ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー 作:ぴちかー党
今回は馬娘1お祭りが似合うゴールドシップが三社祭に乱入し、カフェとライスが振り回される?そんな感じのお話
三社祭。現代も尚、東京の代表的な祭礼として人気をあつめる言わずと知れた浅草2大祭りの一角。例年5月中旬の祝日に開催され、早朝から4台の神輿を勇猛な男衆が担ぎ町中を練り歩く。
その、宮出しの光景はまさに「死ぬ前に一度は観ておきたい」ともいえるものであろう。
そんな祭りを見学するため、偶然銭湯で出会った3人組はいまかいまかとその時に備え待機していた。
「うおおおおーー!!
待ちきれねえぜ!ちょっとひと担ぎ行こうぜ!!」
一分もじっとしていられない馬娘が4台ある神輿、そのなかでも一番の大きさを誇る{一之宮}に突撃していき、そして・・・
「おいっ!!なにんすんだよ!はっなっせ!」
待機していた数人の氏子(神輿の担ぎ手)に抱えられ、引き離されていく。
現代では、男も女も神輿を担ぐ。ことに女性は祭りを一種のファッションにまで作り上げてしまった。
それほどまでに、今の神輿は{玩具}のように軽いものが主流なのである。
しかし、三社祭で担がれる神輿は一味違う。
神輿の担ぎ方、手の振り方、足の踏み出し方、掛け声の出し方。担ぎ手のすべての呼吸が合わないと、神輿が崩れてしまう。
神輿が崩れ、倒れれば、必ず怪我人が出る。死者も出る。だから、初めてのものがひょいと飛び入りで参加できるようなものではないのである。
「あ、あの、ゴールドシップサン。あんまり氏子さんに迷惑をかけちゃ・・・」
「・・・カフェ達には担げません・・・怪我をしてしまいます」
「わかってるよ。わかってるけどよー・・・ゴルシ様はどうしても担ぎに行きたいんだよー」
「だ、だめですよ~。お、落ち着いてくださーい」
ほんの少し暴走モードに入ったゴルシを何とか留めるカフェとライス。そして、そうこうしているうちに、四台の神輿が宮出しの準備に取りかかる。
氏子集の気合いの入った掛け声とともに、担手が次々に配置につく。それに呼応し沿道、雷門で待機している見物客も暫しの沈黙。辺りいったいが{しん}と静まり返り、男衆の熱気だけが辺りの沿道に満ち満ちる。そして・・・
「せーの!!」の呼吸を会わせる一声。そして続けざま、「ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!ワッショイ!」の掛け声とともに、四台の神輿が一斉に宮出しされる。
四台の神輿が揉みに揉んで、右に左に、あばれまわり、朝日を浴びて仲見世を抜け雷門をでると四方に別れる。
神輿の屋根の鳳凰の尾が朝の日ざしを受けて、生きもののように煌めく。
「ふぇええ~。す、すごい迫力ですね。」
「・・・わっしょい、ワッショイ」
「ライス、カフェ。ゴルシ様のお願いを聞いてくれないか?」
「な、なんでしょうか?」
「ゴルシちゃんから目を離さないでよねっ!
こんな状況じゃ、1秒後にどうなっちゃうかアタシもわかんないんだからっ!」
「へ?ふぇーー!!」
それは、神輿と見物人の熱気に今にも跳びでしていきそうなゴールドシップのある意味無茶苦茶なお願いであった。
こうして、四台の神輿は、各町内をまわり、再び雷門へ帰ってくる。
このとき、雷門には、各町から出迎えの、御神所の高堀提灯がずらりと並ぶ。
一日中、神輿を揉み抜き、疲れはてた担ぎ手たちがたれ籠める夕闇の中を、声もなく、あくまでもしずしずと雷門をくぐり、仲見世の明るい、華やかな灯火に迎え入れられる。
見物の拍手、勧呼にもこたえず、一種の厳かな雰囲気を乱すことなく、神輿は三社権現へと向かう。
こうして、つぎつぎに四台の神輿が帰ってき、九時になる前には宮入がおわった。
「・・・すごい迫力でした」
「う、うん。それに、早朝からこんなに暗くなるまでずっと担ぎ続てるなんてすごいなー」
「カフェ、ライス。決めたぜ。ゴルシちゃん、あの神輿を購入させるぜ。神輿担ぎをトレーニング機材にすれば、パワーとスタミナup間違いなしだしな!!早速交渉してくる」
「え、えぇ。あ、あの、まってくださーい」
「・・・あっ、そろそろ帰らないと」
ふと、仲見世通りの時計を見上げば門限まで残りわずかに・・・
「購入するまで帰らない」と駄々をこねるゴルシを何とか説得し彼女達は帰路へ向かう。
そうして、門が閉じるぎりぎりのところで難を逃れた彼女達であった。
後日分かったことであるが、この日は彼女達の他にも門限ぎりぎりで帰ってきた馬娘たちが大多数であったらしい。
ここに登場する三社祭は、(江戸切り絵図散歩)にかかれた戦前に著者が経験したお祭りの様子であり、現在とは大きく異なっております
ご了承ください
因みに一番大きな違いは、四之宮が戦災で焼失してしまっているところらしいです