僕と王女のヒーローアカデミア   作:たきな大好き0802

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お待たせしました…大分時間かかってすいません。
やっとUSJ編が最後まで書き終わったのでゆっくりと投稿していきます。


雄英入学後~
第7話:個性把握テスト


合格発表の日から月日は流れて、雄英高校入学式当日。

出久は雄英の制服を着て、家を出発しようとしていたところであった。

 

「出久! ティッシュ持った!?」

 

「うん」

 

「ハンカチも!? ハンカチは!? ケチーフ!」

 

「うん!! 持ったよ!」

 

「茜様にご迷惑かけないようにね!」

 

「分かってるよ」

  

「出久!」

 

「なァにィ!!?」

 

母親の引子のしつこいほど確認をしてくるので出久は柄にもなく大声を出してしまう。 

 

超かっこいいよ

 

「……!行ってきます!!」

 

引子に褒められて少し照れくさくなりながらも出久は学校へ向かって行った。

 

 

 

「出久、放さないでね!フリじゃないからね!!」

 

「いつぞやか似たような言葉を聞いたような……」

 

雄英高校に到着した出久は茜と合流したのだが、茜は相変わらずの人見知りぷりで出久の後ろに隠れて歩いていた。

その態度に出久は諦めながら、何もかもバカでかい雄英の敷地をマップで確認しながら進み、1-Aの教室に辿り着いていた。

ちなみにヒーロー科は《今年から》一般入試定員38名、19人ずつでなんと2クラスしかない(ちなみに推薦で入ったものもそれはそれぞれのクラスに2人ずついる)

 

「あった…それにしてもドアでかっ!しかもバリアフリーだ……」

 

「巨大化する個性や素で巨大な人用かな……?出久、ちょっと教室の様子を除いて見てよ。怖い人いないかなぁ……」

 

「茜ちゃん、怖がりすぎだよ。王族に対して失礼な態度取る人なんてかっちゃんぐらいだよ……」

 

出久は茜に言われてそっとドアの隙間から教室の様子を覗き見る。

 

机に脚をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?

 

思わねーよ! てめー、どこ中だよ端役が!

 

(最悪の組み合わせだ……)

 

まさかの2人が揃っていた。

出久が深く考えなくわかる。彼は水と油で正反対だと……。

 

「ぼ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉(いいだ てんや)だ」

 

「聡明ぃ~~~!? くそエリートじゃねえか、ブッ殺し甲斐がありそうだな!」

 

「君ひどいな、本当にヒーロー志望か!?」

 

(ごめん、飯田くん。彼はそれがデフォなんだよ……)

 

2人の会話を聞いていた出久は爆豪の無礼な振る舞いを見て、なんか申し訳なくなった。

そうこう考えていると飯田がドアから見ていた出久に気が付き近づいていく。

 

「俺は私立聡明中学の………」

 

「聞いてたよ! えっと。僕、緑谷。よろしく、飯田くん」

 

急に声を掛けてきた飯田に出久は一瞬、狼狽えるがなんとか普通に挨拶をする。茜は未だに出久の背中に引っ付いて隠れたままだ。

 

「緑谷君………―――すまなかった!」

 

「へ?」

 

いきなり頭を下げる飯田君に出久は面食らった。

 

「緑谷くん…君はあの実技試験の構造に気づいていただけでなく、試験開始の時、冷静に試験開始を待っていたのだろう。でないと誰よりも先に動くことなんて出来なかったはずだ。俺は気づけなかった!! ………君を見誤っていたよ。悔しいが君の方が一枚も二枚も上手だったようだ! 」

 

(ごめん…動けたのは条件反射みたいなもので、気づいてもなかったよ……)

 

一心不乱に飯田は出久を褒めたたえる中、当の本人の出久は飯田の勘違いに訂正しようにも彼の熱意に押されて、訂正することができなかった。

 

「――――そして、あの試験の後に君をどこかで見たことがあると思いネットで調べてみたが……間違ってたらすまない!君は茜様のご友人の緑谷出久くん本人ではないだろうか!?」

 

「あっ…えっ、あー、うん。僕は茜ちゃんの友達の緑谷出久だよ」

 

「やはり、そうか!何年か前に茜様のご友人としてインタビューされたことがあっただろう。その時の友人と君が似ている気がしたからまさかと思ったが…」

 

「あははっ…そんな古い頃の動画、良く見つけたね」

 

飯田に茜の友人である緑谷出久ではないかと尋ねられて出久は少し悩んだが、肯定する。

彼の話だと、出久が昔インタビュー受けた動画を見て自分と同一人物と気が付いたらしい。

出久がインタビューを受けたのは今から約8年前なのにそれを覚えていた飯田に本気で感心していた。

飯田は出久に後ろに隠れている少女に気が付いたのか

 

「そうすると君の後ろに隠れている少女は……」

 

「茜ちゃん、君も挨拶しよう。ずっとこうしているわけにもいかないよ?」

 

「う、うん。初めまして、私は―――「初めてお目にかかります。自分は飯田天哉と申します。よろしくお願いします、茜様!!

