ウマ娘超光速戦記 -TACHYON Transmigration- 作:LN58
明日には12月:師走となる11月の末、私は藤原さんに
一連のWUMAによる怪人災害に対する極秘チームの責任者となっている警視庁警備部災害対策課の藤原さんはその内容に目を通すとコーヒーを何度も飲み干した。
怪人災害への対策として有力な情報を得られたことで大きな前進となったわけなのだが、書かれている内容をそのまま受け取ることができずに、何度も何度も見返していた。
一見すると、特撮ヒーローの企画書や設定資料みたいな荒唐無稽な報告書を私に出されて、どう上司に報告すべきかに頭を悩ませている様子であった。
まず、順序立てて説明するとこうなる――――――。
●怪人:ウマ女――――――“WUMA:Worldwide Unidentified Miscreant Alien《世界的な未確認侵略生物》”の正体
結論から言えば、宇宙から飛来した侵略的外来種という当初の予想に間違いはなかった。
遭遇したエルダークラスやケイローンからの証言によると、WUMAはヒトがウマ娘と共存する地球とは異なる進化と歴史を歩んだ
この時点で常人には意味不明なのだが、怪人:ウマ女という単一種族で構成された彼女ら自身の呼称は“フウイヌム”と言った。
この“フウイヌム”という馬のマスクを被った全身白タイツのふざけた格好をしたような女性だけの単一種族が
ケイローンが言うには同じ21世紀の地球でも文明レベルや科学力は“フウイヌム”が支配する
というのは、“フウイヌム”が統一した地球は徹底的なエリート主義と官僚主義で創造性に欠けた厳密な多種族的カースト制度による適材適所が正しく運用されていることによって、
戦争や疫病などの世界規模の厄災による歴史の停滞や資源の浪費から解放されたことで、順調な科学文明の発達による技術革新が行われていたからなのだと言う。
その最たるものが俗に言う超能力や時空のシステムの解明であり、我々が知る物理法則を超越した超科学の実用化によって空間跳躍といった魔法すらも扱えるようになっていた。
つまり、社会を構成するあらゆる要素が歯車としてきちんと機能している徹底的な管理社会が
それを土台にして安定した技術革新を遂げてきた超高度な科学文明人であるが故に、そのレベルに達していない他の文明を見下す傲慢さを持つ種族となっていた。
そして、
そのため、“フウイヌム”は“ヤフー”やそれに類似する種族を徹底的に差別していたために、この地球を支配しているヒトに対して最初から敵意を向けているのだ。
また、この地球でヒトと共存しているウマ娘を
そう、“フウイヌム”の目からすれば
つまり、正真正銘の“世界的な未確認侵略生物”ということであり、地球人類にとって不倶戴天の敵というわけである。
なお、WUMAとしての擬態能力は元々の能力であるらしく、怪人:ウマ女としての姿が基本となっている理由は“フウイヌム”にとっては最大の禁忌となっているらしい。
超科学とは別に元々から備えていた擬態能力を有した“フウイヌム”の起源について調べていくうちに、その最大の禁忌に触れてしまったがために、ケイローンは社会から抹殺されそうになったという。
そこでケイローンは侵略中の
侵略を受けた
ウマ娘が新たな支配者の同胞として地位向上がなされたものの、ヒトは“フウイヌム”が規定した種族的カースト制度では奴隷階級に甘んじることになり、人類文明は荒廃の一途を辿ったという。
しかし、その荒廃した絶望の未来の中で“ヒトとウマ娘の統合の象徴”たる存在が反乱軍を組織して、最終的に
その予言こそがケイローンが掴んだ最大の禁忌の1つであり、ケイローンは将来的に現れる救世主を探し求めて、10年前の現在の地球に時間跳躍したと言うのだ。
なお、“フウイヌム”の超科学においては並行宇宙への干渉を可能とする空間跳躍は実現していても、過去や未来の時間軸への干渉を可能とする時間跳躍は実現されていないらしく、
時間跳躍したケイローンを追跡してきたWUMAたちは現在の地球のことを更なる空間跳躍で侵入した別の並行宇宙の地球と認識している――――――。
そうとは知らずに
