ライスシャワー×マンハッタンカフェ ウマ娘アンソロジー   作:ぴちかー党

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 ライスシャワーがマンハッタンカフェのために{エリーゼのために}を演奏するそれだけのお話


カフェに贈るエリーゼのために(カフェ×ライス)

トレセン学園 音楽室

 

 満月の光に照らせたライスシャワーが、マンハッタンカフェに向かい少しはにかみながら軽くお辞儀をする。それに応えるように、そっと拍手をするカフェ。

 そして、彼女がピアノに向かい演奏を開始する。

 

 

 ところで・・・

 トレセン学園の規則では2200に消灯となる。そして基本消灯後の延灯は認められておらず、各居住部屋は勿論、共有スペース・教室に至るまで全ての灯りが強制的におとされる。無論消灯後の活動などもってのほか。順鑼中の生徒会に見つかればきついお叱りが待っている。

 

 そして、彼女が演奏を始めた時刻は2300・・・なぜ彼女はこのような時間に校則を破ってまで強行したのか?

 

 

=====きっかけは、マルゼン姐さんの一言から始まった===

遡ること数日前

 

「ライスちゃんって、とってもピアノがうまいのよ~」

 

「お、お、お姐さま・・・いきなり何を」

 

「へぇー。まぁ、たしかに言われてみるとそんなイメージはあるね」

 

 マルゼンスキーの突然すぎるカミングアウトに焦るライス。何時もの4人組のいつものおしゃべり、そんな中で突如話題に上がったライスの特技。話のネタにはこれほど持ってこいなネタはない。すぐにタキオンが食いついてきた

 

「得意なジャンルは?いつから始めてるのさぁ?それに腕前は?」

 

「え、え、えぇーと」

 

矢継ぎ早に飛んでくる質問攻めにタジタジのライス。

そして、その答えをなぜかマルゼン姐さんが代行する

 

「得意なのはクラシック、そして腕前はプロ級よ!いつも聞かせてもらってるマルゼンさんが太鼓判を押すわ」

 

「ふ、ふぇー」

 

「おや、そいつは丁度いい。なぁカフェ?」

 

「ちょ、ちょうどいい?ですか?・・・」

 

「あぁ、そうさ。カフェもクラシック鑑賞が大好きでね毎日毎日飽きずに聞いているよ。僕が呆れるほどに何度も同じ曲をね」

 

「・・・タキオン」

 

 ライス同様以外な趣味をカミングアウトされたカフェが、静かに彼女をたしなめる。しかし、そんなことを微塵もきにするようすもなくタキオンは続ける。

 

 

「それでだ・・・ここからが本題なんだが。ライス君?」

 

「な、何でしょうか?タキオンさん」

 

「カフェは明日、ひっじょーに大切な有馬記念を控えている。このレースの結果は今後の彼女の運命を左右するといっても過言ではないだろう。」

 

「そ、そうですね。カフェちゃん頑張ってライスも応援するよ」

 

「ありがたいじゃないかカフェ。そして応援ついでに一つお願いがあるんだ。」

 

「お、おねがいですか?」

 

「そう、お願いさ。どうだろう?明日カフェが有馬記念で1着を取ったらライス君がカフェにピアノ演奏を披露すると言うのは!!」

 

「へ?えぇ~~」

 

 

 間の抜けたというのか、面食らったようなとでも言うのか、いかんとも表現しがたい声が響き渡る。タキオンの言葉を聞き青天の霹靂といった表情のライス。そして反対に気のせいか、いつもより表情が明るいようなカフェ。

 

 初めは、マルゼンスキー以外の馬娘に演奏聞かせることを恥ずかしがり、首を縦にふらなかったライス。しかしカフェにしては珍しい、いや、今まで一度たりとも聞いたことがない、ある種異様なほどに熱がこもったお願いにライスも首を縦にふらざるえなかった。

 

 

 翌日迎えた有馬記念、見事彼女は有終の美を飾る。そして満月の夜にとある曲をリクエストした。

==========================

月明かりに照らされた音楽室

 

1、2度深呼吸を繰り返し、静かに目をつぶり

約10秒ほどの間をおく。そして・・・

 

 

 ライスの薔薇色に上気した頬が、厳しい緊張に引き締待ったとき、いまにも折れてしまいそうなほど華奢な・・・いや繊細な指先から{エリーゼのために}が奏でられる。

 

