神転して理想の生活を送りたかっただけなのに   作:名も無き二次創作家

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今回は視点切り替わりがあるけど、初っぱなに視点主の名前を出せば問題無いよね。

あと昔読んだNOTの漫画には名札じゃなくて職人と武器をみわけるプレート的なものだってあった気がする(うろ覚え)けど、今回は上記の都合で名札にさせてもらいます。


周囲から見たスー

「おいマカ、なんでわざわざ見世物にならなきゃいけないんだよ」

 

 

「なに言ってんのよソウル。新入生達に職人と武器の手本を見せてあげるのも先輩の仕事でしょ?」

 

「はー、だっりぃ」

 

もう、だらしないなあ。

普段から「COOLに行こうぜ」とか言ってるけど、私の知ってるCOOLとソウルの言ってるCOOLは違うみたい。

 

グチグチとごねるソウルを説得した私は、意気揚々と手を上げて立候補した。

自分で言うのもなんだけど、私はママに似て真面目で優秀な生徒だ。

だから先生もクラスのみんなも私の立候補に特に反応しなかった。

ま、あいつなら立候補するだろうな。

そんな雰囲気があった。

 

 

このクラスで他に真面目なのはオックス君ペアくらいだけど、デモンストレーションは屋内だから立候補しないみたい。

 

 

このまま授業が始まると思っていたら、教室がざわめき出す。

他にも誰かが立候補したのかな。

このクラスにそんなことするタイプの人いたっけ?

そう思いながらそっちを向くと、みんながざわめいてる理由が理解できた。

 

「……マカ、あいつ確か戦闘にしか興味ないって噂の自主練キチだろ?どういった風の吹き回しだろうな」

 

自主練キチ。

死武専での登録名はスィナー。

死武専は自分の好きな名前で登録できるから、本名かは分からない。

 

彼はいつもパートナーの女の子と手を繋いでいる。

それだけきくと浮かれた軟派ヤロウに聞こえるけど、噂によるとあれは“魂の波長”の訓練らしい。

職人と武器は長い時間を共に過ごし、会話などを通して少しずつ相互理解をして魂を同調させ、お互いの力を引き出し会う。

だけど彼は、「日常的」に“魂”で相互理解を深めている。

 

それだけじゃない。

放課後はクエストを受けるか自主練をしてるみたいで、私も何度か見かけたんだけど、目がイッてた。

あれは「強さに貪欲」なんて言葉では片付けられない。

まるで何かに脅迫されているみたいに、狂ったように力を求めている。

 

変人の多いこの学校で彼に興味を持つ人は一定数居たが、なにかに誘っても「鍛錬で忙しいから」と言われるだけ。

痺れを切らした1人が、一体どれだけ自主練すれば気が済むのかと訊いたところ、「日常生活のすべての時間を無駄なく鍛錬に使わなければ気が済まない」と返したというのは有名な話。

 

今じゃ用もないのに彼に絡むのはブラック☆スターとシド先生くらい。

 

授業態度も最悪で、先生の話をまったく聞いてない。

……なのに前回の筆記テストでは順位が一桁だったのが解せない。

 

更に目の下に酷いクマがあるせいか「危ないヤツ」感が出ちゃってるし、無口な上に声が地を這うような音をしている。

あれじゃまるでゾンビだ。

 

「うーん、確かにこういうボランティアに立候補するタイプには見えないけど……」

 

案外彼も、根は真面目でいい人なのかも?

なんてね。

 

 

 

 

◇◇

 

 

恋に恋する14歳な私は、もう何度目かもわからない後悔でとうとう叫んでしまいました。

 

「帰りたい」と。……心の中で。

 

 

 

なんとか初日から遅刻せずに登校できた私は、こちらの文字で“春鳥つぐみ”と書かれた名札を先生から受け取り、今はエリートであるEATクラスの先輩の実演を見る時間。

 

なぜ帰りたくなっているのかというと、先生に呼ばれて入ってきた先輩がとんでもなく怖いから!

 

目がイッてる。

これは確実に2~3人ヤっちゃってますよ。

 

きっと目を付けられたが最後、いびられたりカツアゲされるんだ……。

 

ぴえっ!?

こっち見た!!?

 

なんでなんで!!!?

まさか弱そうな私に目を付けたの!?

 

あ、違う方を向いた。

ふう。

たまたまこっちを見ただけみたい。

よかった、目を付けられなくて。

 

 

端的にされた自己紹介から、怖い先輩の名前はスィナーということがわかったんだけど、怖い先輩のパートナーの存在にこのとき初めて気付いた。

 

小さくて可愛い、けどどこか人間味が薄い女の子。

私は一瞬、そのアリス先輩を妖精みたいだと思った。

 

 

アリス先輩が武器に変身した。

思わず感嘆の声がもれると、めめちゃんに「貴女も武器でしょ?」と突っ込まれてしまった。

でも、私はあんな風に自在に変身できない……。

 

 

その後の職人と武器の実演では、スィナー先輩が流麗に剣舞をしだしていつの間にか見とれていた。

凄い……。

これが“武器”と“職人”!

