弾丸と英雄   作:ジム・ビム

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1.弾丸と英雄

『ディープインパクトが追い上げる!残り200m!ストレイトクーガーが先頭!しかしここでディープインパクトが追いついた!ライバル!ディープインパクトが追いついた!横一線!同時にゴール!どっちだ!勝ったのはどっちだぁ!』

【東京優駿・実況】

 

 

 

 

 

 

 私、ディープインパクトが彼女と出会ったのはトレセン学園に入学してすぐのことだった。後ろに撫でつけるような両側に白いメッシュが入り、髪が一房前に垂れている特徴的な髪形と常に身につけている鋭角的な紫色のサングラスは初めて入った教室でも異彩を放っていた。

 そしてなぜかいつも私に絡みにくるのだ。

 

「ヨー、キープ!今日も絶好なレース日和だなぁ!」

 

「ディープです。いいかげん名前を間違えるのを直してくれませんか?」

 

 あ~すまんすまん、といつもの適当な謝罪をバックに私はため息を付く。このウマ娘、ストレイトクーガーは親しい人の名前を常に間違えるのだ。このやりとりももういく度繰り返したかわからない。

 頭が悪いのかとも最初は思ったが、座学では常に上位をキープしているのだから始末が悪い。

 

 

 

 ―――そんな友達以下クラスメイト以上の関係が、ライバルに変わったのはいつだったのだろうか。

 

 

 

 さんざめく歓声。スタンドには多くの観客が押し寄せ、思い思いのウマ娘を応援している。

 

 東京優駿 日本ダービー

 

 多くのウマ娘が目指し、多くのウマ娘が敗れ去ったレース。

 一生で一度だけ挑む事が許されるレースのターフに、私は彼女と共に立つ。

 

 ストレイトクーガーとなぜか一緒に居る事が多かったが、不思議とチームはお互い別の所に入った。

 私はスピカに、彼女はカノープスに。

 当時は不思議に思わなかったが、今思えばどうして同じチームに入らなかったのだろうかとこんな場所だけどもつい考えてしまう。

 

『2枠4番、ストレイトクーガー、弥生賞では1着、皐月賞では2着、共にハナ差で決着がついているディープインパクトのライバル!3戦目となるこのダービーで2冠を阻むことができるか!?』

 

『3枠5番、ディープインパクト、弥生賞ではストレイトクーガーに負け、皐月賞でリベンジを果たしたました!このダービーに勝利し、三冠の栄光を夢見ることができるか!?』

 

 実況の解説と同時にゲートへの案内が始まる。ゲートに入った私は、ふと左隣の彼女に視線を向ける。彼女もまた同時にこちらを見たのだろうか、視線が交差する。そしてにやりといつもの自信に満ちた笑みを浮かべる。

 

「今度は最速で逃げ切る」

 

「今回も最速で追い抜きます」

 

 私はきっと鋭い目を彼女に向けているのだろう。彼女の目を言葉で、自分と同じ事を考えているのがわかる。

 

 この人にだけは負けられない。

 勝つのは自分だ。

 

 最初の戦った時の負けた悔しさは、とても深い物だった。次に戦って勝った時の喜びは、言い表せない物だった。

 OP戦から負け知らずだと彼女が自慢げに語っていた時、自分の気持ちは誇らしかったような気がする。

 私が遅めのOP戦から2連勝した時は、彼女に手が届いた気がした。

 

 ああそうだ、私はこの人に追い付きたいのだ。

 皐月賞でのハナ差での勝利ではなく、完全に追い抜いて勝ちたいのだ。

 同じチームでライバルと競い合いたいのではないのだ。

 

 もうすぐ全てのウマ娘のゲートインが終わり、レースが始まる。

 彼女を追い抜き、最初にゴールするのは私だと自分を鼓舞する。

 

 ゲートが開いた。




ストレイトクーガー

競争成績

 メイクデビュー 1着
 フェニックス賞 1着
 朝日杯FS     1着
 弥生賞     1着(ディープインパクト)
 皐月賞     2着 ディープインパクト
 東京優駿    1着(ディープインパクト)
 神戸新聞杯   1着(ディープインパクト)
 菊花賞     2着 ディープインパクト
 有馬記念    2着同着 ハーツクライ(ディープインパクト)
 天皇賞(春)  2着 ディープインパクト
 宝塚記念    2着 ディープインパクト
 凱旋門賞    1着
 ジャパンC    2着同着 ディープインパクト(ハーツクライ)
 有馬記念    1着同着 ディープインパクト
   ・
   ・
   ・

ディープインパクトとの勝負では全てハナ差で勝敗が付いている。
有馬記念とジャパンCでの2着同着でもハナ差。


元ネタはスクライドに出てくる兄貴ことストレイト・クーガー

この世界線の史実ではストレイトクーガーという競走馬が実在して、上記の成績に近い実績を上げている。
史実では最後の有馬での同着後に調教中にひび割れ骨折を幾度も起こしそのままディープインパクトと同時期に引退。
ウマ娘世界では有馬での激闘後も幾度となくディープインパクトとぶつかり合う事がアニメの最終話で語られる。

性格は何事も最速を求めるストレイト・クーガーのまま。
熱さと優しさも併せ持つが自分のこだわりを最優先にしがち。
サクラバクシンオーと非常にウマが合う。
ディープインパクトを色々な面で気にいっており、レースで競い合うライバルとして認めている。

ゲームではマイル、中距離が得意な逃げ馬、長距離はB。
クラシック期からディープインパクトが参戦するので事故要素が多く、育成が安定しない。(同じ事がディープインパクトの育成ででも言える)

勝負服は白と青がベースで紫のラインが入った裾が長い長そでの上着、青い長ズボンの上に薄紫色の脚甲が取り付けられている。



6/24追記:次話で勘違いによる致命的な設定崩壊が起きましたので少々書き直します。
ご報告してくれた方には感謝を

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