ウマ娘超光速戦記 -TACHYON Transmigration-   作:LN58

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制作報告  自主制作特撮ヒーロー、その名は聖騎士ストライダー

 

この度、北アイルランド系テロリスト:ブラッド・アンド・バーンズ(血と旱)の黒魔術師が召喚した魔獣:ジャバウォックとの戦闘で担当ウマ娘より一足先に実戦投入(メイクデビュー)――――――、

 

新たに遭遇した人類の脅威を前にして初めて変身(HEN-SHIN)することになったのが自主制作特撮ヒーロー、その名は“聖騎士ストライダー”である。

 

モチーフになっているのは『聖闘士星矢』と『仮面ライダー』であり、両者の名前を掛け合わせることで『聖騎士(St.Rider)』と言う名付けとなっている。

 

 

聖闘士星矢(Saint Seiya)』+『仮面ライダー(仮面騎士)』=『聖騎士(St.Rider)

 

 

つまり、『Saintの略称:St.』を文字通りに発音して“スト”、『ライダー』の漢字表記は“騎士”なので、“Saint Rider(聖騎士)”縮めて“St.Rider(ストライダー)”となるわけである。

 

そして、ストライダー(strider)とはウマ娘レースでも有名なストライド走法*1をする者という意味が元々なので、その名の由来どおりにストライダー(St.Rider)が行使する四次元能力:空間跳躍はある点とある点を極限まで圧縮した一歩であり、まさしく極大の大股の一歩によるストライド走法の究極を実践したものとなる。

 


 

ここで、なぜモチーフが『聖闘士星矢』と『仮面ライダー』なのかと言うと――――――、

 

私がリーダーを務める百尋ノ滝の秘密基地に集まった面々:チーム<アルフェラッツ>の由来は現在のアンドロメダ座アルファ星“アルフェラッツ”であるが、元々はペガスス座デルタ星であり、その語源もアラビア語で「馬」を意味するアル=ファラスである。

 

つまり、私の宿星となる“愛と勇気と冒険の星”アルフェラッツは現在はアンドロメダ座の一番星ではあるが、本来はペガスス座ということで、『聖闘士星矢』の主人公:天馬星座(ペガサス)の星矢に因んで“聖闘士(セイント)”を名乗らせてもらっているわけである。

 

私自身が『聖闘士星矢』の大ファンなのもあるし、宇宙移民にとってはまさに聖典と呼べるバトル漫画であり、別に主人公の名前までもらっているわけじゃないんだから いいじゃないか、これぐらい。

 

実際、聖闘士(セイント)は女神アテナに仕える人類の自由と平和のために戦う希望の戦士であり、自己の実力の及ばないところを天佑によって補うため、それぞれが天空の星座を象った聖衣(クロス)を纏って戦う設定であり、

 

その戦闘能力は下級戦士の青銅聖闘士(ブロンズセイント)ですらマッハ1前後の音速拳の使い手で、上級戦士の白銀聖闘士(シルバーセイント)は音速の壁の次に来る熱の壁を超越したマッハ2~5の超音速拳の使い手となる。

 

最上位の黄道十二星座に由来する12人の黄金聖闘士(ゴールドセイント)にいたってはもはや実力の差が隔絶しており、音速の100万倍の速さの光速拳を当たり前のように使う誰もが認める最強の戦士たちである。

 

しかし、たとえ下級戦士の青銅聖闘士(ブロンズセイント)であろうと女神アテナのために小宇宙(コスモ)を燃やすことで最強の黄金聖闘士(ゴールドセイント)をも凌駕することもあり、

 

黄金聖闘士の血を浴びた聖衣は纏う聖闘士が小宇宙を第七感(セブンセンシズ)まで高めることによって、形状は元の聖衣のままで黄金色に輝いて硬度が増した状態の『黄金聖衣に限りなく近い聖衣』となる場合があり、無限の進化の可能性を秘めていた。

 

以上の全世界を熱狂させたバトル漫画『聖闘士星矢』のこの設定が極めて“特異点”として四次元能力を行使する現在の“斎藤 展望”の能力を例えるのに適しているわけなのだ。

 

 

女神アテナに仕える希望の戦士 → 三女神に遣われてウマ娘の異世界を取り巻く脅威を排除する皇宮護衛官の息子

 

音速拳の青銅聖闘士(ブロンズセイント)、超音速拳の白銀聖闘士(シルバーセイント)、光速拳の黄金聖闘士(ゴールドセイント) → 時間跳躍能力によって現実世界の物理法則や因果関係を超越した超スピードの攻撃を繰り出せる“特異点”

 

黄金聖衣に限りなく近い聖衣 → 担当ウマ娘:アグネスタキオンの薬で黄金色に光り輝く肉体

 

天空の星座がモチーフ → トレセン学園のトレーナーチームの名の由来は星座を構成する恒星

 

 

一方、『仮面ライダー』がモチーフというのもそのままの意味であり、素顔を晒して行動するわけにはいかないので仮面を被るし、ヒトを超越した身体能力を持つウマ娘さえ超える脅威に対抗するために改造バイクを乗り回すのだ。

 

あとは、アグネスタキオンが提供する肉体改造強壮剤によってどんな怪物をも凌駕する最高の肉体を得た改造人間になっているのも理由の1つだろう。実際、普通の人間なら束になっても押し返せるほどの怪力を私は身に着けている。

 

あるいは、“仮面ライダー1号”本郷 猛がIQ:600にしてスポーツ万能の頭脳・肉体ともに類稀なる優秀な能力を持つ大天才であり、その頭脳明晰さで敵の作戦を看破して対抗策となる発明もこなしてみせる一方、

 

悪の秘密結社:ショッカーに拉致されて改造人間にされてしまい、普通の人間でなくなったことに苦悩しながら、人類の自由と平和を守るために孤独な戦いに身を投じているのも、誰の助けも期待できない今の私の戦いと重なるものがあった。

 

けれども、孤独であっても人の心の温かさを忘れ得ぬ絆がたしかにあるのだ――――――。

 


 

さて、“聖騎士ストライダー”のプロトタイプは23世紀の宇宙時代にノーマルスーツと呼ばれて一般的に宇宙で着用される全身黒タイツのような宇宙服を再現することを目的にしたものであり、

 

宇宙空間での日常生活や突発的な緊急事態においても邪魔にならないような軽さと着心地と作業性と機能性と生存性が重視されており、この1着だけであらゆる惑星の環境に対応できる生命維持装置として開発が進められていた。

