神転して理想の生活を送りたかっただけなのに 作:名も無き二次創作家
詳しくはグーグル先生が教えてくれるけど一応。
《死武専生》
マカ=アルバーン……原作主人公の1人(その中でも一番メインっぽい)。鎌職人
ソウル=イーター……マカのパートナー兼原作主人公の1人。魔鎌
《敵》
クロナ……通称『魔剣』。職人。魔女であり実の母であるメデューサに全身の血を抜かれ、
ラグナロク……
現在地、イタリア。(死武専はアメリカにある)
この課外授業の(おそらく)初日の夜に、原作主人公の1ペアであるマカ&ソウルが
彼女たちは死武専教師であるシュタイン博士とマカの父親である
原作のこの話で重要なのは次の2つだ。
1. 職人のマカを庇ったソウルが大けがをおい、体内に
2. 武器に庇われて自分の弱さを痛感したマカが迷走し出す
だがそれは
俺にとって重要なのは、“魔剣に逃げられてしまう”というところ。
黒血とラグナロクを持つクロナは強い。
だけど
博士がそのままとどめを刺そうとするのだが、魔剣の飼い主である『魔女』が出てきてそのまま回収されてしまう。
その魔女は凄まじい実力を滲ませており、とても致命傷のソウルを放置して戦えそうな相手ではなかった。
よって追いかけることもできず、まんまと追い詰めた魔剣を持って行かれてしまうのだ。
実験が加速してどうなるのか。
折角死武専の地下に死神様が封印していた鬼神という化け物が、その魔女によって復活させられるのだ。
これはいけない。
人助けの観点からも、アリスの生存確率の観点からも。
鬼神復活を見逃す利点があるとすれば、長年敵対してきた死武専と魔女が共通の敵を前に仲良くなることくらいか。
だがそれ以外のほぼすべての点において、鬼神復活は阻止した方が良い。
思考をまとめ終わった俺は、本場のピッツァを頬張るアリスの可愛い顔を眺める。
彼女にも味覚はあるので、そのピッツァが「美味しい」ことは分かっている。
魂の波長で、彼女がそう判断していることがわかるのだ。
……でも常人なら「美味しい」と思ったときに生まれるはずの快感情が彼女にはない。
逆に不味い物を食べても、その不味さを知覚するだけで不快感情が湧かない。
生きるために、出された物をなんでも食べる彼女に俺がしてやれることは、せめて彼女に残されている味覚をマイナスに刺激しないことくらいだろうか。
俺は彼女の“美味しいご飯を食べる「喜び」”を奪ってしまった。
だから罪滅ぼしとして、彼女の口に入れる食べ物に妥協したくないんだ。
まあ、彼女の“食の喜び”を奪ってしまっている以上、俺の行為には何の意味も無いのかもしれないが。
ただの自己満足だって言われてもしかたない。
でも、
……弱くてごめん、アリス。
◇◇
夜。
チートで魂感知能力を持っている俺は、魔剣が現れてもすぐわかるので現地を観光していた。
だから舞台となるサンタ・マリオ・ノヴェラ教会からそう離れなければ問題は無い。
お、言ってる側から魂反応だ。
行こうアリス。
暗闇の中、屋根の上を駆けて、跳ぶ。
入り口のドアと反対方向から来てしまったので、ステンドグラスをぶち破りながら教会の中に侵入。
丁度シュタイン博士とデスサイズが、マカたちを護ったところみたいだ。
「博士はソウルの応急処置を、デスサイズさんはその護衛をお願いします」
死にかけのソウルを放っておくわけにもいかない。
この提案はすんなり通った。
「そい……斬……効……い…ら……けてッ!!」
「魂の……を直…………で……い!」
誰かがなにかを叫んでいるみたいだけど、魔剣の攻撃に備えて耳栓してるから全然わからん。
さすがお高い耳栓。
効果が高いようだ。
まあ、きっと「斬撃が効かない」とか「魂の波長を直接撃ち込んで」とか言ってるんじゃないかな。
原作既読者としてコイツの情報はほぼすべて持っている。
情報戦で有利な状況。
だが、その上で油断できない相手だ。
既に武器化して俺の手に収まっているアリスを構えて敵の一挙手一投足を観察する。
相手は強い。
一瞬の隙を征さなければならない。
「ガラスを蹴破りながら降りてくる人との接し方なんてわからないよお……」
「殺せ!あいつもそいつもこいつも、全部殺せば接し方なんかかんけェねェだろ!??」
「確かに……。なんでこんな簡単なことに気付かなかったんだろ……」
武器と会話している敵を待ってやる義理はない。
俺は既に魂の共鳴をして
流石に受けられるが、向こうは対応が遅れて押され気味の態勢になっている。
このまま押し切れそうだ。
