ウマ娘超光速戦記 -TACHYON Transmigration- 作:LN58
第1話 春のファン大感謝祭で皇帝に相見える名誉は新世代に
-西暦20XY年04月06日の航星日誌- GAUMA SAIOH
新年度となり、いよいよ国民的スポーツ・エンターテイメントの夢の舞台であるトレセン学園に新入生たちが希望に胸を膨らませて入学許可証を片手に3月に学生寮に続々と入寮し、入学式の日を盛大に迎えた。
しかし、ウマ娘レースは日本の学制とは異なる1月からの年度制を採用している他、年中休日にはウマ娘レースの興行がびっちり組まれている以上は、誰かしら毎週のように中高一貫校としてのカリキュラムや学校行事を公欠せざるを得ないため、
トレセン学園の生徒の本分たるウマ娘レース;特に重賞レースへの出走を最優先にしたカリキュラムや学校行事が組まれており、それでもレースの日程が被ってしまった場合は学校行事への不参加を受け容れなければならない。
それは圧倒的な入試倍率の最初の関門を突破した選ばれた受験生たちがトレセン学園の一員となったばかりの4月からそうであり、
4月初週にティアラ路線の初戦となる『桜花賞』、第2週にクラシック路線の『皐月賞』が連続する他、土日の全てが重賞レースの予定が詰まっているため、それに出走する生徒としては学校行事に参加する余裕などなかった。
それでも、黄金期を迎えて総生徒数2000名弱は在籍しているため、最大でも18枠しかないウマ娘レースに様々な理由で出走することのない生徒たちが学園に残っているというわけで、そういったウマ娘レースに出走しない大勢の生徒たちの手によって学校行事は執り行われるわけである。
そのため、ウマ娘たちにとっては一生に一度の『トゥインクル・シリーズ』の憧れの王道路線となる月半ばのクラシック三冠路線の初戦『皐月賞』まではトレセン学園に慣れてもらうことや新入生たちを歓迎すること、一生に一度しかないクラシック級の重賞レースの挑戦を最優先にし、
4月前半の2週間はリオのカーニバルのごとく祭り一色の『春のファン大感謝祭』期間として模擬店などを出しつつ、新人大歓迎のレクリエーションとして各種競技や模擬レースといった催しに力が入った体育祭としての側面が強く、来場者の内訳も新入生たちの父兄やトレセン学園と馴染み深い地元の方々が大半を占めているのが特徴である。
ちなみに、これと対になる『聖蹄祭:秋のファン大感謝祭』は体育祭に対する文化祭であり、府中市を代表する学園祭として全国的にも有名な観光スポットになるため、日本全国から来た観光客や来年に受験する入学志願者の割合が一気に増える。
そんな中、新年度を迎えて いよいよオープンとなったのが 先月 卒業を迎えた“皇帝”シンボリルドルフの栄光を称える記念碑となるトレセン学園附属高層施設:エクリプス・フロント(地上10階・地下1階建て)である。
更なるトレセン学園とウマ娘レースのPRと収益のために、『トゥインクル・シリーズ』のサテライト会場やアンテナショップも営業することになり、シアタールームを兼ねた多数の会議室や最上階のスカイレストランなどを観戦席として提供する試みがなされていた。
また、府中市は総生徒数2000名弱の全寮制のトレセン学園の存在によって学園都市となっている他に、東京競バ場も存在する、まさにウマ娘レースの聖地となっているだけに、トレセン学園や東京競バ場における交通量の激化は昔から都市問題となっており、
前々からお偉方からの要望だった交通規制緩和のために屋上のヘリポートからエクリプス・フロントを経由して学園を訪れるルートもこうして実現することになった。
そのため、エントランスは地域住民との交流や生徒の利用がしやすい作りとなっており、学園とエクリプス・フロントを繋ぐ道は全寮制であるトレセン学園の通学路の1つとして色分けされることになり、更には民間警備会社のERTが巡回することになり、地域の治安維持の強化も積極的に行われることになった。
この学園とエクリプス・フロントを繋ぐ通学路というのもなかなかおもしろいもので、歩道・ウマ娘専用レーン・車道としてしっかりとガードレールで分離されて3分で着くようになっている他、必要ならばERTがバスを出して学園まで送ってくれるようにも取り付けているというのだ。
さて、私は乙種計画に基づいて自身の夢である『宇宙船を創って星の海を渡る』ことのために、トレセン学園が日本最高峰にして世界最先端のトレーニング環境を提供することを是としていることに注目し、ここを市場にして技術革新を推進しようとしていた。