 

言うなれば、船乗りが着用を義務付けられている宇宙時代のライフジャケットになるものであり、21世紀の宇宙服は船内服と船外服に大別されているようなものとは雲泥の差があるものである。まずはこの2つを統合するところから今から200年先の23世紀では標準的な真の宇宙服に近づく。

 

一口に宇宙服に求められる機能を列挙すると、『気密性と気圧の調整』『動きやすさ*2』『呼吸に必要な酸素の供給と二酸化炭素他の除去*3』『体温の調整*4』『宇宙塵、デブリ、紫外線など宇宙線からの防護』『外部との通信』が挙げられ、これだけの機能を搭載しなければならないために宇宙空間での活動やファッション性に大きな制限が掛けられていることが想像がつくだろう。

 

そのため、23世紀から見ても宇宙服の究極となるのが現代の宇宙開発事情の参考に見ていた 実写映画で軌道エレベータが登場した世界初の作品となる特撮ヒーローのヒーロースーツであり、特撮ヒーローとして必要不可欠な戦闘シーンはもちろん、大気圏突破のバイクスタントもこなせる他、大気圏離脱からのシームレスな宇宙空間での活動も可能にしていたアレである。

 

あるいは、『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』に出てくるヘルメットをつけるだけで船外活動を可能にするパイロットスーツでもいい。

 

とにかく、当たり前のように宇宙船の中と外をシームレスに行き来できるような 21世紀の宇宙科学からするとオーパーツに思えるが 日本の特撮やアニメの中では当たり前の万能宇宙服を大量生産するのが最終目標となる。

 

私の場合は地球文明の後継者として伝統衣装を着ることが多いため、ファッション性を確保できるようにインナースーツになる全身黒タイツを好んでいる。

 

実際、宇宙空間の厳しい環境に耐えられるライフジャケットなのだから、地球上で普段着にしてもなかなかに使い勝手がいいものに仕上がるので、私自身が完成した試作品を着回していたいぐらいだ。

 

 

そうした中、このヒトとウマ娘が共生する異なる進化と歴史を歩んだ地球において様々な脅威と対峙することになる“特異点”の私だが、近くに発動機となるアグネスタキオン’(スターディオン)がいないと切り札となる四次元能力が使えないという致命的な弱点を解決するべく、

 

三次元世界と表裏一体の四次元空間に直通のトンネルを結んでアグネスタキオン’(スターディオン)が近くにいなくても四次元能力が使えるように研究をしていたのが聖甲虫(スカラベ)を利用した自主制作ヒーロー“聖騎士ストライダー”への変身システムである。

 

原理としては、聖甲虫(スカラベ)自体はコーカサスオオカブトに身を窶した賢者ケイローンとの思い出から虫相撲の玩具を改造したものに過ぎないが、四次元能力を行使するために必要なヒーロースーツを召喚するために必要なビーコンとなり、まず時間跳躍(ジョウント)してくる聖甲虫(スカラベ)とコンタクトすることで要求側の四次元座標を固定。

 

コンタクトした一瞬に四次元空間に肉体が転移し、四次元空間の高次元の情報の渦に洗い流されて存在を消失しないために四次元空間耐性を持つ装甲材の蛹のようなものに包まれることで内部でヒーロースーツが瞬間的に装着され、

 

四次元能力の行使を承認する発動機:アグネスタキオン’(スターディオン)との連絡に四次元トンネルが結ばれて直接的に脳に要求が発信されるのだ。これで“聖騎士ストライダー”の変身プロセスは完了である。

 

基本的に承認者が要求を拒否することはしないため、即座に承認が返信され、現実世界の位置や距離を無視して四次元空間で点と点が空間跳躍で密接した双方向のトンネルが開通されることで、“聖騎士ストライダー”に変身した私は瞬時に超常の存在に対抗できる万能宇宙服を着用した戦闘形態(ヒーロースーツ)を取りながら切り札である四次元能力の行使における大きな制約の1つを解除することに成功したわけである。

 

言うなれば、三次元世界では目にすることができないが 四次元空間では“特異点”である私の座標と発動機となるアグネスタキオン’(スターディオン)の座標が完全に重なっているかのように隣接した状態になっているので、まるですぐ隣にいてくれているかのようなリンク状態になっているわけなのだ。

 

つまり、私が四次元能力を発動する基本原理は何も変えていない。ただ、どんな状況においても基本原理である『発動機となるアグネスタキオン’(スターディオン)が隣にいる状況』を三次元世界と表裏一体の四次元空間に直通のトンネルを結んで空間跳躍技術で極限まで距離を圧縮して創り出しているわけであり、

 

三次元世界における変身(HEN-SHIN)はまさに一瞬の出来事であり、その一瞬だけ四次元空間に肉体が消えているので、変身(HEN-SHIN)を妨害することは基本的に不可能。四次元空間まで追いかけてきて自身が高次元領域の情報の波に飲まれてデータに分解されて消えてしまわないだけの準備と覚悟が要る。

 

付け加えて、ビーコンとなる聖甲虫(スカラベ)をコンタクトする前に叩き落とすしか妨害手段はないが、その聖甲虫(スカラベ)にいたっては時間跳躍(ジョウント)によってどこからでも現れるとなったら対処のしようがない。

 

しかも、ベースにしているのが虫相撲の玩具ということで世界的に有名な最強のカブトムシやクワガタムシの好戦的な性格が反映されているためか、元は玩具のはずの聖甲虫(スカラベ)でも攻撃したら手痛くやり返すぐらいの自衛能力がある。

 

これが去年のクリスマスの奥多摩攻略戦で獲得した並行宇宙を支配する侵略者“フウイヌム”の空間跳躍技術と“特異点”による時間跳躍能力の合わせ技の集大成であり、

 

WUMAを退けた後にこうして新たに遭遇することになった黒魔術師が召喚する魔獣や謎の機械生命体“ロイヤル・ナムーフ”といった未知の脅威たちを難なく撃破することに成功している。

 

いや、正確にはちがう。“聖騎士ストライダー”の姿はあくまでも21世紀で言う船内服と船外服を統合した万能宇宙服として開発されたものがベースであり、四次元能力の行使は“特異点”である私だからできることである。

 

