みんなルパン三世好きだね
~Side Luna~
というわけで始まりました「ルパン三世と行くチキチキ!脱出大作戦!」(命名ルナ)
やぁみんなこの間ぶり、成り行きなのか何なのかよく分からないうちにルパン三世と一緒に脱出することになっちゃったルナダヨー
只今保管室抜けて正面玄関目指して猛ダッシュ中
え?床下の通気口使わないのかって?
かーー!これだから泥棒初心者は困るぜ!
いいかい?おんなじ道で帰ったらいつ盗みに入ったのか分からないじゃないか!
スリルのない盗みはごめんだね
っと、持論展開してる場合じゃないんだった
走ってる最中に飛び出してくるガードマン君たちの銃をきれいに撃ち落としていく
これやると手がしびれてしばらく銃がモテないから実質無力化してるようなもんだ
人をコロコロ(穏健表現)しちゃうと万が一警察とかにつかまった時が怖いからね☆
お隣を走ってるルパンも「お前銃の腕前もピカ一なんだな」と感心してる
いや違うんすよルパン先生
僕のこれは知らないうちになんか身についてたやつなんで才能とかそんな感じのじゃないです
僕は愛銃――エンフィールド No.2 Mk.Iに弾を込めながらさらに加速する
イギリスの
なぜこの銃使ってるかと言えば完全にロマンだ
だって中折れ式だぜ?!機能美とかそんなのよりもうこの駆動がかっこよすぎる!!
これ以外だと日本の二十六年式拳銃もいい感じなんだけどさすがにヨーロッパでは手に入らなかったよ…
愛銃との出会いにもちょっとしたロマンがあるんだけど…今は割愛
はーいこの距離は銃じゃ厳しいので膝蹴りで対応しますねー
1、2、3、4、5、6、ローダーでリロード、後は繰り返し
結構使ってるけどいまだに片手撃ちがマスターできない
反動キツイよこれ
でもそこがいい
撃つときの、なんていうの?解放感というか
説明しづらいけどいつもと違った感じを味わわせてくれる
そうこうしているうちに見えたぜ正面玄関
…の前に製薬会社の社長さんが待ち構えておりました
うん、普通に考えて僕たちが正面玄関目指してるのバレッバレだよねぇ
「コソ泥風情が私の会社に土足で上がり込むとは、身の程知らずめ」
そのセリフはドイツで聞いたぜ
「さてお遊びはここまでだ、大人しく『太陽の輝石』を返してもらおうか」
それはオーストリアとベルギーで聞いたなぁ
「下手な真似はしないことだ、ここにいる部下だけでお前ら二人をハチの巣にするなんて簡単なのだからな」
それはフランスで…いやあの時は「自分一人で十分だ」だったかな?
見れば社長さんの部下っぽい人たち20人ほどの囲まれている
世間一般的に言えばこれは絶体絶命ってやつだ
うーん…
た ぎ る ね ぇ (ねっとり)
――――――――――――――――――――
~Side:Lupin III~
怪盗ルナと手を組んで脱出することになったのは俺の想定通り
…だったんだけども、このおてんばちゃんのことを甘く見てたわ
まずいきなり「ではわたくしの後についてきてくださいまし」つって正面ホール目掛けて走り始めやがった
てっきり侵入した時と同じ通気口で脱出するもんだと思ってたから度肝を抜かれたぜ
しかもこいつ銃の扱いが滅茶苦茶うまい
両手で撃ってはいるが的確に相手の銃を撃ち落としていく
距離が近けりゃ膝蹴りして対応するし、ほんとこいつすげぇぜ
…けど空中で三回転半する意味はあったのか?
色々あった道中だがようやく正面ホールが見えてきた
しかしさすがにばれてたようで、敵の大ボスとご対面だ
初老の白髪白髭じいさんだが、顔にあくどさが出てるぜ?
