出来る限り誤字や脱字はないようにしますが、あった時はよろしくお願いします。
「ハァ…ハァ……」
「待ちやがれー!!」
とある日の夜の路地裏、フードを深くかぶった赤のパーカーの男が3人の男達から必死に逃げていた。
男達は所謂チンピラ
赤パーカーは巷に噂になっているヴィジランテだった。ヒーローの目が届かない裏路地やヒーローの巡回がない時間を狙ってナンパやカツアゲなどしているチンピラを邪魔して人々を守っていた。
ただ、赤パーカーのヴィジランテは、正義感は強いのだが、あまり個性と身体能力は高くないためチンピラどもに追いつかれたり、個性で動きを止められたりなどすることが多かった。
ただ、これまで彼がチンピラに捕まったなど顔をさらしあげられたりしなかったのはある理由がある。
『こっちだ』
離れたところから赤パーカーの男に向かって1人の人が呼びかける。
そこには狐のお面を被った1人の長身の男がいた。
その男を見たチンピラの1人は狐面の男を警戒する。
「奴だ!あれがあのヴィジランテの協力者だ!」
「噂の強個性を持つ協力者の1人っていうわけか!?」
「関係ねえ!先手必死だ!!」
チンピラの2人が強個性持ちの協力者に対して警戒している中、1人が警戒心なく個性を狐面の男に発動する。
チンピラは緑色の体にぶつぶつがある異形タイプで口から酸を飛ばす。
酸が狐面の男に届きそうになった時、狐の面の男は姿を消す。
「!?どこに行った!?」
「ここだ」
チンピラ達が狐のお面の男が消えて姿を探していると異形の男の前に現れた。
いきなり現れて、チンビラ達は狼狽える。そしてお面の男は異形の男を触ると一緒にその場から消えた。
「き、消えた!?」
「バカ!奴の個性だ!きっとテレポートの個性であいつは遠くに…「正解だ」
チンピラの1人はいきなり相手によって自分たちの仲間が消えて戦慄した。
リーダー格の男は冷静に相手の個性を分析して結論を出すが、狐のお面の方が一歩上手のようで、リーダー格の近くに急に現れて、彼に触り、瞬間その場は消えていった。
「ヒッ」
その場に残ったキャップ帽を被った男は仲間が1人1人いなくなっていく恐怖に怖じ気づき、恐怖のあまり自分の個性の『車輪』を使いその場から逃亡を行う。
男の個性は手と足から小さな車輪を出すもので四つん這いになり、車輪を使い高速移動をしだす。
キャップ帽は消えていって消息不明の仲間の二の舞にならない様に必死に逃げだそうとしていた。
「冗談じゃねぇ…女をお持ち帰られるからって話に乗ったのによぉ……話が違うじゃねぇか!」
「清々しいほどのクズだな」
「あっ……」
文句を言いながら逃亡するチンピラの目の前に現れる狐のお面の男。
キャップ帽は顔を青くしながらも方向転換して狐のお面の男がいる方向とは反対方向に逃げ出す。
男には具体的な行動目的はなかったが、ただ他の仲間なようになりたくなかったために必死に逃げているだけだった。
(ここら辺の道は俺のほうが詳しい。複雑な道に入っちまえばいくら瞬間移動の個性だろうが逃げられる――「ぐへぇっ!」
逃げる算段を必死思考するギャップ帽―――次の瞬間、視界が真っ赤に染まった。
それは血―――ではなく、カラーボールによる塗料であった。
ギャップ帽から少し離れた先には赤パーカーのヴィジランテが待ち構えていて、彼が赤のからボールを投げつけたのだ。
いきなり目の前が真っ赤に染まったギャップ帽は混乱しつつ、回りながらも車輪に急ブレーキをかけて壁にぶつかる前に止まる。
「ふぅ…アブねぇ…危うくぶつかるところだったぜ」
「どちらにせよ。お前はこの場からいなれないがな」
「ゲッ」
壁にぶつからずに安堵していたキャップ帽が声を上げた瞬間、狐のお面の男と一緒にその場から消える。
そしてその裏路地には誰もいなくなって静寂だけ残った……。
▼▼▼▼
「もう夜の町はあんまり歩かない方がいいよ。君みたいな子は狙われやすいから」
「心配してくれてありがとう。でもその時はまたアンタに助けて貰うから」
「いや……流石にそれはやめて欲しいな」
「ごめんごめん。冗談だよ。こうして夜の町を歩いたのもアンタと再会してこの前のお礼を言いたかっただけだし。とりにかく、この前と今日も含めて助けてありがとう」
「どういたしまして」
