ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー 作:ぴちかー党
ウマ娘達の成長をヒシアマゾンと共に見届けてきたその古時計は・・・・そんなお話
ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・・・・・・・・
いっぱいの星だ くらい夜道に 少しずつ朝日がさしこむ
「さてと、今日も一日よろしく頼むよ相棒」
その馬娘は今日も仕込みに入る。
月明かり差し込むまだ夜が明けきらぬ厨房に、芸術的とも言える規則正しい包丁の音が、焼き魚の芳ばしい匂ひが、大根と油揚げの味噌汁の優しい薫りが立ち込める・・・
ぼむ ぼうむ ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・・・・
赤い朝やけに あるひはしづかな雨の音に
一人また一人と、慌ただしく食堂を往来する生徒達の群れが、1日の始まりを告げるように、やってくる。
「こら!そこ、割り込みしない。朝食は逃げやしないよ・・・
あっ!!こら、お残しは厳禁」
彼女にとっての第1の修羅場だ。押し寄せる生徒達の波・波・波。その波をどうにかさばき、漸く一息つける頃。古時計が7時を告げる。
ぼむ ぼうむ ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・・・
「ようやく朝メシもさばき終わったね。さてと・・・後片付けをして、あたいもそろそろ登校準備を始めないとまずいね」
厨房に広がるシャボンの匂ひ。手際よく片付けをしている厨房に遅れてやってきた2人の生徒の、少し悲しそうな声が聞こえる
「・・・朝ごはん、終わっちゃいましたね」
「カフェちゃん。ごめんなさい、ごめんなさい。ライスが寝坊しちゃったばっかりに」
「・・・いいえ、私も寝過ごしてしまったのでお互い様です。朝はコーヒーだけで我慢するとしましょう」
洗い物をしていた彼女の目の色が代わり、片付けも途中で厨房を抜け出す。掛けていた真っ白なエプロンで手の水気を取りつつ、二人を呼び止め強引に笹の葉に包んだ、自身の朝食用おにぎりを渡している。少し小言もいっているようだが、その目は微笑んでいるようだった。
ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ ぼむ ぼうむ・・・・・・・
長針と短針が丁度一周する頃、食堂内に最大の修羅場が訪れる
「ヒシアマ姐さ~ん。ご飯がなくなりました~」
「・・・おつゆももう少しでなくなりそうです」
「あ・・・す、すみません。こぼしちゃいましたー」
ご飯缶に詰められた大量の米が、味噌汁が、おかずが・・・
魔法のように「あっ・・・」という間に消えていく。1日の最大の修羅場に、せわしなく厨房と食堂内を何度も行き来するアマゾン姐さん。空っぽになった料理入れを満足そうに片付け、午後の授業へと向かっていく。
ぼむ ぼうむ ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ ぼむ・・・・・
ぱらぱらと大粒の星が 暗い夜空をてらすころ ゆうげの匂ひがたちこめる
食堂内にはあさげの時とは異なる、ゆっくりとした時間が支配する。
ウマ娘達は無事1日を終え、就寝までの自由な時間を謳歌する。食堂で、談話室で、寝室で。
「さてと、明日はどんな料理で喜ばせようかね・・・」
食堂を速めに切り上げ、明日の献立を考えるアマゾン姐さん。本人曰く、「この時間が1日で最もワクワクする至福の瞬間」らしい。
「おっと・・・そういえばあの娘のご飯がまだだったね」
とうに生徒達が寝静まった時刻。彼女は食堂の大きな古時計の存在を思い出す。自室の引き出しから、古ぼけたネジをを取り出し。大きな大きな文字盤に、その鍵を差し込み、ゆっくりゆっくりと、回していく。
「今日も一日お疲れさん。また明日もよろしく頼むよ!!」
全員にご飯を振る舞い、満足そうに自室へと引き上ていく彼女
ぼむ ぼうむ ぼむ ぼむ ぼむ ぼうむ ぼうむ・・・・・
そんな、彼女にお礼でも言うように大きな古時計が24時を告げる
「青い夜道」という本で一番お気に入りのフレーズを入れてなんか作りたいな。という感じで作ってみました。