ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー   作:ぴちかー党

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 マルゼンスキー、ライスシャワー、マンハッタンカフェがトレセン学園でレストランを開くそんなお話(本家注文の多い料理店とは全くの別物です)


開店!マルゼンスキーの注文の多い料理店 カレーが食べたいオグリキャップ(カフェ×ライス×マルゼンスキー)

=============学園寮 食堂============

 

 顔が写る程にピカニピカニ磨かれた床、埃ひとつないテーブル、機械のような正確さでに均一に整えられ紙ナプキン。

 お客様全てをミカンのように優しく、そして暖かく迎え入れる準備をせっせとこなすカフェとライス。彼女達が着ている汚れ一つない真っ白な給仕服がとても眩しく見えるのは気のせいだろうか。

 

 

 普段この場所は、一国一城の主ヒシアマ姐さんがその腕を余すとこなくふるい、訪れるウマ娘達に「幸福」と「口福」を提供する人生の楽園。しかし、ヒシアマ姐さんだって、休日はお出掛けをしたい・・・

 

 けれども、寮に残るウマ娘達の食事も作ってやりたい。そんな姐さんの提案により、休日寮内に残るウマ娘達に食事を振る舞うヒシアマゾンの代役を当番制でまわすことが決定された。

 

 当番に指定されたウマ娘は、台所に貯蔵された食料を特に制約なく自由に使いお昼のメニューを作り、寮に残っているウマ娘達に振る舞わなければならない。そんな、給食当番のようなものに今週はマルゼンスキーが指名され、開店準備にいそしんでいた。

 

 

 

「カフェちゃん、ライスちゃん。すごいじゃない!バッチグー」

 

「ほ、本当ですか、よかったー」

 

「・・・疲れました」

 

 

 100人の重箱の隅をつつくような嫌らしい姑を放ったとしても何ら文句が挙がらず、すごすごと撤退するしかない程に完璧な掃除がなされた食堂内、そしてそれに何ら見劣りしない食器の数々、開店準備も終わり後はウマ娘を待つだけとなった。

 

 

「今日は何人来るでしょうか?ライスちょっとドキドキします」

 

「・・・できれば、あまり来てほしくないですね」

 

「そうねえ~。基本休日だからそんなに寮に残っているウマ娘は少ないと思うけれど、こればかりはねー」

 

 

 休日における食堂は当番に当てられたウマ娘によって、その料理内容にウマ娘達の特色が色濃く出てくる。一例を挙げれば、エルコンドルパサーの激辛専門店やゴールドシップの猫飯屋。はたまた、ハルウララの人参三昧などなど。

 そしてマルゼンスキーの場合は・・・

 

 

「い、いらっしゃいませー」

 

 

 本日第一号のお客ウマ娘が大きな腹の虫をならし、席につく。

 

 

「あらー。オグリちゃんいらっしゃい」

 

「早速だがメニューを見せてほしい。はらぺこなんだ・・・」

 

「・・・メニューはありません」

 

 

 

 予想外のカフェの返答にオグリキャップは少し困ったような表情をしている

 

 

「ふむ、早く過ぎてしまったか?まだ、開店準備中なら時間をおいて出直そう」

 

「そういうわけじゃないの。ここでは、食堂に1番に来てくれたウマ娘の食べたいものを聞いて、その料理をお昼に振る舞うことにしてるのよ」

 

「・・・オグリキャップさんが1番」

 

「なるほど、そういうことか・・・」

 

「な、なにか、食べたい料理は有りませんか?オグリキャップさん」

 

 

 大体の趣旨を理解したオグリが、しばらくの間思案する。暫しの沈黙のあと「それなら」と小さく呟きオグリキャップがとある料理を注文する

 

 

「カレーだな。美味しいカレーが食べたい」

 

「カレーね、いいじゃない腕によりをかけて作るわ。それで、なにカレーがいいかしら?」

 

「何でも大丈夫だ」

 

「あ、あの、オグリキャップさん。そ、その、野菜カレーがいいとか、ポークカレーがいいとかそういうのは・・・」

 

