ウマ娘超光速戦記 -TACHYON Transmigration-   作:LN58

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第10話   雪に耐えて梅花麗しURAファイナルズ

-西暦20XY年02月23日の航星日誌- GAUMA SAIOH

 

地獄の狂騒の2週間がようやく終わりを迎え、待ちに待った『URAファイナルズ』準決勝トーナメントが開幕となった。

 

第1回ということで、まだ見ぬスターウマ娘を迎え入れる入試期間が大きく占める2月に新しいレースを開催するといったいどうなるのかを関係各位が身をもって理解すると、次回の開催に向けた改善案に反対するものはいない。

 

私もまた中等部に続いて高等部の入学試験の後始末に追われることになり、中高一貫校なので中等部よりも圧倒的に少ない定員だったので、質と量ともに手強い夢のカケラが化けて出たオバケをあるべき場所に還すのにまたもや命を張ることになった。

 

高等部の入学試験の受験者の傾向は、さすがに中等部の頃から中央の芝に慣れ親しんだ中等部合格者(エリート)たちに差をつけられている現実を重々承知の上でやって来てるので、その精神の成熟具合と潔さは歳を重ねて中等部志望者の比ではなかった。

 

そして、高等部に地方から昇格して編入してきた“芦毛の怪物”オグリキャップに憧れて中等部を地方で走り抜いた古強者もいるわけであり、中等部での試験レースで敗れた雪辱を果たすために心身共に鍛え直して這い上がってきた者もいる。

 

なので、高等部の入学試験はまさに才能を凌駕する気迫の勝負となっており、臥薪嘗胆を誓って積み重ねてきた年月の努力と情熱の差がそのまま合格か否かを峻別することになった。

 

こうして私だけが馬鹿を見るみたいに精根尽き果てんばかりの全身全霊の勝負に人知れず次々と打ち勝って助霊を完遂してヘトヘトになった翌日、入試期間が終わった直後の『URAファイナルズ』準決勝トーナメントの日となっていた。

 

目に見えない世界においてはヒトの霊がウマ娘の霊を使役している現実を体感してしまった後だと、社会経験も少ないウマ娘の生霊を相手に叱り飛ばすだなんてことに恐れを抱くことはもうなくなっていた。

 

そして、ウマ娘以上に勝敗だの体裁にこだわるヒトの生霊に対しても、23世紀の宇宙移民でかつ波動エンジンの開発エンジニアの世紀の大天才でWUMA退治の専門家であるこの私が人生経験と気迫で負けるわけがないので、助霊そのものは終わってみれば全てが順調にいったのだ。

 

だが、実際に全てが終わってぼんやりとその時になって初めて気づくことになった、『URAファイナルズ』の新たな問題点。

 

 

――――――『URAファイナルズ』によって引退即退学の問題が解決されていったら、これまで中途退学が横行した穴を埋めるために用意された高等部からの編入枠が大幅に縮小されるのではないか?

 

 

そう、私自身が中等部の受験に失敗した者たちが夢の舞台にこびりつけていった残滓に対して『高等部()がある』と言ってきた手前、高等部からの入学のダブルチャンスに賭けてきたウマ娘たちの努力が完全に意味をなくす時がやってくるのではないか――――――。

 

ただでさえ、全てが全て現役アスリートというわけでもないが、総生徒数2000名弱のマンモス校に高等部からの編入枠をこれからも同じペースで採り続けていたら、トレセン学園が人口爆発してしまう。

 

つまり、これもまた非常に悩ましい問題で、中高一貫校の教育現場として引退即退学が横行している状況を改善してしまったら、今度は高等部からトレセン学園に入ってこようとする受験生たちに対して門を閉ざすことになるのだ。

 

しかし、ただでさえ、慢性的なトレーナー不足で喘いでいるのに、これ以上 無理に『より多くのウマ娘にチャンスを与える』という当初の目的に沿って在籍者を増やしていっても、バカ高い学費を払い続けるだけで勝ちウマたちの養分にしかならないのだ。搾取されてしまうのだ。

 

そう、トレセン学園における入学生の需要と供給のバランスが『URAファイナルズ』をきっかけにして大きく崩れようとしていた――――――。

 

 

第一は、入学してもスカウトされないままの子があまりにも多すぎるのが問題で、慢性的なトレーナー不足の解決こそが最優先ではあるのだが、その人材育成など一朝一夕で解決できるものでもない。

 

第二は、スカウトを受けてメイクデビューしたとしても、メイクデビューの目的である重賞レースの数もそう簡単に増えないので、結局は重賞レースで勝てるウマ娘の厳選によって簡単に切り捨てられる勝負の世界の厳しさは何一つ変わらない。

 

第三は、これまで中途退学者の穴を埋める前提で高等部からの編入枠が設けられていたため、中途退学者が激減すれば その趣旨に従って高等部の編入枠もまた減らしていかなければならない。

