ウマ娘超光速戦記 -TACHYON Transmigration- 作:LN58
――――――目標:12月31日までにWUMAを殲滅せよ!
結論から言うと、私は死ななかった。聖夜の交差点事故の犠牲者にはならなかったのだ。
突如として目の前に巨岩が降ってきたパニックからアクセル全開で迫る自動車を前にして私は助かったのだ。
ただ、6時間は掛かるらしい川苔山:百尋ノ滝のトレッキングに向けて、背嚢を背負って杖を突きながら丸一日を歩き通していた疲労がどっと吹き出たようだ。
病床で目を覚ましたら、日付はクリスマス前夜からクリスマス翌日に飛んでいた。
それで背中に物凄い違和感があると思ったら、昨日からずっと眠り続ける私に付き添って眠りこけていたアグネスタキオンが教えてくれたのだ。
なんと、ワンボックスカーに対して背嚢をクッションにしながら背中からぶつかる体当たりをして暴走車をその場で止めてみせたというのだ。
にわかには信じがたい話で、それは世界最高峰の皇宮警察を両親に持っていた“斎藤 展望”が無意識に繰り出した最善の選択だったのかもしれないが、
その踏み込みでもって歩道を抉って聳え立つ壁となり、アクセル全開のワンボックスカーをビクンと跳ねさせて止めたと言うのだから、自分でも何を言われているのかが理解できなかった。
しかも、それは隣にいたから私が咄嗟に突き飛ばして助けたトレセン学園のウマ娘が一部始終を間近に見て証言したため、すでにれっきとした事実となっているらしい。
実は、後で藤原さんに教えてもらったのだが、皇宮警察騎バ隊の警察バの護身術には自らを犠牲にして自動車による襲撃から要人を守るための体術が存在していると言うのだ。
遺伝子的にスピードにパラメーターを振りすぎて それ以外が貧弱とされる競走ウマ娘でさえも 10代の全盛期なら側溝に嵌った自動車を持ち上げるぐらいは容易いので、あり得ない話ではない。
その一例として、卓袱台返しの要領で突き出たボンネットから乗用車をひっくり返す技があるらしく、ヒトを超越した身体能力を持つウマ娘ならではの力技の護身術が存在していた。
しかし、私はあくまでも世界最高峰の皇宮警察の警察バのハーフであり、生物学的にはヒトなのだから武術の達人がやってみせる超人技を披露したことになるのだろうか、この場合は?
ともかく、聖夜の府中市を混乱に陥れた事件の詳細を求めると、幸いなことに交差点事故の死傷者は出ていないものの、巨岩の飛来物の被害はそこだけではなかったことが報じられていた。
府中市のみならず、八王子市や立川市、所沢市に青梅市などの多摩地域が聖夜に謎の飛来物の被害に見舞われ、出所不明の巨岩の災厄を贈り物に捉えて『ブラックサンタクロースが現れた』と茶化す声があった。
ただ、こうして謎の巨岩の飛来物の被害に遭っているのが多摩地域だと言うのが、私には非常に引っ掛かるわけであり、あの時に何が起きたのかが想像ついてしまった――――――。
――――――やられた。完全にしてやられた。まさか、そんな大胆な行動をしてくるとは思いもしなかった。
●1周目:12月26日
斎藤T「――――――やっぱり、そういうことか!」
――――――
アグネスタキオン’「ああ。私の中のヒッポリュテーを含めて、この世界に来たエルダークラスは4人だったからねぇ」
アグネスタキオン’「その残る3人のエルダーの誰かが聖夜の暗闇に紛れて多摩地域の空で岩を降らせていたという推測は間違いない。ステルス迷彩ぐらい持っているしね」
アグネスタキオン’「岩を降らせるのはシニアクラス以上で生える角:念波増幅器でテレポーテーションなり、テレキネシスしたものだろう」
アグネスタキオン’「そして、あの巨岩がただの岩の塊のはずもない」
アグネスタキオン’「然るべき研究機関に運ばれることを見越して、中にいろいろと仕込んでいるはずさ」
――――――
斎藤T「……わかっていたことなのに、完全に後手に回ってしまった」
斎藤T「……行くべきだったんだ。トレッキングの練習なんかしてないで、直接!」ギリッ
斎藤T「……今すぐにでも討ちに行く!」ガバッ
斎藤T「――――――うくっ!?」ズシーン!