そのための足掛かりとしてトレセン学園では重視されていないクラブ活動を利用することにし、私の開発室で続々と実用化されている新発明のモニターを募集して運用データを集めることを趣旨とした新クラブ:ESPRITをシンボリルドルフの口利きで創部させることに成功した。
そして、今年度オープンしたばかりのエクリプス・フロントの多目的ホールを部室として与えられ、私の開発室を擁している某重工のソリューションサービス部の詰め所も併設することになり、施設の保守管理業務を日常としながらモニター業務を展開することになったのである。
そんなわけで、ESPRITの活動を知って多くの学園関係者がモニターになってもらうために、学園側の希望に則って『春のファン大感謝祭』を最大限に利用してエクリプス・フロントに多くの生徒たちを訪れてもらうべく、様々な宣伝活動を実施することになった。
しかし、元から不人気の課外活動の選択肢の1つに過ぎないクラブ活動をしているぐらいならレースで勝つためのトレーニングを望む生徒が大半のトレセン学園で文化系クラブ活動では誰にも興味を持ってもらえないのは明白。
そのため、私はエクリプス・フロントの公式サイトや宣伝広告などの一切合切をトレセン学園修業式の後の春休み;オープン前の準備期間に自然な流れで現場の総指揮を取って監督し、エクリプス・フロントで働く全ての人たちを味方につけておくことに成功した。
その中でヘリポートからお越しになるお偉方にも私のところの開発室の新発明を逸早く触れてもらえるようにカタログや実機を置いてもらえるようにしてもらったし、私の夢へと繋がる商機の仕込みは万端である。
すなわち、トレセン学園の新時代の象徴であるエクリプス・フロントの王に“斎藤 展望”は昇りつめたのだ。
そして、地道で効果的な宣伝活動でトレセン学園校舎や学生寮にエクリプス・フロントの広告が行き渡り、『新年度からそんな場所がオープンになるんだ』という共通認識を学園中に植え付けた後に、一気に学園の誰もが飛びつくような とびっきりの企画をもってくるわけである。
その最大の目玉となったのが、“最強の七冠バ”シンボリルドルフと観戦するアメリカのサンタアニタ・ダート・9ハロン『サンタアニタダービー』の同時視聴プログラムであり、卒業したばかりの“皇帝”シンボリルドルフとリモートながら時間を共にすることができる またとない機会が提供されたということで大きな話題を呼ぶことになった。
もちろん、『春のファン大感謝祭』真っ盛りということで学園施設のほとんどが他の企画や出し物で埋まっているのだから、自然な流れでオープンしたばかりのエクリプス・フロントのサテライト会場でしか体験できなくなっているのだ。
更に、アメリカ/サンタアニタ(西海岸)と日本/府中の時差は16時間;つまり、『サンタアニタダービー』開催が20XY年04月06日16時ならば、日本時間での同時視聴は20XY年04月07日08時の話である。
そう、日曜 朝8時というヒーロータイムの時間なので まだ一般開放されていない時間帯のため、シンボリルドルフの栄光の記念碑であるエクリプス・フロントにたくさんの生徒たちが一般客が押しかける前の朝の静寂さの中で詰めかけることになり、その日の目標どころか1週間ほどの目標となる来場者数を一瞬で達成してしまったのだ。
なぜなら、この同時視聴プログラムの時間帯だけはたくさんの生徒たちにエクリプス・フロントに来てもらうために、本来は上映設備のない場所にもレンタルしてきた大量のモニターを設置しまくったからであり、エクリプス・フロントの隅々まで見てもらうように奥深くまで誘い込むことに成功。
更には同時視聴プログラムの司会と抽選で同部屋になる権利には“皇帝”シンボリルドルフにインタビューする権利も与えられているため、入寮したばかりのピカピカの新入生たちは目を輝かせながらこぞって同時視聴プログラムに参加することになり、抽選に当たったら伝説のウマ娘と何を話そうかと大いに盛り上げることになったのだ。
こうして今回の『春のファン大感謝祭』の人気投票で堂々の一位を飾った伝説の企画となり、同時にシンボリルドルフの栄光の記念碑であると同時に新時代のトレセン学園の象徴ともなるエクリプス・フロントの華々しい歴史の1ページとなるのであった。
――――――アメリカ合衆国 カリフォルニア州 アルカディア市/サンタアニタパーク競バ場
シンボリルドルフ「やあ、斎藤T! それに、みんな!」パァ!