 

 

そのことを考えると、実はトレセン学園の改革は黄金期の象徴であった“皇帝”シンボリルドルフが卒業した後に本格化する流れになっており、それは皮肉にも『URAファイナルズ』という秋川理事長の理想がその歪みを生み出すことになるのだ。

 

 

――――――否、これまで見えてこなかったトレセン学園の歪みがいよいよ表世界に現れるといったところか。

 

 

どんな制度にも限界はある。完璧な秩序もいつかは腐敗する。それがこの世の在り方であり、需要と供給が価値を決めるのと同じだから限りあるものに尊さがある。

 

けれども、それを世俗を捨てた仙人や修行僧のように世を儚む態度を究極のロマンに生きる宇宙移民の私が評論家気取りでしているわけにもいかないのだ。

 

何より、私こそが誰よりも矛盾した存在であり、23世紀に生まれ育った誇りを持ちながら21世紀の旧い時代の在り方を尊重して生きねばならない制約を自ら課すことになり、

 

地球人類の未来のためにWUMAのような並行宇宙からの侵略者と戦いながら、現人類の在り方に嫌悪感を抱いてWUMAの思想に共感することもある“門外漢”だからこそ、どちらにも馴染めずにどっちつかずの何者にもなれない存在なのだ。

 

 

そう、だからこそ、どっちつかずの私は()()()()()()()()()()()()()()()()()()であり、片方の側に立つことなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()でもあるのだ。

 

 

今も思う。私が“斎藤 展望”となってしまってからの日々は永遠の孤独ではないのかと。これが宇宙移民となることを望んだ末路だとしても、独り寂しさを感じる虚しい感情は普段の自分の仮面の下から顔を覗かせてくる。

 

もうどこにもヒノオマシを愛し続けた“斎藤 展望”はいないことを告げる勇気はなく、DNAでは紛れもない本人でありながら、記憶喪失を装ってSOULはまったくの別人が成りすましているのだ。

 

だからこそ、完全に姿形、能力、記憶さえも完全に擬態して人生を乗っ取ることができる並行宇宙のバケモノであるWUMAとはちがう存在であることを自分に対して示し続ける必要があり、そのために“斎藤 展望”の魂の抜け殻を必要としてなければならない矛盾をまた抱える。

 

最初から私にとってウマ娘レースは宇宙移民としての好奇心からの異文化理解の対象以上の意味はなく、甲種計画は私が23世紀の人間にとって文字通りに時代錯誤な21世紀の人間にさっさと見切りをつけて宇宙制覇を目指す乙種計画を制限する人間性の檻でもあった。

 

そして、21世紀の異なる歴史と進化を歩んできた地球に向ける正の感情を呼び覚ます丙種計画と負の感情を呼び起こす丁種計画が牽制し合って押し引きしながら、新惑星の未開の人類に対する私の見識を深めさせていく。

 

 

――――――それが今の私という()()()()()()()()()を支える4つの柱であり、それぞれが合わせ鏡のように私の在り方を映し出す道標となっていた。

 

 


 

 

――――――都内の子供たちを集めた『URAファイナルズ』準決勝トーナメント観戦プログラム

 

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

 

斎藤T「………………」

 

斎藤T「………………」

 

斎藤T「………………」

 

 

斎藤T「ハッ」

 

 

斎藤T「……ヤバい。かなり精神がキているな、これは。気力がガリガリ削られたなぁ」

 

斎藤T「近墨必緇、近朱必赤。悪霊共の悪口雑言の生気が吸われる風雨に晒されて身体がかじかんだままだったな……」

 

斎藤T「気晴らしにスカッとすることをしたいと身体が訴えている……」

 

 

今、私たちがいるのはトレセン学園OB会による地域交流イベントを兼ねた『URAファイナルズ』準決勝トーナメントの観戦プログラムである。

 

これは先月の予選トーナメントでも行われていたのだが、引き続き『URAファイナルズ』を盛り上げていって毎年恒例になるように、今回も豪華なゲスト陣とイベントが準備されていた。

 

もちろん、『URAファイナルズ』は異例のトーナメント形式のレースであるため、先月の予選トーナメントよりもレース数は少ない。

 

通常の興行では1日に行われるレースは12回であり、メインレースは最終レースの1つ前に行われるのが習わしだが、

 

『URAファイナルズ』というファン投票という体裁で行われている卒業レースを開催するにあたっては――――――、

 

 

(一日の出走者数)=(一日のレース数)×(出走数:フルゲート)=12×18=216

 

 

216人のスーパーシニア級の競走ウマ娘が出走し、それを土日の2日間を使って前代未聞の大規模レースに最初の3年間を走りきったスーパーシニア級の強豪や復活の時を迎えた勇士たちが一斉に駆け抜けたのが先月の話であった。

 