 

「は!?」

 

先ほどより頭をずっと下げて茜に挨拶する

いきなりの丁寧なあいさつに茜もたじろぐ。

ちなみに王族の櫻田茜が雄英に受験したのは噂になっているが事実として広がってはいない。ただ、夕方のニュースか遅くとも明日には発表されるのはほぼ予想できた。

 

 

「あなたのような高貴で絢爛華麗のような方と少なくても1年間、一緒に勉学を励むことができることを至極光栄に存じます」

 

「ええ……えっと……」

 

 

飯田は尊敬の眼差しで茜を見ながら感極まっていた。

そんな様子に茜も言葉が詰まってしまって何も言い出せずにいた。

 

 

「おっ、可愛い子いるじゃん。でもどっかで……」

 

 

「そこ!無礼だぞ!彼女をどなただと心得る!この方はこの国の支える王族の櫻田家の第三王女、櫻田茜様であらせられるぞ!!頭が高い!!控えよ!!」

 

 

(飯田くん…まるで時代劇の黄門様に使えるお供の方みたいになっている……)

 

一人のチャラいクラスメイトが茜に気が付くが、すぐに飯田は彼女のことをクラスに聞こえる声で説明して、敬意を払うように促した。

その図方を見て、まるで時代劇みたいだなという感想になる。

 

 

「王女様!?すごーい!私、芦戸三奈(あしど みな)!」

「テレビでも見たことがあるけど、本物の茜様だぜ…俺、砂藤力動(さとう りきどう)!」

「王女が試験を受けたとか噂で聞いていたけどマジかよ!俺ぁ|切島鋭児郎(きりしま えいじろう)!よろしくな、姫様!」

「私、蛙吹梅雨(あすい つゆ)よ。梅雨ちゃんと呼んで」

 

「あ、あわわ……」

 

飯田話を聞いたクラスメイトは噂の王女の茜を見ようと一気に集まる。

それぞれ声をかける中、人見知りの茜は知らない人たちが集まりだして混乱している。

たださえ人見知りなのだ、知らない人たちにこんなに声をかけられたら落ち着くはずもない。

 

 

「皆さん!お静かに!!茜さんが困っているじゃありませんか!」

 

 

「あっ、百ちゃん」

 

そんな時、茜に助け舟を出したのは教室から出てきた八百万だった。

彼女の堂々さに先ほど騒いでいたクラスメイト達は後方に引いた。

 

「茜さん、出久さん、おはようございます。朝から大変ですわね」

 

「おはよう、百ちゃん。百ちゃんもA組?」

 

「はい!これからの学園生活、茜さんと出久さんと一緒に共にすることができるなんて感無量ですわ!…ただ、鮎ヶ瀬さんは同じクラスじゃないのが残念ですが……」

 

「……うん。花蓮はB組で残念だけど、私は百ちゃんと一緒のクラスでよかった」

 

「……!茜さん!!」

 

うれしさのあまり抱き着く茜に抱き着く八百万。

出久と茜は彼女と花蓮がヒーロー科の試験を受かったことは合格発表の日に知らされていて、花蓮がB組なのは事前に知っていたが、八百万は教えもらえなかった(多分、驚かせようとしていたと思われる)

 

そんな中、茜と隣にいて、美少女の八百万に声を掛けられていた出久へ一部の男たちの嫉妬の視線を彼自身が感じていた。

 

とはいえ、茜と幼馴染になった4歳のころから嫉妬などの感情を向けられてきた出久にとっては今更のことで気にしなかった。

 

「地味目の!」

 

(彼女は試験の時に僕を気にかけてくれた…ええっと、確か名前は…麗日さんだったかな?)

 

噂をすればなんとやら、振り返ると実技試験の時に出久を庇ってくれた少女がいた。

出久は救助活動P(レスキューポイント)時にオールマイトが言った彼女の名前をなんとか思い出す。

 

「プレゼント・マイクの言ってた通り受かってたんだってね!! そりゃそうだ、パンチ凄かったもん!!」

 

「きみの直談判のおかげで僕は受かったんだよ。ありがとう」

 

「へ? 何で知ってんの?」

  

「実は合格映像で君がプレゼント・マイクに自分のPを分けてくれるように直談判してくれていた映像が流れたんだよ。改めて言うよ、ありがとう」

 

出久は彼女が自分のために直談判に行った時の映像が自分の時に流れたことを正直に話した。

それを聞いた彼女は数秒フリーズした後にすぐに照れ始めて顔を隠すような仕草をし始めた。

 

「え、う、嘘!?あれ、撮られたの!?う~~~~めちゃくちゃ恥ずかしいやつやん!」

 

(可愛い!) 