斎藤T「思ったよりも早くに再会できましたね、“皇帝”陛下」
アグネスタキオン「ふぅン、これがアメリカの競バ場か。日本のダートは砂だけど、アメリカのダートはまさしく土だねぇ」
マンハッタンカフェ「……ここが“お友だち”が呼んでくれた場所」
和田T「日本との時差が16時間! そして、東京(夕方)からロサンゼルス(昼前)まで10時間の空の旅! 往復で10万円か!」
岡田T「で、ロサンゼルス空港からレンタカーで2時間だもんなぁ。アメリカってやっぱり広いなぁ……」
ソラシンボリ「うわっ、本物のシンボリルドルフだ! 本物だよ! ねえねえ!」
スカーレットリボン「そうね、ソラ。卒業したばかりなのに、こうしてすぐに会えるだなんて、夢にも思わない驚きの光景よね」
斎藤T「では、現地観戦組と同時視聴組にわかれることになりますが、現地観戦組の方々には現地のシンボリ家の方が付き添いになりますので、決して側から離れないでください。ここは日本ではないので犯罪に巻き込まれる危険性が高いですから」
ソラシンボリ「はーい」
スカーレットリボン「わかりました。引率としての役目を果たします」
マンハッタンカフェ「気をつけます」
アグネスタキオン「……ああ、見知った顔だねぇ。なら、安心だ」
斎藤T「それでは、同時視聴組は収録現場となる近くのホテルの一室で日本トレセン学園との通信を行います」
岡田T「わかりました」
和田T「トレーナーが担当ウマ娘を置いていくのは気が引けるけど、これも大事な仕事だしな……」
シンボリルドルフ「では、ついてきてくれ!」
まだ『サンタアニタダービー』が開幕する前の午後の西海岸の競バ場に“皇帝”シンボリルドルフがとびっきりの笑顔で出迎えてくれた。
正直に言って、先月に卒業を迎えてアメリカに旅立ったばかりなので、そこまで久しぶりには感じられなかったのだが、トレセン学園時代の“最強の七冠バ”の頃とは想像もつかないほどのあどけない笑顔に溌剌とした可愛らしさが溢れ出していた。
アメリカの大学は9月から翌5月までの9ヶ月間を一学年制としながら、学期ごとに独立した運用となっているため、たとえば4学期制の大学ならば1年に4回は入学の機会が訪れることになる。これは春学期と秋学期を更に2分割したセメスター制の大学の話である。
一般的には2学期制が主流であり、欧米では9月~12月の秋学期が新学期であるため、もっとも新入生が多く入学してくるものだから、桜咲き乱れる春の季節を年度のはじめとする日本とは感覚がまったく異なってくる。新年と共に春学期される1月からの入学者は当然ながら少ない。
そして、卒業の時期も2学期制ならば5月と12月となり、決められただけの卒業単位を取得することで卒業資格が認められるため、卒業の時期を見定めて3年半から4年で卒業することが一般的とのこと。
また、日本とはちがい、1年に何度かの入学の機会があるわけなので、9月に入学できなければ来年の1月に受験し直せばいいという心の余裕がもてるわけであり、更には大学側もサマースクールを開催して そこから入学することもできるわけなのだ。
そういうわけで、3月にトレセン学園を卒業したシンボリルドルフであったが、欧米の年度始めの9月の入学式に合わせる形でサマースクールにも通うことを視野に入れたゆとりのある卒業生活と海外生活を送っており、6年間 トレセン学園の黄金期を導いたことへのボーナス休暇を満喫している最中であった。
さて、今回の『サンタアニタダービー』の前に、アメリカ競バは日本競バとは何もかもがちがうことから話されなければならない。
まず、アメリカの広大で多様な特色を持つ国土を1つの枠組みで統一することは不可能であったための連邦制である。
そのため、日本のURAをはじめとする各国の競バの統一機関に相当するものがアメリカ合衆国には存在せず、各競バ場のレース日程や施行条件、賞金を決める役割などなど、基本的にそれらは各州ごとの統一機関によって行われているのだ。
つまり、連邦制だから国ではなく州がそれぞれの州に属する競バ場を管轄に収めているわけであり、州都に置かれる州ごとの統一機関が運営するトレセン学園を見本にして、各地のレースクラブに州ごとの統一的な枠組みを施行していた。
そのため、日本競バでたとえると中央競バというものがアメリカには存在せず、『東海岸』『中央部』『西海岸』の3つの地区に大別される地方競バが日本の中央競バ以上の規模でそれぞれ執り行われているわけなのだ。
具体的にはアメリカ国内での競走ウマ娘の年間出生数は2万人弱、開催されたレース数は3万6千回強、レースの賞金の総額は7億9千万ユーロ強と、いずれも世界一ないし世界有数の規模を誇っている。
この数字はヨーロッパの競バ主要国であるイギリス・アイルランド・フランス・ドイツ・イタリアの数字を全て足し合わせたものと近いか上回る数字であり、
いかにアメリカという広大で肥沃な大地がウマ娘レースを通じてアメリカン・ドリームを体現できる場所かを物語っているわけで、本場ヨーロッパの“貴族のスポーツ”としての競バとは異なる独自の進化を遂げた開放的な“祭り”としてアメリカ有数の人気スポーツに成長している。
そのため、日本の中央競バ『トゥインクル・シリーズ』のような枠組みがなくても、アメリカでは地方競バで十分に『トゥインクル・シリーズ』以上の夢の舞台を形成していると言われても信じられることであろう。
ただし、日本の地方競バ『ローカル・シリーズ』と直結している地方トレセン学園が中央トレセン学園と比べて常に資金難で小規模かつ設備や制度などで一般大衆から下位リーグ扱いされているように、
州ごとの統一機関の直轄となるトレセン学園が州都にしかないのが基本のアメリカ競バの特徴の1つとして、
