プロローグ:始まりの朝
『うぐっ…ひくっ……』
『どうしてないているの?』
1人の少女が体がぼろぼろで涙目の少年に近づく。
最初は近づいてきた少女に警戒していた少年だが、彼女の目を見て自分を心配していることがわかり彼は彼女に敬意を話した。
『グスッ……ぼぐ……個性持ちのいじめっこから人を助けようとしたけど…結局、
『…うん』
少年の言葉に少女は静かに耳を傾ける。
『お医者さんにも言われたけど…やっぱり無個性がヒーローになれないのかな……?』
『……よくわかんないけど、君のやったことはすごいことだよ?』
『えっ?』
『だって、人を助けようとするなんてすごいことだと思うよ。それに無個性や個性なんて関係ないよ』
少女の言葉に出久は言葉を失う。
彼女の『人助けに無個性や個性は関係ない』という考えは少年の考えにはなかったからだ。
『そうだ、君の名前は?聞いてなかったよね?』
『え、えっと……僕は緑谷出久(みどりや いずく)』
『出久くんだね。私の名前は――――』
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事の始まりは中国、軽慶市。
以降各地で「超常」は発見され、いつしか「超常」は「日常」に、「
世界総人口の約8割が何らかの特異体質、"個性"を持っている超人社会となった現在!
爆発的に増加した
その名は"ヒーロー"。人々が憧れ、人々を守るための職業である。
「いつまで寝てるつもりなの茜~光~」
とある一軒家で制服を着た青髪の女性がまだ寝ている自分の妹たちに声を掛ける。
「えっ、ウソ!?もうこんな時間!?」
姉の声で目を覚ました赤毛の少女はすぐさま寝着から制服に着替え始めた。
その音に隣の妹も起き出す。
彼女が時間を気にしていたのには理由があった。
(あ~、トイレも洗面台も混んでる~)
彼女の家は普通と違って家族が多かった。
それも2人や3人ではなく、女性6人男性3人の9人兄妹。
両親を入れれば11人家族であり、そのために毎朝トイレや洗面台取り合いになっていた。
ただ、家族仲は極めて良好であった。
「何で王冠してんの?」
「間違って持って帰っちゃったからせっかくなんで」
居間で家族団欒の食事をしている時に新聞を取り上げられた父親が被っている王冠に娘の1人が気が付き呆れていた。
だが、家族はそれを見てもあんまり興味を示さずに朝の食事や用意の方に集中していた。
「凄いパパ、まるで王様みたい」
「あの…一応、本物だから」
幼い娘の1人が目を光らせて言うと父親は困った声色を出す。
今日の新聞には王冠を被り王族の衣装を着た父親ととある国の王様が握手をしている写真が載っていた。新聞には「友好式典開催される」と書かれていた。
そう、彼女らの父親はこの国の国王で《櫻田家》は王族なのである。
▼▼▼
あれから時間が経ち櫻田家はそれぞれ登校時間であった。
中学生で赤毛のおさげの少女の櫻田茜(さくらだ あかね)は学校が同じ方向の姉の櫻田葵(さくらだ あおい)と櫻田奏(さくら かなで)と櫻田修(さくらだ しゅう)と共に
学校まで通学していた。
「バイバーイ」
「バイバーイ」
街ですれ違う人々に声を掛けられて声を返す櫻田兄妹。
兄や姉がどうどうとして挨拶を返す中、茜だけはおどおどしていて青髪ロングで横分けの姉の葵の後ろに隠れては「バイバーイ…」と小声であった。
「相変わらずだね、あんたの人見知り。どうにかなんないの?」
「だって…」
人見知りで人との関りが消極的な茜の態度にイラついているのか問い詰めるようにキツイい方で聞く黒髪のボブの姉の奏。
その姉の問いに茜は黙り込んでしまう。
彼女は普段から姉の葵の後ろに引っ付いて歩かないと学校まで行けない超人見知りだった。
彼らは王族でありながらも普通の住宅街に住んだり、学校も一般校に通っていたりと一般人と変わらない生活をしている。
それは国王であり、彼らの父の櫻田総一郎(さくらだ そういちろう)の方針のためである。
できるかぎり普通の暮らしをさせたいという思いがあるのだが……。
「ヒッ」
電柱あたりに設置されている監視カメラを見つけると茜はビビッて曲がり角に隠れだす。
「週末に監視カメラの位置変わったんだよね」
「せっかく全部覚えたのに!」
葵の監視カメラの位置が変わったことに監視カメラに移りたくなく、
町中の至る所には監視カメラが設置してあり、それは茜達を守るための物である。
茜達がいる町にも当然ヒーローの事務所はあり、何かの事故や
勿論、監視カメラに
「これが俺達を守るためってことはお前も分かってるだろ」
「でも町内だけで2000以上って多すぎじゃない?」
黒髪のイケメンの兄の修は茜に監視カメラの存在意義を言い、諭そうとするが茜は監視カメラの設置されている数を指摘する。
父親は親バカであるために町にある監視カメラの数は膨大な量になっていた。
「私なら国民へのアピールに使ったのに。だって私達みんな次の国王選挙の候補者なんだから」
「何で選挙で決めるのよ~」
監視カメラを選挙のために使うという奏に茜は不安を募らせる。