当然、トーナメント制なので、次戦が必ずフルゲート:18人になるように勝ち上がり人数や一日のレース数が調整されるというウマ娘レースならではの特殊ルールがあるにせよ、次第に時間を持て余すようになってしまう。

 

なぜならば、トーナメント制で全てのレースがフルゲート:18人になるようにレースを組むとなれば、決勝トーナメントは必ず1レースだけの決戦になるわけだが、勝ち上がれる人数が決まっているのだから、その前の準決勝トーナメントは確実に18レースまでしか開催できない。

 

となると、準決勝トーナメントは土日を使って18レースを開催することになるが、一日のレース数は9レースになるわけで、3レース分の空き時間ができるわけである。

 

なので、予選トーナメントのギッシリと夢が詰まった2日間の方が熱狂していたなんて言われないよう、全国各地の競バ場で開催されていることを活かした特別番組で間を待たせることになっていた。

 

しかし、元からウマ娘レースそのものには興味がない私にとっては、大人気長編シリーズの最初と最後の売上が高くなるように中間の中弛みの時期にあたる『URAファイナルズ』準決勝トーナメントが非常に退屈に思えていたのだ。

 

何しろ、予選トーナメントは本当に誰が勝つか予想がつかない復活選手の活躍が感動と興奮を呼び覚ましたが、それよりもフルゲート:18人になるように人数調整が行われるために1着にならなくても思いがけず準決勝進出の歓喜が大きかったはずだ。

 

だが、次の準決勝トーナメントは最強のウマ娘を決める決勝トーナメント:18人を選抜するために1着しか勝ち上がれなくなるのだから、途端に最初の3年間を走り抜いた現役選手が順当に勝つ展開が多く、なかなか復活選手の番狂わせは続かないものなのだ。

 

そのため、『URAファイナルズ』決勝トーナメントはまさに1月から3月に至る冬の季節を3ヶ月連続出走になるクソのようなローテーションの末に勝ち抜いた精鋭:18人による最後の死闘ということもあって手に汗握る戦いが展開されることは容易に想像がつくが、

 

準決勝トーナメントはレース数が減ったことで空いた時間を特別番組で埋めるような運営のお茶を濁している感じが目立っており、私が感じているのなら私以外の人間も似たようなものを感じているのだと確信して、どうにも気分が盛り上がらないでいた。

 

それは昨日までトレセン学園という夢の舞台の暗黒面と独りで対峙し続けて心身共に弱った状態だから素直に物事を楽しむ気力が湧いてこないというのもあるのだろうが、

 

だとしたら、最低の気分で中弛みのもっとも物事のつまらない部分を見せられている谷の底の状態と、WUMAの本格的な侵略を阻止し掴み取った平和の日々を噛み締めて心身共に充実した山の頂きの状態を経験して見えてくるものとは何なのだろうか――――――。

 

 

大江巡査「失礼。皇宮警察騎バ隊の御子息の斎藤 展望殿でよろしいでしょうか」スッ

 

斎藤T「…………警察?」チラッ ――――――警察手帳を見せてもらった。

 

大江巡査「どうなさったのですか? せっかく、“アグネス家の最高傑作”の担当トレーナーになったということで多少の縁を感じて、非番をもらって 遥々 京都からやってきたというのに……」

 

斎藤T「――――――『京都』? ――――――『警察』? ――――――『京都府警察』?」

 

大江巡査「その通りです。申し遅れました。私は京都府警察 平安騎バ隊所属の大江巡査です」

 

 

――――――またの名を競走ウマ娘:アグネスマキシマムと申します。

 

 

斎藤T「あなたはアグネス家の……」

 

大江巡査「はい。元 中央トレセン学園の卒業生でもあるので、このイベントに招待された一人でもあります」

 

斎藤T「そうでしたか」

 

斎藤T「さっき『皇宮警察と縁を感じた』と言いましたが、皇宮警察本部直轄の京都護衛署の方なのですか?」

 

大江巡査「いえ、平安騎バ隊は1994年に平安遷都1200年を記念して創設されたものでして、どこの県警本部でも騎バ隊は編成されていますから、京都府警察における名誉職みたいなものではありますね」

 

斎藤T「どういうことです?」

 

大江巡査「アグネスマキシマムとしての中央での戦績は6年48戦4勝。獲得賞金:7,428万円」

 

斎藤T「え!? 6年間で『48戦』!? 主な勝ち鞍は?」

 

大江巡査「――――――『クラシック級1000万下』ですね」

 

斎藤T「…………?」

 

大江巡査「重賞レースじゃないですよ。私のような凡才なんてG3レースに出走することも烏滸がましいぐらいですよ」

 

大江巡査「重賞レースで勝ち切れない“シルバーコレクター”や“ブロンズコレクター”のことを弱いウマ娘だと勘違いしている人間がたまにいますけど、」

 

