ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー 作:ぴちかー党
天皇賞(春)
出走直前のファンファーレが華々しく響くなか、その事件は幕を開けた
「さぁっ。今日も気合い、入れて・・・行きますわ!!」
自身のゲートで気持ちを落ち着けていたライスシャワーの前にそのウマ娘が乱入してきた
「ふぇ~・・・」
気合い十分で自身のゲートに、転がり込むように入ってきたウマ娘を見て、ライスシャワーは眼を見開いた。
「あ、あの~」それから、言いずらそうに言葉をつなげた。「マックイーンさんのゲートは多分・・・隣だよ?また、ゲートを間違えてると思うな」
「ひゃああ~!!」マックイーンは狼狽した様子で部屋を見まわし、ライスシャワーの顔を見て、背をそらせた。「やってしまいましたわ。ま、また、まちがえてしまいました」
何故かお互いにぺこぺこ頭を下げてあやまりながら、急ぎ足でライスのゲートをあとにした。
「あの、マックイーンお姉さま。一人で大丈夫?ライスもついて行ったほうがいい・・・かな?」
「だ、大丈夫。心配ありません・・・ありませんわ!!」
彼女はバタバタと走って行き、そして、自分のゲートの前を通りすぎた。
次に、マンハッタン・カフェのゲートに彼女は現れた
「・・・?いらっしゃい。」
突如乱入してきたウマ娘を見て、カフェは不思議そうな顔した。
「カフェに何か用事でしょうか?マックイーンさん」
「あっ・・・また、通り越してしまいましたわ!!」
「・・・また、間違てしまいましたか。」
「本当に、本っとうに申し訳ありません」
彼女は恐縮し、ぺこぺこ頭をさげた。
こ、今度こそ。今度こそ絶対通り過ぎないように、間違わないようにしませんと。出走開始までもう時間がありませんのに。
彼女はそう決心し、自身のゲートへと引き返した。
だが、次に入場したのはゴールドシップのゲートだった。ゴールドシップはいつも通りゲート入場に手間取り、係員複数名による強制入場イベント発生直後でひどくイライラしていた。
「まだ、開かねえのかよ~。もういっそ蹴破っちまうか!!」
背後から入ってきたウマ娘に気付いたゴールドシップは、彼女の顔を見て眉をひそめた。
「お前のゲートは隣だろ?」
「あら?まぁ・・・また間違えてしまったようですわ」
彼女は酷く驚いた様子で、そう呟き、少し慌てながら自身のゲートへ引き返していく。いったい今日はどうしたというのだろうか?
度重なる失敗の原因を考えこみ、上の空で駆けていく。そのため、また自身のゲート前を通りすぎてしまった。
そして彼女は、アグネス・デジタルのゲートに入っていった。
「ひょおぉ~。ようこそ!メジロ家のお姉様がデジタルちゃんのゲートに・・・感激です」
出走開始直前のサプライズ訪問と勘違いしているデジタルはお姉様との解析に尊死しておられた。
「どうぞ、こんな堅苦しい場所ですが心ゆくまでごゆっくり。今、粗茶を用いたしますね~」
彼女はまた間違えてしまった?というような表情で、かぶりをふった。
「あらあら。まぁまぁ・・・あの一応確認したいのですが、ここはデジタルさんの出走ゲートですわよね?」
デジタルの怪訝そうな返答を確認し、困ったようにはにかみ微笑む。
「どうしましょう。また、間違えてしまったようですわ。申し訳ございません」
彼女はぺこぺこと何度も頭を下げながら、引き返していった。
そして、やっとのことで自分のスターティングゲートに入場をはたすことができた。
「ずいぶん遅いゲートインだな。何かあったのか?」
「エアグルーヴさん。そ、その入るゲートを間違えてしまいまして・・・」
「何?貴様もなのか。まったく今日は立て続けにメジロ家に珍事が起こる日だな。」
「立て続け?私”も”」
マックイーンの疑問に答えるように、エアグルーヴがとあるゲートを指示す。
マックイーンとほぼ同時に、申し訳なさそうにゲートインを果たしたメジロアルダンのゲートを
・・・この話、どこかおかしいところがあるとお思いで?どこもおかしいところはありませんのよ。ゲート間違いをしていたウマ娘は2人いたのですもの。
ずっと私だけが出走ゲートを間違えていたと思っていたでしょう?
「バカメと言ってさしあげますわ!」
原作は短編集「くたばれPTA」の中の「酔いどれの帰宅」を参考にしています