「そういえば、カツキ知ってるか?最近この辺りに現れるヴィジランテのこと」
「あァ!?そんなヴィランと変わりがねーやつにキョウミねーよ」
町の市街地にて学校帰りのセンター分けめの少年が爆豪に噂について聞いていた。
ヴィランテ---中には治安を守るために許可を受けていないにも関わらず、個性を使って犯罪者に制裁を与える者や、人助けをする者がいる。そんな非合法(イリーガル)ヒーローと呼ばれる人のことである。
爆豪には今、無名の公立中学校から、唯一の雄英入学者という箔付けしか頭にないためどうでもよいことだった。
だが、一緒にいる黒髪の癖ッ毛の少年はその噂に興味があるようで2人で話しこんでいた。
「確か赤のフードを被ってマスクしているやつだよな?噂で聞いたけど」
「そうそう。ヒーローの目が届きにくい裏路地などでナンパやカツアゲをしている輩から人を助けるヴィジランテ。まあ、当の本人は逃げ足が速いだけで弱いみたいなんだけど」
「なんだよ、それ。ただのヴィジランテというかただの善良な市民でしかねぇじゃん」
「それがよ、バックについている個性持ちが強い奴らしく大体の奴らが豚箱行きらしいぜ。そのためにそいつやバックいる奴らに対しての情報もろくにわからずにいるらしい」
「『らしい』って憶測ばっかりだな。まあ、仕方がねぇ事だけど」
黒髪の癖ッ毛の少年の言葉に「ちげぇねぇ」とロングの少年が同意すると2人で「HAHAHAHAHAHAHA」と笑いあった。
それを近くで聞いていた爆豪は「くだらねぇ」と声を漏らしていた。
「カツキ、お前さぁ茜様に喧嘩に売るのはやめろよな。いくら昔からの知り合いだからってさぁ」
「そうそう。お前、昔茜様にやられてこの町の一部からどんな目で見られているか知っているのか?」
「ケッ、過去は過去だろうがァッ!!周りにどう見られようが俺は俺だ!!」
話がこの国の王女である茜に爆豪が喧嘩を売った件にシフトしていく。
取り巻き2人かびくびくしている中、爆豪はいつもの調子で暴言を吐く。
実は爆豪は幼い頃に茜に喧嘩を売っており、彼女に返り討ちにされたとはいえ、王女に無礼を働いたことで家族共に牢に入れられそうになった時があった。
その時に家族が全員土下座(爆豪は無理矢理)して、王様が慈悲を見せたことでその件は一応、丸く収まっているのである(爆豪の経歴を詳しく調べないとわからないことになっている)
この話は過去の話で記憶が風化している者もいるが、未だに爆豪は町の一部では白い目で見られたり、「茜様に手を出して返り討ちにあった愚か者」や「実力で勝てないから口でしか言えない奴」など思われたりしている。
爆豪の親に対してはやや同情的ではあったが……
ただ、
「昔からムカつくんだよぉ…弱っちいデクを庇うようなあいつが!」
「うわぁー…カツキってさぁ『世界が自分中心で回っている』所があるけれど、さすがにこれは……」
「内申のこと気にするほどみみっちい癖に王女に対してボロクソ言うとか…昔のことを調べられたら確実に内定消されるだろうに」
「おい!聞こえてんぞぉっ!!あとタバコはやめろって言ってんだろ!!俺の内心まで火の粉がかかんだろ…!!」
相変わらずの唯我独尊ぷりをはっきする爆豪に2人は盛っていたたばこを手にしながら小声で彼のことを批判していた。
爆豪を2人が自分のことを批判していた事と彼らがたばこに吸って自分の内申に傷つくことに苛立ち、手からは煙を燻らせる。
「お、おい………」
「うし、ろ………」
――――2人は爆豪の後ろに見たものに声を上げる。
「? あ―――」
「―――良い個性の―――隠れミノ―――!」
――――爆豪はそいつに襲われるまで気が付くことができなかった。
▼▼▼▼
出久と茜はオールマイトが煙に包まれたその煙が晴れた後に姿を現した痩身の男性----着ている物、髪色、声などはオールマイト同じものの、その姿はオールマイトと似ても似つかない……だが、彼がオールマイトご本人なのだ。
絶句している出久と茜に対してオールマイトはこれから話すことは他言無用で間違ってもtwitterなどで拡散しないようにと念押しした上で、事情を説明してくれた。
5年前、ある大物
そして、人々を笑顔で救い出す“平和の象徴”は決して悪に屈してはならない。との思いから、その事実を世間に公表していない事。