ウマ娘レース業界に参加する敷居が非常に低く、特別な資格などは必要なく『名前と住所を書けば誰でも出走バやトレーナーになれる』とすら言われている反面、
誰でも簡単になれるということは、それだけ競技人口の出入りが激しい 想像を絶する 競争社会でもあり、能力の無い者は早々に撤退に追い込まれるのが当然の自由主義経済と資本主義国家の総本山のアメリカらしい風景が拡がっていたのだ。
実際、深刻な社会問題として取り沙汰される貧富の格差が激しいだけじゃなく、広大な国土のために移動するだけで高くつく物理的な距離の問題もあるわけで、地域で集約してトレセン学園のようなトレーニング環境を整えることができずに無数に存在する小粒のレースクラブから出走するのが当たり前とすらなっている。
そのため、自分の足で優れたトレーナーやウマ娘を各地のレースクラブを渡り歩いてスカウトするのが基本となっており、州都のトレセン学園の役割は そもそも州都に有力な競バ場がないことが普通なのも相まって 両者を結びつけるための総合情報センターに近いものとなっていた。
そうした世界有数の億万長者の豊かさの土壌となっているはずの広大な国土こそが、ヨーロッパ発祥の王侯貴族の道楽であった近代ウマ娘レースの性格を一変させることに繋がり、アメリカ競バでのウイニングライブはそこまで普遍的な価値を置かれることはない。
というより、日本でならトレセン学園に入学できればウイニングライブの衣装や指導を保証してくれるわけだが、アメリカでは州政府ごとの財政や思想によってウイニングライブに対する考え方がちがうため、着飾る余裕すらない貧困層出身者を気遣ってウイニングライブを廃止するか、無償で指導するか、参加資格なしにするか、代理のダンサーを指名するかなどでいろいろと意見の対立があるのだ。
また、基本的に州ごとの統一機関が直轄しているのは州都のトレセン学園だけで、各地の競バ場は州都のトレセン学園を見本にして州の管理下に置かれて運営されている独立の営利組織であり、それぞれが独自の考えを持って経営を行っているわけなので、これまた州ごとにルールがちがうように競バ場ごとにも独自のルールがあるので複雑極まりない。
そして、経営難になって他企業による買収や最悪の場合は廃業ということも起こり、近年では西海岸の名門競バ場:ハリウッドパーク競バ場が閉鎖されたことで各界で衝撃を与えることになった。
そういうわけで、世界のウマ娘レース業界では現在2つの考え方が若者の中心に広がっており、1つはウマ娘超大国であるアメリカ競バでアメリカン・ドリームを目指すというもの――――――。
もう1つはウマ娘天国である日本競バでジャパニーズ・ドリームを目指すというものであり、本場であるはずのヨーロッパ競バに対して、世界は独自の進化を遂げて今なお発展し続けているアメリカ競バと日本競バに大きな夢を見るようになっていたのだ。
制度のことはここまでとして、次にアメリカの競バ場の特徴についても見ていこう。
アメリカの競バ場は一般客が利用するメインスタンド・駐車場・レストラン・カフェなどがあり、所属トレーナーやウマ娘の宿泊施設やトレーニング施設などを兼ねる関係者以外立入禁止のバックエリアが構成されているのは地方競バ場とセットになっている日本の地方トレセン学園を想像すればわかりやすいだろう。
一方、世界的な経済危機や競バ人気の低下に伴い、経営難の競バ場が行い始めたカジノが併設されていることが増えており、このようなカジノ併設の競バ場を
日本においては公営
事実、同じ
さて、アメリカ競バの最も大きな特徴として挙げられるのがダート競走が主流であることであり、芝競走は格が落ちるということである。世界中でダート競走が主流となっているのはアメリカとカナダ、
また、左回りのコース設定に統一されており、日本の競バ場のコース設定では考えられないような極めて不規則なコース設定も普通に存在する。競バ場を運営している独立営利組織の質もピンからキリまであるので このようなことは日常風景である。
しかも、アメリカのダートはまさしく“土”であり、日本のダートの“砂”ではない。アメリカのダートは乾燥するとどんどん硬くなっていき、その反発力から芝と同じかそれ以上に速いタイムが出るわけで、アメリカのウマ娘の屈強な脚力が養われる土壌となっていた。
ただし、それだけにウマ娘の脚部に与えるダメージも大きくなるのも当然であり、日本で高速バ場が整備されるに連れて故障率が高まっていることが問題視されているように、他ならぬ西海岸で伝統あるサンタアニタパーク競バ場でもウマ娘の故障率が深刻な問題となるほどであった。
そのため、ウマ娘の脚部に優しい人工素材を使用した
オールウェザーを導入した『ブリーダーズカップ・クラシック』において、ダートG1競走を6連勝中のダート最強バ:カーリンが凡走し、ダート競走に出走したことのないレイヴンズパスとヘンリーザナビゲーターに上位を独占されてしまったという不自然な結果を受けてオールウェザーに対する反発が強まり、結局は伝統あるダートにバ場が戻されるという事態がアメリカ競バ界で起こり続けたのだ。
一方、芝競走はダート競走よりも格下という世界的にも異例の価値観を持つアメリカ競バ界ではあるが、ウマ娘超大国であるアメリカ競バの高額賞金に魅力を感じて海外遠征に慣れているヨーロッパからの名バが続々と参戦するレベルの高い競走も目立つようになり、なんと今年からニューヨーク州で芝の三冠競走が整備されるなどで近年では従来の価値観から一転して芝競走が再評価されつつあるのだ。
そのため、アメリカウマ娘レース界隈もまた変革の時を迎えているわけであり、世界的な時代の変化を見定めるべく、“皇帝”シンボリルドルフはウマ娘超大国:アメリカの地に旅立ったわけである。
しかし、それ以上に重篤な問題がアメリカウマ娘レース界を蝕んでいることはご存知だろうか?