大江巡査「勝利数を積み重ねるだけなら、私のような有象無象の弱いウマ娘たちが毎月のように出走している一般競走やリステッド競走でお山の大将になっていればいいんですよ」

 

大江巡査「年間3400は『トゥインクル・シリーズ』でレースが組まれていて、重賞レースはその中での130超しかないわけで、しかも八大競走が大本のG1制覇だなんて まさに夢物語じゃないですか」

 

大江巡査「だから、本当に才能のある子は大事にされてトウカイテイオーのように無期限活動休止の末に奇跡の大復活で二度も日本中を沸かせたのですから、」

 

 

大江巡査「本当に大事にしてやってくださいよ、“アグネス家の最高傑作”のこと」

 

 

大江巡査「そもそも、“クラシック三冠”を目指すとなると『日本ダービー』を制した後の『菊花賞』まで何ヶ月も間が空いて他に出走することなく脚を温存しますけど、その間もダメなウマ娘ほど夏場の炎天下も走り続けることになるわけですからねぇ……」

 

斎藤T「なるほどな」

 

斎藤T「じゃあ、たとえば4戦4勝で引退――じゃなくて活動休止していたフジキセキのことをどう思う?」

 

大江巡査「同じ4勝でこんなにも評価に差がつくわけですからね。6年間ひたすら走り続けて ただのレースで4勝をもぎとったのに、あっちは“クラシック三冠”の開幕戦の『皐月賞』を前に身を引いたのにねぇ……」

 

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 

斎藤T「あ!」

 

大江巡査「おお、【マイル部門】でそのフジキセキが圧勝! 『URAファイナルズ』決勝トーナメント進出!」

 

大江巡査「いやはや、スゴイねぇ! かつて“クラシック三冠”を期待された矢先に怪我で引退同然になっていたのに【マイル部門】の参戦でここまで走れるだなんてねぇ!」グスッ!

 

斎藤T「………………」

 

大江巡査「いやぁ、感動するねぇ! 私があそこで勝ったところで誰も歓声を上げてくれないだろうに、フジキセキだったから あそこまで盛り上がったんだ! あれが重賞レースを勝ち上がるスターウマ娘の貫禄だよ!」

 

斎藤T「たしかにフジキセキに関して言えば王者の風格がある」

 

大江巡査「そういうことだから!」パン!

 

斎藤T「いたっ」

 

大江巡査「あなたの評判はいろいろと聞いていますし、アグネスタキオンという競走ウマ娘の噂もいろいろと調べさせてもらっています」

 

大江巡査「ですが、同じアグネスの名を冠する者として、世代はちがえども、それだけで親近感が湧くというものです」

 

 

大江巡査「ですので、『無事是名バ』を座右の銘として、今後の励みにしてください」

 

 

大江巡査「私のような6年48戦4勝の駄バが言うようなことではありませんが、そんな駄バの私でも6年48戦4勝をやれたのです。獲得賞金:7,428万円ですから」

 

大江巡査「そのことを考えれば、引退即退学の現状を改善して気持ちよく卒業していけるように組まれた『URAファイナルズ』もそう悪いものじゃないように思いますよ」

 

大江巡査「むしろ、ただただ走ることが本当に大好きだったから、クラスだとかグレードだとか賞金だとか関係なく一般競走やリステッド競走も走ることができましたから」

 

斎藤T「……そうかもしれないな」

 

斎藤T「重賞レースにこだわらなければ走れる舞台なんていくらでもあるわけか」

 

斎藤T「むしろ、重賞レースの最高の舞台を求めて闘争本能を滾らせた結果が『沈黙の日曜日』なんだろうな」

 

大江巡査「行き過ぎた闘争本能は身を滅ぼしますよ。それが『URAファイナルズ』を生み出したのですから」

 

斎藤T「同感だな」

 

斎藤T「大江巡査」

 

大江巡査「はい」

 

斎藤T「京都観光に行ったら案内してくれるかな?」

 

大江巡査「まあ、京都三大祭りの時は無理ですけど、平安騎バ隊は京都府警察本部地域部地域課として日々パトロールに勤しんでいますので、会える時は会えるでしょう」

 

斎藤T「そっか。ありがとう」

 

 

――――――きみの4勝が今日一番に勇気を与えてくれたよ。

 

 

不思議な縁は続くものだ。イベント会場の隅で壁にもたれかかって スパークリンググレープジュースを手にしたまま 虚ろな目で辺りをボーッと見つめていた私に声を掛けてきた者がいた。

 

一目見てウマ娘だとは気づかない自然な帽子姿と整ったパンツスーツのやや大柄の男装の麗人にも見えた『名家』アグネス家出身の彼女――――――。

 

非番をもらって京都から遥々やってきた京都府警察本部地域部地域課平安騎バ隊の婦警:大江巡査こと 競走ウマ娘:アグネスマキシマムとの対話で語られた経験と意見は大変参考になった。

