神転して理想の生活を送りたかっただけなのに 作:名も無き二次創作家
シド先生が死んだのは描写的に10月30日。
シドはアニメ3話では生きており、4話でゾンビになってる。
つまりアニメ4話は11月の頭くらい。
となると1話は9月~10月の可能性が高い
色々言ったけど、結局明言されてない以上想像で補うしかないよね。
あ、この作品はオリ主とマカが同期ということでお願いします。
今日も最悪な寝覚めをしながら、いつものように早朝ランニング。
パートナーをデスサイズにしたいという俺の思いは誰にも負けていないと思う。
だが俺は鍛錬ばかりしてきたせいで友達が少なく、情報網がほぼゼロ。
よって、悪人狩りのクエストを他の生徒に持って行かれることが多々ある。
優秀な生徒の数人は、俺と同じく魂回収数が既に90の大台に乗っているのだ。
いくらこの世界の治安が悪いとは言え、死神様のリストに載るほどの悪人が大量に湧き続けるわけでもなく。
そしてその有限な悪人の魂をEATクラスの職人が寄って集って狩りに行くので、本気でデスサイズを作ろうとする者達の間では軽い争奪戦だ。
まあ、世界規模で見れば悪人も充分な数はいる。
だが、大抵のヒトはできるだけ近場で済ませたがる。
俺も、遠くに行って1人狩るより近くで2人狩りたいからな。
効率は正義。
……流石に一定期間誰も受注しなければ俺が受注する。
悪人が出たと言うことは人が困っているということだ。
アリスのパートナーとして、黙っているわけにはいかない。
さて、今から授業だ。
パートナーの武器と職人は授業の席も隣なので当然手を繋いで魂を共鳴させながら受ける。
「授業の前にひとついいか。この間NOTクラスに新入生が入ってきただろ?この中で数ペアだけ、彼等の前で武器と職人の簡単なデモンストレーションをやってもらいたい。本当に簡単な動きを見せてすぐ解散だから、拘束時間も短い。誰かやってもいいってやつはいるか?」
NOTでマカがやってたやつか。
NOTの主人公である春鳥つぐみは突然武器の力に目覚めて戸惑っていた。
そんな子達のために一肌脱ぐのも「人助け」ではないだろうか。
原作主人公のマカも、パートナーがごねるのをスルーして挙手している。
── アリス、立候補する? ──。
── ……死武専生はヒーロー。誰かの”ためになること”をするもの ──。
肯定か。
「はい」
彼女と手を繋いでいない方の手を挙げる。
瞬間、教室中の視線が俺たちに突き刺さった。
どころか、担任であるシド先生まで驚愕の目で見てきた。
「なにか、問題でも?」
「い、いやそういうわけじゃないんだ。……ただ驚いただけでな?助かるよ。じゃあ「マカ&ソウル」ペアと「
ちなみに俺は授業をいつも聞いてない。
聞いてないというか、聞くことができない。
頭痛が酷くて、人の声を長時間耳に入れていると脳髄が引き裂かれそうになってくるから。
毎晩毎朝ベッドに入れば思い出すのはあの日のこと。
ようやく眠れても悪夢のせいで眠りは浅く、すぐに起きてしまう。
夜はいつもその繰り返しだ。
夢でうなされない日はない。
おかげで俺の目の下には酷いクマがあるし、人の声を聞くのが嫌いになった。
これも、俺がやったことへの罰なのだろうか。
ごめんよ、アリス。
許してくれとは言わない。
当然の報いだ。
でも俺のこの状況ですら精神にくるんだ。
精神そのものをやられてしまった君は、一体どんな……。
◇◇
デモンストレーション当日。
シド先生の声に従い入室する。
興味本位でNOTの生徒達に目を向けると、なんと春鳥つぐみと多々音めめ、アーニャ・ヘプバーンがいた。
俺が立候補したせいで担当クラスが一つズレたのか。
きっと今頃マカとソウルは別の教室で別の新入生たちを相手に手本を見せているのだろう。
ん?
