友達と話すと喧嘩になる競馬のススメ   作:soiso

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徒然になるままに
競馬おじさんは今日も戦う


シンボリルドルフの萌えポイント

 競馬に詳しい人や評論家はたくさんいる。けど、みんな当たらない。

 そんな誰一人信用出来ない世界で、競馬おじさんは生きている。

 

 

 コンビニに入るといつものクセで入口脇に目を向けてしまう。そこにはプリペイドだかギフトカードだかがいっぱい吊り下げられていて、競馬おじさんの目当てのものはなかった。

 ド派手なディスプレイの影に、ひっそりとある新聞立て。それを寂しく思う競馬おじさんは、時代に取り残されている。

 ブラックコーヒーと野菜ジュースにヨーグルトが、競馬おじさんの朝飯だ。花粉にコレステロールに眠気と疲労。

 競馬おじさんは常に何かと戦っている。

 3円をケチって裸の商品を抱えて車に戻る。目にいいらしいブルーベリーヨーグルトを啜りながら、競馬おじさんはスマホを開いた。

 You Tubeのトップに流れるソシャゲのCM。

 競馬おじさんも無関係ではない。

 いつの間にかオススメに紛れ込むようになった美少女たち。うっかり開いた動画の主人公がツインターボだと知って、競馬おじさんは泣いた。

 競馬おじさんは涙脆いのだ。

 そしてチョロい。

 ゲームはわからないが、コンテンツは大好きだ。あの憎いコンチクショウだった芦毛のチャンネル登録もした。

 競馬おじさんは一生懸命、彼女を理解しようと頑張っている。

 オリジナルをついに理解出来なかったクセに。

 短い休憩にはぴったりの再生時間。競馬おじさんは仕事に戻るために、ラジオを付けた。番組はお気に入りのオッケー!!コジコジ!!

 競馬おじさんは立派なネトウヨの闘士である。

 

 

 番組では最近燃えた、やたらと世界比較したがるデータおじさんが偉そうに喋っていた。

 競馬おじさんも常にデータと睨めっこする。

 世界で一番新聞読んでる。

 猜疑心の塊である競馬おじさんは、誰の言葉も信用しない。

 信じるのは馬だけである。

 中でも、シンボリルドルフは絶対だと信じていた。

 

 

 競馬は頭脳の最高峰たる軍参謀が嗜むべきとされる崇高な遊戯である。様々なデータや情報を勘案して未来を導き出す。

 つまり、戦争はギャンブル。

 大変なことである。

 競馬おじさんの戦争とは、ズバリ、最強馬論争。

 歳を重ねる意味とは。

 データで見るならば、昔の馬であるシンボリルドルフに勝ち目はない。

 ウサイン・ボルトとカール・ルイスを比較して戦争までやる馬鹿はいない。

 

 

 それでも、シンボリルドルフは絶対だ。

 

 

 当たり前だが、馬はルールとか知らない。理解出来ないとかではなく、関係ない。

 馬にとって競馬など遊びの延長でしかない。*1

 端を取ったら勝ち。勝ったと思ったら、勝手に勝負をやめる。ゴルシとか強すぎてパドックで勝負を決めやがる。

 馬にとって勝つだけなら、走る必要すらない。*2

 騎手の役割が増えたとかなんとか言うやつもいるが、嘘つきだ。*3

 人間は馬に頼らなければ走れない。

 そしてだからこそ、逃げ馬とか信用されない。馬だって距離を走るのは辛い。だから、勝負を急ぐ。馬なりに走ってもいい結果は得られない。そんなときは騎手がどれだけ鞭っても走らない。そして、鞭不要論で戦う競馬おじさん。

 

 

 要は騎手の役割が増えたのではなく、負担の大きな馬ばかりになっただけなのだ。*4

 ターボは恐かったから。走るのが好きなスズカは、前に行かれるのが気にいらなかった。ブルボンはそういうプログラム。*5バクシンオーはバクシン。*6

 史実である。

 全部、馬の理由で走る。

 競馬は根性論や精神論に立脚している。

 なのに、競馬おじさんは今日もデータと戯れる。

 ドクター・ドリトルになりたい。

 

 

 賢さというステータスは、まさに圧倒的だ。

 ルールを理解し利用する者と、そうではない者とでは搾取関係しか成立しない。*7

 伝説まで含めれば、賢い馬というのは無数に存在する。

 だが、競馬を理解する馬はシンボリルドルフだけだ。

 その上、あのレジェンドに向かって「今は行くべきではない」と説教した馬だ。勝つためにレースの組み立てまでする。

 信じられないかもしれないが、馬とはそういう存在だ。

 犬や猫も古い友人ではあるが、戦場において戦略や戦術を左右するほどではない。

 武において、一体となることが道である。

 そこまで求められて、応えた動物は馬しかいない。

 それに競馬おじさんは子供とゲームしても勝てない。馬も同じくらい頭がいいらしいので、否定派とは徹底的に戦う。

 うちの子凄いんです。

 

 

 賢いねで終わっては、競馬おじさんはなんのために戦うのか。

 当然だが、勝つことにどんな意味があるだろう?

 馬の序列とは賢さで決まる。追いかけっこで満足するのは、若僧だから。

 金も名誉も、人間の都合だ。馬が勝って何が嬉しいのか。

 考えられる理由などたった一つ。

 

 

 そう、シンボリルドルフは人間が大好きなのだ。

 

 

 馬の内心などわからない。競馬おじさんは人の内心もわからない。

 競馬場で歓声を浴びることか、厩舎で撫でられることか、馬主たちに褒められることなのか。

 騎手にはビジネスライクだったそうな。

 わからないが、人間の都合に合わせて競馬に出て、必ず勝つ。むしろ、勝てなかった競馬は明らかに体調が悪いところを人間が無理やり出した時だ。

 それでも付き合った。勝負した。投げ出さなかった。

 馬は命令になど従わない。

 従っているように見えるなら、それは馬が優しいからだ。

 暴れ馬を宥めて英雄になった人間などいくらでもいる。

 競馬場にいる。

 レジェンドが生涯追い求めるはずである。

 そして、競馬おじさんもシンボリルドルフが大好きだ。

 

 

 おそらく、勘違いである。競馬おじさんは片想いに慣れている。

 拗らせるのも得意なので、今日もどこかの片隅で、何かと戦っている。

 ただ言えるのは、シンボリルドルフだけじゃない。

 勝つつもりのある馬は、レコードを出す必要があるなら出すし、必要がないなら出さない。*8

 データなんか信用出来ないのだ。

 それを知ってて週末には新聞を買うのが、競馬おじさん。

 悲しい存在である。

 

*1
偏見

*2
そんなことはない

*3
技術の向上を無視した偏見

*4
偏見とばかりは言えない

*5
誰も騎手を褒めないから

*6
先行を覚えたときは感動した

*7
偏見

*8
難しい議論




競馬ってなんだろう?
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