武術なんてやったこともない私ですら彼等が一心同体なのが伝わってきた。

 

あと、途中でスィナー先輩が目を瞑って舞っていたから気付いたんだけど、意外と格好いいかも。

あのイッちゃってる目と目元のクマさえどうにかすればイケメンなんだけどなあ。

 

 

 

◇◇

 

 

授業後、廊下でめめさん(さっきの授業で仲良くなった)をみつけたけど、男子に無理矢理パートナー契約を迫られて困っているみたいだった。

男子の柄が悪くて竦んでしまい、私は一度彼女を見捨てて通り過ぎた。

 

その時思い出したのは、登校中に出会った格好いい女の子の先輩の顔。

彼女ならこんな時どうするのか。

そんなことを考えていたら、いつの間にか私はめめさんの元へ引き返していた。

 

「行こうッ」

 

震える声を抑えて、毅然とした態度を取る。

彼女の腕を取り、帰ろうとした私の前を2人目の男子が塞ぐ。

挟まれた。

 

「あいつが誘ってんのはそっちの女なんだけど、なにお前?」

 

怖い。

一度立ち止まっちゃったから、また足が動かなくなってしまった。

ど、どうしよう……。

 

その時、目の前にまるで西洋人形のように綺麗な金髪の女の子が現れた。

まるでヒロインのピンチに颯爽と現れるヒーローみたいだ。

こういう子が、将来EATに進んで活躍するのかもしれないなあ。

そんな、どこか他人事のような感想が浮かんできてしまうほど彼女の容姿は浮世離れしていた。

見た目は物語のお姫様。

行動は王子様。

そんな彼女が、私たちをその男子達から護るように仁王立ちして、口を開いた。

 

 

 

「ふん、俗物が」

 

 

 

そこからは売り言葉に買い言葉。

そしてキレた男子が武器に変身し、もう1人の男子がそれを握る。

武器の人は頭がまだ人間のままだけど、それ以外は完全にナイフで、刃がついている。

 

「貴女武器でしょ?はやく変身してください」

 

アーニャさん(本人がそう名乗った)にそう言われ、私は申し訳なさに俯く。

 

「すみません、私まだ変身できないんです……」

 

私のせいで、武器無しで挑むことになったアーニャさん。

ごめんなさい。

私が武器になれれば……、私のせいで……!

 

 

 

「イメージしろ!己の魂に眠る鋭い刃を!!」

 

 

 

いつの間にみていたのか、さっき名札をくれた先生がそう叫んだ。

 

イメージ……イメージ……私の刃。

 

私は痛いのが怖い。

傷つくのも怖い。

誰かを傷つけるのも怖い。

 

でも、今一番怖いのは、知り合い──いや、()()()()()を傷つけられることッ!!!

 

 

そして私は見事ハルバード(刃なしだけど)に変身し、アーニャさんの力になれました。

アーニャさんは凄く強くって、私は落ち着いて彼女に身を任せているだけで男子に勝ってしまった。

特に最後の、石突きを使った押し出すような突きはとても格好いいフィニッシュでした。

 

「男子2名負傷、か。保健室のメデューサ先生に連絡しなきゃだな」

 

先生がそう呟いて歩いて行った。

すみません先生、お願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入学1日目からケンカとは血の気が多い」

 

 

 

 

 

 

 

 

底冷えする声が廊下に響く。

さっきまでの祝勝ムードはどこへやら、ヒーローみたいにかっこよかったあのアーニャさんやぽわぽわしためめさんまで硬くなって背筋を伸ばしている。

私は勿論2人以上に硬くなって背筋を伸ばしている。

こ、怖いよぉ……。

 

あ、しかもよく見ると先輩の足下にさっき突き飛ばした男子達が倒れてる。

これってもしかして、男子達をあの先輩に向けて突き飛ばしちゃったのかなあ!?

どうしようどうしよう!

とりあえず謝るしかない!

 

「この程度の諍いなら問題無いけど、『生徒同士の決闘』になると教職員の立ち会いが必要になる校則だから気をつけるように」

 

「は、はい!あ……すみませんそちらにとばしてしまいまして」

 

「ご、ごめんなさいッ!!!」

 

アーニャさんに先を越されたけど、誠意を込めて謝る。

決して「友達が謝ってるから私も謝ってる」わけじゃなくて、「悪いと思ってるから謝ってるんです!」と伝えられるように。

 

どうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんようにどうか目を付けられませんように────

 

 

「EATクラスを目指してるんなら俺が特訓付き合うから」

 

 

それだけ言って、怖い先輩は去って行った。

え、どういうこと?

あ、私助かったの?

 

安心で脱力した私たち3人は抱き合い、無事を喜び合った。

 

 

 

 

でも、去り際のあの言葉……。

それにその前の台詞も、血の気が多いと勘違いした新入生の私たちに関係のありそうな校則を教えてくれていた、とも取れる。

もしかしたら、目が怖いだけで本当は親切な人なのかも?

 

 

 

 

 




シド「(こいつが意外と人助けしてる良い奴だってのは知っているが、目がイッてるせいで怖がられやすいんだよなあ。この前まで一般人だった奴らの前に出して大丈夫かなあ)」

オリ主「(シド先生が疑いの目で俺を見ている……)」
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