そう、アメリカ競バを語る上で悪い意味で忘れてはいけないのが禁止薬物を使用するドーピング問題である。
1866年にジェロームパーク競バ場が開設された際にニューヨークタイムズの記者が『ジェロームパークではトレーナーを買収したり、ウマ娘にアヘンを投与したりするようなこともない』と評したように、アメリカのほとんどの競バ場では当たり前のように買収や薬物投与が行われていたことがうかがえるわけである。
もちろん、格式と伝統のある近代ウマ娘レース発祥の地であるイギリスでは貴族のスポーツとしては考えられないことであり、そのためにウマ娘レース宗主国であるイギリスはダート競走が主流となった植民地のアメリカのウマ娘レース関係者を野蛮人に思うのも無理はない。
もっとも、アメリカにおけるスポーツ各界におけるドーピング・スキャンダルはウマ娘レースに限らず、ベースボールでもバスケットボールでもアメリカンフットボールでもどこでも見られたことであり、
ここでもアメリカの薬物規制がそれぞれの州でバラバラであり、州によって禁止薬物や閾値が様々であるせいで、実質的にそのちがいを利用して堂々とドーピングし放題な環境になっているわけなのだ。
そのあまりにも不均衡かつ不衛生かつ不公平であることから、アメリカ合衆国全土のウマ娘レースの統一機関がないのは先に述べたとおりだが、この薬物投与に関しては全米で同内容・同質の薬物規制を行うことを目指して薬物規制標準化委員会が設立されているが、遅々として改善の兆候は見られないまま いたずらに時が進むばかりであった。
そのため、日本の地方競バ『ローカル・シリーズ』が成立したのが1990年の
アメリカ合衆国もまた遅まきながら州ごとにバラバラのウマ娘レースのルールを一元化しようという動きが見られ、この点においてアメリカ合衆国は日本に遅れを取っていると言えた。
シンボリルドルフ「ここは西海岸の主要3競バ場:ハリウッドパーク、デルマー、サンタアニタパークのうちで、もっとも歴史のある競バ場がサンタアニタパークなんだ」
シンボリルドルフ「日本にとっても非常に歴史的意義のある場所で、『ワシントンバースデー』でのハクチカラの優勝によって日本バによる海外競走初勝利となった記念すべき場所でもあるし、」
シンボリルドルフ「私個人にとっては最後のレースとなる『サンルイレイステークス』の場所でもあることから決して忘れることができない場所でもあるんだ……」
斎藤T「あとは、大井競バ場と友好交流提携を結んで交換競走としてサンタアニタ・ダート・12ハロン・G3レース『東京シティカップ』を開催し、開催日はジャパンファミリーデーと題して日本文化を紹介していますね」
岡田T「そして、大井競バ場だと大井・ダート・1600m・S3レース『サンタアニタトロフィー』も開催されて、同時にサンタアニタウィークとしてサンタアニタパーク競バ場に関する日米の交流イベントが行われているわけですね」
和田T「――――――交換競走か。あんまり興味なかったけど、いろんな国の競バ場やレースクラブと提携を結んでいたんですね。知らなかっただけで」
シンボリルドルフ「これからの時代はウマ娘天国である日本とウマ娘超大国であるアメリカが世界中のウマ娘レースに新たな息吹を吹き込むものだと私は確信している」
シンボリルドルフ「これは腹案なのだが、そうした交換競走や国際競走で活躍したウマ娘に特別な名誉を与える制度を考えている」
岡田T「ウマ娘としての実力や名誉よりも国際親善などの協調と平和に貢献した人間性に対する名誉の認定ですね。いいと思います」
斎藤T「しかし、ウマ娘超大国とは言ってもアメリカのウマ娘レースは実質的には
斎藤T「アメリカの自由を日本の秩序にもたらすのは日本の地方競バの不均衡を解消する手立てを見つけてからじゃないと破壊と混乱しかもたらしません」
シンボリルドルフ「ああ。私の黄金期の実績というのはたくさんのウマ娘に中央競バ『トゥインクル・シリーズ』の夢の舞台に上がるチャンスを掴んでもらえるように秋川理事長と共に総生徒数2000名弱まで規模を成長させたことにあるわけで、」
シンボリルドルフ「それだけに学生寮の奥で塞ぎ込んでしまうような子や早々にトレセン学園から去っていく子も増やすことになったわけで、光と影は同時に大きくなっていって劇的に改善することはできないものだ」
和田T「中央集権と地方自治のバランスの取り方の難しさは、そのまま国と州の在り方のちがいにも言えることだから、なんとも言えない話ですね……」
斎藤T「どうなんですか? 日本のウマ娘が海外遠征に消極的であるにも関わらず、その経済規模がギネス記録になるほどなのに対して、ウマ娘超大国であるアメリカへの遠征は魅力的に感じますか?」
シンボリルドルフ「……そうとは言い切れないな」