 

出久は恥ずかしがる彼女---もとい麗日見て純粋にかわいいと思い始めて、表示用が緩む。

それを後ろから見ていた茜と八百万は険しい顔で出久をにらんでいたが、出久は気が付かないでいた。

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。―――ここは、ヒーロー科だぞ」

 

 

いつのまにか教室のドアの外で寝袋に入っている男がいた。その男はゼリー飲料を飲んだかと思ったら立ち上がりだした。

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

長いマフラーを首に巻き髪がぼさぼさでひげが伸びているだらしなさそうな男が現れた―

 

「担任の相澤消太だ。よろしく」

 

クラス内で担任と告げられて動揺が広がる。

雄英の教師ならばプロヒーローであるはずだが、誰も彼を見たことも聞いたこともなかった。

相澤はそんなクラスの心境を理解しているのかいないのか、一言。

 

「早速だが、体操着(コレ)着て、グラウンドに出ろ」

 

相澤は出久達に体操着を見せ、それだけ言って、教室を出ていった。

 

 

 

 

 

「更衣室はこちらのようだぞ」

 

体操着に着替えるために出久が更衣室を探していると六本腕のクラスメイトが話しかけた。

 

「ありがとう。試験会場が一緒だったよね」

 

「……ああ。俺は障子目蔵(しょうじ めぞう)。よろしく頼む、緑谷出久」

 

「よろしく―――って、なんで僕の名前を知っているの!?」

 

自己紹介しようとしていた出久は障子が自分の名前を知っていることにかなり驚く。

 

「たまたまお前を第三王女の数少ない男友達というのをネットで知ってな…そもそも去年のヘドロ事件で茜様に助けられているからな」

 

「ああ…それか。後、ネットの評判は知っているから気を使わなくってもいいよ。それにしても飯田くんといい障子くんといい、結構知れ渡っているなぁ……」

 

「いや、お前のことはあの飯田という男と俺以外はわかっていないみたいだぞ。その証拠に今、俺以外にお前に誰も話しかけてこない」

 

茜との幼馴染関係は別に広まって構わないが、ネットの心無い偏見に満ちた考えを真に受けて広まるのは避けたかった。

しかし、障子の言葉を聞いて緑谷は安堵した。自分はまだしも茜に迷惑にかかるのは避けたかったからだ。

 

「確かに…ヒーロー科にいるから性格が悪い人はあんまりいないといいけど…とりあえず、よろしく。障子くん」

 

「ああ。よろしく、緑谷」

 

出久は障子と握手した。

 

 

 

「いいネ。僕も入れてよ」

 

「うわぁ!」

 

 

2人が握手しているときにいきなり1人の少年が出久に顔を近づけて話しかけてきた。

出久はその少年を知っていた。実技試験の時に仮想(ヴィラン)にビームを外した男だった。

 

「き、君は!試験の時の!?」

 

「ボクの名前は青山優雅(あおやま ゆうが)『また君と会うことになりそうだね』…実技試験の時に言ったようになったようだね」

 

(あれ?実技試験の時に言ったのは『君と会うことは2度となさそうだ』じゃなかったけ?…この手の輩は自分の記憶を好きなように変えるからなぁ…触れないのが吉か)

 

「うん、また会えて嬉しいよ。青山くん」

 

「メルスぃ。僕もだよ☆」

 

青山が記憶改竄しているのが気になる出久だったが、()()()()()を知っているので深くは追及するのはやめた。

とりあえず、流れ的に青山とも握手をする。

 

そして何事もなく普通に終わり、出久達は着替えてグラウンドに向かった。

 

 

 

 

 

「個性把握…テストォ!?」

 

グラウンドに来たクラスメイト達は相澤に告げられた事実に思わず声を上げる。

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

 

「ヒーローを目指すならそんな行事出てる暇ないよ」

 

麗日は悲鳴を上げるが相澤はばっさりと切り捨てる。

 

「雄英は『自由』な校風が売り文句。そしてそれは『先生側』もまた然り」

 

そう前置きをして相澤が例に挙げたのは学校で行う体力テスト。校内での”個性”の使用は原則禁止なのが普通だった(王族などの身分が高い位のものは周りが黙認していたりするが)

 

「中学の頃からやっているだろ? 個性禁止の体力テスト。………国は未だ画一的な記録をとって、平均を作り続けている。まあ文部科学省の怠慢だよ」

 

超常が日常の『超人世界』では個性の使用はかなり制限している。しなければ、個性が人間に発現したころの『超常黎明期』みたいになってしまう。だが、未だに頻発する個性の犯罪を見ると闇が深い事案であるが……。

 

「おい、爆豪。中学の時のソフトボール投げ何mだった?」

 

「67m」

 

相澤に声を掛けられた爆豪は中学の時のソフトボールの記録を聞かれて正直に答えた。

 

「じゃあ”個性”を使ってやってみろ。円から出なきゃ何してもいい。……思いっきりな」

 

「んじゃぁまぁ………死ねぇ!!!」

 

(………死ね?)