そのため、使用する武器に至っても生身で扱える使い捨てのプラズマジェットブレードが主力で、四次元能力を絡めて相手が認識できない一瞬に斬り捨てるものなので、それ自体は生身の頃からやっていた必殺戦法ということで、このヒーロースーツそのものには攻撃性能はないのだ。パワーアシストスーツなどではないのだ。

 

私が変身したコーカサスオオカブト仮面の他にもヒーロースーツを展開する聖甲虫(スカラベ)はいろいろと用意してあるのだが、基本的に変身者の体格や特性に合わせた調整が施されているだけで能力差というものはない。

 

つまり、一見すると戦闘能力が爆発的に上昇するパワーアシストスーツに思えるが、実際は宇宙時代のライフジャケットに過ぎないので、見た目だけの虚仮威しの自主制作特撮ヒーローのコスチュームでしかないのだ。この場合は、その宇宙時代のライフジャケットになる万能宇宙服で底上げされる環境適応力が一番の武器になっているとも言えるが。

 

そのため、“聖騎士ストライダー”の戦闘能力は完全に変身者の自前の能力ということである。その辺りも『聖闘士星矢』や『仮面ライダー』によく似ていると思わないか。

 

 

その実態が自主制作特撮ヒーローのコスチュームを着ているだけの“聖騎士ストライダー”には更なる怪人災害や想像を絶する脅威に対抗できる支援装備は欠かせないわけであり、

 

その第一号が改造バイク:スカラベエクステンダーであり、マイクロ波放電式イオンエンジンとガソリンエンジンのハイブリッドエンジンで通常時に410km/hを叩き出すモンスターマシンである。

 

その名の通り、時間跳躍技術の検証のために試作された聖甲虫(スカラベ)の機能を拡張するために開発された支援装備であり、バイクに乗った状態で四次元能力が使えることで目的地へ超スピードで急行するために開発されている。

 

聖甲虫(スカラベ)と合体することでどこからでも時間跳躍してバイクを出現させられるので咄嗟の移動手段としては通常時に410km/hを叩き出すので極めて優秀ではあった――――――。

 

が、そもそもとして、認識できる範囲にまで一瞬で距離を詰められる空間跳躍に対応している時点で、ただの移動手段として使うなら410km/hもスピードを出せる必要性はなかったことに気づいた時には後の祭りだった。

 

いやいや、ちがうんだ。当初の想定としては四次元能力が認識できる範囲にしか使えないからこそ最高のスピードを出せる支援装備で認識できない場所の隙間を埋めて、バイクの通行の邪魔になる障害物があったら四次元能力のワープで次々と回避していくことで相互補完するカッコいい走りをやりたかったんだ。

 

でも、いざ路上で走らせてみると、普通に考えてバイクの運転は視覚情報を頼りにしているわけなので、先行車が邪魔だからといって飛び飛びに短距離ワープして先へ先へと進もうとすればするほど、自分自身が1秒にも満たない連続ワープの視点移動に戸惑って それどころではなくなってしまうのだ。死ぬほどビックリするぞ、目の前のクルマの前にワープしたら更に先行車がいて車間距離がまったくないのは。普通に事故を起こす。盛大に事故る。

 

四次元能力は精神力に依存するのだから、軽い気持ちでワープしたら飛んでった先でビックリすることになり、それで集中力が途切れて次のワープが暴発や不発になる危険性を考えると、四次元能力による連続ワープをバイクでやろうとするのは自殺行為にしかならなかった。

 

それどころか、基本的には1秒にもならない一瞬にクルマとクルマの間を飛び飛びにワープする想定なのだが、その一瞬だけでも突如として未確認のバイクが割って入ることがどれだけ運転者の状況判断や心理状態に悪影響を与えるかは言うまでもないだろう。無意識に一瞬でも目に焼き付いた残像がサブリミナル効果となって後々になって事故を誘発させる幻覚となる危険性すらあった。

 

そういうわけで、地平線の端から端まで一気に距離を詰められるのが空間跳躍だというのに それを短距離ワープなんてセコい使い方をして多方面に渡ってサブリミナルに幻覚を撒き散らすのであったら、通常時に410km/hを叩き出せるようなモンスターマシンを公道で走らせるのは法的にも許されないことだし、第一にしてオーバースペックが過ぎるのだ。大抵は性能の半分の半分も出せないのでは完全に宝の持ち腐れだ。

 

そう、私はバカだった。バカだったのだ。私はいったい何者であり、そもそも何のために改造バイク:スカラベエクステンダーを用意していたのかを振り返るがいい。

 

 

――――――私は聖騎士ストライダー(St.Rider)。ストライド走法の究極である空間跳躍の使い手なのに、多大なリスクを背負ってまで何をチマチマとピッチ走法のように短距離ワープを繰り返すことに精を出そうとしているのか。

 

 

しかし、かと言って、せっかく造り上げたモンスターマシンの性能を最大限に発揮できるように万全の用意はしておきたいのだ。いずれ必要になるという直感が働いた以上は。

 

そこで、時間跳躍(ジョウント)でどこからでも出現させられる改造バイクで認識の外にある場所への急行などで四次元能力を効果的に使えない状況でこそ、この改造バイクの爆走っぷりが輝く時だとして組み込まれたのが、質量が0であり 真空中で常に光速で運動するルクソン粒子の発生機である。

 

実際には大気圏内で使う場合は空気抵抗や気流などで厳密には光の速さは理論値ではないのだが、光速のルクソン粒子をまとうことで相対的に周囲の動きが停まって見えるようになり、これでバイクでの移動が非常に楽になるはずだった――――――。

 

しかし、光速で動くことで相対的に周囲の動きが停まった弊害として、周囲の物体が全てその場を動かぬ障害物と化しており、そのままぶち当たって風穴を開けるわけにもいかないので、そういったことに神経を使うぐらいなら道路交通法を遵守して法定速度を守って安全運転していた方が非常にストレスがないという本末転倒な事態になってしまった。

 

なので、ここまで私が特撮ヒーローに憧れながらも自身で再現できる技術の粋を集めたものの、410km/hもぶっ飛ばせる自慢の改造バイクの走行において非常に相性が悪いことが判明することになり、23世紀の宇宙科学を盛り込んだのに時代がそれに追いついていないせいで非常にかわいそうな扱いを受けることになった。

 

結論として、高速道路や高速鉄道で存分にスピードを出せるのは専用レーンがあるからであり、一般車道でその性能を発揮させることは最初から無理だということになぜ早くに気づかなかったのか――――――。

 

