ゴルシ「...でこれからどうすんだ、トレーナー?」
トレーナー「そうだな...とりあえずみんなが何をしてしてるか気になる。」
ゴルシ「じゃあグラウンドに行こーぜ。
もう朝練の時間だしみんないるんじゃねーか?」
トレーナー「そうだな...行くか。」
グラウンドには早朝にも関わらずウマ娘たちが元気にトレーニングをしている。
ゴルシ「こんなどんよりした朝から元気だなぁ」
...お前も本当は元気にトレーニングしてるはずなんだけどな。
ゴルシ「おっ、居たぜ」
どうやらみんな自主トレをしているみたいだ。
...ウマ娘たちのトレーニングは、いつでも危険が伴う。
人とは比べ物にならない万力の如し力を持ち、風のように地をかける彼女たちだが、怪我や病院に対する耐性は人と何ら変わりはない。一歩間違えれば、大惨事になってしまう可能性がある。その大惨事を防ぐことはトレーナーとして大事な使命の一つだ。
もし、怪我の危険があるトレーニングなら多少強引にでも中断させようと思っていたのだが...
どうやら、今はルn...ルドルフが中心となってトレーニングをしているようだった。
トレーナー「ルドルフが見ていてくれるのなら安心だな...」
ゴルシ「...」ムスッ
なんかゴルシが不服そうな顔をしている。
...ん?
トレーナー「タキオンがいないな。...また研究に没頭して朝練のことを忘れてるんだろ。」
いつもなら弁当を使って誘き寄せるんだが...
ゴルシ「...トレーナー、もしかしてタキオンのところに行く気か?あぶねーんじゃねえか?」
トレーナー「確かに危ないかもしれんが...弁当も届けないとだしな...」
タキオンは俺が弁当をつくってやる前まではいつも食事はミキサーで食材を砕いただけのスムージーのような何かを食べていたと彼女自身から聞いた。それで栄養学的には十分なのかもしれないが、そんなものよりもおいしく料理してから食べたほうが食欲ややる気が出てくるものだ。
トレーナー室に一旦弁当をとりに行ってから、タキオンの部屋までやってきた。扉をノックして、彼女の反応を待つ。
扉が開き、タキオンが出てくる。
タキオン「...なんだ、君か」キッ
明らかに不機嫌だ。
トレーナー「今日、朝練のある日なんだが...来ないのか?」
タキオン「はっ、今は研究が忙して手が離せないんだ。今日はいかないよ」
トレーナー「...じゃあ、これも無しだな。」
弁当をタキオンに見せる。
いつもならこれで折れてくれるのだが...
タキオン「...実は先ほどからある疑問があってね。」
「それはなぜ私は今まで君の弁当を食べてしまっていたのだろうという疑問だ」
「どう考えても時間の無駄だ。1日に必要な栄養など食材をペースト状にしてしまえば直ぐ摂取できる。弁当を食べている時間を、研究の時間にまわすことができる。」
「そしてなにより」
タキオンが急に近寄ってきた。そしてそのまま
パンッ
弁当箱がはたき落とされる。中身が廊下中に散らばる。
「君の作ったものなど、口にしたくない」
ゴルシ「おい、てめぇ!」
ゴルシがタキオンにブチギレている。そしてそのままタキオンに殴りかかろうとしている。
トレーナー「やめろ!ゴルシ!」
必死でゴルシを止める。
タキオン「...それじゃあ失礼させて貰うよ」
タキオンが部屋に戻り、扉が閉まる。
その後、俺とゴルシがいくら呼び掛けてもタキオンは一切反応しなかった。
床に散らばったゴミを片付ける。
...まさか、ここまでとは。
いつもなら弁当を忘れると俺の部屋まで文句の一つや二つ言いにくると言うのに。
...心にくるものがあるな。
ゴルシ「...トレーナー、大丈夫か?」
どうやら顔に出てしまっていたらしく、ゴルシに心配されてしまう。
トレーナー「心配するな、大丈夫さ。」
だが、困ったことが大量に出来てしまったことは事実だ。弁当を使ってもタキオンがここまで言うことを聞いてくないのならば、みんなにトレーニングの指示など通るわけもない。
つまり、
トレーナー「なぁ、ゴルシ。」
ゴルシ「ん、どした?」
