ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー   作:ぴちかー党

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 風邪を引いたライスシャワーをマルゼン姐さんが看病する
そんなお話


風邪引きライスとマルゼン姐さん、カフェを添えて

「は、はくしゅん」

 

「やっぱり風邪みたいね。今日は1日暖かくして寝てましょうねー。マルゼンさんも付きっきりで看てあげるから」

 

「ご、ごめんなさい。ライスの・・・ライスのせいでお姐様の貴重な休日を潰しちゃって」

 

遡ること数日前。

 豪雨強行となった中山記念。大方の下馬評をはね除け有終の美を飾ったライスシャワーだったが、雨天走行での無理が祟りついに体調をくずしてしまう。そんなライスのため、マックイーンとのドライブ予定を取り止め看病するマルゼンスキーであった。

 

「そうなのよ、マックイーンちゃんが中々承知してくれなくて大変だったんだから」

 

「う、うぅ。ごめんなさい、ごめんなさい。ライスのせいで・・・ライスが風邪なんて引いちゃったせいで・・・」

 

 風邪を引いたばかりに、看病のため貴重な休日を潰してしまった。その罪悪感に苛まれ今にも泣き出しそうになる彼女。そんな彼女に・・・

 

「なんてね♪うっそぴょ~ん。それにね・・・」

 

 いつもと変わらぬ調子で答えるマルゼン姐さんは震えているライスに寄り添う。

 

「それに、最近ライスちゃんに付きっきりでいられる時間がなかったから。丁度よかったっておもってるのよ」

 

冗談とも本気とも取れる口調で続ける。

 

「うーん。やっぱりちょっと熱が高いかしら」

 

「お、お姐様の手。ひんやりしていてとっても気持ちいい」

 

 額に手のひらをあててライスの体温を確認するマルゼン。

そして、氷枕と氷嚢を用意するため台所に向かう。

 

「ライスちゃん。しんどいと思うけど少し頭をあげててね」

 

「は、はい。」

 

「もういいわよー。それとこれを額にのせてと、冷たすぎないかしら」

 

「だ、大丈夫です。ライスなんかのために・・・本当に、本当にありがとうございます。お姐さま」

 

「大袈裟よライスちゃん。それより何か食べたいものはない?風邪のときは少しでも食べて、いっぱい寝て汗をかくの。それが特効薬なのよ」

 

「ご、ごめんなさい。ライス、食欲はあんまり・・・」

 

「まぁそうよね。ちょっと待っててね」

 

 

そういうと、再び台所へ向かうマルゼン姐さん。そして、冷蔵庫の中を物色する。

(う~ん・・・こういうときはポカリが一番だけど、やっぱり都合よくないわよね。お肉にピーマンに生ラーメン。どれも病人に食べさせるものじゃないし・・・あら?これは)

 

野菜庫の奥から何かを発見したマルゼン姐さん。

 

「たしか、砂糖ならまだ・・・うん♪これならあれが作れるわね」

 

そういうと、エプロンをつけ{あれ}の調理に取りかかるマルゼン姐さん。

 手には{オレンジ}のような果物。そして{ジューサーハンド}と{茶碗}さらに水をいれたヤカンを火にかける。沸き上がりを待っている彼女にふと

 

 

ーーーーコンコン

 

という、ノックのおとが聞こえた。

「あいてるわよー」という姐さんの声に扉が開く。

 

「・・・失礼します」という声と共に、カフェの姿が見えた

 

 

「あらあら、いらっしゃいカフェちゃん。ちょっと待っててね」

カフェを迎えいれるため、ヤカンの火を止める。どうやら、丁度いい頃合いだったようでヤカンからはピュッ!ピッ!という沸騰するかしないかのおとが聞こえていた。

 

 

「・・・あの・・・ライスさんの具合は?」

 

「もんだいなっしーんぐ!よ。今日1日寝て、いっぱい栄養をつければ明日にはなおってると思うわ。」

 