よって、WUMAの擬態はヒトとウマ娘を支配下に置いて地球征服する目的で行われ、その戦略目標を達成するために必要な人物の影響力や権限を利用することで実現を果たそうとしている。
●怪人:ウマ女の擬態能力と空間跳躍能力
“フウイヌム”――――――我々がWUMAと呼ぶ侵略者には3つの階級が存在する。あるいは3段階の進化形があると言った方が適切か。
そして、その3つの階級に応じた指揮系統と能力の大小と見た目のちがいが特徴となっている。
・ジュニアクラス = 普通の怪人:ウマ女
・シニアクラス =
・エルダークラス =
まず、“フウイヌム”は馬のマスクを被った全身白タイツのふざけた格好でいずれも生を受け、やがて女性とはっきりわかる豊満な輪郭の2mぐらいの巨体に成長するのが通常である。
これがジュニアクラスと呼ばれる階級であり、徹底的な血統主義の“フウイヌム”においては後述のシニアクラスやエルダークラスに進化できない者は全てこれに該当する。
そして、シニアクラスに進化できる血統の場合、頭の角が生えて
そこから更に進化してエルダークラスとなった時、翼も生えて
基本的に“フウイヌム”の階級と進化形は一致しており、最上位であるエルダークラスの命令は絶対であり、
たとえエルダークラスの血統であっても角も翼も生えていない未成熟の個体はジュニアクラスの有象無象と同じ扱いを受けることになる。
実は、最初に私が隕石が降ってきた日に遭遇したWUMAは見た目は普通の怪人:ウマ女ということでジュニアクラスであったが、ケイローンが言うには特命を帯びた未成熟のエルダークラスの個体とのこと。
そうして自然と下積みを重ねてエルダークラスに進化した“フウイヌム”はジュニアクラスやシニアクラスのことを手足のように扱うことができるのだそうだ。
この辺りの生態が非常に理知的で合理的とも言える社会的生物であり、聞いているだけでも確かに“フウイヌム”がヒトよりも優れた種族に思えてくる。
平和を愛し 非常に合理的な社会を持つ 高貴な精神性と知性あふれる種族と自称しているだけのことはある。
身体能力はジュニアクラスの個体であってもウマ娘が本能的な恐怖と絶望を感じるほどであり、
擬態能力と空間跳躍能力を標準搭載しているため、ウマ娘よりも脆弱なヒトなどひとたまりもない能力差があった。
もちろん、進化によって見た目通りの能力強化が施されていき、角の生えたシニアクラスになると超能力が使えるようになり、そこから翼の生えたエルダークラスは実際に空を飛ぶことも可能。
正確には、超能力を制御できるようになる一本角によって空間跳躍能力を強化しているため、進化を重ねることで空間跳躍能力が強化されていき、
たとえば、私が2度遭遇した一般的な怪人:ウマ女――――――ジュニアクラスは辛うじて動きの前兆や気配を読み取れたのだが、
エルダークラスになると そうしたものを何一つ悟らせることなく 学生寮からトレセン学園校舎屋上まで一瞬で移動し、動作の過程をすっ飛ばした動作の結果だけをもたらすことが可能となってくる。
これだけ聞くと、ウマ娘が本能的に恐怖と絶望を感じる身体能力と擬態能力と空間跳躍能力を兼ね備えた超生物に対抗する意欲が失せてしまうのだが、
実は徹底した種族的カースト制度によって上意下達が当然となっているため、上位の存在を失うと一気に統制が失われるという組織の弱点を抱えているのだ。
そのため、末端であるジュニアクラスを排除するよりも上位のクラスを排除することができれば、WUMAを分断することができるため、指揮を執っている上位のWUMAは最優先で撃破しなければならない。
そして、『WUMAの擬態能力と空間跳躍能力は反比例する』事実こそが最上位の存在であるエルダークラスを最優先で討伐する最大の理由であり、
実はWUMAの擬態能力の完璧さはいかに擬態対象の思考に同化させられるかにかかっており、基本的に上意下達が徹底されているが故にジュニアクラスの能無しほど完璧な擬態が可能となっている。
上位の存在からの干渉がなければ、擬態したジュニアクラスは完全に擬態対象そのものに成りきってWUMAであったことを完全に忘れてしまうため、上位の存在による統制は不可欠。
しかし、超能力が使えるようになるシニアクラスやWUMAを統率するエルダークラスとなると、進化する過程で強固な自我が形成されていくために、それが仇となって擬態対象の思考と同化しづらくなる弊害が生じることになる。