「・・・主食はお米?それともパン?そういえばナンもありますね」

 

「特にこれといったものはないな。美味しければ何でもいいぞ」

 

「なんでもか~。そうきちゃうかー・・・」

 

 

 オグリキャップの答えに少し困惑するマルゼンスキー。彼女は知っているのだ「何でもいい」この言葉ほど料理を作るものにとって、頭を悩ます問題はないということを。大抵この言葉を使う人は大きく2つに分類される。一つは、ある程度自分の中で食べたいものが決まっており、(その中の料理なら)「何でもいいよ」という人。そして、もう一つが本当に特に「これ」といった食べたいものがなく。「なんでもいいよ」という人である。

 

 そして、大抵前者の場合、予想を大きく下回る料理が出てくるとそのあとがとても面倒くさく、後者の場合、例え{カップラーメン}を出されても特にこれといった小言も言わず(稀有な場合はそれでも旨そうに)食べる。しかしながらその比率は圧倒的に前者が多いのが実状である。

 

 

(オグリちゃんは、絶対後者だと思うけれど折角ならおいしいカレーを食べさせたいわね~)

「オッケー♪それじゃあ今から調理にかかるから、ちょっと待っててねー」

 

 

 

========食堂内 厨房=========

 

「人参、玉ねぎ、ジャガイモ。それに、ナスとアスパラ野菜は申し分ないわねー」

 

「・・・魚介、豚肉、鶏肉、牛肉に・・・猪?よくわからないお肉も一杯です」

 

「か、カレーのルウもいっぱい。バー◯ンドにジャ◯、コク◯カレー・・・それに、わぁ~ボ◯カレー♪ライス知ってるんだあのカレーはどう作ってもおいしいの」

 

 

 貯蔵してある材料から、少しはカレーの種類を限定できるはず・・・そんなマルゼン姐さんの思惑は完全に外れてしまう。野菜、肉、カレールウ全てが申し分のないほど満遍なく揃えられ、作ろうと思えばそれこそ、各国のカレーを自由自在に作れてしまうほどの品揃えであった。

 

 

「これはチョベリバね~。選択肢が多すぎて何でも作れちゃうわ~」

 

「う、うーん・・・あっそうだ!マルゼン姐さま。ライス達オグリキャップさんに、サラダの種類と福神漬けの種類を聞いてみます」

 

「サラダと福神漬けか~。いいわね、それで少しは絞れそうかしら」

 

「・・・あとは、卵のゆで加減も聞いたほうがいいと思います」

 

「カフェちゃん、それもいいわね。ん~やっぱりカフェちゃんとライスちゃんをつれてきてよかった~♪よーし。ライスちゃん、カフェちゃん。おいしいカレー作り頑張るぞー?」

 

「お、お~」

 

「・・・おー」

 

 

  埃ひとつない厨房の通路を抜け再び食堂に戻ると、そこではオグリキャップの腹の虫が独演会を行っている。数分ごとに一定の感覚でなり続けている腹の虫、よほどおなかがすいているのだろうか?しかし、表面上はそんな様子を全く見せないポーカーフェイスの彼女に二人が追加の注文をとりにむかった。

 

 

「サラダか、特にこれといってはないが・・・リンゴ。リンゴが食べたいな」

 

「り、リンゴですね。わ、わかりました」

 

「・・・卵は、生、半熟、茹で卵。どれがいいですか」

 

「ゆで卵。これだけは譲れないぞ」

 

「・・・成る程。最後に福神付けとラッキョウならどちらが?」

 

「福神漬けだな・・・それも赤い色のよりも茶色い?といえばいいのだろうか。そちらの方が好きだ」

 

 

 オグリキャップからの注文を取り終え、彼女たちは軽く頭を下げ再び厨房に戻り、追加注文の内容をマルゼンスキーに伝える。

 

 

「なるへそー。それなら、付け合わせはデザートになっちゃうけどフルーツポンチにして・・・主役のカレーはあれでいきましょう♪」

 

 そういうと、早速{カレーライス}の調理に取りかかるマルゼン姐さん。早速調理様子を見てみよう

 

 