(意外とこの人、見た目と違ってヤンチャだなぁ……それだけ僕に感謝してお礼を言いたかったんだろうなぁ…この前にさっさと去るべきじゃなかった)
狐のお面の男の個性によってチンピラ達がどこに飛ばされた後、赤パーカーのヴィジランテは3人にナンパされていた女の子に夜に出歩くことに注意を促していた。
実は赤パーカーが、彼女がナンパされているのに出会うのは初めてではなく二回目だったた。
オレンジ色のサイドテールの美少女の彼女だが、見た目と違ってかなり気が強く姉御肌だった。最初であった時は、普通にナンパされていたのではなく、ナンパされていた女の子を助けるためにチンピラ達と女の子の間に入っていた。そんなたくましい子であった。
今日は前回、自分と女の子を助けるためにさっさと姿を消してしまった赤パーカーを探すために危険な夜道を歩いていた。
今回は赤パーカーが注意をするために声を掛けたのだが、彼女の大胆な行動にちょっと呆れていたが単純に自分にお礼を言いたかっただけだと理解して、無駄に危険な目に遭わせてしまったと後悔した。
それから少し話して赤パーカーは彼女と別れた。
「はぁー…今日はこれくらいにするかー」
ナンパから助けた少女を返してから約3時間後、赤パーカーは背伸びをして、脱力をする。
あれからカツアゲもあったが、被害者も逃がして自分も無事なので今日は特に問題なく、活動できたといえよう。
今、彼がいるのは人気がない場所で時間は大体10時ぐらいの時間である。ここらへんからヒーローの見回りもそこそこ活発なるので一般的にヴィジランテ扱いになる彼は早く帰らないとヒーローに捕まってしまう恐れがあった。
(今日は遅くなったな…早く帰らないとお母さんに心配させるな……)
「おい」
「えっ」
今日のヴィジランテとしての活動を終えた赤パーカーは、家で待っている相手に気遣いながら帰路についていると後ろから声を掛けられ、振り向くとその場から姿を消した。
「うわっ!」
赤パーカーが声を出すと周り風景もといいた場所自体が変わっていた。
落ち着いて周りを見ると人の気がなく、手すりも錆びれている3階ほどの廃墟ビルの屋上だった。
そして目の前には数時間前にチンピラ
赤パーカーはその男の目の前にしても慌てることがなく、むしろ落ち着いた様子をとっている。
「ここなら人に見られずに話せるな。お前の家の近くだから話が終わったらすぐに帰れるぞ」
「…誰かに僕達の正体を見られないためとはいえ……瞬間移動するときは一言言ってくださいよ!
「一言は言ったぞ。
赤パーカーのフードをとり、顔を晒した出久は強引なやり方でここに連れてきた第一王子の櫻田修に不満をたれる。
付けていた狐のお面を外した修は出久の言い分をばっさり切り捨てる。
そんな修の態度を見て、これ以上の追及は無駄だなと悟った出久はとりあえず、修に頭を下げた。
「とりあえず、修さん。今日もありがとうございました!」
「礼はいい。
「で、でも…僕が勝手に
「そう思うなら最初から
「うっ…おっしゃる通りで……」
「…いや、今のは俺も言い方が悪かった。ただ、お前に何かあったら茜が悲しむからな」
根本的な問題点を修に言われて、出久は言いよどんでしまう。
その様子を見て修も言い過ぎたと思ったのか謝罪する。
出久はある日を境に
ただ、ヴィジランテというのは正式なヒーロー免許なしでヒーロー活動をしているために一般的には
とはいえ、出久は”無個性”の時から始めていて、やったこととは自分が囮になって、チンピラに絡まれていた人を引き離したくらいだ。個性さえて使ってない(というか使えなかった)のでヴィジランテとして分けるのは正しいかも微妙なラインだ。
そんな出久が今まで正体がバレずに活動できたのも強力な個性持ちの協力者――櫻田兄弟姉妹の年長組の手助けがあったからだ。
「本当にいくらお礼を言っても足りないくらい櫻田家の人々にはお世話になりっぱなしで……来年、雄英にいくので自分のヴィジランテもどきは今年で卒業しますのでその時までは…」
「いや、
「…そうならないように近くの事務所に要望で裏路地などのパトロールを強化してもらうように出しておきます。この近くには『シンリンカムイ』の事務所がありますから伝えたら聞いてくれると思います。…ヒーローの仕事を増やすみたいで悪いですけど」