 月明かりに照らされながら、彼女の指は非常にゆったりとしたペースで、冒頭何度となくループされる悲哀とても言うべきリズムを奏でる。しかし、そのリズムのなかにどこかゆりかごの中で揺られているかのようなとでも言うのだろうか?なんとも言えぬ独特な演奏が彼女のために、まさしく曲名に名前負けしないほどの見事な演奏を披露する。

 

 

 伴奏中盤、先ほどのゆったりとしたペースからうって変わり、一気に様変わる。

 ライスの顔にはうっすらと汗が滲み出ている一曲に消費されるエネルギーが相当なことがうかがわれるようだ。しかし、そんななかでも彼女の眼は少しも疲れを見せず、緊張と幸福に輝き、両腕は休むことを知らない。

 

 

 5分という時間を時に穏やかに、時に激しい動作で鍵盤を叩き、ペダルを踏み、そのリズムを一つの流れにしてカフェの昴奮を盛り上げていく。

 

 カフェは何度となく、ラジオやレコードで耳にはさんでいた、お気に入りのクラシック。そのピアノの生の音というものがこうして、真夜中のしん・・・とした教室の中にカフェのためだけに全精力をふりしぼり、そのピアノの音の中へ、すべてを没入させてしまっている。

 そんな彼女の奏でる生々しい音楽の迫力に誘い込まれ時を忘れるほどに、彼女の姿に見入り、そして聞き入った。

 

 どれだけの時が経ったであろう・・・ライスが演奏を終了し、たった一人の観客に演奏前と同じように「ペコリ」と小さくお辞儀をする。

 

 

 彼女の演奏に応えるためカフェが静かに、しかし力強く拍手をする・・・いや、しようとした瞬間

 

 

「こらー!!」

 

生徒会役員の一人である学級委員長。

 順鑼中たまたま近くを通りかかった彼女がバクシン的な勢いでドアを開けこれまたバクシン的な勢いで暗闇の音楽室をピアノ目掛けてバクシンしてくる。

 

 

とっさに、ピアノの下に隠れたライスとカフェ。

しかし、暗闇のなかと言えど近付かれ過ぎては流石に見つかってしまう。

 

1歩、2歩、3歩・・・・彼女と彼女達の距離はバクシン的に近づいていく。

 

 見付かってしまってはいっかんの終わり。校則破りには会長によるきついお説教と、2週間の外出禁止が待っている。

 

 

(・・・う、うう。もうだめ)

ライスがそう思った、その時カフェがとっさの機転を働かせる

 

「・・・あと・・・3回」

(ふぇ!カフェちゃん?)

 

 精一杯の声色で驚かすようにカフェがそう呟く

 

「ちょわっ!!今のは・・・もしや」

 

生徒会長の声が先ほどのバクシンテキ元気調子から一変怯えた声色へと変化する

 

「・・・あと・・・3回!!」

 

先ほどと同様カフェがその言葉を、さっきよりも2倍恐く(本人比)呟く

 

「こ、これは・・・トレセン学園7不思議の一つオバケピアノ!!大変ですあと3回あの演奏を聞いてしまったら・・・」

 

取り乱す委員長に聞こえぬようそっと呟く

 

「・・・カフェさん・・・先ほどの曲をもう一度」

 

「ふぇ?」

 

「・・・早く・・・もう一度」

 

「う、うん」

 

 促され、静かに座り演奏を始める。幸福にも月明かりはすっかり雲に隠され無くなっていた。

 

「ちょわ!2、2回目の演奏が・・・ひぇええ~~~~」

 

あわてて、音が聞こえぬところまでバクシンてきに彼女は走り去っていった

 

「・・・大成功」

 

「な、なんで、バクンシオーさん逃げていっちゃったんだろう・・・」

 

「・・・細かいことは・・・気にしない」

 

 

こうして、彼女達の一夜限りの演奏会は無事終了した。

 そして、しばらくバクシンオーは{エリーゼのために}が聞こえると耳をふさぎ一目散で逃げ去るようになったそうななっていないそうな・・・ 

 




 d◯二で学校の怪談が復刻放送していたのでふと思いつきました。

たしか、これは4話目だったはずですが、当時のトラウマ1、2を争う話です。
気になるかたは、是非一度ご視聴を・・・

*因みに{エリーゼのために}ですが、ネットで調べたところベートーヴェンの人間関係でエリーゼという女性はいなく、実は{テレーゼのために}が本当の楽曲ではないかとの情報がありましたがはてさて、嘘か真か?
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