斎藤T「くそっ! 背中に違和感が! 妙に力が入らない感覚が!」ググゥ・・・
アグネスタキオン「トレーナーくん!」
藤原さん「おい、テン坊! 慌てなさんな! それだから“テン坊”なんだぜ? 一人で突っ走るなっての!」
斎藤T「…………っ」
藤原さん「まだ俺たちに話していないことがあるだろう?」
藤原さん「まあ、今年のウマ娘レースも終わって年明けまで残り1週間をお前さんがどう使うかなんてのは、わかってはいたけどな」
藤原さん「忘れたわけじゃないだろう? 妹さんの誕生日は12月30日なんだぞ? そんな大切な日のことを後回しにして予定を入れたんだぞ?」
斎藤T「それは……」
藤原さん「それに『有馬記念』翌日のクリスマスイブだってのに、どっかに山登りしそうな格好で府中市内をずっと歩き回っていたんだって?」
藤原さん「そして、今回の巨岩の飛来物が多摩地域で降っていることにお前さんはすぐに反応したな」
斎藤T「………………」
藤原さん「なあ、テン坊。別に俺は怒っちゃいねえよ。こうして体を張って東京都民を守ってくれたんだからさ」ポンッ
藤原さん「むしろ、お前さんの反応を見て ようやく俺でも目星がついたっていう愚図なんだから、お前さんが誰よりも賢い選択をしてきているのは身に染みている」
藤原さん「まあ、俺をはじめとする『警視庁』の連中が信用できないのはしかたねえよな……」
藤原さん「8月末の学生寮不法侵入事件の体たらくもそうだし、シンボリ家の別荘地でのSATの失態もそうだし、実際に何の役にも立ってないもんな、威張り散らしている大の大人がよ……」
藤原さん「本当にすまねえな、こんなのが東京都民を守る『警視庁』でよ……」
斎藤T「藤原さん……」
藤原さん「責任感があって勇敢で頭も切れるんだから、テン坊が今回の事件の被害者のために居ても立っても居られなくなるのはわかっている」
藤原さん「俺だって許せないさ。やつらを今すぐにでもぶん殴ってやりたい気分だ」
藤原さん「けどな? だからこそ、力にはなれなくても『わかっていてあげたい』と思うのが人情ってもんなんだぜ?」
藤原さん「だいたい、お前さんがひとりで罪の意識を感じて傷ついているのを知らないで のうのうと過ごしていた自分をぶん殴りたい!」ウゥ・・・!
アグネスタキオン「……ふぅン」
――――――“斎藤 展望”は藤原さんにとっては年来の友人夫婦の大切な忘れ形見であった。
だから、血は繋がっていなくとも長年の付き合いから息子のようにウマ娘の妹と一緒に愛情を持って接してきたという矜持があったからこその男泣きであった。
それは今は亡き両親の最高の血統と才能を受け継いでたったひとりで人類の脅威に敢然と立ち向かおうとする“斎藤 展望”に対する積もり積もった複雑な感情が顕になった瞬間でもあった。
その様子を同席していたことで間近に見ることになったアグネスタキオンは『自分はどうなのか』を自然と振り返ることになった。
現在の黄金期を迎えたトレセン学園においては非常に個性豊かな校則スレスレの問題児が全国からわんさかと集まっているが、
それ以前の時代から学者肌で凝り性なのが特徴の『名家』としてウマ娘レースで実績を残してきたアグネス家の最高傑作とも評されているアグネスタキオンだが、
幼い頃から自分自身の研究に取り組めるぐらいに彼女の両親は自分たちの研究に夢中で、それが普通なんだと幼心に信じ切っていた頃があった。
だから、今更になって『両親からの愛が欲しい』とか そんな承認欲求はなく、ウマ娘らしく純粋に脚が速かったからレースに勝つことに夢中になっていった。
しかし、やがて自分の能力に自分の身体が耐えられないことに気づくことになり、このままだと『日本ダービー』にすら出走できずに確実に故障で引退するだろう予測が立ってしまった。
だったら、自分の脚で最後までターフの上で走ることなどできそうもないのだから、最初から無駄なことをしない道を選ぶべきだと合理的な思考で彼女は自分の人生を考えていた。
つまり、本当はトレセン学園にはアスリートコースではなく、アシスタントコースの生徒として入学して実験データを集めるつもりでいたのだ。
すると、娘のアシスタントコースでの入学に関して、珍しく両親が席を設けて暗黒期に活躍した“ダービーウマ娘”
ヒトとウマ娘の絆が消えかかっていた暗黒期においても独立独歩を貫くアグネス家の人間らしく、
自分が思うように走りたいアグネススプライトは実質的に出走チケットになってくれる傀儡の無能トレーナーを利用して『日本ダービー』を見事に制したわけであったが、
今ではその傀儡の無能トレーナーとは相思相愛の仲であり、自身の経験からわずかでも可能性に賭けるべきだと――――――、
アグネスタキオンという一人の人間に向き合ってくれる誰かを見つける未来を掴み取るべきだとトレセン学園の大先輩が力説したのだ。
最終的に自分が決めたことだったが、ターフの上の先人の助言をもっともだと頷いて翻し、こうして自分の脚で走る道を選ぶことになった――――――。
