友達と話すと喧嘩になる競馬のススメ 作:soiso
競馬はギャンブルだ。
だから、競馬で勝つというのは、馬券を当てることだとされている。
基本的に、三着までに入る馬を当てるだけなら難しくない。*1
新聞を見て、◎、○、▲を買っておけば、そこそこ負けない競馬は出来る。*2
当然、なんにも儲からない。
儲けようと思うなら、負け続けるべきだ。
いつかは勝つ。
問題になるのは資金力だ。
当然、なんにも面白くない。
リスクを負った上で、それを踏み倒す。
ギャンブルの楽しさはそこにある。
無難や常識、臆病などに囚われない。
競馬おじさんは冒険者なのだ!!
ビッビー!!
「制限速度を、オーバーしています」
安全運転は義務。
いい馬というのは、勝つ馬ではない。
勝つ馬もいい馬だが、実際は軸になる馬。馬券に絡む馬である。
そういう馬がいると、競馬は楽しい。
悩みが減って、夢が膨らむからだ。
ナイスネイチャ、ロイスアンドロイス、ステイゴールド。
勝って欲しいと思いつつ、現実的な幅が増える。穴を狙っても安定感が出る。
あと、予想に渋さが出る。*3
外れてもカッコがつく。
競馬おじさんは、何かと戦っている。
そして、反逆する。
競馬はスポーツなのら!!
「衝撃を感知しました。記録を開始します」
最近、機械に叱られる機会が増えた。
どんなスポーツでもそうだが、それを見る客がいて初めて成立する。
選手でなくても、競技を知らなくても、国が違っても、スポーツは見るだけで参加出来る。
そして、勝利や敗北を共有出来る。
実に素晴らしい。
記録だけなら、ギネスが認定するだろう。
趣味というなら、好きな人だけでいい。
しかし、スポーツはニュースとして扱われる。
競馬もそうあるべきだと、競馬おじさんは考える。
競馬にはドラマがあるのだ!!
ブッブー!!
「急発進です」
エコドライブにも限界はある。
どこまでいっても、競馬の主人公は馬だ。ままならないものを商売にするなら、確かにギャンブルが妥当だろう。
何せ、勝つ馬がいい馬ではないのだ。
一着に金メダルと同じ価値はない。
2着でも金銭に替えられる。
ナイスネイチャ、ロイスアンドロイス、ステイゴールド。
詰め切れない、根性が足りない、最後に伸びない、集中しない、勝ちに拘らない。
悪い馬ではないのだ。決してそうではない。
それでも歯がゆい。
お前たちなら勝てるだろう?
実際に勝ったステイゴールドに対して、みんなが喜んだ。
温かい拍手を送った。
いいことだ。
それとは逆の立場の馬もいる。
勝利すれば敗者は生まれる。記録は阻まれるもの。普通のスポーツでも、ないことではない。
だが、2番人気の馬なのだ。どうして勝つことに疑問が生まれたのか。
ミホノブルボンもメジロマックイーンも、圧倒的な実力を十全に発揮した。
ライスシャワーはそれを上回った。
確かに無理だとは思っていたけども。
複勝に逃げずに単勝だって思ったけども。*4
外しようもないレースで事実、外してなかったのに。*5
あの時、口から出たのは落胆の声。
そのときは気づかなかった。
あまりにも鮮やかで、凄烈だった。
あの瞬間、競馬はギャンブルではなく、スポーツだった。
競馬に掛ける覚悟で、馬に負けたのだ。
やがて、ライスシャワーは騎手が止めるのも振り切ってスピードを上げ、そして力尽きた。
主戦騎手は後年、「アイドルだとか悪役だとか、馬たちを擬人化しては、ドラマ仕立てで眺めるのも競馬のひとつの楽しみ方なのかも知れないが、そうした見方では決して感じ取れない、ずっと奥の深い、面白い世界が、そこには広がっているはずである」
と語る。*6
競馬おじさんはそれを見たい。
競馬おじさんは反省が得意です