(
雄英に入るので今のうちにヴィジランテの活動をやめると修に伝えた。
それを聞いて修は少しほっとしたかのように少し口元を緩める。
出久がヴィジランテ活動をし始めていた頃に偶然、葵がこのことを知り、他の年長組の奏と修に話して出久のヴィジランテに手を貸すようになった(曜日ごとに三人が担当をする日が違うようにしている。ちなみにこのことについて茜は出久=ヴィジランテのことを含めて知らない)
最初、出久がヴィジランテだと知った葵は彼にやめるように説得しようとしていたが、出久の意思が強いことと修か考えていたように少しだけでも出久に夢を見させてやろうと考えていたのである。
ちなみに出久が最初はオールマイトのパーカーを着て活動(昔、鳴羽田町という町のヴィジランテがそうしていたらしい)しようとしていたが、もしも幼馴染の爆豪にヴィジランテのことを知られたら自分と結び付けられてしまうのでは?と考えてあえて自分のイメージから外れた赤のパーカーを着て活動していたのである。
なお、修のお面も正体をバレない様に被っている物であり、日によって変わっていっている(この前は狸のお面だった)
前に出久が何か意味があるかと聞いたら「趣味だ」と答えられて「趣味」とつい連呼してしまったのは今でもいい思いであった。
「そうか…雄英を受けることはヒーローオタクだからわかっていたが、まさかその年で個性が発現するとはな」
「はい。個性が出た時は皆さん、自分のことのように嬉しがってもらって、櫻田家でパーティーまで開いて貰った時は驚きましたけど」
出久が個性を発現(と表側ではなっている)から3ヶ月経っていた。
出久は個性が発現したことを櫻田家に話した後にすぐにバーティ―を提案されて、数日後櫻田家に招かれて行われたことを思い出した。
誕生日やクリスマスパーティーなどで招かれたことはあった(流石に大晦日で城とかでするようなレベルには参加しない)が、まさか個性が発現しただけでパーティーを開くとは思わなかった。
とはいえ、親しい中の出久でも王族に好意に断ることができるわけがないのでその時はそのままパーティーに出席して楽しんでいた。
「まぁ、当然だろう。お前はもう家族みたいなもんだからな」
「そんな…いつもしてもらっているばっかりで何も返せていないのが悪くって…」
「それならいつかプロヒーローになって返せばいい」
「……確かに櫻田に恩を返すのはそれしか道がないですね」
(なら、もう命をかけるような行為は避けよう。櫻田に将来、恩を返さないといけないし、そもそもオールマイトの後継者として認められているんだ。死んだら意味がないじゃないか)
修に将来、職について自分達に恩を返すように言われて出久は将来のために必ず返すことを決めた。個性が発現した時のパーティーを抜きにしても幼いころから彼らに世話になったことは思い出してもキリがなかったりする。
昔、友達を庇って刺された日から出久は”無個性”の自分にできることを探していた。そして『無個性の自分が出来ることは小さい事や自分を犠牲にして助けられることしかない』という歪んだ考えを持ってしまった。
だから、無茶してヴィジランテとして活動していたのも茜をヘドロ
今はオールマイトの後継者として個性を受け取った今ではもうそういう考えはしないでいこうと考えていくだろう。…ただ、自己犠牲の精神はなくなるかは別だろうが。
「そういえば、テレポートで送った人達はどうなりましたか……?」
「きちんと話が付いている警察署に送ってやったから心配するな」
「よかった…いや、でもいくら警察と話をつけているとしてもヒーローでもないのに個性を使ってチンピラを警察に送り届けていいのだろう?正当防衛扱いにはちょっと一方的個性を使いすぎるし、そもそも王族という権力を使って密かに個性を使ってチンピラだとしても
「お、おう…出久、声が漏れているぞ」
ふと出久は今日、修の個性で飛ばされた人たちの行方衣が気になったので軽く尋ねると話をつけている警察の所に飛ばしたという返答すると安堵する。
最初の頃は海やら山の中などのちょっとやばい所に飛ばされていたので毎回心配だった。
だが、今日は少し深く考えすぎてそもそも『ヒーローでもないのに警察にチンピラなどを渡していいいのか』など考えを始めて、修に指摘するまで集中していつもの癖でブツブツと声に出してしまう。