 

爆豪の掛け声に疑問に思いながらクラスメイト達は彼のソフトボール投げを見ていた。

 

「まずは自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

相澤が爆豪の記録を見せると705.2mになっていた。その記録にクラスメイト達はざわつき始める。

 

「流石、実技試験を“3位”で突破しただけはある」

 

「……あっ?」

 

相澤の言葉に爆豪の怪訝な表情になる。

 

「ハァ!?何を言ってやがる!俺が3位なわけがねぇ!!過去の実技試験の結果を見ても獲得P77は過去数十年見てもトップクラスの結果だろうがァ!!」

 

「過去は過去。そんな昔の結果を比べても意味はない。そもそもお前の結果は敵P(ヴィランポイント)だけで救助P(レスキューポイント)は全くの0P。お前より上位の2人はお前よりは敵P(ヴィランポイント)は低いが救助P(レスキューポイント)を高得点で総合的点数はお前より上だ。ちなみにPは121Pと105Pな」

 

「ひゃ、100点越え……」

 

クラスメイトはまさかの実技試験のPが100点越えているものがいるとは予想していなかったようで騒めいている。

 

「それでは、実技で1位の櫻田茜」

 

「えっ……あ、はい!」

 

「茜……」

 

呼ばれた茜はびくびくとしながら円まで歩いていく。

爆豪は彼女を冷静に彼女を推し量る。

 

「い、行きます……」

 

少しおどおどしつつ、ソフトボールを持ちながら投げる姿勢を取って――――

 

 

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

 

 

個性で重力の向きを操っての全力ボール投げ。

ボールは真っすぐ宙に投げられて、凄い勢いで飛んでいった。

 

「…1410.6m。爆豪の倍くらいだな」

 

「ふー……すっきりした」

 

その記録を見たクラスメイト達に騒めく。

人によって驚いたり、当然と言う顔のものいたり、感嘆しているものもいた。

 

「…流石、茜様だな。1位なのも納得と言ったところか……」

「茜さんなら当然ですわ!」

「テレビで見て強個性なのは知っていたけど…これはマジでやばすぎでしょ……」

 

「……」

 

(あれ?てっきり突っかかると思ったのに)

 

反応はそれぞれだったが…意外にも爆豪は何も言わずに茜を静かに見ているだけだった。

出久は爆豪に大人しいことに疑念を抱きつつ、前に出る。

 

「先生!次やっていいですか?」

 

「緑谷か……本当は次の種目に行ってもいい頃間が実技試験で“2位”なら別にいいだろう」

 

「に、2位だとぉ……」

 

相澤から出久が2位で実技試験を突破したことを聞いて爆豪は強面になる。

 

「ケッ、デクなんかに何が出来る。そもそも、あいつが合格にしたのだって何かの間違いだ。化けの皮がすぐに剥がれて――――」

 

 

SMASH!!

 

 

爆豪の声を遮るように響く出久の声。それと一緒に放たれたボールは、爆豪より勢いよく放たれているように見えた。

 

「…1200.92m」

 

「おおっ…」と周りは感嘆を漏らすが、爆豪だけ怒りマックスのように

 

「オイ、デクゥ!てめぇ、どういうことだ!?ワケを言いやがれ!!」

 

爆豪は “個性”を発動しながら、出久に殴りかかろうとしていた。無論、出久は爆豪の攻撃から身を守るために構えるが――

 

「爆豪、自分がしていることが分かっているのか?」

 

「んぐっ…ぐっ…んだ、この布、固ぇっ…!!」

 

出久に近づく前に、相澤のマフラーが爆豪に巻きつき、動きを止めて、同時に個性を消す。

 

「炭素繊維に特殊合金の鋼線を編み込んだ『捕縛武器』だ。ったく、“個性”を使わせるな。……俺はドライアイなんだ!」

 

(((((個性は凄いのにもったいない!!!!)))))

 

強個性でありながらドライアイという弱点を持つ相澤に対してクロスの気持ちは自然に一致していた。

そして相澤の個性を聞いて出久はハッと彼の正体に気が付く。

 

「“個性”を消した…そうか!あなたは…視ただけで人の“個性”を抹消する“個性”、抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!」 

 

「イレイザーヘッド…聞かない名前だな」

 

「名前だけは見たことがあるよ。メディア露出を嫌っているアングラ系ヒーローだよ」

 

出久が相澤の正体を暴露するが、クラスメイトの反応はイマイチであった。

一般の人々にとってヒーローとはテレビとかで顔を出したり、活躍するようなもの方がイメージが付きやすいためにイレイザー・ヘッドのようなヒーローは印象に残りにくいのかもしれない。

 

「こんな筈はねぇ! デクの野郎は“無個性”だ! どんな不正をやりやがった!」

 

相澤の拘束から解放されるや否や、大きな声で出久の不正を訴える爆豪だが―

 

「緑谷は1年前に“個性”が発現し、市役所にきちんと届け出ている。医師の診断書も確認済みだ」

 

「“個性”の発現は、遅くとも4歳までの筈だろうがぁ!」

 

「それは今での一般的な常識だ。4歳以降に“個性”が発現した例はそれほど多くないが存在する。昔…第1世代、第2世代の頃はそれが普通だった。第3世代以降は珍しくなったがないことはない。爆豪、自分の常識で全てを語るな」

