いや、こいつ誰やねん。すっごく邪魔

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駄文注意


寝たら腹を枕にされた

 話をしよう。

 あれは今から約二時間前の昼前の事だった。

 

 夏休みも中盤、八月に入ってすぐ自分は実家の田舎に帰省していた。

 

 「おいお前、帰省にそんな準備で大丈夫か?」

 「大丈夫だ、問題無い」

 

 出発を見送りに来た寮の友人にそう言って、俺はこの地に帰ってきた。

 

 今なら一番いいのを頼むと返していたかもしれないが、後悔先に立たずというものだろう。

 

 

 帰って来てすぐ次の日に後悔したのは、服の事だった。

 

 

 自分は荷物を持っていく面倒を嫌って持っていく服をケチったのだ。

 

 当初は、自分が以前着ていた自分のパジャマが実家にある為、それを当てにしてパジャマを持ってこなかったのである。

 

 ところがどっこいここに思慮不足が出て来てしまった。

 

 自分がこの実家を出て何年経ったと思っている?

 

 

 正解は2年だ。

 

 

 よくよく考えてみて欲しい。

 

 男子三日会わざれば刮目してみよといわれるが、二年も経ってしまえばどうなるか。

 

 それも、まだ成長真っ盛りの男子が、だ。

 

 もう答えがわかるだろうか?

 

 答えは、背丈が変わり体格も良くなる。

 

 したがって自分の成長に合わせた服を新調して行かなければならないという事。

 

 そんな男子が、二年前の服を着ることが出来るのだろうか。

 

 否、否である。

 

 幸か不幸か、自分はこの二年の間の成長期で背丈と体格がよくなっていた。

 

 それはもう、以前上から目線(物理)で身長を馬鹿にしてきた旧友達を、この前逆に散々煽りまくって大爆笑しても誰もが咎めなかった程に成長をしたのだ。

 

 その成長の代償を最も食らったのがこのパジャマ事件である。

 

 当然以前の殆どの衣服が入らなかった自分は、唯一入った短パンを履いてふて寝を実行に移したのだった。

 

 肌着は持ってきたものを着ているが、シャツに短パンのクソガキスタイルである。

 

 外に遊びに行く用の洋服もいくつか持ってきてはあるが、パジャマにするような生地の物ではなく、渋々短パンシャツでくつろいでいるのであった。

 

 そして今日、朝食で食べたそうめんが思いのほか美味しくて食べすぎてしまい、腹を掻きながら縁側で二度寝としゃれこんだのだ。

 

 

 完璧に惰眠を貪り昼まで眠るつもりだったが、事情が変わり今に至る。

 

 起きたきっかけは何やらお腹が重くなったことだ。

 

 はじめは、昔ここに住んでいた時みたいに金縛りにでもあったのかと思い、三度目の惰眠に入った。

 

 だがしかし、一時間経っても腹が軽くならぬ。

 

 これは何かしらの異常事態であると感じ、さすがに自分も起きようとした。

 

 だかしかし、寝返りすらもうてない状況で、出来る手段は限りがある。

 

 そこで自分は寝ぼけ眼を動く右手で擦って、状況を確認する。

 

 

 目に見える先に人の頭がある。

 

 

 もう一度だ、腹の上に、人の頭がある。

 

 そうして今、ここでようやく事態を認識した。

 

 

 どうやら他人が、自分の唯一無二で替えの効かない大切なものであるこの肉体の一部のこの腹に頭を置いて枕にして寝ているのである。

 

 

 自分は激怒した。

 

 

 必ず、この邪智暴虐の人間を腹の上から除かねばならぬと決意した。

 

 自分にこの人間の事情はわからぬ。

 

 自分はただ惰眠を貪っていた男子である。

 

 自分は、今日の分の夏休みの宿題を朝早くに終わらせていただけの学生である。

 

 けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 

 「おい自分、こんな状態で大丈夫か?」

 

 

 自らの妄想が作り出した天使が語りかけてきた。

 

 以前の反省を活かし、「一番いい状態を頼む」と即座に妄想に返答をする。

 

 そう決めれば行動は早かった。

 

 その人間に拘束された左手を速やかに引き抜く。

 

 その人間の両腕が寂しそうに空を掴もうとしていたので、代わりに枕元にあった木製マッサージ棒を右手で突っ込む。

 

 そうして空いた両腕で、自分が今枕にしている人類を駄目にする枕を取り出して構える。

 

 

 此処だ!

 

 

 自分は一瞬より刹那である間に自分の離脱を行い、代わり身として人類を駄目にする枕を押し込んでやった。

 

 ミッションコンプリート!

 

 何ひとつこの馬鹿な人間に気付かれることなくこの状況を脱してやったぞ!

 

 達成感に包まれる中、自分は目の前にあった枕のシーツをずらす。

 

 そして自分は寝ぼけ眼のまま人肌ほどの柔らかな枕へと伏せ、圧倒的な満足感と共に四度目の惰眠を開始するのであった。

 

 

 

 




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