「ライスちゃーん。この豚肉をできるだけ大きく・・・そうね、一口大より少し大き目でお願いね」

 

「が、がんばります」

 

「カフェちゃんは、人参とジャガイモ、それに玉ねぎをお願いね。こっちも一口大に、ゴロゴロするくらい大き目にお願いね」

 

「・・・わかりました」

 

 

 カフェとライスの包丁が材料を切るリズミカルな音を奏でれば、奏者が代わりマルゼン姐さんのフライパンが、肉を野菜を炒める美味しそうな音と空腹を刺激する音と薫りのデュエットを奏で、食堂のオグリキャップの腹の虫がスタンディングオベーションで拍手喝采を送る。

 

 しあげに、お湯がにたった給食のおばちゃんが使うような厚手の鍋に、カレールウと炒めた材料を入れて暫く煮込めば出来上がり。出来合いのフルーツポンチはご愛敬。

 

 

 銀色のカレー皿に炊きたての白米をみっちりと詰め込み、出来上がりのカレーライスを溢れそうな程に盛る。最後に茶色の福神漬けと輪切りに薄く切ったゆで卵を添えれば完成。

 

 

「お、お待たせしましたー」

 

 

 出来上がったばかりのカレーにお水そしてデザート。それらを銀の丸お盆にのせオグリキャップのもとに走りよる小さく可憐なウェイトレス。溢さないように慎重に、しかし小走りで駆けていき、料理をセッティングしていく。

 

 

「美味しそうだ・・・もう食べて大丈夫だろうか?」

 

「ど、どうぞ。召し上がってください」

 

「・・・熱いから気を付けてたべてください・・・ね?」

 

 

 二人のウェイトレスの忠告もどこ吹く風で、スプーン一杯にご飯とルーを混ぜ合わせ、大きく口を開け一口

 

 

「ハフッハフッ・・・熱い。けれど具材がゴロゴロでおいしいな。それにルーがとてもしゃばしゃばしている。これは、スープカレーというものだろうか?」

 

「ちょっと違うわね。それはスープカレーじゃなくてライスカレーよ♪」

 

「ライスカレー?カレーライスとはまた違うのだろうか?」

 

 

 待ってましたとばかりに得意気な顔のマルゼンスキーがライスカレーの説明を始める

 

 

 ライスカレー。それは戦前の東京下町の家庭で作られた唯一の洋食料理。

 本来のライスカレーは、大きな鍋へ湯を沸かし、そこへ豚肉の細切れや人参、ジャガイモ、玉ねぎをぶちこみ、煮上がったところへ、カレー粉とメリケン粉を入れてかき回し、これをご飯の上へたっぷりかけるというカレーというには少しお粗末なもの。

 

 

 それをマルゼンスキー流に改良を加えたものが今回の特性ライスカレーである。市販のカレー粉を使っている分、しゃばしゃば具合は少し物足りない気もするが、味は断然こちらに軍配があがるであろう。

 

 

「おかわり。頂いてもいいだろうか?」

 

 

 既に、一杯目を食べ終え二杯目のカレーを要求するオグリ。さらに、昔懐かしいライスカレーの匂いに釣られてか、続々と寮内に残っていたウマ娘達が食堂へと列を作る。

 

 

「今日はカレーか♪やっぱり今日は外出しないで残ってて正解だったろ、マックイーン?」

 

「わざわざラボを抜け出して来たのだし、早く食べさせてくれると嬉しいねカフェ。・・・順番は守れ?はいはいわかったよ」

 

「うわぁ~♪人参さんも玉ねぎさんもゴロゴロしてて美味しそう。ウララも早く食べたいなー」

 

「目標捕捉・・・ミッション楽しいお食事会開始します」

 

「いっくぞー。ターボ全開!!」

 

 

 

 続々と列を作るウマ娘たちにてんてこ舞いになりながらも、彼女達の1日料理店は大盛況のうちに幕を閉じた。




 本家注文の多い料理店とは真逆の作品を作ってみました。

 ライスカレー。機会があればカレー粉とメリケン粉で作った昔ながらの物を是非とも作ってみたいですね
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