 

「…………」

 

相澤によって自分の考えが論破されて黙るしかない爆豪。

 

「時間がもったいないからさつさと始めるぞ……そうそう言い忘れていたがトータル成績で最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分とする」

 

『はあああ!?』

 

「生徒の如何(いかん)先生(おれたち)()()―――ようこそ、これが――――

 

 

 ―――雄英高校ヒーロー科だ」

 

入学初日の初めての試練。除籍を避けるための本気(マジ)の体力テストが始まった。

 

 

▼▼▼▼

 

 

「最下位除籍って…!入学初日ですよ!? いや、初日じゃなくても………理不尽すぎる!!」

 

麗日は相澤の言葉に抗議していた。彼女の言うことはまっとうなことでその場の生徒たちが誰もが思うことであった。 

 

「自然災害、大事故、身勝手な(ヴィラン)達………いつ、どこから来るかわからない厄災。日本だけにいえたことではないが、理不尽にまみれている」

 

「そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。………放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。

 

――――Plus Ultra(プルスウルトラ)(更に向こうへ)さ。全力で乗り越えて来い」

 

相澤のその言葉に皆の反抗心は消えていった。

生徒達はなんとか自分が最下位を避けようと気合を出していた。

 

50m走。出久はワン・フォー・オールで足を強化して3秒と記録を出した。次いで飯田が3秒04の記録を出す。

走りに自信があったのか悔しそうに出久を見ていた。

ちなみにトップは茜は最大スピードで2秒89。こちらに対しては、飯田は「流石、茜様」と感銘を受けていた。

 

 

握力テスト。出久はワン・フォー・オールで力を出して600㎏を出した。

ちなみに障子は540㎏であった。

 

「流石だな、緑谷。俺はこの記録には自信があったんだが」

 

「僕のは身体強化系だからね。ここで負けたら立つ瀬がないよ」

 

出久と障子はそんな会話をしていたが後で茜が力を出しすぎて握力系を壊してトップになった。八百万は万力らしきものを創造してトップに立ってしまっていた(流石に八百万の行動に対して抗議はあったが相澤は許可を出しているのを知るとみんな何も言わなくなった)

 

 

立ち幅跳び。ワン・フォー・オールを使い、50mの記録を出した。

茜は個性を十分発揮して飛び回り校庭の外まで行き独断トップとなった。

 

 

ボール投げ。デモンストレーションは除外扱いで、出久、茜、爆豪以外行うことになった。1位になったのは麗日の∞。個性によってボールは宙にゆっくりとんでいき、最後は皆の視線から見えなくなった。

 

 

その後、立ち幅跳び、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈を順当にこなし、最終種目持久走は八百万が単車に乗っていたが、茜が全力を出して通りだした。

それよりも八百万が単車に乗ったのが問題になったが、免許をきちんと取った上で許可ももらっていたということでそこまで大騒ぎにならなかった。

 

 

―――こうして、全ての競技が終わった。

 

 

茜はさきほどから結果が出ることにそわそわしていたが、出久は各種目の結果を覚えているために自分と茜と八百万と爆豪は落ちることはないと確信していた。

ただ、この体力テスト内で少しだがクラスメイトとの交流を深める人もいたので、出来たら誰も除籍されないで欲しい気持ちになった。

 

「結果の集計が終わった。んじゃ、パパっと結果発表」

 

 ………結果発表という言葉を聞いて、クラスの一部に緊張が走る。落ちるのは自分ではないかという恐怖をいだいているからだ。

 

「トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。口頭で説明すんのは時間の無駄なので一括開示する」

 

成績がホログラムで表示され――――

 

「ちなみに、除籍はウソな」

 

『!?』

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

『はあああああああ!?』

 

ホログラムの結果が表示される寸前になんてことのない言い方で相澤は言った。

みんなの絶叫がグラウンドに木霊した。

あるものはほっとし、あるものは涙を流し崩れ落ち、あるものは「マジかぁ…」と言葉を漏らしていた。

そんな中、出久は1人、相澤の言葉を疑っていた。

 

(虚偽だって…?そんなはずがないだろ…相澤先生の目は本気だった!多分、見込みがなかったと思われたら落とされたはずだ……)

 

ここまで相澤の言葉や行動が演技だと思えなかった出久は見込みがなかったら言葉通りに最下位の人が落とされていたと推測する。

ただ、そう思っているのは見たところは自分だけで茜は「良かった~~~」と完全に脱力していた。

そして八百万は――――

 

「あんなのウソに決まってるじゃない…ちょっと考えたらわかりますわ…」

 

…と相澤の言葉を完全に信じていた。

出久が心で(もっと人の言葉を疑おうよ…お嬢様コンビ……)と思っていた。

2人は警戒心が足りないのである。

 

「そゆこと。これにて終わりだ。………教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ。明日からもっと過酷な試練目白押しだ」

 

