今回はマックイーンとタイタンちゃんの邂逅の話。
長いので分けます。
第一話~名駿との出会い1~
お姉さまと初めてお会いしたのは五歳位の時でしたでしょうか。始めは同い年かと思いましたわ。私の背と同じ位だったのですから。
だから、新しい遊び相手として連れ回しては、困らせていましたわ。その代わりと言っては何ですが、悪い遊びを教えられましたの。二人でイタズラをして、お姉さまだけが怒られる。苦い、けれど大切な思い出です。それがなければ私はきっとつまらないウマ娘として育っていたでしょう。それ程までにお姉さまは、私にとって私のお姉さまでした。
メジロタイタンは両親に連れられ、メジロ家の本邸にいた。何でも当主の孫娘、それも本家筋の者の話し相手をしろとのお達しだった。
両親は共にメジロ家の使用人として働いている。父は庭師、母は屋敷メイドとして。だから、私もマナーは生まれた時から教え込まれていた。将来、母の後を継げるようにと。別に誰かにそう頼まれた訳ではない。ただ、メジロ家の使用人という仕事は世間一般からすれば安定した仕事だ。ただ、両親は私の幸せを願って私をその様に育てていただけなのだ。
私には他の子達のように、遊園地へ連れていって貰った記憶は殆ど無い。クリスマスだって家族三人で祝った事だって数える程。一人でご馳走を食べ、一人でプレゼントを開ける。私にとっての普通が他の子にとっての普通ではない事には気付いている。でも、私の両親はメジロ家の使用人として生きる事を選んだ。それ以外の生き方を知らないのだ。
だから…、私はまだ顔も見たことの無いメジロ家の次期当主様が嫌いだった。私から家族を奪う人達を好きになることなど出来はしない。否、現当主様だって私の敵。でも、彼女達がいるから私は生きていられる。
タイタンは"お嬢様"の部屋の前で深呼吸をする。これからの自分の振る舞いが、父と母の築いてきた信頼を左右する。緊張しない訳がない。まだ、使用人として働くには幼すぎる彼女にだってそれ位は理解出来ていた。
母に習った様に、大きすぎず小さすぎず、しかし確かにノックをする。
「誰かしら?」
扉の向こうから声がした。
「本日からお嬢様のお話し相手を勤めさせて頂きます、メジロタイタンでございます。」
悪感情を覚られぬよう、しかしわざとらしくならぬ様、努めて平坦な声で答える。
「まぁ、貴女が…。入って頂戴。」
「失礼いたします。」
部屋にいたのは芦毛の少女だった。自分とは違う世界を生き、自分とは違う世界を見る、正しく人の上に立つ人物。一目で理解した。出来てしまった。嗚呼、成る程、これがメジロマックイーン、メジロ家至宝のウマ娘。同じウマ娘でも"格"が違う。
「あの…、タイタンさん?」
「失礼いたしました。お嬢様…。改めて自己紹介を、
私はメジロタイタン。本日より、貴女様のお話相手を勤めさせて頂きます。」
「何故そんなに他人行儀なの?貴女も"メジロ"なのでしょう?」
良くもまぁできた娘だと考える。五歳でこんなしゃべり方が出来るのは育ちの良さが伺える。などと、自分を棚に上げ考える。
「確かにメジロでは有りますが、私は分家も分家。父方の曾祖母がメジロの家の者であった為にメジロを名乗っているだけにございます。また、私はあくまでお嬢様のお話相手役。主と使用人の関係でありますれば。」
「そんな難しいお話は分からなくてよ。それより遊びましょう。私、おままごとがしてみたいですわ。ライアンもドーベルもやったことが無いと言っていましたから、私が一番乗りですわ。」
結局、その日はマックイーンお嬢様に付き合い"おままごと"をして終わった。
こうして私の使用人としての一日は終わった。両親はまだ仕事があるとの事で一人で家路に着く。きっと今日も一人でご飯を食べて、一人で寝る。そして明日が来る。
物心着いたときからの習慣だ。でも、明日が来れば芦毛の彼女に会える。そう思うとそう悪い気もしなかった。
さっさと曇らせるんだよ。あくしろよ。という方。分かります。
でも待って下さい。積み重ねがあってこそ曇らせが映えるんです。
だから(亀更新なのは)許して