そう、飛び飛びの短距離連続ワープは必要な分を見極めて一気にやるのなら効果は絶大なのだろうが、急激な視点移動に脳の処理が追いつかないことを自覚してしまった時は死神の鎌が首に掛かっている絶望の時間を味わうことになる。

 

四次元能力の弱点は驚いたり躊躇したり精神的変調を生じたりした時に暴発や不発を引き起こす鋭敏さにあるため、精神の安定というものが極めて重要になる能力なのだ。

 

そもそもとして、四次元能力の空間跳躍は認識できる範囲のある点とある点の間を極限まで圧縮するからこそ利用価値があるわけであり、地平線の向こうまで見渡せるような平坦な場所であるほど効果が大きいのだ。大陸国家の見渡すばかりの田園や荒野でもない限り、極東の島国である日本ではまったく活かせないわけで、交通量の多い場所で追い抜き目的で使うようなものではない。

 

逆に言うと、空間跳躍が最高に活かせるのが障害物がまったくない場所、すなわち大空や大海というわけであり、空間跳躍で極限まで距離を圧縮することができる戦艦や戦闘機が存在していたら いかに最強であることかを想像してみよ――――――。

 

実際、空間跳躍能力を駆使する並行宇宙の支配種族“フウイヌム”の最上位:エルダークラスの有翼一角獣(アリコーン)の怪人は飛翔能力を得ることによって三次元移動を可能にすることで空間跳躍能力を最大限まで発揮させていることを、なぜ私は忘れてしまっていたのだろうか。開発に没頭するとそんな基本的なことすら忘れてしまうのだから、頭がいいのと要領がいいのは別なのだとしみじみ思う。

 

 

なので、四次元能力のワープに対応する改造バイク:スカラベエクステンダーの性能を最大限に発揮させるために『空を飛ぶ能力』を与えましょう。道を阻むものなどない無限の大空を極限まで圧縮すれば日本列島の端から端まであっという間に辿り着かせること間違いなし。

 

 

いや、冗談でも何でもなく、空間跳躍できるのなら無限に空の彼方を思い続けてワープし続けることで推進剤なしで擬似的に無限に飛行することができ、離陸も着陸もワープすれば何も考える必要がないぐらいに自由自在なので、

 

あとは連続ワープの課題点となるワープ直後の急激な視点移動の不安定さを緩和するためにある程度は空中に浮遊できるフライングプラットホームの機能を搭載できればいいだろう。それは反重力かジャイロかグライダーかはまだ検討中。そう言えば『人造人間キカイダー』のサイドマシーンは空中飛行や地中潜航ができていたような――――――。

 

一方、通常時に410km/hを叩き出すマイクロ波放電式イオンエンジンとガソリンエンジンのハイブリッドエンジンのモンスターマシンに、ルクソン粒子をまとわせることで相対的に周囲の動きを停める機能までついて鬼に金棒なので、ただのバイクとして使う分には過剰すぎる性能だが、追跡や追撃の場面では無類の強さを発揮するのは間違いないので、活躍するその時を待ち侘びることになった。

 

だが、意外なことにルクソン粒子をまとうことで相対的に周囲の動きを停める機能が 本来の運用目的とは異なる ブラディオン粒子によって運動エネルギーを遮断する運動停止領域を展開する機械生命体“ロイヤル・ナムーフ”への対策となり、想定外だったけれどスカラベエクステンダーが初めてまともに活躍することになったのだった。

 

ちなみに、ルクソン粒子をヒーロースーツや改造バイクにまとわせる技術は金属の試料を蒸発させて気化させた試料分子を基材の表面に堆積させた薄膜でコーティングする成膜方法:蒸着の基本原理を応用;水晶に金などを蒸着して作られるオーラクリスタルの製法にヒントにしており、更にWUMAの空間跳躍技術によってルクソン粒子の逃げ場をなくしていることで成立している。

 

ただし、光速と同化しているルクソン粒子にしろ、空間跳躍によるワープにしろ、本来は1秒に満たない一瞬の中の一瞬の利用に限られるものであるため、ルクソン粒子の蒸着は供給が途切れたら少なくとも5分以内に解除されてしまう。

 

いや、むしろ、光速とは 1秒間に約30万kmも進み 地球を7周半もする速さなのだから、その300倍の5分も時間があれば上等ではないか。

 

そして、光速と同化するルクソン粒子や空間跳躍といった超常能力が使えて なお5分も時間を与えられておきながら、それで事態を解決できないのはまったくの問題外であろう。対応を誤った完全な能無しである。

 

なお、ルクソン粒子の生成は23世紀の宇宙科学でタキオン粒子を利用した波動エンジンによる無限動力源を開発した宇宙船エンジニアの私からすれば実に容易いことであり、

 

真空中における光速の値は約30万km/s(299,792,458m/s)と定義されており、光は自然界に普遍的に存在しているものなので、WUMAの超科学の遺産である空間跳躍技術を駆使すれば その抽出も楽勝であった。

 

本当は生きているうちに波動エンジンを造るためにタキオン粒子の生成がしたくてしかたないのだが、自然界に存在しない超光速の粒子を生成するための環境をまず整える必要があるので、今は自然界にありふれているルクソン粒子でやりくりするしかない。

 

それでも、ルクソン粒子を使って憧れの黄金聖闘士(ゴールドセイント)の光速拳に並ぶことができるようになったので、これで1秒間に1億発の拳を叩き込む獅子座(レオ)のアイオリアの必殺技:ライトニングプラズマが再現できると童心に帰って今日もパンチングマシーンに無限の拳を叩きつけて記録更新に励むのであった。

 

無論、生身でこんなことは絶対にできないので、決して“聖騎士ストライダー”がただのコスプレではないと再確認しながらである。

 

 


 

 

ブーンブーンブーン・・・

 

 

パシッ

 

 

斎藤T「導きは黄金の規律! バイアリーターク!」

 

HEN-SHIN!

 

CHANGE! Caucasus-beetle!