そう、この監視カメラは次期国王を決める選挙のために子供達が活躍したのをテレビやネットに流しているのだ。
“選挙”ということだけあって町中の掲示板に候補者ポスターが貼ってあるのだ。
期限は長女の葵が高校を卒業して大学に入るまでの再来年の4月までで4月の今からだと2年の間である。
子供たちの中では積極的にアピールするものや逆に茜のように王になるのを拒むものもいる。
とにかく、この選挙は基本的に国民全員の興味があり、ヒーロー界と負けないくらい話題はにぎわっていた。
「このままじゃ本当に遅刻よ」
茜が監視カメラから曲がり角に隠れた後に葵が先に行って引き付けた後に茜がついて行き、その場から離れた。
その場からは動けたのだが、周りにもカメラがあるのを思うと茜はあまり動けなく、妹が心配な葵もその場を離れなかった、
2人は公園の前で屈んでどうするか悩んでいた。
ちなみにその場にいた兄の修と姉の奏は既にその場に離れて学校に行ってしまった。
「もうこなったら…」
「いいの茜?いくら王族で許されるからってなるべく公共の場で個性を使いたくないって」
「だってお姉ちゃんまで遅刻させるわけにはいかないもん」
「ありがとう」
茜は少し悩んだ末に立ち上がり個性を使おうとしていた。
彼女が個性を使おうとすると体が少し宙に浮いた。
“個性”は先天性の超常能力で今や人類の8割(その2割はほぼ老人)が使えるものであった。
ただ、個性が自由に使えるのはきちんとライセンスを取ったヒーロー位であとは仕事関連できちんと書類などの許可を取った人程度。
基本的に公共の場で個性を使うのは禁止されている(「自転車で歩道を走ってはダメ」程度のものだが)
とはいえ、王族に注意できる一般人やヒーローはそうそういるはずもなく、誰も注意しない。そもそも櫻田家の善性は監視カメラや同じ町に住んでいる者なら分かっているので個性を使っても誰か傷をつけるとは誰も考えていない。
「手を貸して」
「お願いね」
葵が茜の手を触れると茜と葵は空高く飛んでいき学校の方へ向かって行った。
これが茜の個性『
この個性は同じようなタイプの重力操作系の個性のように発動中に酔うことはなく、重力の操作は触っていれば自由に操れるとかなりの強個性であった。
『櫻田家』----まだ超常能力のことは『個性』ではなく『異能』と呼ばれていて、人間という種の規格がそれまでの常識から大きく崩れ、世界中が壊滅的な混乱に陥った”超常黎明期”と呼ばれている時期があった。
自警団的な活動する異能の使い手(この活動により後に国が世論に押される形で追認し、後述のヒーロー公認制度によるプロヒーローとなる)により”超常黎明期”を過ぎて、世の中は落ち着きを取り戻していき、その後の社会の安定と生活を元に戻したのが『櫻田家』と言われている。
彼ら一族はその時の功績もあるが、彼らの一族が持つ個性とは別の体質も彼らが王族とされる所以でもある。
それは〈生まれてきた子供が両親との個性を必ず受け継いだり、両親同士の個性が複合した個性にならず全く別の個性になる〉という体質である。
例えば、手を強化する個性と炎を纏う個性持ちが結婚したとしよう。子供は手を強化する個性、炎を纏う個性はたまたその2つが複合した個性(例:手に炎を纏う個性)になるのが普通だ。
だが、櫻田家だけは違うようで今の所は生まれてくる子供は必ず個性持ちになり、その個性も両親から受け継いだものにならないという特性があった。
これは非常に珍しく今まであらゆる研究者が興味を引いた事項である。研究者たちは櫻田家に遺伝子の研究を頼んだが、子供たちを実験台にしたくないのか櫻田家はその協力を断っている。
「茜、もうちょっとゆっくり飛べない?」
「何で?」
2人が雲と同じ高さで上空を飛行している中、葵は茜に尋ねる。
茜は質問の意図が分からずに聞き返す。
「パンツが見えちゃう」
「大丈夫。だって私、スパッツ履いている――――「私のが…」
「あっ…ごめん」
葵から「自分のパンツが見えるから速度を落として欲しい」と言っていると思った茜は自分がスパッツを吐いていることを言おうとしたが姉のが見えてしまうという意味だと分かり、すぐに謝り能力のスピードを落とした。
それから数分後に茜と葵はそれぞれの学校の近くまで辿り着き、そこまで能力を使って降りる。
「それじゃあ、また放課後にね」
「うん!…あっ、でも帰りは出久くんに付いて貰った方がいいと思うわ」
別れの挨拶をして自分の学校に行こうとする茜に対し、葵は別れ際に提案を持ちかける。
それを聞いた茜は顔がまるでリンゴのように真っ赤になっていく。
「ななな、なんでそこで出久のことが出てくるの!?」
「ふふふっ…隠さなくってもいいのに」
「もう知らないから!」
“出久”という名前を出されてあからさまに動揺する茜。
葵は温かい目で茜を見ながら笑っていた。
そんな姉の態度にいら立ちを持ったのかそれとも恥ずかしさを隠すためか素早くその場を去っていった。
(あー…もうお姉ちゃんってばあんなこと言われたら出久にどんな顔して会えばいいの!?)