そう言って相澤はその場を去って行った。

生徒達何名かはその場を立ち尽くすのであった。

出久もそうしていると八百万が出久に近づいてきた。

 

「3位おめでとうございます。緑谷さん」

 

「あっ、僕が3位だったんだ」

 

相澤の衝撃発言によりホログラムの順位を今更見ると「3 緑谷出久」と出されていた。ちなみに八百万は2位で茜は1位と書かれていた。爆豪は5位であった。

 

「いや、八百万さんの方が凄いよ。2位なんて。流石だよ」

 

「そ、そんな……私はいつも日進月歩して己を磨いてきただけですわ。それよりも出久さんの方が3位だなんて素晴らしいことだと思います!!」

 

「そ、そんなことないよ…それにしても茜ちゃんが1位なんて相変わらず凄いね」

 

「これについはもはや彼女以外に1位はいないと言ったところですわね」

 

自分より順位が高い八百万に賞賛する出久。

その言葉に八百万は頬を赤くしつつ謙遜して、逆に出久を褒める。出久も頬を赤くしている。

そんな2人の中心になった茜は緊張のあまり周りの言葉が聞こえないほど気が抜けていたために2人のやり取りを聞いていなかった。

 

 

こうして波乱の体力測定は幕を閉じた――――

 

 

 

 

 

「相澤君のウソつき!」

 

グラウンドでの体力測定を出久が心配で密かに見ていたオールマイトは、相澤が生徒達に見えなくなる学校の一角で彼に急に声を掛けた。

 

「オールマイトさん、見てたんですね………暇なんですか?」

 

「『合理的虚偽』って!! エイプリルフールは1週間前に終わってるぜ――――

 

 

――――君は去年の一年生を…一クラス全員除籍処分している」

 

 

先ほどの除籍処分は合理的虚偽でもなんでもなく、彼は容赦なくこれまで生徒たちを『除籍』してきた。少なくともオールマイトがここに来るまで見た資料にはそうなっていた。

 

「君は『見込みゼロ』と判断すれば迷わず切り捨てる合理的な持ち主と聞いていたが…見ていてヒヤヒヤしたよ。お眼鏡に叶わなかったら最下位以外も除籍処分にしていただろ、君!?」

 

「新人教師とはいえ、俺の事をよくお調べのようで。半端に夢を追わせるほど、残酷なものはありませんよ」

 

「むむむっ…それはそうだが……」

 

(君なりの優しさってわけかい。相澤くん…でも)

 

相澤の言い分を聞いてオールマイトはある程度は、理解はできたのだが、それでも「やっぱり…合わないんだよな――――」と言漏らすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト別れて、相澤は1人で物思いふけていた。

 

(あの櫻田茜…王女とはいえ、体力テストを全力でこなさなかった場合は直ぐに除籍処分にしてやろうと厳しい目で見ていたが……あれは()()だ)

 

先ほどの自ら見た体力テストの茜の結果を思い出す。

彼女はどの科目も全力全身でこなしていて、高い記録を残していた。

 

(ったく…面倒な生徒を任せたものだ。校長も)

 

相澤は2週間前ほどの前の校長室でのやり取りを思い出す――――

 

――――――――

――――――――――――

――――――――――――――――

――――――――――――――――――――

――――――――――――――――――――――――

 

「相澤くん、君には茜様が在籍する1年A組の担当をしてもらうよ」

 

校長室で相澤と一見ネズミのような、けどどこか犬のような、それでいてどことなく熊のような見た目のような姿をしたスーツのベストを着こんだ根津校長が向かい合うようにソファーで座っていた。

そこでは相澤は根津から彼が担当するクラスの説明を受けていた。

 

「は、はぁ……俺が姫様の担当でよろしいんですか?俺は生徒を100回以上除籍処分していますし、その櫻田茜に見込みがないと判断したら容赦なく除籍にしますよ?それよりはブラドのクラスにした方が…」

 

「除籍処分のことはキチンとこちらで把握し許可は出しているから問題ないさ。…ブラドくんは生徒に入れ込みすぎる悪いところがあるからね。茜様相手だと萎縮してしまうと思ってさ」

 

「確かにアイツは生徒思いだが、感情を入れすぎる。姫様の相手をさせたら贔屓をしないとしても丁寧に扱いすぎるのが目に見えている…」

 

ブラド…ヒーロー名:ブラドキングは真面目で責任感が強い熱血漢な男だが、自分が担当するクラスに入れ込むことが多く、彼の担当するクラスに王女など入れたら真面目過ぎる彼は学校の立場や周りの視線など色々考えて、まるで高価なものを取り扱うように慎重に丁寧すぎる扱いをするのは相澤には浮かんでいた。

 

「王様からも『厳しく見てもらっても結構です』とお墨付きをもらっていてね。これで王女だからと言っても特別扱いしないだろう相澤くん…君に白羽の矢が立ったというわけさ!」

 

「……本当にいいんですか?前フリじゃないことを祈りますよ。もし俺が除籍処分などして―――」

 

 