アグネスタキオン「ふぅン、情報セキュリティを設けて段階的に情報公開するように協定を取り付けたのはいいけど、」
アグネスタキオン「結局はWUMAの空間跳躍能力や超能力、ウマ娘を超越した身体能力に対抗できないのだから、どうしようもないんじゃないかね?」
斎藤T「私もそう思ってはいたけど、正しい状況把握があって初めて正しい状況判断をすることができるわけだから、『多様性を尊ぶ宇宙移民の在り方に反していた』と反省している次第だ」
斎藤T「実際、情報の共有・交換・継承によって人類社会が発展してきたことを踏まえれば、私以外の誰かが解決に向けて情熱を燃やしてくれる可能性が万が一にだってある」
斎藤T「お前だって、確率的には1%にもならない優駿たちの頂点を目指すという無謀な戦いに身を投じている夢見がちな向こう見ずの一人だろう?」
アグネスタキオン「……そうだね。夢なんて 確率論からすれば そういうものだったね」
斎藤T「とにかく、この世界に来たエルダークラスが4体いて、トレセン学園侵略を指揮していたヒッポリュテーを討って残り3体が健在――――――」
斎藤T「12月24日にタイムリープした時に、巨岩の飛来物を多摩地域にバラ撒いた
斎藤T「エルダークラスは基本的に上意下達の命令には絶対服従の軍団をそれぞれ持っているわけだが、逆に同格のエルダークラス同士の連携はよろしくないようだ」
斎藤T「これは“フウイヌム”の生物学的な特徴:進化形態によってジュニアクラス、シニアクラス、エルダークラスの階級社会を構築しているわけだから、」
斎藤T「人間社会のように家格や血統によって差別ができない“フウイヌム”特有の社会構造の問題点と言えるな」
斎藤T「だから、同じ階級において序列が基本的にないからエルダークラスはそれぞれ使命に従って独自の行動を暗黙の了解のうちにとってしまいがちだ」
アグネスタキオン「つまり、連中は未だに数少ないエルダークラスの1体:ヒッポリュテーが討たれたことを知らない――――――?」
斎藤T「おそらくは」
斎藤T「エルダークラスの階級自体が
アグネスタキオン「じゃあ、実態としては命令系統の遵守が重要視される軍事組織とちがって、『名家』と似たような明確なトップを定めずに民主的な議論で組織運営されている感じなんだね」
斎藤T「実際は議論すら必要ないぐらいにそれぞれのエルダークラスが好き勝手に動いてみて調整を入れていく感じだと思うけどね」
斎藤T「それを種族レベルで可能にしているのが、はっきりとした姿形で示される“フウイヌム”の進化形態による階級社会による“階級の下の平等”だ」
斎藤T「これによって、同格となる それぞれの幹部の自主独立性が保たれ、組織としての冗長性と安定性が保たれているわけだ」
斎藤T「実際、4人いる司令官の一人:ヒッポリュテーが討たれてからもWUMAの活動は止まることはない」
斎藤T「だから、組織図としてはピラミッド型ではなく、蜘蛛の巣型の円環構造だと考えると理解しやすい」
斎藤T「わかるだろう? 今回はたった4人の場合でも、作図するにあたってのこの面倒さと広大さが現実に現れるWUMA撲滅の厄介さになるわけだ」
斎藤T「ヒッポリュテーの軍団は指揮権を持つヒッポリュテーがいなくなったことで、決して無視はできないが、ヒッポリュテーの命令を遂行するしか能がなくなっている。軍団が麻痺したわけだ」
斎藤T「けど、残り3体のエルダークラスに率いられた軍団がヒッポリュテー討伐の影響を受けずに行動しているわけだ」
斎藤T「特に、船橋市で桐生院先輩がシニアクラスに襲われたことを考えると、あの辺り一帯で活動しているエルダークラスが絶対にいるはずなんだ」
アグネスタキオン「ヒッポリュテーはそのことを知らないのかい?」
斎藤T「ああ。それぞれが“フウイヌム”の使命である『同胞たるウマ娘の解放』のために活動している」
斎藤T「それだけで各々がすべきことに向けて役割分担で動けるのが“フウイヌム”ということだ」
斎藤T「たぶん、互いの領分を侵さないためにいちいち言わなくてもわかるようなマーキングの仕方が確立されているんだろうな」
アグネスタキオン「なるほどね。それは確かに優れた社会性とも言えるだろうね」
斎藤T「ただ、エルダークラスがバラバラに自分たちの判断だけで独自の行動をしているせいで、情報が一箇所に集まらないから『重大な問題に関する通達・議論・決定が遅い』というデメリットがつきまとっている」
斎藤T「だから、そこから連中を分断していくことができるわけだ。そこが狙い目なんだ」
アグネスタキオン「ふぅン。並行宇宙の地球の支配者になったからこその放漫な組織体制というわけだね、これは」
アグネスタキオン「つまりはこういうことかい?」
――――――奥多摩にいるエルダークラスが1体だけの可能性が極めて高いから、敵本拠地を簡単に制圧できると?
