「ほい、ダッシュ!。もうひと踏ん張り!」
この日スカーレット達はダッシュの練習をしていた。
(桜花賞に向けて二人共いい感じだ。スカーレットとウオッカ、
どちらかが桜花賞を獲るな)
ピーターはそう思いつつ、二人を見ていると電話が鳴った。
ピーターは電話の相手を見る。
相手の名前を見てピーターは相好を崩した。
「お久しぶりです。ベンおじさん」
ピーターは電話の相手の名を告げた。
ピーターが長電話を終えた頃には、
二人共クールダウンを終えピーターが話し終えるのを待っていた。
「悪い、二人共。久しぶりなものだから長く話し込んでしまって」
「トレーナーと随分親しいようだけど、誰なの?」
スカーレットが聞いてくる。
「ベンおじさん。俺の親代わりの人だよ」
「親代わり?」
「ああ。俺の両親が小さい頃に、交通事故で死んでな。
その時に引き取って育ててくれたのが叔父夫妻なんだ。
俺が頭が上がらない人達だよ」
「そうなんですか・・・」
ウオッカが沈痛な顔をする。
「俺がトレーナーをしているのも、叔父夫妻に仕送りするためさ。
給与がいいからね。さて、今日の練習はお終いだ。
今の状態なら桜花賞を二人共狙えるから、お互い頑張るように」
ピーターの言葉に二人は頷いた。
その日外は激しい雨だった。
「これは今日は予定変更だな。読書にするか」
「もうすぐ桜花賞ですから走りたかったんですけどね」
ウオッカがぼやく。
「天候は仕方ないさ。それにしても嫌な天気だ」
ピーターの眼は遠くを見ていた。
「何か嫌な思い出でもあるわけ?」
スカーレットが聞いてくる。
「両親が死んだ日もこんな天気だった。嫌な天気だ」
ピーター達がそうして話していると、ピーターの携帯が鳴った。
「メイおばさんからだ。なんだろう」
ピーターが電話に出て、二、三言葉を話す。
そしてピーターの顔が衝撃に歪んだ。
「ど、どうしたのトレーナー?」
スカーレットの声に絞り出すようにピーターは答えた。
「ベンおじさんが・・・強盗に殺された」
「「!」」
「スカーレット、ウオッカ、すまない。俺は一時帰国する。
桜花賞を見ることは出来ない」
「・・・わかったわ。おばさんもいるんでしょ。行ってあげて」
「トレーナーがいなくても何とか勝ちます」
「すまない二人共。後は任せた」
こうしてピーターは一時帰国した。
ピーターは帰国するなりメイおばさんの家に向かった。
メイおばさんの家に着くと呼び鈴を鳴らす。
そうすると少しやつれたメイおばさんが出て来た。
「ピーター・・・あの人が・・・うう」
「おばさん。一体何があったんだ?」
「ウマ娘が家に押し入って・・・あの人も抵抗したのだけど・・・うう」
ピーターには泣き崩れるおばを励ますことしか出来なかった。
ベンおじさんの葬儀が終わり、ピーターは情報を集めていた。
犯人は最近現れた連続強盗で、スピードが普通のウマ娘の3倍はでるという。
通常では有り得ない速度だ。だが、そんなことは関係ない。
ピーターは何としても捕まえてベンおじさんの仇を取る。
ピーターはその機会を待った。
そして、遂に現れた。
なるほど確かに速い。
だが、ピーターの本気には全く及ばない。
ピーターはそのウマ娘の前に降り立った。
「お前は・・・」
「・・・スパイダーマン」
ピーターはそう言うと糸を発射し、ウマ娘を絡み取る。
逃げようとするウマ娘を更に糸で縛る。
パトカーのサイレンの音が近づいて来たので、
ピーターはその場を立ち去った。
ウマ娘が逮捕されたのを確認したピーターはおばの家から日本へ帰ることにした。
いつまでもこちらにいるわけには行かないのである。
おばとお別れを済ませた後、日本に向けて帰国した。
なお、桜花賞であるが、スカーレットがウオッカとの勝負をハナ差で制した。