 

そう、『トゥインクル・シリーズ』と言えば重賞レースで勝つことだけが目的のように思われがちだが、実際には年間3400もの非重賞レースが催されており、

 

重賞レースで勝てないウマ娘であっても出走して無様を晒さない(タイムオーバーしない)だけの実力を有しているわけであり、重賞レースへの出走なんて夢のまた夢と考えている競走ウマ娘からすれば憧れの的や応援の対象にもなるわけなのだ。

 

思えば、総生徒数2000名弱の中高一貫校のマンモス校の中央トレセン学園ではあるが、そこだけが唯一『トゥインクル・シリーズ』に出走できる団体ではなく、全国各地にもURA所属のトレーナーがいて公認の団体があり、それぞれの目標に向けてひっきりなしに各地でレースが毎週開催されているのだ。

 

中央競バ『トゥインクル・シリーズ』だけでも年間3400であるのだから、これが地方競バ『ローカル・シリーズ』ともなると、一体全体 どれだけのレースが開催されているのやら。

 

もちろん、『トゥインクル・シリーズ』と言ったら中央トレセン学園しかパッと思い浮かばないぐらいに、中央とその他大勢という扱いになるぐらいには『トゥインクル・シリーズ』の勢力図は中央一色ではあるのだが。

 

そして、48戦4勝の凡才と自嘲するアグネスマキシマムが特に大きな災禍なく6年間を走りきったという事実と、クラシック戦線が始まって早々に4戦4勝で第一線を退くことになったフジキセキの現実が、ウマ娘レースの真理を顕にする。

 

鎬を削る以上に生命を燃やして年間に片手で数えるぐらいしか走らない最高の舞台:重賞レース優勝の名バと次こそ勝つために月一のペースで参加する非重賞レース:平場レースの勝ちウマでは何もかもが違って見えた。

 

しかし、ウマ娘のヒトを超越した身体能力と闘争本能と走ることへのこだわりが極限まで高められた重賞レースで勝ちを狙える競走ウマ娘というのは、自分の能力に身体が追いつかないせいであっという間に故障して引退即退学で、『URAファイナルズ』開催の糧になってしまっているのだ。

 

 

つまり、ウマ娘という種族は種族の限界に挑戦し続けて本当に限界に達してしまった限界種族とも言えるのだ。

 

 

そう、限界なのだ。思春期にG1制覇という夢を追い求めて不可能の挑戦し続けて、近代ウマ娘レースの歴史は16世紀にイギリスで始まったわけだが、日本においては幕末の『居留地競バ』に端を発し、たかだか100年超でしかない。

 

そのたかだか100年程度で、これだけの故障率と引退即退学を叩き出す場所が中央トレセン学園というわけなのだから、すでに種族の限界を迎えてしまっているのだ。だから、すぐに故障して引退して退学にもなる。

 

そんな当たり前のことに私が今更ながら気づいたのだから、この世界に生まれ育った人間たちは気づいていないはずがないのだ。

 

 

――――――いや、()()()()()()()()()()()()()

 

 

私の担当ウマ娘が『ウマ娘の存在は未だに神秘である』と断言し、()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

そもそも、ウマ娘は古代においてはメスしかいない種族のために大事な働きであるヒトの男子をさらって性を搾り取っては驚異のパワーで暴れまわる鬼でもあったのだ。

 

そうして鬼と恐れられた者たちの末裔の人権が認められて“第3の性”として広く受け入れ始めたのも公民権運動の後であり、ウマ娘は近代革命においては工場労働に適さない野蛮人としてウマ娘レースで活躍したスターウマ娘以外は依然としてバケモノ扱いでもあったようなのだ。

 

それが数十年の徹底した肯定的措置(アファーマティブ・アクション)によって現在の人気と地位を得ているわけであり、ラスコーの壁画にその存在がはっきりと描かれてはいるものの、天地開闢からヒトとの絆の歴史があったとは素直に言い難い複雑な関係性を歩んできたのがウマ娘という異種族である。

 

とすれば、ターフの上でスピードの世界を極限まで追究していった先にあるのは、ウマ娘レースで名誉除隊したスターウマ娘が軒並み車椅子に乗る世界なのかもしれない。

 

とは言え、全体として見れば医療技術などの発達の恩恵で『トゥインクル・シリーズ』から『ドリーム・シリーズ』に昇格するスターウマ娘も多くなっているわけで、相対的に『トゥインクル・シリーズ』における最初の3年間の価値が色褪せてくる時代にも差し迫ってもいるのも事実だ。

 

 

すなわち、公営競技としても、種族としても、限界を迎えつつあるのがウマ娘の世界における近代ウマ娘レースという文化でもあった。

 

 