岡田T「どうしてですか?」
シンボリルドルフ「日本のウマ娘たちはURAによって統一された制度に誰もが従っているわけだから、それ自体が国民全体で共有された一つの常識や文化になっているわけで、所が変われば制度が『ちがう』という世界的な常識に不慣れになってしまった感が否めない」
シンボリルドルフ「まあ、それこそが日本最高峰にして世界最先端のトレーニング環境を提供することを是とする日本トレセン学園という日本人の誰もが憧れる夢の舞台の光と影でもあり、」
シンボリルドルフ「極東の小さな島国であるからこそ、どこへ行っても日本国内で統一されたルールに則っていることが全て通用するわけだから、非常に親切でわかりやすく居心地がいいと地方ごとに『ちがう』ことが当たり前だった外国人にとっては評判にもなっているわけなんだ」
和田T「それもそうですよね。アメリカは国土が大きいからこそ豊かですけど、逆に州政府を導入しないと
シンボリルドルフ「だから、これは個々人の比較の問題であって、どちらが優れているわけでもなく、劣っているわけでもないんだ」
シンボリルドルフ「ただ、どちらの方が自分にとって適しているかを考えて最善だと思われる方向に人生の舵取りができるように選択肢を提示しておくのは提供する側の義務だと考えている」
斎藤T「フランスの『凱旋門賞』参戦にばかりこだわる日本ウマ娘レース界の現状を変えるのは容易ではないわけですね」
シンボリルドルフ「ああ。日本人の特徴であるこだわりの強さは良くも悪くも継続的で柔軟性や変化に乏しくもなるわけで、新しい価値観の創造に関しては外部からの強い衝撃でしか動かない意固地な面もある」
斎藤T「でも、だからこそ、すぐにあっちに目が行ったりこっちに気が向いたりといった気分屋な面は外国人に比べて抑えられているわけなのでしょう?」
斎藤T「なら、それでいいじゃないですか。革新派の人間がこうしてたまに日本の国を動かすための努力をしているだけで、日本という国は最小限の努力で最大限の効果を発揮して、
斎藤T「民主主義陣営の総大将:アメリカだって、大統領選挙は間接民主制で各州での一般投票は大統領選挙人を決めるためのものなのだから、本当の意味で国民全体の過半数を味方につける必要はないのですから」
斎藤T「戦国大名の家臣団のように国人衆を束ねている地元の有力者たちを取り込めばその地域の民意は支配したことになるのですから、その地域の民意を体現した人と繋がっていけば最終的に国は盗れますよ」
シンボリルドルフ「……それが政治の世界というものか」
斎藤T「ええ。私はもう春休みのオープン前の準備期間にエクリプス・フロントで働く人たちとはみんな仲良しですから」ニッコリ
――――――そして、エクリプス・フロントに空からお越しになる方々もいずれはそうなります。
シンボリルドルフ「よし、もうそろそろで『サンタアニタダービー』の時間だな。特別ゲストも到着の頃合いだろう」
斎藤T「では、最終チェックをお願いします。本番はレース開始10分前」
岡田T「わかりました。府中との通信を再開します」
和田T「それじゃあ、エクリプス・フロントのアンテナショップで売られている商品を並べておきますね」
和田T「今頃、エクリプス・フロントはここから16時間後の日曜朝8時でトレセン学園の生徒になったばかりの新入生たちで所狭しとなっているんでしょうねぇ」
岡田T「ああ。『春のファン大感謝祭』で他に場所もないわけだから、自然とエクリプス・フロントで独占配信になるわけだし、オープンになったばかりのエクリプス・フロントの宣伝としてはこれ以上ないものですな」
和田T「これは人気投票で一位を狙えるかも!」
岡田T「そんなの、余裕だな! 新入生たちの入学と入れ違いで卒業した“皇帝”シンボリルドルフに会えるんだから!」
岡田T「まさに夢のような機会だ! それこそが国民的スポーツ・エンターテイメントの夢の舞台に相応しい!」
和田T「うんうん。実質的に担当ウマ娘と一緒にトレーナーを引退したような俺たちにとってはやりがいってものがあるな」
和田T「主催はESPRITでも、サテライト会場になるエクリプス・フロントでの司会進行は新生徒会だから、実質的に新生徒会の功績にもなるし、良いこと尽くめだよ」
トレセン学園としてはサテライト会場による海外競バの同時視聴プログラムそのものは過去にまったくなかったわけじゃない。
しかし、ウマ娘レースの興行は基本的には土日の休日でやるのが世界共通であることから国内の人気レースの観戦よりも海外のあまり馴染みのないレースを観戦するのはまったくもって不人気であった。
せいぜい、日本でも知名度抜群の憧れの舞台であるフランスの『凱旋門賞』の挑戦があった時に海外レースオタクの有志が同時視聴プログラムのために学生寮で集まるぐらいであった。