櫻田修の”個性”
彼の“個性”には一見、弱点がない便利能力のように見えるが瞬間で移動した距離の上限が来たら、ある程度インターバルを開けないと使用できない仕組みであった。
ちなみに最大距離は東京から沖縄の間(片道)で一度に移動できる重さは一般三人分。無茶すると体に負担が来る。
修は父親の王様を通し警察と話をつけて、自分のテレポートでチンピラ達を留置できる場所を作ってあり、そこにテレポートで送っていた。
無論、普通はこのようなことは許されることはないのだが、権力の乱用って言うやつである。
ただ、警察も王族相手に意見できるわけがなく、チンピラとはいえ
このことを知っているのは出久、修、王様と年長の長女と次女だけである。
「はっ!またやっちゃった…すいません、いつもの癖で……」
「いや、それはいい。ただ、一つ言わせてくれ……『バレなきゃ犯罪じゃない』」
「問題発言!!」
修に指摘されて出久は自分がまた癖でブツブツしていたことに気が付き恥ずかしくなる。
そんな出久をフォローする気なのか先ほどのブツブツの内容に対して一言言うが、それが王族として問題発言過ぎたため思わず出久は突っ込んでしまった。
出久も後ろめたい心があり、実は未だにヴィジランテのことをオールマイトに話せていなかった。
いくら自治活動と言われる行動でも一般的にはヴィラン扱いだ。もしかしたら後継者という見限られるかもしれないという恐怖があった。
だが、いつまでも隠し通せるものではない。いつか話なければならないことだ。
出久はそれに気が付きながら少なくてもヴィジランテの活動を終えるころには絶対放そうと心に決めていた。
「それじゃあ、帰るか。送っていくぞ」
「はい。ありがとうございます!」
こうして出久のヴィジランテの活動も今日も過ぎていくのだった……。
▼▼▼▼
「本当に受ける気なの?」
「私は本気だよ」
出久と修が会話しているほぼ同時期に櫻田家では茜と第四女のピンク色のポニーテールの櫻田岬(さくらだ みさき)が岬の部屋で向かい合って話し合っていた。
「雄英って国立で偏差値79の所だよ?本当に大丈夫?」
「大丈夫だって、勉強は遥に教わるから」
「…僕が教えるの前提かよ」
茜の問いに勉強は教わるから心配と答える岬。
そのことを部屋で聞いていた紫髪の第二王子で岬の双子の弟の遥はぼやく。
茜と遥は雄英に受験するという岬に打ち明けられて岬の部屋に話し合っていた。
「そもそも岬が雄英に行くのって遥が受験するからだよね…?」
「!?そ、そそそんなわけないじゃん!!!」
「昔から岬って遥のことになると後先考えずに動くからねー」
「もー!違うってば!そもそも茜だって雄英に行くのって出久が行くからでしょ!」
岬の耳元で茜は彼女が遥目当てで行くことを指摘する。
すると岬は誰の目から見てもわかりやすく動揺した。
それに対して茜は余裕な態度をとっていると岬は逆に出久が目当てで雄英に受験することを指摘する。
「!!?な、なにを言っているの!!出久は関係ないでしょ!?」
「いや隠してもバレバレだって。百ちゃんが誘ってくれたのが断れられなかったとか理由をいくつか作っていても結局は出久がいなきゃ、雄英に行く気なんてない癖に。素直になりなよ」
「なななに言っていているの!?私はいつも素直だよ!!」
「はぁ…これじゃあ、いつか出久に告白する前に誰かに取られちゃうよ?」
「取られるって何!?岬にそんな心配される筋合いないんだけど!?」
(はぁ……姉妹喧嘩は別でやってくれないかなぁ……)
自分の想いを逆に岬に言われて、茜は必死に出久への好意を否定する。
そんな茜を見て、岬は今度は自分の番だというかのように彼女を煽る。
彼女がいくら煽っても茜は自分の出久への好意を認めないので、そのままだと出久が取られると焚きつけるこというと茜は怒りだして更なる口喧嘩に発展してしまう。
近くにいた遥は明らかに呆れ顔でその様子を見ていた。
(本当は岬に黙って行く気だったけど…やっぱり無理だったか。まぁ、『岬に雄英に行くのがバレる確率88%』だったからなるようになったことだけど)
遥は双子の岬に受験先を言わずに1人で雄英に通う気だった。