んでルナが失敬したお宝を返せと言い出す
ま~泥棒に奪われちゃ自分とこの会社の面子丸つぶれだしな
「…ふふふ、残念ですけれどもそれは聞けないお願いですわね」
さてどうやって遊ぼうかと思ってるとルナの奴が話し出した
…おいおいひょっとして
「なぜなら…私は怪盗『ルナ』、狙いを付けたお宝は――」
そう言いながらキャットスーツの端を思いっきり引っ張って――
「――必ず、いただくのですから」
ドレスに変身したルナは笑顔でそう言った
……うん、やっぱお前すげぇ奴だわ
――――――――――――――――――――
~Side Luna~
青を基調にして白と黒のラインを入れ、フランス風なロングドレス
それに着替えて高らかに勝利宣言をする
僕がこっちの性格になった時に「これしないと泥棒じゃないや」と心で感じわざわざ用意した衣装だ
いや君たちが言いたいことは分かる、素の僕も「なんでこんな面倒なことやってんのこいつ、馬鹿なの?」って思う時があるから
ルパン三世ってより嵐を呼ぶ幼稚園児な世界観だけど、やってる時は滅茶苦茶気持ちがいいので考えるのをやめつつある
周りにいる全員が呆然として――ルパン三世は驚きつつも呆れた表情だけど――固まったので総仕上げだ
「それでは皆様、
スカートの裾に仕込んでいた煙幕弾をばら撒いて視界を遮る
と同時に大きく天井目掛けてフックを射出!天井の通気口に入っておさらばDA☆ZE!
外に出たら宵闇に乗じて猛ダッシュ、わざわざ正面から出たのは警備の目を建物内に集中させるためだったのさ!(今さっき気が付いた)
しばらく走って誰もいない海岸の岩場に隠しておいた逃走用ボートに乗り込む
あ、ここまで逃げておいてあれだけどルパン三世忘れてた
まあ大丈夫でしょ、なんてったってあのルパン三世なんだから
さぁてあとはここからおさらばすれば今回のミッションは終了――
「そこまでだコソ泥」
ワッザ?!今さっきやってきたところからこれまたさっき聞いた声が?!
アイエエ?!シャチョー=サン?!シャチョー=サンナンデ?!
最初の煙幕以外にもいろいろ仕込んでたのに追いつくの早くないっすか?!
ええいここまで来て諦められるものか!!かくなる上は僕の愛銃で…
ん?あれ?
なんか違和感が…というか…さっきと違う…?んー?…
全然分からん(ウィー(ジャガー))
まぁこのままお宝を返すのもしゃくだし(そもそも返す気はさらさらないので)、愛銃を突き付けて脅すことにした
「あらあら困りましたわね…私、あなたに銃を向けるつもりはございませんのに」
へっへっへ、さっきまで持ってた銃はどうしたのか知らないけどこっちにはチャカがあるんだぜ旦那ぁ…
「……やれやれ、まさかお見通しとは恐れ入った」
白髪白髪の社長さんから聞こえてきたのはさっきと違う声
あ、あれ…突然の声変わり、じゃないっすよね
と言うかこの声ってもしかして――
「さすが俺の見込んだ通りの女だぜ、怪盗ルナ」
顔を思いっきり引きはがしたモンキー顔の大泥棒がそこにいた
――あれこれってデジャヴ?
――――――――――――――――――――
~Side:Lupin III~
服の中から煙幕弾をばら撒いたルナは、周りなんてお構いなしといった感じで天井の通気口から脱出していった
一応この俺様もいるんだけどなぁなんて思いながら、目の前にいた会長を俺様に変装させる
すぐに俺はそいつに成り代わって煙幕が晴れたら身代わりに会長を突き出してルナの後を追った
んふふ、俺様の変装術は世界一なんだぜぇ?
ルナの逃走経路はいくつか想定してあった
空を飛ぶ、変装して陸路で逃げる、そして海に出るのどれかだ
あの場にいた誰かに変装するっていう手もあったが…あいつはそんな手は使わないだろう
これまで入った盗みのすべて見たうえで俺様は確信していた、こいつは盗みの後
できるだけ目立たず、できるだけ早くその場から立ち去る、それが怪盗ルナの手口だ
つーまーりー、今回一番目立たない逃走手段は海から逃げる方法だけってわけだ
しっかしあいつ、逃げながらフラッシュグレネードを自分の逃げた方向と違う方に落としておくなんて器用な真似するなぁ
足跡とか絶対前もって仕込んでいただろって細工までしてまぁ用心深いことで
海岸につくとルナはボートに乗り込もうとしているところだった
そのまま放っておけばルナはこの場から居なくなっちまうだろう
すかさず俺はあの意地悪そうなボスとして話しかける
「そこまでだコソ泥」
振り向いたルナは慌てず――それでいて少し驚いたような表情をしていた
衣装も相まってどこかの国の王女様が城から逃げ出すのを見つかったみたいなそんな顔してるぜ
このまま話を続けて、いい感じの所で種明かしを――
――そう考えていた俺は、まだまだ甘ちゃんだったと思い知る
「あらあら困りましたわね…私、
ルナの愛銃――エンフィールド No.2 Mk.Iで笑顔で俺をしっかり狙いながらそう言った
――さっきのボスには平気で銃を向けていたのに、今は向けられないだぁ?