そう思ったとき、クロナの身をくねらせるような奇妙な動きに巻き込まれて俺のバランスが若干崩される。
危機感を覚えて、咄嗟に自分の身体を床に投げ出す。
ほぼ真下に身体を叩き付けるように動かして敵の斬撃を回避し、床でバウンドして跳びあがる。
今の自分の動きで若干ダメージを受けたが斬られるより数億倍ましだ。
そのままクロナの頭を踏んづけて離脱。
いったん距離をとる。
「いくよ、ラグナロク
……うるせえ。
耳栓なかったら鼓膜も脳も死んでたな。
相手を怯ませつつの魂の共鳴。
隙がなく、強い。
だがこちらは対策をしている。
攻撃に出よう……おっと、向こうが先手を打ってきた。
顔の形をした黒いエネルギー派を斬撃の軌道上に飛ばす、クロナとラグナロクの共鳴技だ。
遠・中距離用で、くらえば真っ二つ。
強力な技だ。
だが、遠距離技を持っているのはお前らだけじゃない。
「アリスッ!」
『……うん』
魂の波長を膨らませて、それを斬撃として飛ばす。
俺とクロナの間でぶつかったそれらは、完全に拮抗する。
しばらくその状態が続いたが、その後互いの技が形を保てなくなる。
衝撃が360度に散らばった。
教会内の設備や装飾がめちゃくちゃになってしまったが、今はそんなことを言っている場合ではない。
むしろ、教会内を無数に舞う粉塵に紛れて奇襲をかける。
クロナに接近し、斬撃を浴びせた。
例え戦車だろうと両断できる最高の振り下ろしが、完全に入った。
だが、肉を浅く斬っただけに終わる。
硬化した黒血に受け止められてしまったようだ。
白光剣でも斬れないのか……。
そのまま接近戦に発展。
剣を打ち合い拮抗するが、打ち合う度に白光剣が削られるのが厳しい。
悲鳴共鳴中は武器のラグナロクがずっと悲鳴をあげているのだが、そのせいで刀身が電動ノコギリ状態なのだ。
外側の分厚い刃はアリスの本体とは関係ない、魂の波長の増強によって作られた部分なので一応修復できる。
だが修復に意識を裂きながら魔剣と打ち合うのは厳しすぎる。
そしてついに、俺は完全な後手に回される。
敵の上段からの大振りが俺の頭をかち割らないように、咄嗟に白光剣で受けさせられたのだ。
撥ね除けることができない。
ガリガリと削られる。
「いけェクロナ、ヤっちまえ!」
「死ね死ね死ね死ね死んじゃえ─ッ!!!」
このまま行けると思ったのか、敵の力のかけ方が雑になった。
その隙を逃さず、アリスを引きながら振動魔剣を振り払う。
敵が油断してなかったら今頃俺もアリスも真っ二つだったかもしれん。
自分から首を突っ込んだ割りにこの様とは、恥ずかしい。
俺ごときは死のうがどうだって良いが、アリスを危険な目に遭わせるなんて。
相変わらず俺はゴミだな。
死んだ方が良いよ。
でもアリスは魂の波長が俺としか合わないから(これも俺のせい)、俺が死んだらデスサイズにはなれない。
それが俺の生きてる意味の半分。
ちなみにもう半分は人助けだ。
このまま打ち合うのは不利。
敵に隙を作らせたい。
俺は床を確認する。
靴がなくても支障なく戦闘できそうな材質だ。
ラッキー。
俺は右足に履いている
クロナは顔に向かってくる物体に対して反射的に引きながら剣を振って迎撃した。
念願の隙ができたので、フェイントを入れながらややこしい軌道で急接近する。
これはシド先生にも「消えるような速さ」と評判で、自信のある動きだ。
剣の間合いには遠く、白光剣には最適な間合い。
間合い管理成功。
もらった。
「駄目ッ!!斬撃は効かない!」
よほど大声だったのか、マカの忠告が微かに俺の耳に入る。
俺はその叫びを聞きながら、力強く踏み込んだ。
ドスッ
白光剣を解除してレイピアに戻し、血管どうしの間隙を縫って脊髄をぶち抜いてやったのだ。
念には念を入れ、アリスを通して魂の波長を撃ち込んだ。
おまけに魂の共鳴。
刃を肥大化させてとどめを刺す。
黒血がまだ硬化していたため、首を飛ばすことはできなかった。
だが脊髄をぶち抜いたのだから、直にクロナは首から下が動かなくなる。
つまり肺も心臓も止まって死ぬのだ。
勝った。
完全に魔剣を殺した。
わけではなかった。
脊髄を破壊してから生命活動が止まるまでの間には数秒~数分のタイムラグがある。
だからさっきもまだ血が硬化していたんだ。
首から
まずい、レイピアは刀身が長い。
おまけに“突き刺している”状態だ。
咄嗟に引き抜けない。
アレが来る。
黒血の一滴一滴を針のようにして突き刺す、あのシュタイン博士すら苦汁をなめさせられた厄介な攻撃が。
教会内に、俺の鮮血が舞った。
黒血のうまい説明が思いつかなかった