そういった人類の未来といったマクロな視点を持って肉体改造を強く願ったわけではないのだろうが、三冠バを目指せる脚なのに自分の能力に耐えきれない絶望を抱いて4年間も肉体改造強壮剤を服用し続けて待つことを選んだ私の担当ウマ娘の自己の将来に対する不安はここに淵源を発しているのかもしれない。

 

そして、走りやすい芝も年々改良されて高速バ場はより完成度を増していくわけだが、ヒトと身体構造に差がほとんどないというのに自動車並みの速度を出して走ることができる衝撃と反動もまた年々脅威が増していってもいるのだ。

 

そう、あらゆる面で極限という名の限界にまで達しそうになっているのが近代ウマ娘レースの夢の舞台であり、最高の勝負の舞台であり、ロマンの結晶というわけなのだ。

 

しかし、ウマ娘との絆の歴史、ウマ娘への本当の理解が浅いからこそ、ウマ娘の身体能力を過信して未だに悲劇は繰り返されようとしている――――――。

 

 

アグネスタキオン「やあ、トレーナーくん。さっき、アグネス家(私のところ)の誰かと随分と話し込んでいたみたいじゃないか」

 

斎藤T「ああ、京都観光の案内を約束してきたんだ」

 

アグネスタキオン「おやおや、横浜の次は京都かい? それは皇宮警察繋がりかい?」

 

斎藤T「そうでもあるな――――――」

 

斎藤T「あー!?」

 

アグネスタキオン「な、なんだい、急に!?」

 

斎藤T「………………」

 

アグネスタキオン「な、何だい? どうしたんだい!? 言いたいことがあるならはっきりしたまえ!」

 

斎藤T「……なあ、ウマ娘の可能性の“果て”というのはウマ娘の限界と同義か?」

 

アグネスタキオン「なに?」

 

斎藤T「答えてくれ。お前にとっての限界とはどういう状態を指す?」

 

 

――――――もしも『沈黙の日曜日』が第3コーナーで起きずにゴール板で起きたとしたら?

 

 

この時の私の思考はおそらくトレセン学園の受験期間に蟠った悪霊共にやられていたんだと思う――――――。

 

あるいは、本質的に私の生まれ育った23世紀の地球とは異なる世界の文化であるウマ娘レースに対して理解が足りないから、優駿たちの頂点を決めるだなんて謳い上げて報われなかった生徒たちのためにファン投票で全員が参加できる卒業レースへの皮肉のつもりか――――――。

 

私はまさにスピードの世界で勝利を現出するシミュレーションの中での理想を現実に形にした時に起きることを想像して、甲種計画・乙種計画・丙種計画・丁種計画を完遂に導く禁じ手を幻視してしまったのだ。

 

まさしくヒトデナシの発想であると同時に、ロマンを形にしたいという技術者の性と藁にもすがる思いで世界を救う使命という重荷への疲弊感から、見てはならない幻の続きを目で追っていた。

 

 

ウマ娘の可能性の“果て”を追究する競走ウマ娘:アグネスタキオンにとって、“最強の七冠ウマ娘”シンボリルドルフや“年間無敗の覇王”テイエムオペラオー以上に“異次元の逃亡者”サイレンススズカの存在は重要な研究対象であった。

 

 

その『沈黙の日曜日』、過去最高のデキであると本人が豪語していた程に1000m:57秒4という圧倒的ハイペースでレースを進めたところで、第3コーナーの大襷を越えたところで突如として失速――――――、

 

明らかに異常が確認され、観客席が大いにどよめく中、苦痛に歪んだ表情を見せないように顔を伏せながらレース外まで走りきって倒れ込んだおかげで後続との衝突事故は避けられたが、

 

常勝不敗でも三冠ウマ娘でもないサイレンススズカがシンボリルドルフやテイエムオペラオーに並べられるほどの歴代最強のウマ娘の一人に数えられる“異次元の逃亡者”とまで称えられた圧倒的なまでの大逃げの果てが競走ウマ娘の人生の果てとなっていたのは何たる運命の皮肉か。

 

彼女一人のためにどれだけの人たちが涙を流し、その裏でどれだけのウマ娘たちが人知れぬ涙を流して夢の舞台からひっそりと姿を消しているのか――――――、

 

あるいは、無冠でしかないレースを勝つまで次々と出走しては『今日も勝てなかった』といつもの足取りで帰っていくウマ娘たちがいることか――――――。

 

そのことを考えれば、人々が司馬懿よりも諸葛亮が好きであるように、足利尊氏よりも楠木正成を尊ぶように、徳川家康よりも豊臣秀吉、豊臣秀吉よりも織田信長が人気であるように、時に悲劇の英雄は時代の覇者よりも人々の心に刻まれるのだから――――――。

 

 

だから、私はゴルゴダの丘に繋がる坂道を十字架を背負って昇った聖書の救世主の象徴性に魅せられてしまう――――――。

 

 