そう、
聖夜の空から巨岩の贈り物をしてきたブラックサンタクロースに扮したと思われるエルダークラス――――――、
『有馬記念』前夜に船橋市で桐生院先輩をシニアクラスに襲うように命令したエルダークラス――――――、
『同胞たるウマ娘の解放』のためにトレセン学園の顔役であるシンボリルドルフに擬態したエルダークラス:ヒッポリュテー――――――、
すでに3体のエルダークラスが地図上に現れているわけであり、記憶違いや増援の可能性を無視して それぞれのエルダークラスの軍団の勢力図を推測していくと、
最後の1体となるエルダークラスが本拠地と思われる奥多摩の川苔山:百尋ノ滝の一帯を陣取っているのではないかという予想がつくのだ。
もちろん、多摩地域に岩を降らせたブラックサンタクロースが奥多摩の本拠地を守っているエルダークラスである可能性もあるが、
“階級の下の平等”によって自主独立性が強い“フウイヌム”たちがそれぞれ持つ軍団と縄張りを考えると、その可能性は限りなく低いはずだ。
そして、次の周から聖夜に現れるブラックサンタクロースを撃ち落とすことを考えれば、確実に奥多摩に集結する戦力を減らすことができるわけなのだから、
実は、ブラックサンタクロースの登場はエルダークラスが4体という情報と『有馬記念』前夜に桐生院先輩が船橋市で襲われた事実を踏まえると、とんでもない情報源となったのだ。
そう、結果としてワンボックスカーに撥ねられそうになった聖夜だったが、奥多摩攻略に役立つ有力情報につながる福音になったのだ。
惜しむらくは、なんちゃって八極拳の代償で背中の異状によって病床から抜け出せなくなったという致命的なタイムロスだが、どうせ1周目は情報集めがメインだったから、この収穫の結果には満足であった。
アグネスタキオン「けど、怖くはないのかい?」
斎藤T「何が?」
アグネスタキオン「もしも“目覚まし時計”による時間の巻き戻しが起きなかったら? そしたら、きみは12月31日に異形の化け物たちの巣でそのまま死ぬんだよ?」
斎藤T「リドリー・スコットの映画のようになるな」
斎藤T「そうだ。もしもそうなった時に備えて、聖夜の日に府中市をずっと歩き回って閃いたことを言っておきたい」
アグネスタキオン「何だい?」
斎藤T「――――――行動の自由:
アグネスタキオン「……何だい、それは?」
斎藤T「考えてみろ。ウマ娘レースのことをウマ娘たちが夢の舞台と崇めている根本的な理由は何だ?」
――――――日常的にヒト社会で能力を制限されているからこそ、思いっきり全力で走れるターフの上でレースを夢の舞台と言っているんじゃないのか?
アグネスタキオン「…………!」
斎藤T「だからな、私は多様性を尊重する人間として近代ウマ娘レースの歴史と伝統を尊重するが、
アグネスタキオン「……ふぅン。たった1日、山登りのつもりで街中を歩いたことで世界が変わったみたいだねぇ」
斎藤T「ああ。だから、私は“皇帝”シンボリルドルフに顔を立てて ウマ娘レースに干渉しないでいるつもりだ――――――」
アグネスタキオン「――――――逆に、ウマ娘レースに恩恵を与えるつもりもない、だろう?」
斎藤T「そういうことだ。でないと、私がこれから世界にもたらしていく宇宙科学によって ウマ娘レースの歴史と伝統を破壊していくことになるからな」
アグネスタキオン「ふぅン。こういうのを『男子、三日 会わざれば 刮目して見よ』とでも言うべきなのかねぇ?」
アグネスタキオン「けど、きみの言いたいことはよくわかったよ」
――――――私の研究が
●1周目:12月27日
12月24日に多摩地域に岩の贈り物をしてくれたブラックサンタクロースに扮するエルダークラスへの報復と対処の方法を考えながら、
病床でWUMAに関する情報セキュリティの枠組みを制定していた時、新たに入ってきた情報を見て 私は完全にWUMA共にしてやられたと思った。
なんと、多摩地域のハブとなっている立川駅をはじめとする青梅線で列車事故が相次ぎ、多摩地域における自動車のスリップ事故の大発生も報じられていたのだ。
その他にも不可解な出来事が多摩地域で頻繁に起こって、年末に向けて大忙しの中、多摩地域の警察も今まで以上に大忙しといった状況に陥っているらしい。
――――――WUMAの仕業だ。
おそらく年内中に奥多摩一帯を完全な支配下に置くつもりで、東京都からの分断を意図したものなのだろう。
ヒッポリュテーの記憶が正しければ、WUMAの襲来は今年の7月であり、いくら超科学生命体であっても初めての場所で土地勘などないため、
その記憶を継承した
何しろ、誇り高きエルダークラスにとっては自分たち以外の下等種族に擬態することすら屈辱的であるため、率先して擬態するつもりはない。