そうなるのも開催国との時差によって健康生活を志向する生徒たちにとっては不健全かつ学園側から注意を受けるような時間帯に海外レースが結果として行われるせいでもあった。
今回の海外レース同時視聴プログラムの大成功はまさに日本のウマ娘たちが同時視聴プログラムに参加しやすい現実的な時間帯での観戦であり、しかも『春のファン大感謝祭』による一般開放を控えている絶妙な時間帯であったのだ。
これが一般開放の時間帯で一般客が押し寄せてくる中でエクリプス・フロントに生徒たちが一斉に来ようものなら、それだけで人混みの渋滞に阻まれて円滑に事を運べなかっただろうし、
トレセン学園に夢いっぱいの気持ちの新入生たちを可能な限り集めるためにエクリプス・フロントのあちこちにモニターを設置して特別席を用意するという荒業を使うことができなかったわけなのだ。
そういう意味では既存の『春のファン大感謝祭』の催しの枠組みの邪魔にならない一般開放前の朝の時間帯の生徒限定企画として『サンタアニタダービー』同時視聴プログラムは私が想像する以上にうまく噛み合ったものになっており、
これこそが時間と空間を超越して先のことを見据えることができるがために一石何鳥にもなる守護天使の尊い導きだと感銘するに至った。
和田T「スタジオセットの準備はOKです!」
斎藤T「では、『サンタアニタダービー』のテレビ放送との画面切り替え! よし!」
シンボリルドルフ「特別ゲストの映りはこれぐらいでいいのかな?」
斎藤T「そうそう、そんな感じで『“皇帝”の向かいの席に誰かがいる』という画面で」
斎藤T「あ、こちら側のモニターのテロップは十分に見えますか?」
シンボリルドルフ「うん、ちゃんと見える」
シンボリルドルフ「しかし、実際は何の飾りもない真っ白なスタジオなのに、画面上ではこんなに豪華なスタジオになっているわけなのか」
斎藤T「うん。ちゃんと小窓から大画面の切り替えもスムーズだな。音声出力の切り替えも問題なし」
斎藤T「よし、『サンタアニタダービー』のテレビ放送を無音の背景にして――――――」
斎藤T「それでは、マイクテストをお願いします」
岡田T「わかりました」
岡田T「こちら、サンタアニタ。府中、応答願います」
――――――
トウカイテイオー「いえーい! トレーナー! 聞こえてる~?」
――――――
岡田T「おお、テイオー! 感度良好! そちらの状況は?」
――――――
トウカイテイオー「もうね! エクリプス・フロントに所狭しと生徒たちが入ってスゴイよ!」
トウカイテイオー「それでね! 抽選で当選して同じ部屋に入った新入生たちのキラキラした眼の輝きが星みたいなんだ!」
――――――
岡田T「そうか。これから“帝王”が“皇帝”を後を継いでその輝きを永遠のものにするんだぞ」
――――――
トウカイテイオー「うん!」
――――――
岡田T「では、シンボリルドルフ。マイクテストとして何か喋ってみてください」
シンボリルドルフ「わかった」
シンボリルドルフ「では、テイオー」
――――――
トウカイテイオー「はい!」
――――――
シンボリルドルフ「ありがとう。テイオーがいたから私は“皇帝”として歩み続けることができた」
――――――
トウカイテイオー「うえっ!?」
――――――
シンボリルドルフ「他にも礼を言いたい人はたくさんいる。それだけ私はたくさんの人たちに支えられて黄金期の生徒会長をやってきたわけだが、」
シンボリルドルフ「みんなを導く立場になると、そこに上下関係という段差が生まれて、それが私とみんなを隔てる必要悪になってしまったわけだが、その段差を乗り越えて同じ視座に立とうとする者の存在こそが私とみんなを結んでくれる大切なものだった」
シンボリルドルフ「だから、人と人とを隔ててしまう上下関係の段差をものともしない“帝王”であってくれ」
シンボリルドルフ「それが栄光の階段をみんなで上がるための唯一の手段だ」
――――――
トウカイテイオー「会長……」
――――――
シンボリルドルフ「もう会長じゃない。トレセン学園の先輩後輩の関係でもないんだ」
シンボリルドルフ「これからは世代を超えた友人や『全てのウマ娘が幸せになれる世界』という理想を同じくする同志として対等でいこう」
シンボリルドルフ「だから、私のことを名前で呼んでくれ、友よ」
――――――
トウカイテイオー「なんか気恥ずかしいかな……」
トウカイテイオー「じゃ、じゃあ、ルドルフ――――――、いや、無理! 無理だよ! 会長はやっぱりカイチョーだったから、他の呼び方は難しいやい!」
――――――
シンボリルドルフ「それが段差だ。乗り越えてくれ、テイオー」
――――――
テイオー「う、うん……」
テイオー「で、では、る、ルドルフさん……?」