シド先生が俺に疑いの眼差しを向けているな。
もしかして、俺が何か問題を起こすと思って自分の側に置いているのか?
まあ、一秒も無駄にせず常時特訓している俺たちが、なんの訓練にもならないこの手伝いを買って出たのは端から見たら妙かも知れない。
つまり俺がここの担当になったのは偶然ではなかった、と。
シド先生……。
確かに俺は普段誰とも関わらずにすべての時間を鍛錬に費やし、授業もろくに聞いてないけど、もうちょっと信用してくれてもいいんじゃないか?
俺たちは悪人狩りだけじゃなくて人助けのクエストもかなり受けてるし、入学してから問題を起こしたこともないだろう。
生徒を信じられないなんて、それでも担任教師なのか。
まあ、いいや。
それより実演だ。
「EATクラス、職人のスィナー」
「……魔武器、レイピアのアリス」
いつもとは違い、新入生によく見えるようにゆっくりとレイピアに変身していくアリス。
武器に変身しきった彼女を掴み、魂を通わせる。
今回は派手な共鳴は必要ない。
必要なのは相手の声を聞くこと。
武器は職人の声を聞き、職人は武器の声を聞く。
言葉ではなく、魂を使って。
魔武器は人であり、物じゃない。
魂の波長を合わせれば、動く。
ただの剣舞じゃできない動きも、魔武器と職人ならできる。
優雅に、よどみなく、軽やかに。
武器は職人の一部となり、職人も武器の一部になる。
そして、そっと舞終わる。
その直後にシド先生が授業の終了を言い渡した。
俺の役目はこれで終わった。
しかし「人助け」のために来てみれば、意外といい鍛錬になったかもしれないな。
さて、はやく戻って鍛錬を……え、トイレ?
わかった。
待ってるから行ってきて。
トイレは確かこの近くにもあったはずだし。
なにやら近くでギャーギャー騒ぎ始めた生徒がいるようで、頭が痛い。
迷惑だから辞めて欲しいんだが、これも「音系の攻撃」をしてくる敵の対策になるかも知れないと思いとりあえず耳を塞いでみる。
……戦闘中にこんなことしてたらアリスを握れない。
そういえば魔剣が悲鳴共鳴とかいう音系の技を持っていたな。
耳栓常備するようにしとくか。
あの悲鳴は耳栓ごとき貫通しそうだが、無いよりましだろう。
戻ってきたアリスは“待たせて申し訳ない”という感情を微塵も抱いていないけれど、“待たせるのは悪いことだ”という常識に則って一言謝罪してきた。
パートナーは一心同体で持ちつ持たれつなのだからそれくらいで謝罪しないでいいのに。
そんなことより、言葉に感情を乗せられない彼女に、俺は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
彼女と合流して、改めて鍛錬に向かおうとしたとき。
ゴガッン!!!
金属の棒で人をぶん殴ったような音がした。
それと同時に、「人間の男」と「頭部以外はナイフに変身した男」の2人が此方にとんで来たので、職人は右足で止めて武器は叩き落とした。
てかこれ、NOTの原作イベントじゃないか。
「入学1日目からケンカとは血の気が多い。この程度の諍いなら問題無いけど、『生徒同士の決闘』になると教職員の立ち会いが必要になる校則だから気をつけるように」
「は、はい!あ……すみませんそちらにとばしてしまいまして」
「ご、ごめんなさいッ!!!」
「EATクラスを目指してるんなら俺が特訓付き合うから」
最後に小粋なジョークを投げて、可愛い後輩たちの好感度を上げておく。
ちなみにシド先生曰く、俺のジョークはこれっぽっちも面白くないらしい。
まあ、ジョークのセンスなんていらないけど。
俺は「人助け」と「パートナーをデスサイズにする」ことだけをやっていればいいのだ。