ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー 作:ぴちかー党
そのときふと、ライスシャワーの顔が思い浮かび
トレセン学園。そこは馬娘とトレーナーが日々切磋琢磨し一流の馬娘を目指すための育成機関。
東京都のとある場所に存在するその学園は、全寮制の中高一貫校にして総生徒数が二千人弱というマンモス校である。
この学園の象徴といえるものが2つある。一つ目が正門をくぐった先にある広場
東京ドーム3つ分の広大な広場。その広場一杯にこれでもかと生い茂る木々や花花。春には桜が、夏には向日葵が、秋には桔梗が、冬には水仙が、束の間の憩いを求めてやって来た馬娘達を優しく迎え入れる。
そんな広場の一角で、ベンチに座るライスシャワーとマンハッタンカフェの姿が見えた。
「・・・か、カフェさんごめんなさい。その、ライスが不幸にしちゃったよね・・・」
「・・・?あの、何の話ですか?」
「えっと・・・ライスが呼び出されたのって、また併走をお約束したら雨が降っちゃったから・・・その事を怒っているからかなって」
ベンチの中央に微妙な隙間を残し腰かける2人の馬娘。
見るからに申し訳なさそうに縮こまっているライス。そしてその様子を不思議そうに眺ているカフェ。
「・・・いえ・・・全く違います」
暫くの沈黙のあと、いつもの様子で彼女は物静かに否定する
「ふぇ・・・」
「・・・その、もし予定が空いていれば、・・・本日一緒にお出かけできたらと・・・実験が忙しいようでタキオンさんに、急に断られてしまって」
それを聞いたライスシャワーの耳がせわしなく動き、先程までのベンチの微妙な空間は消滅していた。想定外の答えに興奮を隠しきれない様子であった
「あのねあのね、ライスずっと行ってみたいケーキ屋さんがあったの。あっ、でも・・・」
そこでふと、あることに気付いた彼女はいかにも残念そうに呟く
「で、でもいまからお出掛けすると、門限に遅れちゃうかも・・・」
カフェがライスを誘った時にはとうに日も半分以上落ちようとしていた。
この学園の2つめの特徴それが、厳正な門限が定められているていることである。
平日は16時45分~21時00分
休日は08時00分~22時00分
また、よほどのことがない限り、外泊は認められていない。そして、門限を1秒でも破ろうものなら、会長のきついお説教が待っている。
「・・・すぐ近くだから・・・たぶん大丈夫」
「う、うーん」
「・・・ライスさんに紹介したい私のお気に入りの場所」
「ふぇ?ラ、ライスに・・・わかった。ライスよくわからないけど・・・カフェちゃんについてく」
カフェの後ろにぴったりとつき、彼女の後を追いかける。
トレセン学園の正門を抜けた先にある大通り、そのひとつ目の角を曲がり、いくつかの小道を抜ける。 小道を抜けるごとに、だんだんと人の気配も外灯も少なくなる。
「あ、あの。本当にここで合ってるのかな、どこかで道を間違えちゃったとか」
「・・・あの・・・つきました」
そういうと、橋の中程で立ち止まるカフェ。体を完全に欄干にあずけじっと川面を眺める。それにつられて、カフェの隣にそっと近寄り彼女の真似をするライス。
「・・・」
「・・・」
お互いに一言も発することなく、川面を眺め続ける。
なにを見るでもなく、ただただ眺め続けるうちに、あっ・・・というまに日が落ちる、どれくらい眺めていたのだろう、夕闇が立ち込めていることに気付き時計を見上げるライス。
あれから既に2時間が経過していた。
「か、カフェちゃん。もうこんな時間、急いで戻らないと門限に遅れちゃうよ」
「・・・もうそんな時間・・・15分ぐらいだと思ったのですが」
そういうと、2人は慌てて家路へと歩を進める。
翌日。なんとか門限に間に合った二人は、昨日と同じように広場のベンチに腰かけていた。
「・・・あの・・・どうだったでしょうか。・・・私のお気に入りの場所」
「うん。とってもよかったよ。ライスいつまでいても飽きなかったもん」
「・・・よかった・・・ああやって眺めているだけで、とても心がみたされます」
「ライスもだよ。よくわからないけど、スゴくスゴく穏やかな気持ちになれたの」
「・・・夕暮れの景色は綺麗です・・・そして朝日が昇る瞬間はもっと」
「じゃあじゃあ、次は朝早くにあの場所にいこうね。約束だよ」
「・・・はい。約束です・・・それが終わったら、散歩を楽しみませんか」
「うん。ライス、次のお休みが待ち遠しいな」
ライスシャワーとマンハッタンカフェ。2人のほのぼのとした外出記録はまだ始まったばかりである。
基本的に1話完結で、ライスシャワー×マンハッタンカフェを制作していく予定です。
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