「私が笑うのはヒーローの重圧、そして内に湧く恐怖から己を欺く為さ」
「プロはいつだって命懸け。
オールマイトの真っすぐ現実の言葉に出久は 少なからず落胆した表情を見せていた。
そんな彼に茜は寄り添って慰めていた。と言っても今の彼にかける言葉が見つからなく、そばにいるだけであったが。
そんな出久にオールマイトは人助けに憧れるなら警察になった方がいいとアドバイスをする。
「…夢を見ることが悪い事じゃない。だが…相応に現実も見なくてはな、少年」
オールマイトはビルの階段から降りてその場を去っていった――――
▼▼▼
あれから少し経って出久と茜は町中を歩いていた。
ビルは廃墟で特に人もいなく簡単に出られたが、問題は出久の方だった。
オールマイトの体の秘密を知ったショックもあるだろうが、出久が憧れのオールマイトにヒーローになる夢を否定されてしまったのが大きいだろう。
放心状態で生気を感じられない目をしていた。そんな状態の彼に茜はどう言葉をかけたらいいのかわからずに近くて見守ることしかできなかった。
(プロが…トップまで言うんだ……わかっていたことじゃないか。無個性がどれだけ頑張ってもヒーローにはなれない……それでも現実を受け入れたくなくって今まで頑張って来たんだろう?人助けやら人知れずのボランティアやら…でも結局、ヒーローの真似ごとしかなかったんだ……)
オールマイトの言葉を頭でリフレインして自分の今まで行いを振り返る出久。
人のために…と心中で思って自ら色んな奉仕活動をしてきたが…やはりそれはただのヒーローに憧れての真似事をしたかっただけだと自己分析したデクは自己嫌悪に陥り始める。
「出久…おじさんの言葉は正しいかもしれないけれど…だからってヒーローになれないことはないよ。だって、出久は――――」
BOMMMMMMMMM
「えっ、何!?」
茜が出久への言葉を言い終わる前に近くの爆発音によって遮られる。
その爆発音に導かれて2人が見に行くと商店街でどうやら
2人がその現場をはっきり見てみると――
「あれって…」
「かっちゃん!?」
そこで見たのはヘドロヴィランに取り込まれながらも、必死に自らの“個性”で抵抗する爆豪の姿だった。
その場には何人かのプロヒーローも現着していたが―
“巨大化”の個性を持つMt.レディはその巨体が為に、現場に近づく事も出来ず。
“樹木”の個性を持つシンリンカムイは、炎との相性が最悪な為、周辺のケガ人を救助するのが精一杯だった。
他にも周辺の消火で手一杯のバックドラフト、ヴィランとの相性が悪い事に加え、爆豪の抵抗のせいで近づく事も出来ずにいるデステゴロなど、誰一人爆豪の救助へ向かえずに一般人を巻き込まずにいることが精いっぱいだった。
(どうしよう…爆豪は出久をいじめていたし因果応報だと思うけど、出久のことだから爆豪がこのまま死んだりしたら気に病んじゃうだろうし……でも王族だからといってもヒーロー資格がない私が助けに行ったとしても怒られるだけじゃなくってまたニュースで私が目立つだけだろうし……)
いつもは後先考えるよりも行動する正義感が強い茜も
捕まっている相手がいつも出久をいじめている爆豪のことがあって、今の彼は今までしてきたことの因果応報としか彼女には思えなかったか。
しかも抵抗して発動している個性のせいでプロヒーローも助けに行けないという迷惑もかけている始末。
一応、優しい出久は彼に何かあったら気を病んでしまうと助けるか考えるが、冷静になりすぎてヒーロー資格がないことや助けたら目立って自分の王様の選挙での評価が上がってしまうのではなどとも考えてしまう。
――――そんな時、出久が茜の隣を走り抜けた。
「出久!?」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「馬鹿ヤロー!! 止まれ!! 止まれぇ!!」
制止するデステゴロの声を無視して、ヘドロヴィランにどんどん接近する出久。
出久は自分がなぜ走り出したのかわからなかった。
オールマイトを止めたせいでヘドロ
それともヘドロによって捕まっているつらさを知っているから被害者を助けるため?
―――そんな論理的な理由なんてなかった。
ただ、 息継ぎのできない爆豪の顔。それが見えて、彼はどうしもなく走り出してしまっただけだ――――。
(ど、どうしよう~~~~~~~~~!!!?)