自分が通っている中学校の『折寺中学校』に向かっている最中に茜は別れ際に行った葵の言葉を気にしていた。
出久という少年は茜とは家族以外だと付き合いがある貴重な異性で友達であった。
(た、確かに出久とは昔から仲が良いけど……お姉ちゃんが思っているような仲じゃないし!……そりゃあ、嫌いじゃないけど……)
茜は姉の葵に出久との関係を勘違いされていて、そうじゃないと否定しつつ誰に言っているのかわからない言い訳を心の中でし始めていた。
彼女も年ごろの女の子ために色々複雑なのである。
「あっ、茜ちゃん。おはよう!」
「!?…お、おはよう……出久」
学校の校門前まで来ていた茜に声を掛けたのは緑がかった癖毛とそばかすに、大きく丸い目が特徴的な愛敬のある顔立ちの学生服を着た少年だった。
彼こそ茜の”幼馴染”で彼女が家族以外で親しい異性の「緑谷出久(みどりや いずく)」だった。
彼は四歳の頃からの幼馴染で家族ぐるみの付き合いも多いくらいに親しい仲であった。
茜はさっきまで彼のことを考えていたこともあり、あたふたしてしまう。
出久はそんな彼女の態度に疑問を持つ。
「どうしたの?そんなに慌てて」
「ななな、なんでもないよ!いきなり声を掛けられたから驚いただけ!」
茜の態度がおかしいと思った出久は彼女を心配するように声を掛ける。
対して茜は深く追及されないように問題ないと彼に伝える。
彼女が慌てた姿に少し疑問を持ちつつも本人がなんでもないと言われたらそこで引くしかなかった。
「本当に大丈夫…?何かあったらすぐに保健室に行った方がいいよ」
「うん。ありがとう。でも心配しないでもう大丈夫だから」
(出久君は本当に優しいなぁ…)
出久は茜の体調がすぐれないと思ったのか出久は彼女に何かあったら保健室にいくように薦めていた。
それは見当違いの気遣いだったが、茜からしたら彼の優しさは心地よく彼のそんなところが好きだった。
キーンコーンカーンコーン
「えっ、今のってチャイム?」
「もうこんな時間!?」
そうして二人がしゃべっていると学校の予鈴が鳴り出す。
時間を見ると普通は教室についているのが普通の時間でそれに気がついた二人は慌てる。
「出久、早く行こう!」
「ああっ、待ってよ!そんなに引っ張らないでよ!茜ちゃん!」
茜は無我夢中で出久の腕を握って彼を引っ張って学校の玄関まで走り出す。
引っ張られていく出久は彼女の強引さに少し呆れながらも拒まずに行くのだった。
とりあえず、一話はこれで終了。
ヒロアカの作品は初めて書くのでこれでいいかという気持ちはあります(しかも一話はほぼダンデライオンばっかり)
次はヒロアカの原作の1話を改変しながらやるので楽しみにしてください
この作品のヒロイン兼もう一人主人公の扱い(の予定)の茜ちゃんですが、なんか終盤あたりでキャラ違っていないかと思っている人もいるでしょうが、これは出久と一緒にいるからです。
この世界では2人幼馴染ですが「かっちゃんはどうした?」とか「いくら幼馴染でも好感度高くねーか」とか言われそうですがそこはおいおい……
櫻田岬の能力「感情分裂(オールフォーワン)」の名前を変更した方がよいですか?(活動報告もあります)
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変更した方がよい
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変更しない方がよい