「・・・よかった。」

 

「それより、カフェちゃん。丁度ライスちゃんように作ったお料理があるんだけど食べていかないかしら?」

 

「・・・私が頂いてもいいんでしょうか?」

 

「ええ。遠慮しないで♪ライスちゃん丁度眠っちゃったし、ライスちゃんだけじゃ余っちゃうから」

 

そういうと、先程の{オレンジのようなもの}を持ってきて包丁をいれる。

{ミカン}とも{オレンジ}とも違う、芳醇な薫りが部屋いっぱいにただよう。切ったばかりのそれをジューサーにかけ、絞り汁を茶碗にいれる。

 そこにたっぷりと砂糖を加え、熱湯をさらして

 

「はぁい。召し上がれ」

 

カフェにくれる。

 

「・・・では・・・いただきます」

 

オレンジでも、ミカンでもない、もっと濃厚で、酸味が強く、そして素晴らしい薫りがカフェを包み込む

その味はカフェが食した果物どれにも該当しない、不思議でそして濃厚な味であった。

 

「・・・おいしい、です。そして、不思議な味です」

 

「そうでしょう♪それ、橙っていう果物なのよ」

 

「・・・ダイダイ?」

 

「そう、橙。ちょっと癖のある酸味なんだけど、なかなかいけるでしょ?昔は八百屋さんに並んでたんだけど最近めっきりみなくなってたのよ。それを偶然見つけて衝動買いしちゃったんだけど役に立ってよかったわー♪」

 

「・・・あの・・・おかわりよろしいですか?」

 

「オッケー♪寧ろ大歓迎。どんどんいっちゃって頂戴。まだまだ簡単に作れちゃうから」

 

 さくっ、ぎゅっー。橙を半分にカットするたび、お椀に絞り出すたびに芳醇な薫りが充満する。

熱湯と砂糖、絞り汁。ただこれだけしかない質素なものが

 

「・・・おいしい、体も・・・ポカポカ」

 

「そうでしょう♪さて・・・」

 

マルゼン姐さんはそういうと、静かに寝息をたてているライスにそっと近づく

 

「ライスちゃん。カフェちゃんがお見舞いに来てくれたわよ」

 

「・・・あの・・・気持ち良さそうに寝ているので、私はこれで」

 

「あら、せっかく来たのに。ライスちゃんにも今から飲ませようと思ってたし問題なしよ?」

 

「・・・様子がみれただけで満足ですので・・・もう少し寝かせてあげて。お邪魔しました」

 

「もう少しゆっくりしていっていいのよー」

 

 ライスの眠りを妨げぬよう、そっと部屋をあとにするマンハッタンカフェ。

一刻も早い彼女の完治を望みつつ自室へと引きあげる彼女であった。

 

 

 

ーーー翌日ーーー

マルゼン姐さんの献身的な看病のお陰か完全復活を果たしたライスシャワーであった。

しかし、

 

「・・・っくしゅ・・・頭痛が痛い」

 

「おやおや、今度はカフェが風邪とは珍しい。完全にうつされたかな」

 

「うう・・カフェちゃん。ごめんなさい、ライスのせいでライスのせいで」

 

「・・・タキオン」

 

「おっと、そうにらむなよ君。冗談さ」

 

 睨み付けられたタキオンは、おどけた調子で首をすくめる。

そして、何ら反省していないようすでカフェに話しかけた

 

「それより、お腹はすいているかい?もし空いているなら、僕が何か作ってみようか」

 

「・・・何でもいいの?」

 

「できる範囲なら、ね」

 

「・・・じゃあ」

 

「じゃあ?」

 

「・・・橙」

 

「うん?」

 

「・・・橙の優しい味のジュース」 




今回は以前読んだ{江戸の味を食べたくなって}という著書からヒントを得て作成してみました。

橙・・・今のところスーパーでは見かけてことがありませんがいつかは是非賞味してみたいです。
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