 

 

アグネスタキオン’(スターディオン)「ふぅン。きみにとってのヒーロー活動の初実戦(メイクデビュー)()のメイクデビューよりも一足お先だったわけだが、随分と手慣れたもんだねぇ」

 

アグネスタキオン’「まあ、それはつまりはきみにとって四次元能力の外付け発動機である私とのリンク状態を短期間にそれだけ積み重ねてきた証というわけでもあるんだがねぇ」

 

斎藤T「ああ、おかげで1秒間に1億発のパンチを叩き込むライトニングプラズマの真似っ子ができて毎日が楽しいぞ!」

 

アグネスタキオン’「同胞たる“フウイヌム”の遺産を奪い取って、その超科学を自分の手足のように使って まさかここまでの発明を次々と世に送り出すとは、驚きを通り越して呆れるぐらいだよ、モルモットくん?」

 

アグネスタキオン’「しかし、『聖闘士星矢』に憧れて『仮面ライダー』の要素も取り入れた自主制作特撮ヒーローとは、きみもなかなかに酔狂なもんだ」

 

斎藤T「何を言うか! 私は地球文明の後継者として舞台芸術に出演する役者でもあるんだぞ! 日本が世界に誇る特撮ヒーローぐらい演じられないでどうする!」

 

斎藤T「それに日本各地には特撮ヒーローをオマージュしたご当地ヒーローなんてわんさかいるんだし、この私がそれに肖って自主制作特撮ヒーローを生み出して何がいけない?」

 

アグネスタキオン’「ふぅン、それで? ゴールドシップくんにもらった強化アイテムは『ウルトラマン』の変身アイテムなんだろう? 随分とごちゃ混ぜだねぇ?」

 

 

――――――()()()()()()()()()()()()()

 

 

アグネスタキオン’「試してみたのかい? たしか、“永遠の皇帝”と“幻のウマ娘”なんていう2人の大物の力が宿ったウマ娘ジェムなんだろう?」

 

斎藤T「使ってみたらなかなかにおもしろいことになったぞ」

 

斎藤T「実際に見せてやろう」

 

アグネスタキオン’「ほう?」

 

斎藤T「あ、変身シーンは原作に忠実な方がいいかな? それとも――――――」

 

アグネスタキオン’「おいおい、大の大人が子供の玩具で大真面目に変身するっていうのかい?」

 

斎藤T「バカにするな! 特撮番組なんて子供騙しは大人が本気で演じるからこそ真実味があって心から楽しんで子供たちがヒーローに憧れて応援するんだぞ! それに役者の世界なんて役と実年齢が一致していないのは普通のことだ!」

 

斎藤T「それこそ、これを造っているのはみんな大人だ。会社だ。出資者だ。ヒーローに夢を抱き続ける人間たちの純粋な思いだ」

 

斎藤T「それは国民的スポーツ・エンターテイメント『トゥインクル・シリーズ』だって同じことだろう?」

 

アグネスタキオン’「ふぅン。それもそうか。続けたまえ」

 

斎藤T「では、お見せしよう。“聖騎士ストライダー”が()()()()()()()()()()()()()の力で果たす更なるパワーアップを」

 

 

 

 

 

 

 

決めるぜ! 覚悟!

 

 

Symboli Rudolf ∧ Tokino Minoru

 

 

Byerley Turk

 

 

斎藤T「どうよ!」ピカーーン!

 

アグネスタキオン’「ふぅン。なんか本当にきみが心の底から愛して止まない『聖闘士星矢』にそっくりになったねぇ」

 

斎藤T「そうだろう そうだろう! 天馬星座(ペガサス)の星矢(アニメ版)にそっくりなヘルメットが特にお気に入りだ! しかも、『黄金聖衣に限りなく近い黄金の聖衣』みたいだろう!」

 

アグネスタキオン’「それより、“聖騎士ストライダー”になった時にバイアリーターク、次にフュージョンライドした時もバイアリータークのようだが? バイアリータークとバイアリータークが被っているぞ?」

 

斎藤T「よくぞ訊いてくれました」

 

斎藤T「まず、聖甲虫(スカラベ)とコンタクトすることで変身(HEN-SHIN)する“聖騎士ストライダー”に宿る三女神:バイアリータークの力というのは、“特異点”を介して四次元能力の行使を支援するために特別に降霊(リンク)した上位存在なので、三次元世界で物理的に干渉する力はありません」

 

斎藤T「つまり、“聖騎士ストライダー”はその名の通りにストライド走法の究極である空間跳躍やその更に上の時間跳躍の行使が付与されただけの万能宇宙服のヒーローコスチュームに過ぎません」

 

斎藤T「なので、パワーアシストスーツではないので変身した途端に腕力や脚力が数十倍に強化されるということはないです。特撮ヒーロー風の万能宇宙服に過ぎませんが、環境適応能力は抜群なので変身すれば生存性の飛躍的向上には繋がるでしょう」

 

斎藤T「一方、この()()()()()()()()()()()()()融合(フュージョン)させた“融合騎士フュージョンライダー”にはウマ娘の根源となる“異世界の英雄の魂”ウマソウルを降臨させて、擬似的にウマ娘と同等の戦闘能力を発揮することが可能になるんですよ」

 

斎藤T「言うなれば、“融合騎士”に変身することで ようやく特撮ヒーローらしい戦闘能力の直接的な向上が果たされるわけですね」

 

斎藤T「まとめるとこうなる」

 

 


 

 

●“聖騎士ストライダー”

 

変身アイテム:聖甲虫(スカラベ)*5

 

変身能力:“特異点”を介してストライド走法の究極となる空間跳躍やその更に上の時間跳躍の行使が可能。

 

戦闘能力:直接的な戦闘能力の向上はない。強いて言うならば、特撮ヒーロー風の万能宇宙服なので環境適応能力や生存能力が飛躍的に上昇するが、四次元能力の行使が最大の武器となる。

 

守護霊:上位存在(五次元)

 

外見:万能宇宙服としての使いやすさを重視した非常にシンプルな構成だが、聖甲虫(スカラベ)に由来する仮面と色彩のプロテクターが装着されている。エジプト神話のスカラベ神:ケプリを想像するとわかりやすいか。

 

支援装備:スカラベエクステンダー……マイクロ波放電式イオンエンジンとガソリンエンジンのハイブリッドエンジンの改造バイク。通常時に410km/hを叩き出すモンスターマシンであるが、ルクソン粒子生成機による蒸着で5分間の光速化も可能とする。

 

 

●“融合騎士フュージョンライダー”

 

変身アイテム:ゴルシライザー*6とウマ娘ジェム

 

変身能力:2つのウマ娘ジェムを掛け合わせることで時空を越えて降臨させたウマソウルに応じたウマ娘と同等の身体能力の行使。

 

戦闘能力:ヒトを遥かに超越したウマ娘の身体能力に加えて、前段階の“聖騎士”の能力が使えるのでまさしく一騎当千となるが、逆に言うとウマ娘程度の身体強化とも言える。

 