また、擬態対象の選定は基本的にはエルダークラスが立てた戦略に従うのだが、
基本的に自分よりも知能の低い生物に擬態することはできても、自分よりも知能が高い生物に擬態することができず、
少なくとも敏腕経営者などの頭を常にフル回転させているような人間に擬態するためにはそれ相応の知能がないとなりすますことができないため、そうしたVIPには上位のWUMAが擬態することになる。
そのため、上位のWUMAでしか擬態できないほどの格を持つ擬態対象に化けている個体ほど、地球侵略を企てながら擬態対象の日常生活もこなさいといけないためにボロを出しやすいわけなのだ。
よって、必然とVIPに擬態したエルダークラスの方が正体を見破りやすく、討伐することで一帯のジュニアクラスの統制が失われるため、エルダークラスの撃破を最優先するのが推奨されるわけである。
裏返すと、ジュニアクラスのWUMAの擬態の摘発が非常に困難であることも意味しており、
末端の雑兵として知能に劣るとは言っても 超科学文明の出身ということで 平均的な地球人の知能を上回るので ほとんどの人間に擬態できてしまえる。
そのため、下位のWUMAにも、上位のWUMAにも、それぞれの長所と短所があるのだが、上位と下位が持つ長所と短所を適切に運用することで補い合っているため、一筋縄ではいかないのだ。
そういうわけで、エルダークラスを最優先で排除することで上意下達のWUMAの組織的行動を機能不全に陥れることがもっとも勝算があるというわけである。
もちろん、エルダークラスの戦闘能力はジュニアクラスの比ではないし、背中に生えた翼や高度な空間跳躍能力にWUMAとしての意識によって簡単に逃走を許してしまうが、
こうした“成り代わり”を行うWUMAの存在をまず察知することができないと戦いにもならないので、怪人:ウマ女――――――“フウイヌム”の実態と行動目的が判明しただけでも大収穫と言える。
つまり、『ジャパンカップ』の日の深夜に学生寮に現れたシンボリルドルフ’に擬態したエルダークラスを撃破できたことはここ一番のファインプレーとなっており、
これにより『トレセン学園やその周辺で潜伏しているWUMAの組織的行動がしばらくはおとなしくなる』というわけである。
また、“皇帝”シンボリルドルフに擬態するためにはエルダークラスの知能が必要ということも1つの判断材料になるだろう。
となると、8月末に普通の怪人:ウマ女であるジュニアクラスに擬態された飯守Tの知能は――――――。
いや、競争率の激しいトレセン学園のトレーナーという常日頃から担当ウマ娘を勝たせようと必死に頭を働かせている人種にも簡単に擬態できるほどの知能の高さが真の脅威と言うことか。
●空間跳躍能力 VS.時間跳躍能力
私がこれまでヒトでありながらウマ娘が本能的に恐怖と絶望を覚える圧倒的存在であるWUMAを撃退できたのは、ひとえに時間跳躍能力によるものだとケイローンが説明した。
WUMAの空間跳躍能力は人為的に付与された機能であり、その遺伝子と内部機構を可能としたのが元々の高度な擬態能力であるとも説明しており、
この点をもってWUMA――――――“フウイヌム”が遺伝子改造によって種族全体が空間跳躍を行える超科学生命体となっている。
しかし、物理法則を超越する超科学によって空間跳躍を行える無敵の肉体にも欠点があり、死亡時には内部組織が崩壊して その場で灰になってしまうのだ。
それはケイローンの推測では合理性の追求のために意図的に組み込まれた機能であるらしく、死んだらすぐに灰になるため、遺灰は“フウイヌム”の社会ではただのゴミとして捨てられる。
そのため、死者を弔うことや故人を偲ぶことは“フウイヌム”の超科学文明には存在せず、葬式や埋葬といったものを“ヤフー”の非生産的な野蛮行為と見做している。
この空間跳躍能力だが、基本的にジュニアクラスから上位になるほど高度なものになる代償に擬態能力の精度が落ちるのは説明した通り。
それでも、ジュニアクラスの怪人:ウマ女を前にして“怪物”ナリタブライアンが恐れ慄くぐらいなのだから、真向勝負となれば完全にお手上げなのだが、