――俺の変装が完全にバレてるってことか
…あっはっは、力量を見極めるつもりがとんだ大誤算だぜこれは
俺自身がまだまだ未熟だったとはなぁ
「……やれやれ、まさかお見通しとは恐れ入った――さすが俺の見込んだ通りの女だぜ、怪盗ルナ」
変装をとくとルナは笑顔をさらに深めた
「あら、失礼いたしましたわ…貴方とは知らずに」
「謙遜するなよ…俺が変装しているってはじめっから分かっていたんだろう?」
「買い被りすぎですわ」
そう言いながらエンフィールドを下ろすルナには、余裕すら感じられた
――こいつは本当にまだ六回しか盗みをしてない泥棒なのか?
底が知れない、まるで泥棒になるために生まれてきたような女だ
「それで、わたくしに何か御用でしょうか…あぁ、申し訳ありませんが太陽の輝石はお渡しできませんわ」
ドレスの裾から取り出した今回の獲物を見せながらルナは言う
「安心しな、今回の狙いはそれじゃねぇよ」
「…では、ご用は一体?」
「――ルナ、俺と一緒に泥棒しねぇか?」
「……相棒にならないか、そう聞いているように聞こえますわね」
「あぁその通りだ」
包み隠さず俺はそう言った
さっきのことが無ければ、もしかしたらあの手この手誤魔化して勧誘したかもしれねぇ
だがこいつにそれは通用しない
嘘をついても間違いなく見抜かれちまう
それに――俺はこいつと対等な立場でコンビが組みたい
心の底からそう思っていた
「あんたの手口は見させてもらった、完璧という他なかったよ」
「まぁ、過ぎたお言葉ですわ」
「謙遜すんなって…俺とあんたが手を組めばどんなお宝だって盗めるんだ――手を組まないか、ルナ」
アルセーヌ・ルパンの孫として、ルパン一族と末裔として、俺はこいつと一緒に世界を目指したい
生まれて初めての本気の言葉だ
「……お名前」
「ん?」
「お名前、そう言えば聞いておりませんでしたわね――お聞きしてもよろしいでしょうか?」
「ルパンだ、ルパン三世」
「良いお名前ですわね、確かに覚えましたわ――ルパン三世」
瞬間、俺の視界は真っ白に染まった
煙幕か?!そう気が付いた時にはボートの発進する音が聞こえてきた
「今宵は良い出会いをありがとうございますわ――
エンジン音に負けないほどの声で、ルナはそう言って――消えた
「……ぬふふふ…あっはははははは!!」
答えは
「諦めねぇからな、怪盗ルナ」
今回は残念だったが、まだチャンスは消えたわけじゃねぇ
今度こそお前を手にして見せる
なんたって俺様は――ルパン三世なんだからな
――――――――――――――――――――
~Side Luna~
どうしてこうなった
キャラクター紹介
・ルナ(15歳)
盗みに入ると第二人格がこんにちはしちゃう泥棒
盗んで逃げる前にド派手なドレスに着替えて大勢の前に出る特殊性癖の持ち主
ルパンに相棒のお誘いを受けたのは完全に想定外で、最後は誤魔化すように逃げたのはヒミツだぞ☆
・ルパン三世(??)
紆余曲折あって自分の未熟さを思い知らされたのちの大泥棒、なお思い知らしめた本人は無自覚の模様
ルナこそ俺の相棒にふさわしいと今後も勧誘を続けていくつもりだが、はたから見るとやっぱり事案ですよルパンさん