守護霊:ウマソウル(四次元)

 

外見:ウマソウルに由来する異世界の英雄(ウマ娘に非ず)の外見をモチーフにした戦闘形態をとり、外見が前段階の“聖騎士”と大きく様変わりする。『聖闘士星矢』の天馬星座(ペガサス)の星矢(アニメ版)をイメージするとわかりやすい。

 

 


 

 

斎藤T「つまり、“聖騎士ストライダー”で降霊する守護霊は四次元を総括するより高次元の五次元の上位存在――――――、この場合はウマ娘の皇祖皇霊たる三女神:バイアリータークの加護によって四次元能力の行使が許されるようになる」

 

斎藤T「一方、“融合騎士フュージョンライダー”で降霊する守護霊は2つのウマ娘ジェムを掛け合わせることで両者と極めて縁が濃いことで召喚された“異世界の英雄の魂”ウマソウルであり、これは異世界で実際に存在していた英雄の魂なので、物質世界の三次元と表裏一体の精神世界の四次元の存在となる」

 

斎藤T「そして、降霊するウマソウルの選定を行っているのが“融合騎士”の前段階である“聖騎士”に降臨させた五次元の上位存在の采配というわけであり、」

 

斎藤T「普通に考えて三女神:バイアリータークが用意する最高のウマソウルとは肉体を持っていた頃の英雄であった自分自身――――――、すなわちウマ娘:バイアリータークということになるわけなのです!」

 

斎藤T「まとめると今の私の状態は、変身することで五次元の三女神:バイアリータークが降臨した“聖騎士ストライダー”、そこからウマ娘ジェムを融合することで三女神:バイアリータークが選抜した四次元のウマ娘:バイアリータークのウマソウルが降臨した状態なのが“融合騎士フュージョンライダー”なのだ!」

 

斎藤T「これ、スゴくない? “永遠なる皇帝”シンボリルドルフと“幻のウマ娘”トキノミノルを掛け合わせたら、ウマ娘の皇祖皇霊たる三女神:バイアリータークが自分自身のウマソウルを呼び寄せるんだよ? 当たりの組み合わせというか、当たりの中の当たり、いかにシンボリルドルフとトキノミノルが選ばれた存在なのかがわかるよな!」

 

斎藤T「たぶん、“融合騎士フュージョンライダー”としてはこれ以上ない組み合わせだと思うよ。なにしろ、英雄としての三女神:バイアリータークの力を宿した形態だし、まさしく黄金聖闘士(ゴールドセイント)の見た目だし、このまま神聖衣(ゴッドクロス)を目指そう」

 

 

アグネスタキオン’「ふぅン。なら、その他のウマ娘ジェムや融合形態の存在意義はあるのかい?」

 

 

斎藤T「……そこなんだよね。これ1つで全てが解決になるんだったら『ウマ娘ジェムの組み合わせはシンボリルドルフとトキノミノルだけでいい』ってなるんだけど、」

 

斎藤T「実はウマ娘ジェムの組み合わせで降臨するウマソウルも得手不得手や個性があるみたいで、」

 

斎藤T「基本的にはバイアリータークが絶対完璧だけれども、『聖闘士星矢』と同じく要は小宇宙(コスモ)で勝負が決まるところがあるから、三女神の力を完全に引き出せないとその万能性が宝の持ち腐れを起こして器用貧乏になりやすいようだ。決して力任せの誤魔化しができないんだ」

 

斎藤T「実際ね、『メイクデビュー中京』で初めて黄金聖闘士(ゴールドセイント)みたいな“融合騎士フュージョンライダー”になって三女神:バイアリータークとより深く一体となった時の全能感と異世界の英雄の力を得た最強感に舞い上がったんだけど、」

 

斎藤T「初陣の相手がバ場内遊園地を陣取った山のように巨大な蛇の怪物:オロチだったわけで、『ヒトを超越していようが山を動かすことなんて到底できないウマ娘の力を得たところで何ができるんだ』ってことでグダグダになってしまいました……」

 

斎藤T「そうして『英雄の力を得たとしてもどうすることもできない』という現実にいきなり打ちのめされていたところで駆けつけてくれたのが次の融合で降臨した英雄:サンデーサイレンスの力だったというわけです」

 

斎藤T「だから、役割や目的に応じた専門性の高い別の英雄の力を借りることも時として有効ということなんですね」

 

斎藤T「要は、求める結果を導き出せるだけの手段や能力が備わっていればいいのであって、それを適切に選択して運用できることが重要なんです。それ以上は過剰というもの」

 

斎藤T「たとえば、万能包丁を使えば一応どんな食材も切れるけれど、食材ごとに応じた専門の包丁を使った方がずっとやりやすいのと同じことですね」

 

アグネスタキオン’「ふぅン。なるほどね。それでアグネスタキオンとマンハッタンカフェのウマ娘ジェムの融合で降臨するのが“守護天使”サンデーサイレンスというわけだったね」

 

斎藤T「一体化した時に感じたのは“守護天使”とは言っても“死の天使”のイメージがしたんだよね、サンデーサイレンス。死の淵からの起死回生というか、最後までしぶとく生き残って最後に大成功を掴む霊徳があるのか、生と死を乗り越えた先の逆転劇に繋げる忍耐力と意志力と爆発力が売りに感じたね」

 

斎藤T「だから、中京茅の輪くぐりの締めとなるオロチ退治も土壇場で熱田神宮の霊威である草薙剣と火打ち石を使えるようになって一発逆転で九死に一生を得たって感じ」

 

斎藤T「最初は全能感に満ちたバイアリータークの力だったけど、パッと考えて 何の能力が使えて あの状況で何をどうすればいいのか 実戦で全然わからなくて、」

 

斎藤T「それだけに“死の天使”みたいにイメージがパッと浮かんでくるサンデーサイレンスのわかりやすさに私は命を救われたね。使いやすさに直結していない万能さなんてものは求める結果を導けないことで実際は虚無に等しい」

 

斎藤T「結局、英雄の力を活かすも殺すも使い手次第であり、訓練なしでぶっつけ本番で出てくるのはこれまで自分が会得体得したものしか咄嗟に出てこないんだな、これが」

 

斎藤T「ましてや、三女神の力なんて人智では計り知れないものの全貌を掴むだなんてのは無茶な話で、必要な時に必要なものを必要だけお出しする傾向を考えると、いずれはバイアリータークの力を最大まで引き出すことを目標にして、今はサンデーサイレンスの力を主力にして運用するしかないみたいだ」