走り出していく出久を見て、茜は困惑していた。
いつもは正義ためにヒーロー資格をなく
長い付き合いである程度わかっていたつもりだったが、この時の出久の行動に理解ができなくって茜は思考が停止していた。
「でぇぇいっ!」
茜が悩んでいると出久は背負っていたリュックサックを投げつけた。それが障害物になり、一瞬だけヘドロヴィランの視界から出久が消える。その隙に出久は爆豪君の手を掴んでいた。
そんな場面を見ていて茜はただ見ていることしかできなかった―
『きみが…無事でよかったよ……』
茜の頭に昔
その言葉で茜は個性を使った。
体が赤くなり体の重力を無重力にして、出久がいるヘドロ
その後ろでヒーローやなどが彼女を止める声が聞こえたが聞き捨てる。
「デク! てめぇが何で!!」
「わかんないよ! だけど、君が助けを求める顔してた!」
「もう少しなんだから、邪魔するなぁ!!」
無我夢中で爆豪を引っ張り出そうとする出久に迫るヘドロヴィランの攻撃。だが、それが届く事はなかった。
「茜ちゃん!」
「助けに来たよ、出久!」
ヘドロ
手には重力を集中させているためにヘドロ
「なんだ、この女!?腕が動かねぇ!!?」
「
次の瞬間、茜の個性により茜の手から腕を通して重力が内側から外に伝わりヘドロヴィランの体は破壊されるように腕から崩壊していく。
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
ヘドロ
「まだまだ!正義は勝つんだからね!!!」
「やぁ、茜くん。すまないねぇ、我々のヒーローの非力なために迷惑をかけた」
いつものような筋肉隆々のヒーローフォームのオールマイトだった。
「
オールマイトが振り下ろした一撃はヘドロヴィランを倒すだけに留まらず、天候を変える程の力であった。出久と茜はそれを見て改めてNO.1の真骨頂を感じるのであった。
▼▼▼▼
その後、バラバラにあったヘドロ
逆に出久は、その場にいたヒーロー達にこっぴどく叱られた。
まあ、ヒーロー活動の妨害をしたので当たり前である。
ただ、もう一人の乱入者の櫻田茜に対してはヒーローや警察も扱いに困っていた。
彼女もヒーロー活動の妨害、さらに“個性”の無断使用したのだ。普通なら未成年であっても軽い罪になるのだが、相手が王女であり、この件は話題になってテレビ局も来ていて、間が悪かった。
茜が悪いといっても普通に注意したヒーローや警察がテレビやネットで批判されて、茜に同情的な意見が多くなるのは確実だろう。
それほど櫻田茜という少女は世の知名度が強く愛されているのだ(嫌っている者もいるだろうが)
そもそも王女にそんなこと恐れ多くって言えるわけがなかった。
とはいえ、ヒーロー活動の妨害をし、“個性”の無断使用した茜を王女だからという理由で無罪放免や持ち上げることは警察やヒーローの面子に関わってしまう。
「済まないが、彼らを許してあげられないだろうか?」
悩んでいるところにオールマイトが流れを変えた。元々あのヘドロヴィランは自分が追っていたのだが、自分のミスで逃げられてしまいこのような結果を招いた。責任を負うとすれば、それは自分だと。警察や他のヒーローや出久達に頭を下げてくれたのだ。
「だが、茜くん!親友が危険な目にあっていたからってヒーローの活動に入ってきて個性の無断使用はだめだぞ!」
「はい……ごめんなさい。お…オールマイト」
大衆やカメラが回っている中、オールマイトはきちんと罪を犯したことを茜に注意して彼女は深く謝罪した。これはオールマイトのほどの
そもそもオールマイトは今の王様を助けたことがあってそれで毎回パーティーに呼ばれるほどの櫻田家とは繋がりがあった。
それからヒーローたちは茜に対してどういう態度に接するか不安が取り除かれたためか、オールマイトを見習って現場にいながら手を出せなかったヒーロー達も頭を下げ、2人に謝罪してきた。
そして警察側は上司と連絡を取り合い、今回に出久と茜は限り特例的にお咎めなしという事になった。
その後の茜へのインタビューは大変なものだったがここでは割愛する。
そして、出久と茜は帰途に就いて行くのであったが…
「デク!!!!」
爆豪が2人の前に立ち塞がり―
「俺は…てめぇにも茜にも救けを求めてなんかねえぞ…! 助けられてもねえ! あ!?なぁ!?俺は1人でもやれたんだ。“無個性”と七光りの出来損ないと能天気コンビが、見下すんじゃねえぞ! 恩売ろうってか!? 見下すなよ俺を!!」