「―――櫻田家から援助が切られたら困らないかだろ?」

 

 

根津の言葉に相澤は一瞬、言葉に詰まった。

なぜならそのことは自分が言おうした言葉を校長に先に言われてしまったからだ。

だが、この程度のことはすぐに考えればわかることなので、直ちに気持ちを持ち直して根津の会話を再開する。

 

「……察していたんですか。それなら先に言ってくださればいいのに。校長、あなたも人が悪い」

 

「人ではないさ。…君が心配する気持ちは分かるけれど、心配されるほどここ(雄英)はヤワではないし、王様は娘がヒーロー科から落とされたり娘が先生に厳しくされた程度でへそを曲げるような人物ではないのさ」

 

 

「そして君が疑っているだろう入試での手心を加えたこともないから安心するのさ」

 

 

根津の言葉に相澤も流石に息を吞む。

そのこと(手心)は誰もが想像したり考えたりすることはあったが口をする者はいなかった。

それは触れてはいけないことだと誰もわかっていたし、もしも事実だったなら大問題になってしまうからである。

振れたとしても誰も得にしないことだと誰もが口をするのを避けて、頭の隅に追い払っていた。

 

「それは……」

 

「別に君を責める気で言っているわけじゃない。でも疑われたままだとこちら困るから晴らせるものは晴らしておかないとね」

 

相澤は茜が王族の娘だから学校側が何かしら手心を加えて、合格にさせたのではないのかとわずかだが疑ってはいた。試験の映像はリアルタイムだったが、何人かの雄英関係者が協力すれば不可能ではない……と相澤は考えていた。

まさかの雄英がそんなことをするとは考えられなかったが、王族3人がヒーロー科受けて誰も受からなかったのでは雄英のメンツもたたないし、もしかしたら櫻田家から貰っている多額の援助金を取り消されるかもしれなかったからだ。

 

櫻田家もとい王様は雄英のような将来、有望な若者を育ていく教育機関に力を入れていて、そこに多額の援助をしていた。

相澤からしたら失礼ながら王様は何を考えているわけ分からない権力者しか見えなかったし、あっちの気分で多額の援助を打ち切られたら雄英はどうなるのかを想像できないほど(相澤)はバカではなかった。

 

「それなら安心しましたよ…俺も本気で疑っていたわけではありませんが、王族との付き合いは面倒が多いですからね…面倒を避けるためにしている可能性を考えていました。申し訳ありません」

 

自分の非礼に根津に頭を下げる相澤。

それに対して根津は「いいよ」という世に小さな肉球を相澤の方へ向けていた。

 

「謝ることはないのさ。むしろ、王族相手だとそう考えてしまうことは普通のことなのさ。しかも普通は王族と関わることもないからね。彼らの人なりを知らずに誤解する人間もいる」

 

 

「それじゃあ、改めて頼もう。相澤君、君に櫻田茜のクラスの担任をお願いするよ」

 

 

 

相澤は根津の言葉に素直に頷くしかなかった。

 

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(全く面倒なことを頼まれたもんだ……)

 

茜のクラスの担当を頼まれた時を思い出し終えた相澤は、改めて面倒なことを頼まれたと実感する。

相澤からしたら自分のクラスに権力者の子供…しかも王族の娘がいるということはトラブルのもとになるのは見えていた。

出来れば、ブラドキングに押し付けたかったがうまい具合に根津校長に押し付けられてしまったのだ。

 

(だが、あの強個性と純粋で正義感が強い心……それがいつ間違った方向に向くかはわからん。だから、そのために見守り正しくしていくのが教師の役目だ……面倒だがな)

 

とはいえ、相澤もヒーローであり教師の一人である。

茜のことを見ていてきちんと1人のせいとして見守ろうと思っていた………面倒だとは思っていたが。

 

 

▼▼▼▼

 

 

下校時間になり、出久は飯田と一緒に帰っていた。

茜は他の生徒に話を聞かれており、邪魔しては悪いと先に帰ることにした。一応、ラインで帰ることは伝えてあるので心配ないと判断した。その場には八百万もいたので問題もないだろう。

 

「しかし相澤先生にはやられたよ。教師が嘘で鼓舞するとは…俺は『これが最高峰か』と思ってしまった」

 

(相変わらず真面目で―そして、純粋だな。…将来、詐欺に遭わないことを祈るよ。飯田くん…)

 

飯田の話を聞いていて、真面目と共に相澤の言葉を一ミリも疑っていない様子に彼の将来に不安になる出久。家族が事故を起こしたとか聞いたら金とか用意しそうだ―と失礼なことを考えてしまう。

 

「そういえば、茜様と一緒に帰らなくっていいのか?彼女は人見知りだとテレビなどで言っていたが…」

 

「いいんだよ。八百万さんもいるし、先に行くことは伝えたし、雄英には兄姉がいるからそっちを頼ればいい」

 

意外にもそっけない出久の回答に飯田は一瞬思考が止まった。

 

「……そうか。緑谷くん、君は意外にも突き放すんだな。茜様を」

 

