を私は決して忘れません!) I pray for the longevity of your fleet in the future!(今後も貴艦隊の武運長久をお祈りします!)

 

 言い終わるや否や、式波はザッと軍のテキストに載せたくなる程に綺麗な敬礼を披露する。

 それを見ていた軍人らも次々とキリリと顔を引き締め、手慣れた様子でそれぞれ答礼していく。

 そのやり取りは見事なものがあり、それを見ていたネルフ職員やシンジと友人二人はおぉ…と感嘆の息を漏らした。

 

 「嫌な時代だな。」

 「皆同じ気持ちですよ。」

 

 自らもまたブリッジで答礼しながら艦長は呟き、副長が静かに同意した。

 今回の戦闘は直ぐに終わったとは言え、それでも三桁単位で犠牲者が出た事に変わりはない。

 太平洋艦隊の人員の内心には化け物相手に最後を除けば何も出来なかった事に対して忸怩たる思いがこびり付いていた。

 最後は戦友の仇を彼らは自ら取る事でその矜持を守る事は出来たが、それはまだまだ子供であるべき年齢の娘っ子が配慮してくれたからだと言う事を多くの者は既に理解していた。

 敵にやられるだけで、子供を戦わせ、子供に配慮される情けなさ。

 軍人としての矜持、大人としての良識、船乗りとしてのプライド。

 それら全てがズタズタにされた彼らに最後に出来たのは、ただ礼節を以て見送る事だけだった。

 

 「彼女の眼を見たか?自分が戦う事に、一切の疑問を抱いていなかった。」

 

 余りにも業が深いと艦長は思った。

 自分の孫の様な年頃の娘が兵士の、戦う者の眼をしていたと言う事実。

 セカンドインパクトによる海洋食料資源の激減による全世界規模の食糧難とそれを発端とした紛争・テロ・内戦のオンパレード。

 もう二度と経験したくない悪夢の日々を、当時から軍人として任務に就いていた艦長は決して忘れられない。

 あの頃も荒んだ眼をしていた子供は多かったが、ああも自然体に兵士の眼をしている子供は見た事が無かった。

 

 「幸いとは言えませんが、今回の戦闘で多くの教訓を得られました。」

 「あぁ。限定環境下なら通常兵器も化け物相手に決して無力ではないと証明された。」

 

 国連太平洋艦隊、嘗ての米国海軍太平洋艦隊を母体とする彼らには幾つかの密命が下されていた。

 それが輸送するエヴァ2号機のデータ収集及び2号機パイロットとの関係構築である。

 本国の陰謀屋共からの気に食わない命令であったため、艦長以下責任者らはそれを行うつもりは無かった。

 そもそもエヴァシリーズ自体ブラックボックスの割合が大きいために情報を抜き出す事も難しく、更にパイロットも代えが利き辛い上に少女と言う事もあって強硬策やハニートラップは見送るしかなかった。

 そんな時に使徒との戦闘が発生した事は、この密命を下した側にとっては幸運だった。

 日本の戦略自衛隊も未経験の海上での実戦における使徒の危険性、エヴァの有用性、そして対使徒戦における通常兵器の運用方法。

 おまけでネルフに対する偏見(≒子供の玩具で戦う研究者共)も薄れたが、それはさておき。

 これらのデータは値千金として米国、ユーロ他ネルフ支部のある国々で共有され、独自に対使徒戦闘を模索するための貴重なサンプルとされるのだった。

 

 

 ……………

 

 

 第三新東京市に到着後、シンジ同様に式波・アスカ・ラングレーは葛城ミサトの管理下に入る事になり、同じアパートの居室に入る事になった。

 

 「二人共、今日からよろしく頼むよ。」

 

 物は殆ど持っておらず、家族と言うか妹達は全滅状態の式波にとって、完全な他人と共同生活は今生では初体験だ。

 なので顔には出さないが結構緊張…否、警戒もしていた。

 

 (あのミサトマンションに住む……まだ汚部屋だったら隣の部屋借りよう。)

 

 シンジが必死に掃除して生活空間を確保したマンションの一室に住む事を提案された際も不動産から部屋を借りる際に必須の下見をした上で決定しようと考えていた。

 流石にゴミだらけの部屋に暮らしたくはない(迫真)。

 まぁ結局はシンジの主夫力によってすっかり綺麗になっていたので、その警戒は杞憂だったが。

 