彼には岬とコンプレックスがあったためにそれから離れるために岬とは別の学校に行こうとしていたのだが…バレて一緒に行くという話になってしまっていた。とは、いえそれは”高い確率でなることがわかっていたこと”だが。
遥の個性『
この個性は櫻田兄弟姉妹の中でもあまり強い個性として一般的に思われていなく、ネットなどで馬鹿にされているような個性だった。
それでも遥にとってある程度予測できるだけでも日常でそこそこ役に立っているので満足していた。
(こうなったらプランBに移行するとするか…岬は望むかどうか分からないけど……)
雄英の受験がばれてしまったのでこんな時に考えていた作戦に変えることにしていた。
そもそも遥は
ヒーロー科を受ける予定になっているが、それも岬に知られて急遽入れただけで彼は自身はヒーローを最初から狙っていなかったのである。
「それにしても2人共、ヒーロー科かぁ…倍率もそうだけど、実技試験はどうする?2人共戦えるの?特に遥」
「…僕は僕なり準備するよ。岬の方はどうなの?」
「え?私?うーん…
茜は2人が戦闘系の個性ではないため実技試験を突破できるか気になっていた。
遥は自分で用意をしていることを伝え、岬に話を振る。岬は能天気に答えを返すと体が桃色に光り、7つのリングを生み出してそこから岬と似た人の姿になる。
「全く、岬の無計画性には呆れますわ」
「私達はあんたの分身でしかねーんだ。無茶を言うんじゃねぇ!」
「自分はただ指示するだけに偉そうに」
「人間相手なら色仕掛けで簡単なのにねぇ~」
「…………」
「でも受かったら受かったらで楽しそうじゃん!」
「…………………眠い」
それぞれ今の岬と見た目と服装が同じ分身が現れてそれぞれの感想を言い始めた。
これが岬の個性『
「………あれ?みんなやる気なし?」
「いや、どう考えても戦闘向きじゃないしネットとかだと雄英の実技試験はロボが相手らしいし、数だけで突破できる問題じゃないだろう」
拍子抜けの反応をする岬に遥がネットで知った雄英の実技の内容を伝えて、数だけではない現実を伝える。これはあくまで遥の優しいで「きちんと準備をして受けろ」と遠回りの忠告だったりする。岬に伝わっているかは別だが。
「あはは…まさか素手で参加しようとか考えていないよね?」
「え?バットで行こうと思っているけど」
(それはそれで無謀すぎるよ……)
少し抜けている岬が素手で試験に参加するのでは?と心配になった茜は彼女に質問すると素手とあまり変わらないもので参加しようとしていたので茜は呆れて声も出なかった。
ちなみに茜は2人より早く生まれていて岬と遥の姉なのだが……彼女と双子はそれぞれ同年度の5月と3月に生まれたという事もあり3人が同学年という奇妙な状況が生まれていた。
茜はそんなこともあり、2人を弟と妹として認識しつつ、同い年のように気軽に話し合っているのであった。
「折角、7人いるんだからきちんと武装して受験に臨んだ方がいいよ。筆記の方は遥に見てもらうとして」
「そうだね。まだ7ヶ月もあるから今のうちに武装した方がいいね。勉強を遥に見てもらうよ」
(僕が岬の勉強を見ることは確定かよ…はぁ)
受かるためにきちんと準備した方がいい忠告する茜とそれを素直に受ける岬。
勉強は自分が見るのがなぜか勝手に確定しているのをきいて、溜息を心の中でつくのであった。
▼▼▼▼
「ハァァァッッ!!!」
修と出久がヴィジランテ活動してやめることを話してから更に三カ月がたって10月になっていた。雄英の受験日まであと半年を切っている。
山奥の広場で出久は個性を使って鍛錬を行っていた。
人に個性の特訓を見られずに迷惑をかけずに使える場所としてここが最適だった。
家よりずっと遠くで来るのに大変な所があるのだが、それが逆に足腰を鍛える修行になっていた。
「出久さん、鍛錬に力を入れることは良い事ですが少し休んだ方が……」
「ありがとう、八百万さん…でも、僕は普通の人と比べて個性が発現してから10年以上の
空白あるんだ…多少の無理をしないと追いつけないよ」
「出久さん……」
訓練に付き合っている八百万は無茶をする出久を心配していた。
少し前から出久に頼まれて。訓練に付き合っていた。
先ほども出久が個性を使って八百万が作り出した壁に蹴りを入れていた。