 

斎藤T「まあ、中京茅の輪くぐりの褒美として受け取った草薙剣だけでも大抵の魔を祓うことはできるし、前段階の“聖騎士”の段階でも瞬間移動や光速拳が使えるから並大抵の脅威は簡単に排除できるんだけどね」

 

斎藤T「強いて言うなら、弱点は“融合騎士”は肉弾戦も強化されて隙がないように見えて変身プロセスが非常に面倒だということ。変身アイテムが奪われる可能性があるということか。聖甲虫(スカラベ)時間跳躍(ジョウント)させたいけど、ホルダーにスキャナーに装填ナックル、ウマ娘ジェムと品目が多すぎるのが難点だな……」

 

 

アグネスタキオン’「ふぅン。変身の起点となる聖甲虫(スカラベ)はまだたくさんあるみたいだけど、変身者は増やしていく予定なのかい?」

 

 

斎藤T「あんまり意味はないかな。実戦での四次元能力の行使は“特異点”の私が側にいないと使えないし、何よりも五次元の上位存在が味方しないと時間跳躍(ジョウント)してこないから変身すらできない」

 

斎藤T「そういう意味ではNINJA:斬馬 剣禅はさすがとしか言いようがない。春日大社ひいては鹿島神宮の眷属の鹿神:アメノカクが降臨されていた」

 

アグネスタキオン’「その話は聞いたね。鹿神の守護を受けているからなのか、アルテミスに鹿に変えられた狩人の名を関するアクティオンゾウカブトの聖甲虫(スカラベ)なのもね」

 

アグネスタキオン’「他にいないのかい?」

 

斎藤T「あとはピースベルTだね。さすがは“天上人”有馬一族の御曹司なだけあって水天宮の氏子ということで当然のように加護を受けていた」

 

アグネスタキオン’「日本橋にある情け有馬の水天宮の主祭神の加護ということだね」

 

アグネスタキオン’「何だったかな。たしか、天之御中主神じゃなかったかな――――――」

 

斎藤T「いや、寳生辨財天(宝生弁財天)だった」

 

アグネスタキオン’「は? なに、『弁財天』? 天之御中主神じゃなくて?」

 

斎藤T「まったく縁も所縁もないわけじゃない。境内外社に祀られている弁財天像は品川にあった有馬家屋敷にあったものらしい」

 

アグネスタキオン’「いや、そこは主祭神じゃないのかい?」

 

斎藤T「いやいや、情け有馬の水天宮という株式会社のコーポレート・ガバナンスに則った動きをする芸能の守護神の働きをずっと鐘撞Tはしてきているだろう?」

 

アグネスタキオン’「……ふぅン。そういうことなのかい」

 

斎藤T「そして、ナチス残党の闇組織に拉致されて芦毛のウマ娘に改造された恨みからなのか、聖甲虫(スカラベ)はアメリカ南北戦争の北軍最高司令官の名を冠するグラントシロカブトという」

 

アグネスタキオン’「……因果なものだねぇ」

 

斎藤T「あんまり無茶をしないでもらいたいものだな、鐘撞Tには」

 

アグネスタキオン’「たしか、アグネスデジタルくんのメイクデビューを考えているんだったね」

 

斎藤T「ああ。基本的にストーリー仕立てで担当ウマ娘のローテーションを組む超一流の興行者(プロモーター)だから、ダートも芝も走れる上にどちらにも意欲的なアグネスデジタルの特異性と噛み合ったわけど、」

 

斎藤T「そのバ場適性の広さから海外遠征ついでにナチス残党の闇組織への復讐を果たそうとしているんじゃないかと不安にもなる」

 

アグネスタキオン’「……大人しく愛バと添い遂げればいいものを」

 

斎藤T「自分を改造人間にした闇組織に一太刀浴びせない限りは安心して愛する人との明日を迎えられない不安に駆られもするさ」

 

アグネスタキオン’「それはきみのことを想う全員がそうなんだけれどもね」

 

 

斎藤T「神の道に生きるということは毎日が生成化育・進歩発展・波乱万丈の冒険の日々になるから飽きがくることはない」

 

 

斎藤T「本来 弱肉強食の世界であるこの世を生きるというのは日々進化のために変わろうとする必死さに追われるもので、文字通りに一生懸命な毎日を送ることが人生の本義でもあるのだ」

 

アグネスタキオン’「ふぅン? それじゃあ、進化とやらのために命を狙われ続けてビクビクしているネズミのような毎日を神様とやらはお望みということなのかい?」

 

斎藤T「まったくちがうぞ。たしかに進化のためにより良く生きようと変わろうとする意志を持たせるための環境に追い込むものだが、適度な運動・適度な睡眠・適度な休憩が健康維持のために必須なように、一生懸命に生きるからこそ弱肉強食の世界のことを忘れられる束の間の平穏に価値が生まれるんだ」

 

斎藤T「――――――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということさ」

 

斎藤T「弱肉強食の世界で生きている生き物の暮らしを見てご覧。巣の外で命懸けでエサを獲ってきて飢えを凌いだ後は巣の中での安心の一時を過ごしているだろう」

 

斎藤T「そして、弱肉強食の残酷さに身を置いているはずなのに、生き物はカッコいいとかカワイイと思えてしまうような美しさを持った姿に進化していっているだろう? リスとかペンギンとかカワイイよね! カブトムシやクワガタムシもカッコいいね!」

 

斎藤T「それを考えると、国民的スポーツ・エンターテインメント『トゥインクル・シリーズ』になぜウマ娘たちが憧れを抱き続けるのも自然な発想で理解できるだろう?」

 

アグネスタキオン’「……ふぅン」

 

斎藤T「認めたくはないが、弱肉強食の過酷な世界だからこそ栄光を勝ち取った時に生命の輝きを放つことができる場所なのだと、ウマ娘の闘争本能が叫んでいるのだろう」

 

斎藤T「けれども、私たちは神の似姿として創られて 全ての生き物に名をつけた 地上の支配者たる霊長だ」

 

斎藤T「『人類以外の生物に心が無い』と主張するわけではないが、裏世界の実態を目の当たりにした私からすれば『人と比べたら無いに等しい』というのが正直な感想だ。元々 備わっている霊性に天と地ほど差があるから、魚や虫が本体の妖怪なんてものを見たことがないわけだ」