 「ドイツから留学してきた式波・アスカ・ラングレーです。今日からよろしくお願いします。」

 

 学校においても、式波は優等生だった。

 暗い情勢下でありながら自信や気品、知性や教養の高さを感じさせる言動。

 鍛えられた身体はしなやかかつ健康的な色気があり、カラっとしながらも包容力のある性格。

 何処か中性的でありながら紳士的な態度で接する姿はリボンの騎士みたいだと女生徒の間では専ら話題となった。

 他二人のチルドレンが神秘的だが基本ガンスルーな綾波、一見気弱で子犬系に見える(実は頑固者)シンジと全く異なる事から、以前は遠巻きにしていた生徒も式波には心を開き始めていた。

 

 「凄い人気者やなぁ式波は。」

 「ホント。正に完璧超人って言うか。」

 

 シンジの友人二人、トウジとケンスケの言である。

 勿論ソレを快く思わない者もいない訳ではないが、この学校の生徒は軒並みネルフ関係者かその下請け関係者であるため、表立って問題を起こす様な馬鹿はいない。

 チルドレン達3人に何かあれば、最悪サードインパクトで人類が滅びかねない。

 それが分かっているからこそ、表向き式波の学校生活は騒がしくも平和なものだった。

 

 (鬱陶しい。とは言えこれも仕事だ。)

 

 が、内心はこんなもんである。

 葛城ミサト二佐(つい先日昇進)からの命令により、式波はシンジとレイと同じクラスに転校し、日本の中学生生活を送っている。

 正直、2号機に乗るか自分の趣味や訓練のために時間を使いたい。

 日本の中学生どころか大学生、その中でも最先端の理数系に偏った知識を学習している式波にとって、日本の中学生生活は退屈極まるものだった。

 本来のアスカならばそう思ってもそれなりに楽しんだかもしれないが、この世界の行く末をある程度知っている式波からすれば、今この瞬間も訓練をせず中学校生活とか正気か???としか思えない。

 

 (まぁシンジ君のメンタル回復のためにはこうした日常こそ必要ではあるが…。)

 

 碇シンジは基本的には普通の少年だ。

 但し、一度こうと決めた事に関しては例え命の危機がある状況だろうが我武者羅にやり通す頑固さ、そしてエヴァ搭乗時に限るが異常なまでの近接戦闘のセンスを持っていると注釈が付くが。

 

 (もしかしなくても喧嘩三昧だった碇司令のセンスを受け継いでたりするのか?)

 

 碇ゲンドウ、旧姓は六分儀。

 若い頃はかなり荒れて喧嘩三昧だったと言う彼は13号機に搭乗した際もシンジの乗る初号機を苦しめた。

 まーあれは操縦はカヲル&オリジナルアスカの魂とも言われてるので、実際は違うかも知れんが。

 

 「おや、レイ君か。」

 

 現在、式波は訓練のために本部施設内のエレべーダーに乗ろうとした所だった。

 たまたま来たエレベーターには綾波レイが既に乗っており、避ける必要性も無いのでご一緒する事になった。

 

 「どうして」

 

 静かにエレベーター内で並び立ってすぐ、綾波が口を開いた。

 

 「どうして、貴女はエヴァに乗るの?」

 「君と同じだよ、綾波タイプ。」

 

 綾波タイプと式波タイプ。

 多少の違いはあるものの、同じクローン人間である二人が並び立つ様子は何処か作為的、或いは運命的にも感じられた。

 

 「私にとって、2号機に乗る事は妹達との絆なんだ。」

 「絆。私にもあるもの。碇君と碇司令との絆。」

 「そうとも。中には切ろうとしても切れない、煩わしいものもあるがね。」

 「あなたは煩わしいの?」

 「そうだね。しかし妹達、そしてシンジ君や君とはそうは思わない。」

 

 静かに言葉を重ね、互いの考えを明らかにしていく。

 図らずともよく似た境遇の者同士の会話は、本人達にしても予想外に弾むのだった。

 

 

 ……………

 

 