「そうかな…構いすぎると彼女は僕や八百万さんに頼ってばっかりでいつまでも他のA組の生徒と馴染めないから今はこれでいいんだよ。慣れれば普通に他の生徒に話せるようになるだろうし」

 

出久は別に茜を冷たくする気はないし、頼られたら直ぐにも手を差し出すつもりだ。

ただ、入学初めで茜をクラスメイトと交流させて置かないといつまでもたっても出久や八百万に頼っているばかりでクラスに馴染めない。親子心にならぬ友達心というやつである。

 

「そ、そういうものだろうか…」

 

「うん、そういうものだよ。たがら飯田君もあんまり敬語とか使わずに普通の同級生のように茜ちゃんと接した方がいいよ。その方が彼女も楽だろうし」

 

「そ、そうか…今度はそうするべきか……」

 

出久に言われて茜に対して普通に接することを考え始める飯田。

その姿を見て(時間がかかりそうだな…)と心の中で思う出久であった。

そんなことを考えていると後ろから麗日が歩いてくる。

 

「お二人さーん!駅まで?待ってー!」

 

「君は(むげん)女子!」

 

(むげん)女子!!!)

 

「む、(むげん)女子って!!……オホン!私は麗日お茶子。えっと、確か名前は、飯田天哉くんと緑谷………デク君! だよね!!」

 

「デク!!?」

 

飯田のネーミングセンスがない渾名を聞いて一度吹きかける麗日だったが、すぐに気を取り直して自己紹介して2人の名前を確認して言う。

なぜか彼女に蔑称を言われて傷つく出久。茜ちゃんにも気を使われてその呼び方で呼ばれ方なかったのに…と。

 

「え、だってテストの時、爆豪って人が『オイ、デクゥ!』って言ってたから。デクっていう名前なんだなーって、思ったんだけど………もしかして違った!?」

 

麗日から『デク』と呼んだ理由を聞いて、彼はほっと胸をなでおろす、

 

「あ、あの本名は出久(いずく)で………デクはかっちゃんが馬鹿にして」

 

「蔑称か………」

 

「え―――!! そうなんだ!! ごめん!」

 

出久は素直に謝る彼女に対してもう怒っていなかった。

 

「でも、『デク』って『頑張れ!!』って感じで。なんか好きだ、私!響きが

 

デクです!

 

彼女の優しくって素直な言葉に出久は『デク』という呼び方を見て目してしまうのであった。

 

「緑谷君!! 浅いぞ! 蔑称なんだろ!?」

 

「コペルニクス的転回………」

 

「コぺ? えっとー、じゃあデク君で良いのかな。よろしくね、デク君!」

 

「あっ、うん!よろしくね、麗日さん!」

 

出久の言葉の意図を掴めていなかったお茶子だ経ったが自己解釈して改めて出久に挨拶して、彼もそれを返す。

そして3人でゆっくり下校していく。今まで学校で一緒に帰る友達は茜しかいなかった出久からしたら新鮮なものに感じた。

 

 

 

 

そんな3人を木の陰に隠れて見ている者がいた――――

 

「出久……」

 

それは出久が先に帰ったことを知ってクラスメイトとの会話を無理やり打ち切って、追いかけてきたのだ。

飯田と話している出久に話しかけようとしたタイミングで麗日が現れて、とっさに木の陰に隠れて様子を今まで窺っていた。

 

「受験日にも顔を合わしているとはいえ、麗日さん?だっけ?…あんなに出久と仲良くなっちゃってさ!それに出久も出久だよ!!『デク』というのは爆豪が付けた蔑称のはずなのに『なんか好きだ』って言われただけであだ名で呼ばれるのを認めちゃうなんて単純すぎるよ!!不純だよ!!そもそもどこが『頑張れ!!』っていう感じなのかわからないし……。……私が言っていたら同じような反応してくれたのかな……

 

麗日と出久の会話を聞いていた茜は今まで溜まっていた不満を発散するかのように早口で本音を吐露した。

彼女にしては珍しく饒舌であった。ただ、嫉妬であることは理解しているようで、最後あたりは小さく消えそうな声であったが。

 

 

「茜さん……」

 

 

それを後ろから静かに茜を追いかけてきた八百万が見ていた。

彼女は茜のように出久に好意を持っているために彼女の気持ちがよく分かったために話す掛けることができずに見守ることができなかった。

 

 

 

――――なんやかんだで彼らの波乱の入学式は終わりを告げた。

 

 




描いててお茶子のヒロイン力たけーと思いました。
メインヒロインの茜ちゃんが消極的な性で行動力あって直ぐに好感度上げているなぁ。

相澤先生の独白は矛盾や「相澤先生ぽくない」という声が多かったら消します。
最初はなかったのですが、なぜか思いついて追加してしまったので……

あと飯田君の茜ちゃんへの態度もこれでいいか気になっているので変だと思ったら感想にて意見ください。真面目が制服を着たような彼ならやるというのが自分のイメージです
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