トレーナー「...トレーニングに参加してきてくれ。ルドルフが居るから大丈夫だとは思うが、もし危険なトレーニングをしていたら止めてくれ」
ゴルシ「...」
ゴルシが黙ってしまう。
こんな自分の担当のトレーニング一つ見てやれない俺に失望しているのだろうか。
ゴルシ「...わかった。ただし条件付きな」
トレーナー「条件?」
ゴルシ「絶対に無茶はしないことだ。私のいないところで今のあいつらに関わるなよ。」
トレーナー「...わかった。」
ゴルシ「約束だぞ...忘れんなよ」
そう言ってゴルシはグラウンドへと駆けて行った。
...自分の部屋までやってきた。今、俺がトレーナ
ーとしてできる仕事をやるために。
机の上にあるのは大量の書類。最近テイオーやライスたちと外出しまくってたおかげで溜まりまくっている。いい機会と言うには理由が最悪過ぎるが時間は少しでも有効活用しなければ。
~トレーナーお仕事中~
仕事が一息つき、ふと時計を見るともう時刻は昼になっていた。昼食を食べに行こう思ったが、
今食堂に行ったら確実に誰かしらに会ってしまうだろう。しょうがなくコンビニで何か買おうかと思っていたら、
バコンとドアが壊れんばかりのスピードで開いた。
タマモクロス「オグリのトレーナー!!!大変や!!!」
かなり焦った様子のタマモクロスが入ってきた。
彼女は俺の担当ではないものの、一緒にオグリの誕生日パーティー計画を手伝ってもらってから、
けっこうウマがあってなんだかんだ仲良くやれている。
トレーナー「タマか。一体どうしたんだ?」
タマ「オグリが食堂でぶっ倒れて保健室に運ばれちまったんや!」
トレーナー「なんだって!?」
タマ「それでずっとオグリがお前の名前を呼んでんねん!早よついてこい!」
...保健室に行くとベットで力なく横たわるオグリの姿があった。
オグリ「...とれーなー?」
オグリがこちらを向く。その時、彼女の目は
虚ろで焦点が合っていなかった。
春の陽気で桜が咲く頃のこと。
今日は入学して間もないオグリキャップにとってとても大切な選考レースの日...なのだが...
オグリ「...」グゥー
...腹の虫が鳴きやまなかった。
地元から出る時に母から渡された弁当はトレセン学園にくる途中で全部食べきってしまった。
オグリ「...」↓絶不調
どうしたものかと悩んでんでいるとき、
後ろから声がかかる。
男「そこの君、どうしたんだい?新入生だろう?選考レースに行かないと...って顔色が悪いぞ?大丈夫か?」
オグリ「..す..で..ない...」
男「え?」
オグリ「お腹がすいて...力が...出せないんだ...」
男「ええ...」
予想外な答えが返ってきた男は困惑しているようだ。
だが彼女の表情を見て、オグリキャップが真剣に悩んでいることを悟った彼は、
男「...もし良かったら、さっき食堂で買ったパンと握り飯があるんだが、食べるか?」
オグリ「!....いいのか?」
男「困っているウマ娘を助けるのはトレーナーとして当然だからな。」
オグリ「!!!...ありがとう!!!」
その後、オグリはものすごい速度で完食し、
その余りの速さに男は少し引き気味だった。
これがオグリとトレーナーの出会いだった。
私は、トレーナーと一緒に食べるご飯が好きだ。
何故だかわからないが、トレーナーと一緒に食べると胸の辺りが温かくなるんだ。レースで勝った時に似ているけれど、少し違う。タマにも相談したけれど、なぜかからかわれてしまった。こうなったのはおそらく、あの日からだろうか。
某年3/27
今日は私の誕生日だ。
今、私は何をしているのかというと...
...先ほど会ったタマになぜか引きずりまわされている。
タマ「ほら、ついたでオグリ」
ここは...
オグリ「トレーナーの部屋?」
タマ「おーいトレーナー、邪魔するで!」
トレーナー「邪魔するなら帰って~」
タマ「あいよ~ってなんでやねん!」
トレーナー「いらっしゃい、オグリ」
タマ「そっちから振っといて無視かい!」
...トレーナーとタマのやり取りはよく分からない。そして...