いや、何を言っているのだ、私は。自己破滅願望と英雄願望が綯い交ぜになっていないか。こんなのはまったくもって私らしくない。宇宙移民としての在り方はどうした。

 

今の私は明らかに冷静ではない。今まで意識していなかった重賞レースへの挑戦すら許されない正真正銘の凡才ウマ娘たちの羨望と憧憬というものを初めて認識したせいで――――――、

 

そうか。今の私は中央トレセン学園の入試で落第したウマ娘たちの残念無念妄念を浴びまくってそういったウマ娘たちの感情に感化されてシンクロしてしまっているのだ。

 

そして、まったくもって私らしくないヒトデナシの思考によって導き出された究極の一手に対して私が思い悩むように導かれたというか、仕向けられたというか、とにかくそうなるようになっていたのだ。

 

だから、私ではない私が導き出した答えを私の担当ウマ娘が聞いた時に何が起こるのかを想像すると口を噤むしかないのだ。絶対に言うわけにはいかないし、やらせるわけにもいかない。

 

 

――――――目的のために4年間も待つことを選んだアグネスタキオンというウマ娘なら、それがウマ娘の可能性の“果て”を示すものだと納得すれば、やりかねない確信があるのだから。

 

 

でも、そうなった瞬間を実際に見てみたいと思う私がいる。それを見せつけられた民衆が何を思うのか、どんな評定をするのか、いかなる言い訳をするのかを――――――。それは狂喜とも言える嘲笑が溢れ出す歓喜の瞬間でもあった。

 

やはり、私という“門外漢”は21世紀の人間の在り方を愚かというよりは野蛮だと感じているわけで、その後始末を誰よりもさせられていることもあって好きになれる要素がどこにもないのだ。

 

けれども、そんな私が“斎藤 展望”として在り続ける決心ができた瞬間はいつなのか――――――、私はその感動の原点を常々思い続ける必要があった。

 

 

――――――そもそも、私という存在の本質は宇宙移民なのだ。

 

 

21世紀など比較にならないほどに便利で豊かに進化した既存の生活圏での安定した暮らしを自ら捨てて、光の速さで到達するのも気が遠くなるような宇宙の彼方に実際にあるかどうかもわからないものを目指して、限られた居住空間での管理社会に身を置くことを良しとした最高の道楽者でもあるのだ。

 

つまり、一般的に見れば苦痛を伴う日々を乗り切れるだけの生き甲斐とも呼べる喜びを見出しているから、私は宇宙移民で在り続けることができるわけなのだ。

 

だから、宇宙移民としての道楽者の在り方を貫けなければ、私は私としてあることはできなくなる。

 

 

――――――私は“斎藤 展望”として在り続けるためにも もっとワガママに生きるべきなんだと思った。

 

 

それが私にとっての中道であり、決して平均点のことを言うのではない。だが、究極の平均点とも言える。

 

要は、その人に課せられた命に中たる道ということで、己が天命の在り方に忠実である生き方を中道というのであって、常人は己が天命を悟らずにそれぞれの命から外れた生き方をして偏っているのだ。

 

つまり、私の偏りというのは23世紀の宇宙移民として生きることと21世紀の“斎藤 展望”として生きることを同時に迫られ、どちらの生き方にも忠実であろうとして右に左に振り回されて、中途半端な態度になっていることなのだろう。

 

 

しかし、Aの生き方を理想としながらBの生き方も捨てられないのなら、それはA+Bの生き方ではなく、まったく別種のCの生き方ということにならないのだろうか。

 

 

すなわち、23世紀の宇宙移民として生きた誇りを胸に21世紀の地球人として立派に生き抜くのは A+Bの生き方ではない まったく別のCの生き方であり、Aの生き方とBの生き方に愚直なまでに忠実である必要はないのだ。

 

簡単な話だ。たとえば、普段遣いできる自家用車が欲しいという要求に対して、それが一人暮らしの人間が使うのなら軽自動車や軽トラックで十分だろう。オートバイでもいいかもしれない。

 

一方で、4人家族を乗せる前提ならファミリーカーが必要になるという具合に、Aという要求に組み合わされるBという要求によって導き出されるのはAの要求に合致する車種とBの要求に合致する車種の合計ではなく、AとBの最大公約数であるCという車種になる――――――。

 

化学だったらもっとわかりやすいはずだ。塩化水素と純水が化合すれば塩酸になるため、絶対に化合前の純水のように安全に飲めるものじゃなくなる。管理の仕方だって違う。

 

あるいは、フランス料理におけるワインとのマリアージュもそうだろうし、赤色と青色の絵の具を混ぜたら紫色になって印象や意味合いがガラッと変わってくる。

 

どちらの性質を有しているが故の新種であり、ある意味においては『白馬は馬にあらず』が真実になる時がくるだろう。

 

よって、私という存在は23世紀の宇宙移民であって21世紀の地球人でもあり、その実、23世紀の宇宙移民でも21世紀の地球人でもない存在であるという、()()()()()()の“門外漢”というわけなのだ。

 

 

――――――もしも『沈黙の日曜日』が第3コーナーで起きずにゴール板で起きたとしたら?