それを補っているのがやつらなりの使命感と自負心であり、怪人:ウマ女の分際で
なので、シニアクラスを部隊長にしたジュニアクラスの尖兵たちを人類社会に紛れ込ませて入念な情報収集をした上で方針を取り決めることになっており、
つまり、それぞれのエルダークラスの軍団が最初に擬態して集めた情報を下に侵略計画を立てるという、ある意味においては行き当たりばったりなのだ。
エルダークラスが擬態するのはシニアクラスでは擬態できないほどの知能を持った相手に限り、無闇矢鱈と擬態対象を殺害することもなく、軍団の司令官らしく自身が思い描いた展開になるように務めるものらしい。
そして、エルダークラスは
だからこそ、三女神が与えてくれた“
つまり、奥多摩に本拠地を構えていると思われるWUMA共が多摩地域で目立った行動を取り始めているということは、やつらの地球侵略が次の段階に進んだことを示しているのだろう。
ちょうどいい。1週間のお暇をいただいてやつらに初日の出を拝ませないようにしているのだから願ったり叶ったりだ。決着をつけてやる。
しかし、よりによってWUMA共が降り立った地が年間を通して日帰りの登山客が多い川苔山だったのは幸か不幸か――――――。
登山客に次々と擬態しては証拠隠滅のために殺害して“成り代わり”をしていき、人類社会に紛れ込んで情報を集めて回る。
この時、擬態してもWUMAとしての意識を保てるシニアクラスが監視役となって、登山客に完全に成りきったジュニアクラスに対してその場で交友関係を結ばせることで、自然と情報を吸い上げることを可能となっている。
そこから登山客に成りきったジュニアクラスを追跡して その私生活を監視しやすいように部隊長のシニアクラスは状況に応じて擬態を頻繁に行っていることを考えると、
これまではWUMAの擬態能力が擬態対象の知能を再現できることを条件としてWUMAの擬態対象が選定されているものだと思わされていたが、
シニアクラスの擬態に関してはWUMAの侵略においては極めて重要な役割を担っていたことが判明し、擬態対象に成りきったジュニアクラスの掌握に加えて、エルダークラスの懐刀として要人暗殺も担っていたのだ。
だから、『有馬記念』前夜で桐生院先輩を襲ったのがシニアクラスなのも当然の話にもなるわけだ。
そして、8月末の学生寮不法侵入事件でライスシャワーの担当トレーナー:飯守Tに擬態したのが格下のジュニアクラスだったのも不自然なことではなかったのだ。
そう考えると、“フウイヌム”ことWUMAのジュニアクラス、シニアクラス、エルダークラスで構成された階級社会は侵略種族の在り方に相応しい見事な造形と言わざるを得ない。
完全に擬態対象に成りきることができるジュニアクラスと自我を保つことで擬態精度が落ちるが侵略の指揮を執ることができるエルダークラスの間を取り持つシニアクラスは必要不可欠だったというわけだ。
一方、川苔山に降り立ったWUMAは登山客に擬態して人類社会に潜入していくわけなのだが、いくら東京都から日帰りで行ける整備された山でも交通の不便を覚えないはずがない。
もちろん、川苔山を訪れる登山客の存在は非常に貴重だったため、WUMAの侵略の最初期は数少ない登山客からの情報を繋ぎ合わせて行われていたわけだから、
WUMAの特徴である空間跳躍能力で一気に川苔山を下ることもできなくはないが、こういった四次元能力は使用者が認識できる範囲が限界なので、結局は誰かしらが実際に歩いて認識を拡げていかないと有効活用できない。
付け加えて、空間跳躍能力は壁抜け能力というわけでもないので、東京の名物とも言える地下鉄の閉じた空間からの地上への脱出には不向きであり、
その特性上、広大な平野なら一瞬で端から端まで移動できるわけだが、コンクリートのジャングルである東京都心の複雑に入り組んで迷いやすい街並みでも十分な力を発揮するためには土地勘を得てからとなる。
また、WUMAとしての自我を保つせいでシニアクラスは擬態しても危険意識がなくなるので自動車運転が極端に下手になって検挙されやすかった。
そのため、奥多摩や川苔山へのアクセスを担う青梅線を利用して山を下ることが推奨されることになり、こうして青梅線を通じて行ける範囲がWUMA御用達の侵略経路となっていったわけなのだ。
そう、青梅線の奥多摩駅から立川駅へと行き、立川駅から中央東線の西国分寺駅、武蔵野線に乗り換えて着いた先が府中本町駅――――――。
つまり、WUMAが奥多摩から青梅線を通じて府中市のトレセン学園に『同胞たるウマ娘の解放』をしに侵略してくるのも時間の問題だった。
