ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー   作:ぴちかー党

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 令嬢アユの世界線にカフェ、ライス、マルゼンスキーが飛ばされた?そんな感じのお話。
 *令嬢についての描写は敢えて弄らず原文ままを載せていますが、馬娘要素を強引にねじ込んでいるため、所々話の辻褄が合わなくなっています。御了承ください
 *原文はわかりよすいよう2~3改行で示しております


令嬢アユ(ライス×カフェ×マルゼンスキー)

 初夏のかげ漂う今年の六月、彼女達は涼を求めて、とある温泉街の河原へ向かっていた。鼠取りも信号もなにもないのどかな田舎の一本道。彼女の愛車は気持ちよく風を切り法定速度+40オーバーという驚異的なスピードで目指していた。

 

 

「やっぱり、クーラーより自然の風が一番ね。ライスちゃん、カフェちゃん、どう?気持ちいいでしょ~」

 

「とっても気持ちいいです。お姐さま」

 

「少し・・・出しすぎな気がしないでも・・・ありませんが」

 

「問題ナッシング♪鼠取りなら心配しなくていいわよ。こういう田舎の河原道に張り込むほど暇じゃないもの」

 

 

 車を走らせること数十分。ようやく目的地というところで、車道が狭くなり、どうにか人が一人入れるくらいの広さであった。適当なところに愛車を停め、夏草を踏み分け彼女達は河原へ向かった。

 

 草の露が冷たくて、いい気持ち。土堤にのぼる。ヤマボウシが咲いている。ツユクサが咲いている。ふと前方を見ると、緑色の寝巻きを着た令嬢が、白い長い両足を膝よりも、もっと上まであらわして、素足で青草を踏んで歩いている。清潔な、ああ、綺麗。十メエトルと離れていない。

 

「う~ん・・・マブい!!」

 

 

 マルゼン姐さんは、無邪気である。周りの雰囲気も気にせずに思わず歓声を挙げて、しかもその透き通るような脚を確実に指してしまった。令嬢は、そんなにも驚かぬ。少し笑いながら裾をおろした。これは、日課の朝の散歩なのかもしれない。

 

 

「あ、あの、お姉さまも涼みにこられたんですか?」

 

 

 その場の凍りついた雰囲気をなんとか変えるため、そんな当たり障りのない質問をライスが申し訳なさそうに呟いた。

 

 

「鮎を釣りに来ましたの。ここはとても釣れるところなのです。あたしは、いつもあの岩の上で釣っているの。」

 

「あ、あの、お姉さまは東京の人ですか?」

 

「あら、どうして?」

 

「い、いえ、その・・・ご、ごめんなさい!」ライスは、咄嗟に口を出た言葉に狼狽し同時に、無神経な質問をしたことに後悔し謝った。

 

「あら、気にしないで。あたしは、この土地のものよ」

うつむいて、くすくす笑いながら岩のほうへ歩いていった。

 

 

 彼女達3人は適当なところに腰をおろし、令嬢の釣りを眺めながらゆったりと、四季の風物を眺めた。

 

 

「・・・あっ」

 

 

 

 カフェの呟きとほぼ同時に、ジャボリという大きな音がした。たしかにジャボリという音であった。みると令嬢は、見事に岩から落ちている。胸まで水に水没している。釣竿を固く握って、「あら、あら。」といいながら岸に這い上ってきた。

まさしく濡れ鼠の姿である。白いドレスが両脚にぴったり吸い付いている。

 

 

 彼女達は心配そうに駆け寄り、そして・・・

 

「お、お姉さま・・・血が」

 

 

 

 令嬢の胸を指さした。令嬢の白い簡単服の胸のあたりに血が、バラの花くらいの大きさでにじんでいる。

 令嬢は、自分の胸を、うつむいてちらと見て、

「桑の実よ。」と平気な顔をしていった。「胸のポケットに、桑の実をいれて置いたのよ。あとで食べようと思っていたら、損をした。」

 岩から滑り落ちる時に、その実が潰されたのであろう。

 

 

 

 ライスはそれに安心したのか、「よかったー」と呟いた。

 

 令嬢は「これじゃあ今日の釣りはお開きにするしかないわね」と言い残し茂みの中に姿を消してそれっきり、河原へ出ては来なかった。

 翌日、翌々日もマルゼンスキーのドライブに付き合いがてら彼女達は河原へ向かったが、令嬢の姿は見えなかった。

 

 

 

 そうして、次の週の土曜日の朝。彼女達がいつものように河原へ向かっていたところあの令嬢に遭遇した。

 

 

 令嬢は黄色い絹のドレスを着て、自転車に乗っていた。

 

 

 「お、おはようございます。お姉さま」

 マルゼンスキーが車を停め、ライスが挨拶をする。

 

 

 

 令嬢は軽く頭をさげただけで、走り去った。なんだかまじめな顔つきをしていた。自転車の後ろには、菖蒲の花束が載せられていた。白や紫の菖蒲の花が、ゆらゆら首を降っていた。

 

 

 

 その日の昼少し前に河原を引き上げ、道路沿いのバス停付近の氷水屋で3人が涼んでいたところに、

 

 

 

「おかえりですか。」と3人の背後から声をかけられ、振り向くと、あの令嬢が笑っている。手に小さい国旗を持っている。黄色いドレスも上品だし、髪につけているコスモスの造花も、いい趣味だ。田舎のじいさんと一緒である。じいさんは、木綿の縞の着物を着て、小柄な実直そうな人である。ふしくれだった黒い大きい右手には、先刻の菖蒲の花束を持っている。

 

 

 

 「・・・どうして、旗を持っているの?」

 

 カフェが令嬢とじいさん二人が持っている旗がどうにも気になるようでそんな質問を投げ掛けている。

 

 

 

「留学するのよ。」

 

「・・・留学?お姉さんが?」

 

「わしの姪ですよ」じいさんが答えた。「きのう飛行機で出発しました。わしは、飲みすぎて、ここへ泊まっていました。」眩しそうな表情であった。

 

 

「留学ですか。お、おめでとうございます」

 

 ライスが自分のことのように、喜びながらいった。

 

 

「可愛がっていた姪子さんだったから、」令嬢は利巧そうな、落ち着いた口調で説明した。「おじさんが、やっぱり、ゆうべは寂しがって、とうとう泊っちゃったの。わるい事じゃないわね。あたしは、おじさんに力をつけてやりたくて、けさは、お花をかってあげたの。それから旗をもって送ってきたの。」

 

 

 

「・・・お姉さんのお家は、宿屋さんなの?」なにも知らない純粋なカフェの質問に令嬢とじいさん、そしてマルゼンスキーが笑った。

 

 

 停留場にバスがついた。じいさんは、バスに乗った。令嬢は、窓のそとで、ひらひらと国旗を降った。

 

「おじさん、しょげちゃ駄目よ。誰でもみんな行くんだわ」

バスは出発した。

 

 

 

 彼女達はしばらく、そのバスの後ろ姿を見送り、そしてそれぞれの帰路へとあとにした。

 帰り際の車のなかライスとカフェが「次の創設祭の時はあの令嬢さんの宿に泊まりにいきたい」といい、マルゼンスキーを大いに困らせたことを余談だが載せておくことにしよう。 




 原作では「留学」ではなく「出征」です。(時代背景は恐らく第二時世界大戦辺りだと思います)
 ここを変えてしまったため、じいさんの行動に全然説得力がなくなっていますね。
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