ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー 作:ぴちかー党
そんなお話
あなたはトレセン学園に住む馬娘。正確に言えば、あなたは八才。今はもう夜更け、というのは、既に校内マイクで消灯がかかっており、あなたの同室のウマ娘も既に気持ち良さそうに寝息をたてている。
あなたの普段の睡眠時刻は2200時または2230時だから。特段同室の彼女と他愛ないお喋りでもするか、ただボーッと彼女と共に窓から月を眺めている時以外は、この時刻になると、あなたはさっさとベッドへ潜り込み、いい気持ちで寝てしまう。
あたたかい夏の夜。あなたは、23時を過ぎても24時を過ぎても眠れない。けして睡眠に適さない温度という訳でないことは気持ち良さそうに眠っている彼女を見れば一目瞭然だし、彼女の誘いをいつも通り断り夜のコーヒーをのんだ訳でもない。
これといった心当たりがないが、あなたはなぜか眠れない。
あなたの今の心情を表すのなら、大学受験を明日に備えた受験生はたまた卒論発表会を明日に備えた大学生といったところだろう。
あなたは無理に眠ろうとして、さっとベットへ潜り込み固く眼をつぶる。眼を閉じて、眠ろう眠ろうと思うほど、冷蔵庫の「ブーン」というおとが、掛け時計の秒針の音が、そして極めつけはあなた自身の心臓の音さえも全てが雑音となってあなたの眠りを妨げる。
あなたは堪らずベットから這い出し、ぼんやりと外の景色を眺めている。
「・・・まだ起きているとは珍しいです。眠れないのですか?」
いつの間に起きてきたのだろう。
気配なくあなたの側に音もなくそっと、近付き月を眺めている。
「・・・なるほど。訳もなく眠れないですか」
あなたの悩みを聞き彼女は、そっと台所に向かっていく。コンロの火を点火する音、ヤカンでお湯を沸かす音、そしてコーヒー豆を挽く「がりがり」という耳ざわりのよい様々な音色。それらの音色が止んだとき。コーヒーカップを2つ持った彼女があなたの側に再び座り、そして片方をあなたの手に押し付ける。
「・・・夜ですので、カフェインは控え目にしてみました。そんなに渋味はないと思いますので宜しければ」
あなたは手渡されたコーヒーを受け取り、口に運ぶ。そして、一気に飲み干してしまう
その様子を彼女はちらと横目で確認する
「・・・お代わりはいかがでしょうか?まだまだたくさん作ってありますので」
「お願いするよ」あなたがそう言うと彼女は少し嬉しそうに足早にお代わりを入れて戻ってくる。
「・・・どうぞ。」
あなたは、お礼をいい2杯目のコーヒーに口をつける。どれだけの時間が流れただろうか、彼女と共にボーッと月をながめていると、ふいに彼女はあなたにかたりかける
「・・・眠れないのなら無理に眠る必要はないとおもいます。明日はお休みですので、私もあなたが眠れるまで、夜更かしに付き合ってあげます」
あなたとカフェ。二人でただボーッと月を眺めている。ただそれだけなのに何故か心に安らぎが訪れる。(こんな夜なら眠れないのもたまにはありかもしれない)あなたは、ふとそんなことを思い浮かべ彼女との夜更かしを楽しんでいる
一人称でもなく三人称でもなく二人称。
短編小説向きで、読者があたかもその世界に、キャラに間近に触れあえる手法らしいですがどうでしょうか?