しかし、今回のWUMAの侵略は裏切り者である賢者ケイローンを始末することが主任務で、いずれは本格的に侵略する布石として まだ情報収集や橋頭堡を築く段階であり、本腰を入れているわけではなかった。
もちろん、放っておけば先遣隊としての役割を果たして夥しい数のバケモノ共を人類社会に招き寄せることになるので、先遣隊の地球侵略がここに来て次の段階に入った時点で何としてでも排除しなければならない。
だが、見事に24日のWUMAの作戦行動の被害に巻き込まれて本調子ではないので出向くことができない――――――。
撥ねられても死ぬ程ではなかったのだから、他人を助けるべきではなかったのではないかという思いに駆られる。
どっちにしろ、ループ初日の24日の夜にブラックサンタクロースのエルダークラスを必ず討伐して、翌日の25日のうちに奥多摩に乗り込まないと、26日に多摩地域で起きる交通事故に阻まれて奥多摩に行けなくなるわけだ。
だから、こうして27日を迎えてしまった以上は手遅れであり、開き直って31日の“目覚まし時計”の発動:タイムリープを待って最終的に何が起きるのかを見届けるつもりでいた。
斎藤T「ああ、すごかった! これが伝説の1980年代のジャパニメーションの真骨頂か! 200年以上 電子の海に沈む前だから探しやすくていいな、21世紀は!」
斎藤T「これがキース・エマーソン! ローズマリー・バトラー! 金田 伊功! そして、さすがは虫プロの系譜のマッドハウス! 作画から迸る気韻生動!」
斎藤T「この時代だからこそ生み出されたレガシーは23世紀にも届いているよ」
斎藤T「そう、時代を超えた普遍性こそが神なるものの体現! 波動エンジンの開発エンジニアである私が掴めなかった最高の真善美だ!」
斎藤T「憧れるねぇ! 妬けるねぇ! もしも私がアニメ監督だったら効率の悪い手書きを否定してボットで制作しちゃうだろうから、手作りの良さという最高の贅沢を味わうことができないねぇ!」
斎藤T「…………いやはや、やつらの地球侵略が次の段階に進んだってのに何をやっているのやら、私は」
斎藤T「あははは! にしても、振り返ってみると、私ってば結構な頻度で病院のお世話になっているよな~!」
斎藤T「おかげさまで、この時代の医療現場の実態にかなり詳しくなっちゃって……!」
斎藤T「――――――本調子じゃなくて、やることがないんだから、しかたがないだろう!」ガン!
斎藤T「……“
ナリタブライアン「おい、邪魔するぞ」ガチャン!
斎藤T「……これは予想外な見舞客だな」
ナリタブライアン「その様子だと、すぐに退院できないほどの後遺症があるみたいだな……」
斎藤T「いえいえ、背中に違和感を覚えるぐらいで日常生活に支障はないですよ」
ナリタブライアン「相変わらずだな、あんたは。大したことを大したことがないと平然と言ってのけるんだからな」
ナリタブライアン「これは会長からの見舞いの品だ。昨日 意識が回復したという報告を受けて見舞いをお願いされた」ゴトッ
斎藤T「ありがとうございます」
斎藤T「あ、そうか。25日はトレセン学園の終業式で、会長の引退式――――――」
ナリタブライアン「ああ。会長だけじゃなくテイオーもお前がいないことを寂しがっていたぞ」
斎藤T「それは申し訳ないことをしました」
ナリタブライアン「いや、あんたは多摩地域を襲ったブラックサンタクロースの贈り物でハンドルを狂わされた暴走車から生徒の命を救ったんだ。加害者になってしまった運転手のこともな」
ナリタブライアン「そうじゃなかったら、終業式で引退式の他に生徒の葬式もやる羽目になったんだ。あんたは生徒会の恩人だよ」
斎藤T「それは災難でしたね……」
ナリタブライアン「あんたは底が知れないな。知れば知るほどレースの世界には場違いな存在だと思うよ」
斎藤T「それで?」
ナリタブライアン「ん?」
斎藤T「わざわざ私の見舞いを率先して引き受けた理由は何です?」
ナリタブライアン「――――――!」
ナリタブライアン「……さすがにあんたには誤魔化せないか」
ナリタブライアン「あんた、『ジャパンカップ』でミホノブルボンにハナ差で負けた偽物のトウカイテイオー’のことを始末したんだろう?」
ナリタブライアン「誤魔化すなよ。『有馬記念』で私はトウカイテイオーに競り負けたんだ。あの時は姉貴と最高のレースをしていたのに、最終的に追い抜かされたんだ」
ナリタブライアン「『ジャパンカップ』のテイオー’と『有馬記念』のテイオーが別人なのはわかっている。去年まで生徒会室に入り浸っていたことだしな。あの不自然さは私でも気づく」
