宴会の時間が来た。
早苗はあの後自分の神社へ帰って行ったが、私はずっと博麗神社にいた。
「まだ来ないかしら?」
霊夢はこたつを片付けた広い部屋で、ゴローンと寝転がって呟いた。
「そうね、みんな時間に疎いんだから」
そんなことを言っていると、戸がガラガラと音を立てて開いた。
「おーう、霊夢とアリスか!」
入ってきたのは萃香だった。
「あー萃香、肴は持ってきた?」
霊夢は面倒臭そうにポリポリと頭をかいて立ち上がった。
「へ?肴?…ああ、酒ならたらふく持ってきたぞ!」
「酒じゃなくて肴よ!肴持ち込み式の宴会って言ったじゃないのー!」
「うあー、ごめん霊夢…」
申し訳なさそうに謝る萃香。すると、その後ろの戸が、また再び開いた。
「あ、もう来てたのね。一番乗りかと思ったんだけど」
「流石に萃香には敵わないと思ってましたが…、まさかアリスも来てるなんて意外ですわ」
来たのはレミリアと咲夜だ。
「あ、霊夢。肴ってこんな物で良いのかしら?」
咲夜は手に持っていたお皿を霊夢に渡した。
「うわあ…流石咲夜ね、ありがとう」
皿には肉や魚など色々な食べ物がのっていた。
「こんなの物朝飯前よ」
…
しばらくして、幻想郷に住む殆どの妖怪や人間達が博麗神社へとやってきた。
「今日は呑むわよーっ!!」
宴会会場の目立つところで、豪快に瓶ごとお酒を飲む霊夢。その隣では、萃香もお酒を飲んでいた。
その様子を笑いながら見ていると、肩をぽんぽんと叩かれた。
「アリスさん、お話いいですか?」
「え、ああ、さっきのことね。いいわよ」
「じゃあちょっと外出ましょっか…」
早苗は立ち上がり、ざわざわとしている会場の後ろをこっそりと通り、外に出た。
…
私と早苗は縁側に腰をかけた。
夜の境内は人里や紅魔館付近よりもうんと暗い。でも今は、宴会の明かりが中から差し込んでいて、外も明るかった。
「あの、アリスさん…」
早苗は星と月しか見えない空を見上げながら、私を呼んだ。
「…な、何?」
「魔理沙さんのベッドに置いてあった手紙、あれ私が書いたんですよ」
「…ええ、分かってる。って事は、魔理沙はあなたに…その、私との関係とかを…言ったって事よね?」
あのメモには、魔理沙が私のことを好きという事が書かれていた。そしてそれを早苗が書いている。なら、こうなるはずだ。
「そうですね。それで、魔理沙さんにベッドに手紙を置いておくように頼んだんです」
「どうして手紙だったの?」
「口で言うと…その、」
そこで早苗の声が途切れる。
「?どうしたの、早苗」
しばらく、私の目をじーっと見て…口を開いた。
「アリスさんをわざわざここに呼び出したのは……」
「いなくなってもらうためですから」