 

 

アグネスタキオン「トレーナーくん……」

 

アグネスタキオン「きみ、相当に眼が狂っているぞ……」

 

斎藤T「あ……」

 

アグネスタキオン「まあ、本来 人間の眼には見えないものを見続けるというのは、常人よりも遥かに脳の処理が圧迫されるというわけなのだからねぇ……」

 

アグネスタキオン「ただ、さっきの質問を返すとするなら――――――」

 

 

――――――それで本望だったと思うよ。

 

 

斎藤T「え」

 

アグネスタキオン「いや、よくはないさ。けど、『レースを走りきった』ということで区切りがいいから、あきらめもつくさ」

 

アグネスタキオン「それはきみが過去に救ってきたメジロマックイーンやトウカイテイオーもそうだっただろう」

 

斎藤T「それはそうだろうが……」

 

アグネスタキオン「ただね、サイレンススズカは今でこそ最強のウマ娘の一人に数えられるわけだけど、クラシック級の時は重賞レースを1勝もできず、翌年から『沈黙の日曜日』まで全戦全勝ということで一気に知名度を上げた経緯がある」

 

アグネスタキオン「それでも、G1勝利が『宝塚記念』だけしかないのを見れば、同じ最強候補の“皇帝”シンボリルドルフや“覇王”テイエムオペラオーの戦績と比べるべくもない」

 

 

アグネスタキオン「だとしても、私が目標とするのはそんなサイレンススズカなんだ」

 

 

アグネスタキオン「――――――嬉しいよ」

 

斎藤T「………………」

 

アグネスタキオン「きみがどこまでの考えでさっきの質問をぶつけてきたのかは正直に言って私でもわからないさ」

 

アグネスタキオン「でも、きみは日本のウマ娘レースにおいてはタブー視されている『沈黙の日曜日』の可能性について私に訊いてきたことが私にとっては何よりも嬉しいんだ」

 

アグネスタキオン「きみは私がやろうとしていることを知ってか知らずか言い当ててきたわけだからね。それもきみが信仰する皇国の神々の導きとやらかい?」

 

 

アグネスタキオン「だから、私ときみはうまくやっていけるさ、この先」

 

 

アグネスタキオン「なんだったら、遠慮なく使い潰してくれてもいいさ、この脚なんて」

 

斎藤T「おい……」

 

アグネスタキオン「本質的にトレーナーじゃない“門外漢”のきみが欲しいのは競走ウマ娘の脚じゃなく、()()()()()()()()()なのはわかっているさ。だからさ」

 

 

アグネスタキオン「きみ、今更 逃げられると思うなよ?」クククッ

 

 

アグネスタキオン「きみは自分から厄介事を背負い込む性分なんだから、私のことを走れない身体にした責任ぐらい簡単にとれるだろう?」

 

アグネスタキオン「そうそう、他でもない()()()()()()()()()()()()()を私に捧げてくれるだけでいいのだからねぇ」

 

斎藤T「…………おっかないやつだな」

 

アグネスタキオン「ちがうねぇ。こういうのは『用心深い』と言って欲しいねぇ」

 

アグネスタキオン「私の望むものを叶えるのに必要なものがきみだったというだけで、他の選択肢なんていくらでもあったさ」

 

アグネスタキオン「けど、だからこそ、私の望むものを一番に叶えられると判断したのがきみでもあるんだ」

 

アグネスタキオン「これまで人知れず人類の脅威から世界を守り続けてきた強靭無敵のきみが初めて見せた狂った瞳から察するに、まとも精神状態ではなかったことはわかる。あるいは、()()()()()()()なのかもしれない――――――」

 

アグネスタキオン「でも、それで私と同じ結論にたどりついてくれたんだ」

 

 

――――――だったら、()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

アグネスタキオン「そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()競走ウマ娘の自分から初めて解放された気分だよ」

 

アグネスタキオン「自分がやりたいように生きる。そして、自分がやりたいようにきみと共に新しい世界を作っていこうじゃないか」

 

斎藤T「………………」

 

アグネスタキオン「安心したまえ。きみの方が再起不能になったのなら、きみの妹の面倒は私が代わりに見てあげようじゃないか。私もヒノオマシくんのことは嫌いじゃないからねぇ」

 

アグネスタキオン「何なら――――――、ね」

 

斎藤T「……そう言われると弱いな」

 

 

――――――これが束縛からの自由(リバティー)からの表現の自由(フリーダム)か。

 

 

 

 

 

ソラシンボリ「…………いいなぁ」ジー

 

 

ワイワイ、ガヤガヤ、ワーワー!

 

ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

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