ナリタブライアン「それに“無敗の三冠バ”を目指していたテイオーにとっては“ただの三冠バ”の私も超えるべき目標の一人として強く意識していたからな」
ナリタブライアン「となれば、答えは8月末の不審者――――――、飯守Tに擬態していた あのバケモノしかないだろう」
斎藤T「何が言いたいのです?」
ナリタブライアン「……あんたはずっとバケモノと戦い続けている」
ナリタブライアン「あの日だって世間が『有馬記念』翌日のクリスマスイブを楽しんでいる中、あんたは山登りの格好をして街中をずっと歩き続けていたんだ」
ナリタブライアン「学園で話題になってたぞ。街中で山登りの格好をしていたあんたが生徒を助けたのにニュースでは別人の手柄になっていたからな」
斎藤T「……そういうことですから」
ナリタブライアン「だから、誤魔化すな!」
斎藤T「子供は深夜になる前に家に帰って身体を洗って寝ろ!」
ナリタブライアン「!!!!」
斎藤T「あなたは無事に『トゥインクル・シリーズ』を走り抜いて、その先の『ドリーム・シリーズ』に姉妹揃って昇格したんです」
斎藤T「それは“皇帝”シンボリルドルフも果たせなかった快挙なんですから、あなたには勝者の義務を遂行してもらいます」
ナリタブライアン「ふざけるな! ウマ娘にも劣るヒトの身体でどこまで戦い続けるつもりなんだ!?」
斎藤T「借りを返そうだなんて思わなくていいですよ。子供に見返りを期待するような素寒貧のつもりはないですから」
ナリタブライアン「あ、あんたは……」
斎藤T「逆に訊きますけど、アスファルトの上で全力を出せない競走ウマ娘が格闘ウマ娘の真似事をして何になるんですか?」
ナリタブライアン「それは……」
斎藤T「寝覚めの悪い夢なんて忘れて、みんなの夢に向かって走り続けてください」
ナリタブライアン「――――――『夢』か」
斎藤T「そうです。夢は一人でも見ることができますが、夢の舞台はみんなで形作ってきたものなんですから、送り出してくれた人たちへの報恩感謝を忘れずに」
まさかの見舞客に驚くことになったが、よくよく考えると“斎藤 展望”の保護者である藤原さんが私を気遣って妹:ヒノオマシに連絡を入れなかったのに、アグネスタキオンが見舞いに来ていたぐらいだ。
アグネスタキオンと同じく25日の終業式にこれまでの影の功労者である私の姿がないことを不審に思い、生徒会の誰かしらが来ることになるのに不思議はなかった。
生徒会長:シンボリルドルフが『名家』の勤めか何かで来れなかったとすれば、接点のないエアグルーヴよりも姉妹揃って恩を感じているナリタブライアンが見舞いに来るわけか。
だからと言って、社会通念上では子供に過ぎないナリタブライアンをWUMA討伐作戦に参加させるわけにはいかない。
それに、中途退学者が毎年のように出続けるのが当たり前のトレセン学園での競走を勝ち抜いて上位リーグに昇格したのだから、何も考えずに前を向いて走ってもらいたい。
だから、やがてこの新惑星にも訪れるだろう宇宙時代を生きた先人として、人としてあるべき姿を示し続けるしかない。
――――――行動の自由:
斎藤T「あ、そうだ。せっかく来たんだから、ただで帰すわけにはいかないな?」
ナリタブライアン「うん?」
斎藤T「はい、まい泉のチーズメンチかつサンド!」
ナリタブライアン「お、かつサンド!? いいのか?」
斎藤T「どうぞ」
ナリタブライアン「おお! 食パンよりも分厚いな、この肉は!」
ナリタブライアン「うん! これはいいものだな! カマンベールチーズの濃厚な味わいとメンチカツの相性が抜群だ!」
ナリタブライアン「お、あんた、何を食べているんだ?」
斎藤T「これ? ニューヨーカー御用達のスモークサーモンとクリームチーズのベーグルサンド」
ナリタブライアン「……へえ」
斎藤T「ほら、はんぶんこ」スッ
ナリタブライアン「い、いいのか?」
斎藤T「育ち盛りなんだから、食べなさい」
斎藤T「そして、常に他人に施しを与えられる余裕を持つのが大人の条件だ」
斎藤T「子供がガキって言われるのは施餓鬼を受ける側にそっくりだから。他人に求めるだけで他人に与えることをしないからだ」
斎藤T「つまり、
ナリタブライアン「……大人の条件か」
ナリタブライアン「そう言われると、私は他人に求めることはしなかったが、他人に与えることもしなかったから、私は大人とは言えないんだろうな」
ナリタブライアン「姉貴や寮長たちは立派に大人というわけだな。エアグルーヴが次期生徒会長なのも当然だな」
斎藤T「逆に言えば、他人に求めないのなら それは子供じゃない」
斎藤T「――――――何だと思う?」
ナリタブライアン「……何だろうな?」
斎藤T「他にも、一方的に与えるだけの存在もいるわけだな」