 

斎藤T「だから、人間には他の生物には許されていない自由がある。それは自らの意志で善と悪の道を選択して魂を輝かせることも堕落させることも許されていることにある」

 

斎藤T「だが、自由には責任が伴う以上、自由を行使して善を行えば徳が積まれ、悪を行えば業を背負うことになる」

 

斎藤T「このことを経済活動に置き換えると善を行うと運が貯金され、悪を行えば運を借金することになる」

 

斎藤T「本来ならば手元の資金だけでやりくりするのが売買の基本だが、借金をすれば今までにできなかった規模の売買が可能になるが、その分だけ大きなリスクを背負うことにもなるし、返済期限があるから取り立ても必ず行われる。地獄の閻魔帳からは逃れることはできない」

 

斎藤T「人間が他の生物と異なる点はこういった経済活動が許されていることで原始的な生命活動に縛られない自由な生命活動を行って、ゆくゆくは高度な文明を築く能力を持っていることにある」

 

斎藤T「それは時として『忠ならんと欲すれば孝ならず、孝ならんと欲すれば忠ならず』として二律背反の葛藤となり、他者の善なる成長を願うがために自ら悪を演じることも人生にはある」

 

斎藤T「けれども、それはそれとして、他の生物と隔絶した能力や権限を持っていようが、人間もまた生物に過ぎないのだから、進化し続けることを義務付けられた生命の本質を忘れた瞬間に魂は悲鳴を上げることになるだろう」

 

斎藤T「そういうわけだから、神の道に生きるということは大自然の中で進化しようという意志を育てるためにアメとムチが繰り返される毎日になるわけだから、ある意味においては苦しみが絶えない人生かもしれない」

 

斎藤T「けれども、そんなことは神を信じていようが信じてなかろうが未来のことなど見通せない凡夫にとっては不安の種は常に尽きないだろう?」

 

斎藤T「信仰の道に生きる歓びというのは『必ずや報いてくださる』という確信があることに尽きる」

 

斎藤T「天地の法則は他ならぬ神様がお作りになったものなのだから、自ら天地の法則に反する行いを神様もすることができないとするなら、あとは天の道に生きれば絶対的な苦しみも与えられるが同じように絶対的な歓びも惜しみなく与えられると確信できるものさ」

 

斎藤T「その天の道に生きるための教えはすでに太古から語り継がれていて、それでもって自分自身の天命がどうなのかを推し量って、苦しみの絶えない現実にどう歓びを見出すかだ」

 

 

斎藤T「――――――生きていく上で苦しみは避けられない。一切皆苦。これが人生の第一条だ」

 

 

斎藤T「それはウマ娘レースで掴み取る栄光も例外ではない。苦しくないトレーニングに効果などないし、甘くない勝負に価値などないし、厳しくない現実に成長などない」

 

斎藤T「そして、最後は美人の顔を台無しにしてでも勝利への欲求で表情を強張らせて全身全霊でゴール板の向こうへ誰よりも先へと目指して夢破れて努力は水泡に帰す――――――」

 

斎藤T「ほら、みんなが大好きなウマ娘レースを見ても、どこもかしくも苦しみに満ちているだろう?」

 

斎藤T「けれども、世界はこんなにも苦しみに満ちているが、苦しみを超えた先に歓びがあることを見据えれば、こんな世界でも頑張っていこうという希望が見えてくるだろう?」

 

斎藤T「それがお釈迦様の説いた教えの基本となる四法印のうちの『一切皆苦』『涅槃寂静』だね。『涅槃寂静』という目標に向かって頑張ることで『一切皆苦』の現実世界をみんなが元気よく生きていけるように説いていったのが仏教というわけよ。『諸行無常』『諸法無我』のことは忘れていい」

 

アグネスタキオン’「つまり、『目標を立てて』『それに向かって努力して』『達成しようとする』ことに苦しみを超えた先にある人生の歓びがあるわけなんだね」

 

斎藤T「そう、マイケル・ボルトンの名曲『Go the Distance』にあるように」

 

 

斎藤T「だから、私の人生は死ぬほどの苦しみとそれを乗り越えた先にある生きる歓びに満ちたものになるぞぉ」

 

 

斎藤T「そんなわけで、私に関わると漏れなく関わった人間の全てが多かれ少なかれ私の人生の荒波に巻き込まれてしまうから、怖いのなら私から距離を置くことだね」

 

アグネスタキオン’「いや、無理だと思うぞ、それは。きみが望むと望まないとに拘らず、ほぼ全員が窮地に陥っていて きみが危機一髪の状況から救い出して結んだ縁なのだから、最初からきみの人生に組み込まれていたんじゃないのかい、全て?」

 

斎藤T「……怖いことを言うなぁ」

 

アグネスタキオン’「だが、きみが言うように 地上最強のスーペリアクラスの力を持て余すことのない 波乱に満ちた 退屈のしない日々を送ることができているから、これからも私はきみと共にあるよ」

 

アグネスタキオン’「――――――限りなく重なり合った点と点になってね」

 

斎藤T「ああ。これからもよろしく頼む、アグネスタキオン’(スターディオン)

 

斎藤T「早速だが、今の“融合騎士フュージョンライダー”の能力を測定してもらいたい」

 

斎藤T「果たしてバイアリータークやサンデーサイレンスといった英雄の力がどの程度のものなのかを把握しておきたい」

 

アグネスタキオン’「まかせたまえ」

 

 

I can go the distance*7

 

You can go the distance

 

Here We go !

 

Fusion-ride to Origins !*8

 

 

噛みつくぜ! 運命!

 

 

Agnes Tachyon ∧ Manhattan Cafe

 

 

Sunday Silence

 

 

*1
身長や速度と比較して歩幅(ストライド)が大きい走法

*2
気圧差によって膨張して動きにくくなるため。

*3
呼気を循環して再使用するため。

*4
宇宙空間は低温ではあるのだが、宇宙服には宇宙飛行士の体温を逃がす場がなく、また太陽光線も強烈であるから活動時は温度が上昇することになるため、冷却機能が必須。

*5
スカラベは古代エジプト語で『フンコロガシ』を指す言葉だが、ラテン語のスカラベウス(Scarabeus)は『甲虫類』全般を指す。

*6
ホルダー・スキャナー・装填ナックルの3点セット

*7
go the distance = 全行程を踏破する、最後まで頑張る

*8
ride to = ~への進行

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