空間跳躍能力も原則的には時間の経過を必要としており、ジュニアクラスのそれはまだ高速移動程度のものとなるが、
エルダークラスのものは更に進化した身体能力と超能力によって発生も隙も完全になくして行動の結果を導くため、完全に時間の経過をすっ飛ばした瞬間移動と化している。
しかし、そんな高速移動や瞬間移動として理解される空間跳躍能力を使ってくるバケモノを返り討ちにしてこれたのは空間跳躍能力を超越した時間跳躍能力によるものであった。
そして、それはWUMAの出現に際してケイローンがいちいち私の手に収まりに来ていたことに大いに関係していた。
――――――実は、コーカサスオオカブトの身体になってしまったケイローンの存在自体が時間跳躍能力のエネルギー源だったのだ。
つまり、ケイローンは“特異点”となっており、本来はエルダークラスの“フウイヌム”だったのが、征服された
たまたま隕石が降ってきた日に野外に解き放たれていたコーカサスオオカブトの身体に空間跳躍能力のエネルギー源となったケイローンの意志が宿ったというものらしい。
その説明を受けた時、タキオン粒子をエネルギー源とする波動エンジンの開発エンジニアであった私がどれほど驚愕したかは言うまでもないだろう。
23世紀に普及した波動エンジンは宇宙エネルギーを超光速のタキオン粒子へ圧縮変換して動力とするために通常空間における事実上の無限動力機関であり、
そのタキオン粒子を展開した超光速航法による空間歪曲型ワープによって外宇宙への宇宙移民が現実のものとなっている。
言うなれば、超科学生命体“フウイヌム”は擬態能力による肉体改造と超能力によって成立させた生体波動エンジンによる空間歪曲型ワープによる空間跳躍能力を有しているものと解することができ、
23世紀の宇宙開拓時代になって空間歪曲型ワープが実用化されても まだ超弦理論は完成を見ていないが、超弦理論の観点から空間跳躍能力を制することができるのが時間跳躍能力となるのも非常に納得がいく結論である。
以下は事前に2人の
――――――ここに映画フィルムがある。35mmフィルム。
この映画フィルムの1コマ1コマに同一時間軸に存在する宇宙が1つあると仮定した場合、空間跳躍能力では任意で1コマを早めたり遡ったりすることはできない。
それができるのが時間跳躍能力ということなのだが、これを35mmフィルムでモデル化するなら『ある1コマに存在する宇宙から飛び出して向こう側の1コマに存在する宇宙に飛び移る』ことを意味している。
つまり、超弦理論に基づいてグニャグニャし続けている35mmフィルムのある1コマから飛び移れる別の1コマの範囲がこの場合の時間跳躍能力の限界と言うことになる。
これは宇宙移民船で実用化されている超光速航法による空間歪曲型ワープの空間跳躍能力とまったく同じ理屈であるのだが、
この場合の空間跳躍能力が展開されているのは35mmフィルムのある1コマに存在する宇宙の中の出来事であるのに対し、
時間跳躍能力は空間跳躍能力が展開された1コマから別の1コマへと飛び移れるため、時間跳躍している間は完全に35mmフィルムという形で現される時間の流れから完全に切り離されている。
つまり、空間跳躍能力よりも時間跳躍能力の方が高次元ということになり、『二次元を平面、三次元を空間、四次元を時間とする』タイムマシンの理論にも合致している。
なので、どんなにWUMAが空間跳躍能力を使おうが時間跳躍能力を使われた時点で無意味となるのだ。空間跳躍能力自体が時間跳躍能力に含まれているからだ。
ちなみに、“フウイヌム”が誇る同一時間帯の並行宇宙への空間跳躍技術も35mmフィルムのモデルで説明すると、隣接する別の35mmフィルムに跳躍するものとなる。
肝腎なのは隣接した別の35mmフィルムへの跳躍であり、そこに僅かながらでも隙間があると同一時間帯の並行宇宙への空間跳躍は失敗する。
なぜなら、その隙間こそが35mmフィルムを俯瞰して見ることができる四次元空間だからであり、四次元空間に立てる資格こそが時間跳躍能力なのだ。
しかし、理論的にはそうではあっても、実際にはそんな便利なものでもない。
エルダークラスのケイローンは更なる進化を求めて ついに空間跳躍能力を超越した時間跳躍能力を極めることに成功し、10年前の今の地球に実際にタイムスリップしたわけなのだが、