斎藤T「――――――何だと思う?」
ナリタブライアン「さあな。小難しい話は姉貴にしてやってくれ」
斎藤T「これから大人を目指す上で重要な話だ」
斎藤T「一方的に与えるだけの存在にはなっちゃいけないよ。目指すべきは
ナリタブライアン「どうしてだ?」
斎藤T「たとえば、はい。ちょっと少ないけど1000万円の小切手です」スッ
ナリタブライアン「え!?」
斎藤T「ね? 素直に受け取れないでしょう? あなたの獲得賞金と比べたら端した金額でも、それが与えられる側の負担になることもあるわけだ」
斎藤T「そして、大体は一方的に与えるだけの存在というのは相手の気持ちを汲み取ることもない有難迷惑な存在というわけだ」
斎藤T「あなたも誰かとつるむことが好きじゃないだろうから、自分が求めてもいないのにあれこれしてやろうとする周囲の人間が鬱陶しく思うでしょう?」
斎藤T「だから、一方的に与えるだけの存在にはなっちゃいけない。一方的に与えた後のことは知らん顔をするのが常だから。そこまで気を回さない人種だから」
ナリタブライアン「……なかなか難しい話だな」
斎藤T「あ、難しくないよ。互恵関係を結べばいいのだから、相手の方から求めてきた時に自分がどういうことを望んでいるのかをしっかりと伝えて調整するだけで、相互理解が促進するから」
斎藤T「まずは自分から何かを積極的に与える必要はないから、相手が何かを求めてきた時に誠実に対応することに努めればいいよ」
斎藤T「返せることも与えることだ」
斎藤T「生徒会なんだから、それを日常的に心掛けるだけで多くの人たちと互恵関係が結ばれるよ」
ナリタブライアン「そういうものなのか?」
斎藤T「そう。易経にある鼎の卦と井の卦だよ。生徒会の一員なら そのことを知るべきだ」
ナリタブライアン「すまない。古文や歴史はさっぱりなんだ」
斎藤T「まあ、簡単に言うと鼎っていうのは古代中国で煮炊きに使われていた3本脚の土器だったんだけど、青銅器時代になると国家の君主や大臣などの権力の象徴となっていったんだ」
斎藤T「一方で、井というのは井戸のこと。この場合は宮殿には水瓶などで貯水されているのに対する、民衆にとっての大切な生活用水の象徴だね」
斎藤T「転じて、鼎は支配者の象徴、井は被支配者の象徴となり、鼎の卦は為政者として国全体に益する働き、井の卦は末端の人々をひとりひとり救う働きを示す」
斎藤T「具体的な例で言うと、医療現場でマンツーマンで患者の治療を施すのが井の卦、医療現場を支えるための制度や予算を整えるのが鼎の卦となる――――――」
斎藤T「つまり、どちらも欠かせないものなのはわかるよね? 一言で言うなら富と豊かさのことだから」
斎藤T「豊かなら下々の民はどうにだって生きていけるよ。でも、それ以上の暮らしを望むなら力を合わせて富を成す叡智もまた不可欠」
ナリタブライアン「つまり、末端の人間と頂点の人間の両方の視点を持ち合わせるべきなんだな?」
斎藤T「そう。末端の人間は贅沢三昧に思えるお偉方の生活をとにかく羨むでしょう? 逆に、頂点の人間は下々の民をお上の苦労を知らない気楽な立場だと軽んじるでしょう?」
斎藤T「これは両方の立場の視点を持たないことで相互理解が欠如するから起きる擦れ違いなんだ」
斎藤T「末端には末端の、頂点には頂点の楽しみや苦しみがあって、そのどちらが自分に適しているのかを判断して選択できる自由と機会を持てないのは人間として不幸なことだ」
ナリタブライアン「だから、一方的に与えるだけの存在になってはならないわけなのか。なるほどな」
ナリタブライアン「わかった。あんたは会長が卒業した後のトレセン学園でそういう在り方を生徒会に望んでいるわけなんだな」
斎藤T「ええ。『名家』の出身ではない庶民が大半の生徒たちでもそういった視点が備わるようにしてもらいたいのですよ」
斎藤T「そうでなければ、全国から集った校則スレスレの個性豊かな問題児だらけのトレセン学園の秩序は守れません」
斎藤T「木を見て森を見ず、森を見て木を見ず、正しくは『木も見て森も見る』です。シンプソンのパラドックスに騙されるな」
斎藤T「――――――“皇帝”シンボリルドルフの御心はそこにある」
ナリタブライアン「会長の……」
ナリタブライアン「言っていることの半分も理解できていないと思うが、あんたは本当におもしろいな」フフッ
ナリタブライアン「これまで会長を称える人間は数え切れないぐらい見てきたが、あんたにはまったくちがったものが見えているんだな」
ナリタブライアン「その、よかったら また話を聞かせてくれないか?」
斎藤T「ええ。もちろんです」
――――――生きていたらね。