早口で言いたいことをぶちまけては――――
「クソナードどもがぁ!!」
振り返って帰っていった。
「なによ、あいつ。好きであいつを助けたわけじゃないけど助けて貰って何あの態度!?助けなきゃよかった!!!」
「まあまあ…茜ちゃん。落ち着いて…」
爆豪の態度に茜は憤慨していて、出久はそれを鎮めませようと声を掛ける。
普段、茜がここまで怒ることなんてめったにないが、爆豪に対しては別だった。
出久への態度もそうだが、普段からの傲慢の態度が気に入らないのか会うたびに喧嘩している。温厚な彼女が怒るということは元々相性が悪いのだろう。
(かっちゃんの言う通りだ。何ができた訳でも変わった訳でもない。今回だって茜ちゃんとオールマイトに助けられたから生き残っただけだ。ヒーローもどきの活動はやめないけど、今回の件で僕はヒーローにはなれない。茜ちゃんには悪いけど、僕はちゃんと身の丈にあった将来を…)
出久は今回の件を顧みて自分にはヒーローになれないと結論付けていた。
茜のイライラが出久によって収まって歩き出していた時―
「私が来た!!」
どこらともなくオールマイトが現れた。
「オールマイト! なんでここに!?」
「おじさん!?私より多くのマスコミに囲まれたんじゃ!?」
「HAHAHA! 抜けるくらいわけないさ、なぜなら私はオールマイゲボオッ!!!」
「キャーーーーーー!!!」
全てを言い終わる前にあの痩身の姿になって血を吐くオールマイト。その姿を見て茜は軽く悲鳴を出してしまう。
オールマイトは血を腕で吹きながら2人を見つめ、静かに口を開いた。
「そうだ、少年。君の名前を聞いていいかな?話をする相手の名前を知らないのも失礼だからね」
「み、緑谷出久です!」
「緑谷少年、茜君。私は君らに礼と訂正と謝罪…そして提案をしに来たんだ」
「謝罪?」
「まず茜君…すまなかった。緑谷少年を助けに入ったのに君を謝らせてしまって。ああでもしなければ世間は納得しなかったとはいえ」
「え、あっ、いえ…皆さん、私が王女だからって叱ってくれませんでしたから言ってくださってありがとうございます」
オールマイトが出久を助けに入った茜をテレビなどの前で注意したことをオールマイトは彼女に頭を下げて謝罪をした。
茜はまさかそんなこと言われるとは思わず動揺しながら自分の過ちをきちんと叱ってくれたことに礼を言う。
昔から彼女を王族だからと特別扱いして叱らないものや顔色をうかがうものなどにいるためにそういうのなしにきちんと自分の意見を言ってくれるオールマイトのことは茜は好きだった。
「そして緑谷少年。君が居なければ……君の身の上を聞いてなければ、口先だけのニセ筋となるところだった!! ありがとう!!」
「そんな、お礼なんて! いや………そもそも僕が悪いんです。仕事の邪魔して…”」無個性”のくせに生意気なこと言って…」
「そんなことないよ!!出久が動いたから私もあのヘドロ
「そうさ! あの場の誰でもない“無個性”の君だったから!! 私達は動かされた!! 」
「トップヒーローの多くが学生時代から逸話を残している。そして、彼らの多くがこう言っていた!」
考えるよりも先に体が動いていた
その時、出久は何故か昔の“無個性”と診断された夢をあきらめていた自分に行った母の言葉を思い出していた。
『ごめんね、出久。ごめんね……!!』
「君も、そうだったんだろう!?」
「…は、はい……」
(違うんだ、お母さん、あの時に僕が言って欲しかったのは――)
「君はヒーローになれる」
その言葉を聞いた出久は途端、その場に蹲り、声にならない声を出しながら、歓喜の涙を流していた。
(……よかったね、出久)
そしてそばでその姿を見ていた茜も目に涙を浮かべていた。
――――言い忘れていたけど、これは僕と《彼女》が最高のヒーローになる物語だ。
三話これで終わります。
やぱりここら辺は原作でもアニメでも好きなんですよね、流れが完成されているって言うか……
ここまで原作通りですが、ここからちょくちょくオリジナル要素を入れ行きたいと思ってます。
櫻田岬の能力「感情分裂(オールフォーワン)」の名前を変更した方がよいですか?(活動報告もあります)
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変更した方がよい
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変更しない方がよい