そのタイムスリップによって元の肉体を失ってコーカサスオオカブトに意識が定着することになったのを見れば、超科学生命体“フウイヌム”とて 時間跳躍能力を備えた究極の存在にはまだまだ達し得ないことがわかる。
また、元の肉体を失ったことで本質的には35mmフィルムの外:四次元空間の住人になってしまったことで、35mmフィルムの中の宇宙で活動することができなくなっているのだ。
そして、たまたま依代と定着することができたコーカサスオオカブトの成虫の寿命は半年――――――。もう幾許もない肉体の死によってケイローンの魂が四次元空間に隔離されてしまうだろう。
斎藤T「――――――以上の点を踏まえて、対策を協議していただきたい」
藤原さん「………………」
斎藤T「……藤原さん?」
藤原さん「……SFコンテストにでも応募すればいいんじゃないか?」
斎藤T「藤原さん! WUMAの狙いは世界征服! そのために司令塔となるエルダークラスがVIPに擬態しようと狙っているんです! 注意を払ってください!」
藤原さん「……そう言うが、テン坊よ? こんなのを読んで警察が動くと思うか?」
斎藤T「じゃあ、『警察は頼りにならない』ってことでいいんですね?」
藤原さん「8月末のああいった事件があったなら、またケツを叩かれた状態になるんだがな……」
斎藤T「『ジャパンカップ』の時も状況証拠をしっかり提示しなかったら要人保護に動いてくれなかったでしょうね」
藤原さん「おい、テン坊? 焦ってないか? 一人で突っ走ろうとしてないか?」
斎藤T「誰もやろうとしないなら、私一人でもやるというだけのことです」
藤原さん「…………『有馬記念』や『URAファイナルズ』があるんだろう、お前さん?」
藤原さん「まさか、ハッピーミークのサブトレーナーとしての職務から逃げるのか?」
斎藤T「………………!」
藤原さん「落ち着け、テン坊。“皇帝”陛下に化けたエルダークラスをやっつけたんなら、やつらの活動も少しはおとなしくなるんだろう?」
藤原さん「だったら、今はトウカイテイオーと岡田Tに化けたWUMAの動向に目を光らせておくべきだろう」
藤原さん「もしかしたら、エルダークラスじゃなくてもシニアクラスのWUMAが来る可能性だってあるんだし」
藤原さん「とにかく、焦んな、テン坊。急いては事を仕損じる。お前さんのいつもの悪い癖だ」
藤原さん「来月は師走なんだぞ。みんな大忙しの時にお前さんに突っ走られたら、もう手に負えん」
斎藤T「…………わかりました」
藤原さん「まあ、要点はわかった。さすがにこの内容で対策会議を開くわけにもいかないから ある程度は誤魔化しておくが、対策はしやすくなった」
藤原さん「よくやってくれたな、テン坊」
藤原さん「いや、バカヤロー。本当に無事でよかったよ、テン坊……」
藤原さん「まったく、心配するこっちの身にもなれってんだよ……」
斎藤T「藤原さん……」
斎藤T「ありがとうございます」
藤原さん「それじゃ、またな、テン坊」
斎藤T「はい」
カランカラーン!
店主「いらっしゃい」
マンハッタンカフェ「マスター、いつもののやつで」
店主「はい。わかりました」
店主「才羽くん。彼女にいつものをやつを淹れてあげて」
才羽T「はい、マスター」
才羽T「それじゃあ、これを彼女に」
ミホノブルボン「わかりました、マスター」
ミホノブルボン「どうぞ」コトッ
マンハッタンカフェ「うん」
藤原さん「お、カフェじゃねえか。今日はここで飲む気分か?」
マンハッタンカフェ「ああ、藤原さん――――――」
斎藤T「……あれはマンハッタンカフェだな」
斎藤T「
斎藤T「――――――?」
斎藤T「あれ、ちょっと待て……?」
――――――そう言えば、
斎藤T「完全にもうひとりの
斎藤T「“皇帝”シンボリルドルフに擬態するのがエルダークラスなんだぞ?」
斎藤T「超弦理論を理解できて明らかに知能が群を抜いていそうな
斎藤T「いや、そもそも擬態を完璧にこなすためには擬態対象よりも知能がなくちゃいけないから、絶対に
斎藤T「!!」
斎藤T「そうか! そうかもしれない!」
斎藤T「なら、利用できるんじゃないか?」
――――――