――――――
シンボリルドルフ「ああ。それでいい」フフッ
シンボリルドルフ「エアグルーヴにもよろしく。みんなで力を合わせて新しい時代を切り拓いていってくれ。応援しているぞ、テイオー」
――――――
テイオー「もう! みんなが見ている前で何を言わせるんだい!」
――――――
岡田T「テイオー……」フフッ
斎藤T「そう、みんなが見ている前でああ言うことで、“皇帝”と“帝王”が並び立つことをエクリプス・フロントに所狭しと集まった新入生たちに印象付けることで、次の生徒会長の座に“帝王”が就くことを刷り込もうという演出なわけだ」
和田T「そうなんだ。相変わらず、我らが“皇帝”陛下は先のことを見据えていらっしゃる。役者が違うな、もう」
斎藤T「これも新生徒会の支持基盤に学園生活にエクリプス・フロントを採り入れた新しい時代の担い手となる新入生たちを取り込むために司会進行役の新生徒会と相部屋になるように抽選結果が操作されているわけでしてね」
岡田T「今回の企画は最初から新入生たちに狙いを絞ったものだったんですな」
斎藤T「そうです。大成功に終わった『URAファイナルズ』ではあったのだけれど、初めての開催ということで3ヶ月に渡るトーナメント戦の各方面への調整や準備で反省点が大いにあったわけだから、」
斎藤T「シンボリルドルフ卒業後の新しい時代のトレセン学園生徒としての価値観を持ってもらうべく、入学したての今だからこそ新入生たちには強く印象付ける必要があるわけです」
斎藤T「これからの生徒会役員は『全てのウマ娘が幸せになれる』ようにダート路線や短距離路線のウマ娘でも堂々と生徒会長になってもいいように持っていくわけですからね」
斎藤T「相対的にクラシック路線の絶対性は揺らぐわけですが、必要なのは実績よりもトレセン学園の顔役としての器量と情熱ですから、クラシック路線以外の不人気路線での実績に引け目など感じないようにしてもらうわけですよ」
斎藤T「まさかとは思いますが、社会に出た時に天下のトレセン学園出身と聞いて“クラシック三冠”しか知らないような人たちからその他の路線で活躍していたことを侮られないようにするためにもね」
和田T「まあ、そうだ。夢の舞台は現実世界とはちがう摂理が働いているからこそ夢の舞台なわけで、そこから卒業して実社会に出た時に社会の現実に打ちのめされないように将来のことも考えてあげないとだよな」
岡田T「そして、引退即退学となる風潮も変えないといけないわけだから、何度も故障しながらも引退も退学もせずに復活を遂げてきたテイオーが生徒会長になることで、『URAファイナルズ』の卒業レースも相まって、新たな環境と価値観が生まれてくるわけですな」
岡田T「――――――だから、“皇帝”は“帝王”に今この場で語りかけた」
斎藤T「では、本番1分前です」
――――――3!
――――――2!
――――――1!
――――――こうして新時代の幕開けとなるエクリプス・フロントでの『サンタアニタダービー』同時視聴プログラムが大盛況で幕を閉じることになる。
そして、また会いに来ることや気軽に通信することを約束して満面の笑みでロサンゼルス空港から見送られて日本に帰国することになったわけなのだが、
“皇帝”シンボリルドルフの直筆サインに加えて、同時視聴プログラムに参加して企画を更に盛り上げてくれた特別ゲストの直筆サインもESPRITの企画の景品にすることで、2週目に突入する『春のファン大感謝祭』での人気投票の得票率を更に押し上げることとなった。
ちなみに、日曜8時の日本で4月7日は『桜花賞』であり、優勝はダイワスカーレット。前哨戦となる『チューリップ賞』で勝利した目下3連勝中のウオッカは2着という結果となっていた。
来週はいよいよ『皐月賞』ということで、前哨戦となる『弥生賞』を制したエアシャカールが“クラシック三冠バ”への第一歩を刻めるかに世間の注目が集まる。
その時は『春のファン大感謝祭』最終日ともなるので、まだまだ入学したての新入生たちの楽しみは尽きないことだろう。
アグネスタキオン「いや~、本当に得るものがたくさんあったね、『サンタアニタダービー』。行ってよかったよ」
斎藤T「飛行機嫌いだからといって時間跳躍で百尋ノ滝と瞬時に往復できる
マンハッタンカフェ「結果として、私たちにとっても、学園にとっても、良いこと尽くめになりましたね」
マンハッタンカフェ「けれども、私たちにとって一番の収穫になったのは何と言っても、特別ゲスト――――――!」
アグネスタキオン「ああ。私もカフェくんもこれで追い求めるものに大きく近づけたはずだ」
アグネスタキオン「これも皇国の神々の思し召しや天の配剤というやつかい?」
――――――“異次元の逃亡者”サイレンススズカとの邂逅というのも。