 「えっと、距離を取りながら反撃、かな?」

 「違う。この場合は一人目を盾にして二人目からの射撃を防ぎつつ反撃が模範解答になる。」

 

 エヴァ操縦の訓練に新規に追加された訓練、それがシンジはちょっと苦手だった。

 教官役は先日共に第七使徒を撃破した式波だ。

 彼女程エヴァを繊細に操縦できる正規の訓練を受けたパイロットはいないとミサトに断言されたため、今もこうして彼女から戦闘時の状況判断を中心に座学を開いている。

 訓練内容に新たに追加されたのは座学だけじゃない。

 2号機に入力されていたシミュレーションプログラムの方はNPCの設定も細かく出来る上に対戦機能もあり、ゲームの様で面白かった。

 だが、座学の方はキツイ。

 リツコ達の作った脳死必須なシミュレーションよりは遥かにマシだが、今まで直感的に察知していた自分なりの最適解を理屈で肉付けした上で具体的に言葉にすると言うのはシンジにとっては初体験な事もあり、結構な負担だった。

 そう思っても止めないのは其れがシンジの処世術である事もそうだが、その後にシミュレーション等を行うと以前よりも判断を下すまでの速度が速くなっている事を実感できるためだ。

 一度決断・判断すれば早いが、そこまで行くのが遅いシンジにとって、これは結構な前進だった。

 

 「遠距離から狙撃された場合の対処法は?」

 「物陰に身を隠す。出来なければ地に伏す等して相手から見た的の大きさを小さくした上で、状況に応じて反撃か撤退を決める。」

 「お、おう。対狙撃だけやたら流暢だね。」

 

 基本、作戦を決めるのはミサト達作戦部の人間であり、シンジは基本それに従う形だ。

 第5使徒戦では破ってしまった事もあったが、今のシンジにはそのつもりは無い。

 しかし、今後常に万全の支援や命令を受け取れるかと言うと、その可能性は低い。

 次に出て来るだろう大規模な通信障害を発生させる第8使徒サハクィエル等もいるため、自分で咄嗟に判断する場面は今後増えていくだろう。

 その辺の判断センスはシンジは天性のものがあるが、やはり事前に引き出しを作って慣らさせていた方が実戦でよりスムーズに行えると言う判断だ。

 

 「よし、座学はここまで。次は少し休憩してから基礎体力訓練に移ろう。」

 「うぇぇ……。」

 「体力つけないと、これから先苦労するぞ。」

 「うぅ、分かったよ…。」

 

 元々もやしっ子であるシンジには座学以上に体力が必須となる基礎体力訓練、要するに筋トレや自分の身体の動かし方を学ぶ事が一番キツかった。

 それでも投げ出さないのは、対使徒戦において集中や緊張から体力の消耗が大きく、幾らあっても足りないと自分でも分かっていたからだ。

 どの使徒も強力な敵であり、油断なんて出来ない。

 もし失敗したら、今度こそ人類は滅びてしまう。

 それを実体験で知るシンジにとって、もしもの時を想定して必死に準備するしかないのだ。

 まぁ筋トレはキツイので止めたいな、とは思っているが。

 

 「あだだだだ…!」

 「関節硬過ぎだ。それじゃ吹っ飛ばされた時、上手く受け身が取れなくて殺されるぞ。」

 

 「例え女子供の見た目だろうが、格上相手に躊躇うな!確実に殺す気でいけ!」

 「は、はい!」

 

 「私も…。」

 「え?」

 「レイ君もか。よし、シンジ君は一旦休憩。私が相手しよう。」

 「よろしく。」

 

 この様に式波はシンジのメンタルを回復させつつ、その体力を向上させるための鍛錬を行っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『静止衛星軌道上にパターン蒼を確認!各員は速やかに第一種戦闘配備!チルドレンは直ぐに出撃準備を!』

 

 そしてシンジが少しだけ逞しくなり始めた頃、遂に第8使徒が出現するのだった。

 

 

 




 見にくいと思ったので和訳一覧。

 「Thank you very much for your help this time!」
 →今回は大変お世話になりました!

 「I will never forget the cooperation of your fleet!」
 →貴艦隊による協力を私は決して忘れません!

 「I pray for the longevity of your fleet in the future!」
 →今後も貴艦隊の武運長久をお祈りします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。