トレーナー「じゃじゃーん!」
オグリ「...!これは...」
トレーナーの部屋には巨大なホットプレートが置いてあった。
トレーナー「誕生日パーティー...といってもなんだが、オグリに腹一杯食べさせたくてな。レンタルしてきたんだ。」
タマ「ウチらが腹一杯食わせたるさかい、覚悟しとき!」
オグリ「!!!...ありがとう!トレーナー!!!」ミミピコピコ
その時、トレーナーとタマが振る舞ってくれたお好み焼きは、今まで食べてきた中でも一番美味しかった。
タマ「おい、キャベツもうないぞ!はよ持ってこい!」
トレーナー「え!?もう20玉は切ったぞ!」
タマ「アホ!オグリがそんな量で満足出来るわけないやろ!」
トレーナー「うそだろ...ちょっと買ってくる!二人とも済まないが待っててくれ!」
そう言うとトレーナーがあわただしく外へ駆けて行った。
タマ「あははは!やっぱりおもろしろいなぁ!オグリのところのトレーナー!」
オグリ「
タマ「実はな、あいつ1ヶ月も前からウチにパーティーのこと相談してん、しかも週に一回はくるペースで。それでも食材足りひんとか抜けてるな~と思ってな。」
オグリ「1ヶ月も前から?」ゴックン
タマ「そうやで~。オグリよかったな!お前思いのいいトレーナーやないか!オグリも大切にしたれよ!」
私も...大切に...?
次の日
食堂にて
トレーナー(ふぁぁ....昨日の片付けが長引いて眠不足だ...)
オグリ「おはよう、トレーナー」
トレーナー「おはよう、オグリ」
オグリ「...昨日はありがとう」
トレーナー「喜んでもらえて良かったよ」
オグリ「...トレーナー。頼みがあるんだが...」
トレーナー「ん?どうした?」
オグリ「その...今日、一緒に食べても良いだろうか...?」テレテレ
トレーナー「ん?別にいいぞ?」
オグリ「本当か!」ミミピコピコ+シッポブンブン
めっちゃ喜んでる...そんなに嬉しかったのか?
オグリ「じゃ、じゃあとなr」???「トレーナー!!!おっはy...」
あっ、テイオー。
テイオー「あー!!!ずるいよー!!!ボクも一緒に
食べたい!!!」プンスコ
ルドルフ「こら、テイオー。声が大きいぞ。
やあ、トレーナー君。おはよう。」
トレーナー「二人ともおはよう。じゃあみんなで食べるか~」
その後、何処からかみんなやって来てその日から
時々みんなで食べることになった。
でも今日は違った。
ご飯を食べている。今日はトレーナーがいないので寂しい...
...と思っていたらトレーナーがちょうど来てくれた。
オグリ「おーいトレーナぁっ!?」
その時、虫酸が走った。
ご飯が喉を通らない。トレーナーを見ているだけで吐き気がする。やめてくれ、こっちに来ないでくれ。
「トレーナーがいるとな...ご飯が喉を通らなくなるんだ...だから...何処かへ行ってくれないか...」
その時、トレーナーは諦めたような、悲しそうな顔していた。頼む、はやく、はやく、何処かへいってくれ。
トレーナーが去った。吐き気が収まる。
良かった。
でも、今度は心がもやもやする。締め付けられるような、してはいけないことをやってしまったような、そんな気持ちだった。
タマ「おーいオグリ、さっきお前のトレーナーがめっちゃ落ち込んでたけどなにg...ってオグリ、どないしたんや!?顔真っ青やで!?」
オグリ「タマか...さっきトレーナーと会った時に吐き気がしてな...おい返したんだが...」
タマ「はぁ!?どうしたんやお前!?お前あんなにトレーナーのこと好きだったやろ!?」
え?私がトレーナーのことを好き?そんなこと...
あれ?私は...さっき...?
私はトレーナーに、ナんていっタ?
わたシ..は...
~現在~
オグリの瞳がこちらをじっと見つめている。
でも、その瞳には光を宿してなかった。
オグリ「とれーなー?」
トレーナー「おい?オグリ大丈夫か?」
パシッと腕を掴まれる。でも、その手はふるえていた。
オグリ「と、とれーなーわ、わたしは、とれーなーとい、いっしょがい、いんだ、さ、さっきのは、ああちがうんだごめんなさいごめんなさいとれーなーおねがいだきらわないでくれおねがいだおねがい...」
トレーナー「!?おい、オグリ、どうしたんだ!
しっかりしろ!」
オグリ「とれーなー、いかないでくれおねがいだわたしはずっとずっときづけなかったんだゆるしてくれおねがいだ...」
トレーナー「オグリ、安心しろ!俺はここにいる!
許してやる!落ち着くんだ...!」
オグリ「とれーなーほんとうかありがとううれしい...ごめんなさい...ごめんなさい...」バタン
オグリは糸の切れた人形のように動かなくなった。
窓の外は厚い雲で覆われていた。
どうするんだい⁉︎トレーナー君!
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そうだ、田舎に帰ろう。(駆け落ち√)
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ただの悪い夢さ…(救われ?√)
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黄泉竈食ひ(ggってみよう!)