八百万百の個性『創造』。自分の体内(脂質)からあらゆる無生物を創り出す事ができるもので、出久は彼女に頼んで壊したものの次に強度が高いものを作ってもらい徐々に破壊するもののハードを上げて力を上げる鍛錬をしていた。
「気持ちはわかりますが…海浜公園で清掃を行い、日々鍛錬と受験の勉強をこなしながらここで個性の訓練というのは素人目からしてもオーバーワークすぎますわ」
「分かっているけど…僕の個性は身体強化系でまだまだ使いこなしていないからね。ある程度使いこなした状態で受験に挑まないと安心できないよ」
「確か出久さんの個性は『
「そ、そうだね…」
八百万は出久に個性が現れたことを思い出して、まるで自分のことのように嬉しがった。出久はそんな八百万を見て複雑な心境になった。
出久はあれからワン・フォー・オールを安定使いこなすようになり、全身に個性を纏わせる事ができた。
だが、全身は15%。一部分なら20%でオールマイトの力と比べたらまだまだである。
なんとなくで100%の力を引き出せたオールマイトと違って今の出久では100%の力を出そうとしたら器が耐え切れず破壊されてしまう。
そのため体に耐えられる
出久は『自分はオールマイトではない』と自覚しており、彼の
彼がヴィジランテで学んだ1つ、『使えるものは使う』ということ。憧れは悪い事ではないがその相手に倣ったままだと一向成長できずにくすぶるだけだった。既成概念から外れて、色んなものをできるだけ使う…それが出久が結論付けたものだった。
ちなみに出久の個性名は役所に個性変更の時に申請したもので『
「それにしても訓練に突き合わせてしまって悪いね。僕、友達少ないからさ、鍛錬に付き合ってくれる人がいなくって……」
「いいえ、友達が困っているのを助けるのは普通のことですわ!移動のことなどは心配しないでください。私の方には専門の運転手がいますから!」
「あははっ…でも本当にありがとう、八百万さん。迷惑になっていなければいいけど…」
「は、はい!そ、そんな迷惑だなんて………実は茜さんより私を頼ってくださったのが嬉しかったり……」
「?」
別の県の出身のために週一回とはいえ呼び出して練習相手になってもらい申し訳そうな気持になってお礼を言いながら迷惑ではないかと聞いてしまう。
それに対して八百万は否定しつつ、顔を赤くして出久に聞こえない声で心嬉しい気持ちを暴露する。
八百万は昔から出久が努力して頑張っていたのを知っており、そんな勤勉で努力家の出久に少なからずの好意を持っていた。
彼女がお嬢様学校育ちであまり男性と関わったことがなく、小さいころからよくかかわる唯一の男性が出久だったせいもあるかもしれない。
勿論それだけではないのだが……。
「と、とにかく、雄英の試験日まであと4ヶ月。頑張っていきましょう!!」
「おー」
(八百万さんも力を貸してくれているんだ!無様な結果は見せられない!奏さんにも試験のために頼んだもの作って貰ったし……)
自分の浮かれっぷりに気が付きすぐに出久を鼓舞し、誤魔化した。
出久はつられるように応答した。そして雄英の受験のために力を貸してくれている人たちのためにも頑張らなきゃ!と自分に奮い立たせる。
(今の僕はオールマイトのおかげで立てなかったはずのスタートラインに立てているんだ。ここで頑張らないとどこで頑張るっていうんだ!)
自分の足をバンと叩いてやる気を出させて、出久は歩き出す。
オールマイト、母、櫻田家の皆、八百万百…出久はみんなに支えられてここにいる。
1人の力でないことを再確認して出久は八百万と訓練を再開するのであった。
色々設定変更しました。
岬の個性は『
また年齢とか絡みをさせにくい岬と遥は同学年に。その結果、茜ちゃんの誕生日が5月で双子の誕生日と入れ替えに…。
最初は茜の誕生日をそのままで双子が姉と兄だったのですが、書いてて「意味あんの?」と思ったために誕生日変更で落ち着きました。
早生まれだと双子ではなくても同学年の兄弟の可能性があるとネットで見たもので活用しました。
自分の解釈が間違っていたら誰か言ってください。
そして八百万を出久に惚れさせた設定にしましたが…彼女が彼に惚れた理由はきちんと考えていますのでそれが本編に出るまでお待ちください。