ポケットモンスター ホウエン地方編   作:とーさかしゅん

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お疲れ様です。今回もありがとうございます。

20話! キンセツジムチャレンジの後半戦、というか、本編ですね。本当は前中後編3話構成にしたかったのですが、絶対だれて失踪すると思い、2話で終わらせたかったのです。そのため一部メンバーがちゃんと活躍しておらず、そこは残念でした。

トシマサとはこれまで2度戦い、いずれも敗れています。シャモとしては悔しいが自分より強い彼の作戦通りに戦いますが…、というのがおおまかなあらすじです。さあ新キャラがどんどん出てくるホウエン地方の旅、果たしてリーグまで頑張れるのか! ぜひ、お楽しみくださいませ。


第20話 vsラクライ 5対5団体戦その2

 

 1 10/5 キンセツシティ

 

 マコトは禅を組んでいた。アサナンもまた、マコトと同じように足を組み、めいそうをしていた。

 めいそう。自身のとくこうととくぼうを上げる技で、ジョージのラクライの得意技である、でんげきはを受けきれるようになる。近くのハルカもまた、ドンメルにひたすらどわすれを使わせていた。ハルカはマコトと違って周りを見回して相手のトレーナーが来ていないか確認していた。

 足元が震えるが、まだ遠いだろう。

 ここは鉄のジャングルジムに囲まれたフィールドだ。この中にいるトレーナーやポケモンが歩けば、どんなに遠くても振動が伝わってくる。ただ禅を組んでいるわけではない。集中して、地面に肌を当て、いち早くジャングルジムへの侵入を察知しようしているのだ。

 ガンガン! とひときわ大きな振動が伝わった。何度も聞いた響き、ジョージが自らやって来たのだ。

(まさか、シャモもトシマサも倒された?)

 マコトは首を振って最悪な状況を考えないよう、頭を切り替える。

 おそらく向こうのトレーナーとぶつかっているのだろう。岩影を伝って駆けられては見つけられない。大将は大人しくしていればいいのに、それでも突撃してくるのがジョージという短気な男だ。

「ハルカ、構えろ」

 マコトが相手の姿を捉える前に接近を予知したのを、ハルカは驚いた顔で一瞬動きを止めるが、すぐにやって来る相手に向けて気を配る。

 上からか、正面からか。

「上は上でも真上だぜぇ!」

 最上部、しかもマコトのほぼ真上から、ジョージとラクライが降ってきた。

「この子は確か!」

 ハルカはポケモン図鑑を開き、ヒントを得ようとする。

『ラクライ、いなずまポケモン。タイプ:でんき。長い体毛に電気をためている。電流で足の筋肉を刺激して爆発的瞬発力を生み出す』

「ハルカ、2人で追い込むぞ!」

「わかった! ドンメル、やきつくす!」

 ドンメルの吐き出す火の玉がラクライの目の前の鉄骨に当たり、赤く折れ曲がる。

「でんげきは!」

 ジョージのこうげきがアサナンめがけて飛んでくる。

 でんげきはは周囲に静電気の塊のようなものを放ち、衝撃を当ててくる。必ず当たる攻撃に対して、マコトはめいそうで受けきるという戦法を取ったのだ。

「効かないさ。対策は練ってある!」

「そうかそうかいそうですかァ!」

 ラクライは構わずアサナンに突撃してくる。

「アサナン、ねんりき!」

「でんげきは!」

 ラクライの攻撃を難なく耐えたアサナンはラクライの体を縛り、サイコパワーで壁に向けて投げ飛ばす。

 しかし、ラクライの体はジャングルジムの壁に当たる直前でとどまる。

「でんげきはを当てたか」

「ダメージを最小限に抑えるって戦法は、俺だってやるに決まってるだろォが!」

 ラクライの着地にあわせて、ハルカのドンメルがたいあたりをしてくるが、これも避けられた。

 ジョージはジャングルジムの上によじ登り、

「ここからならよく見えるな。ラクライ!」

 マコトは自分が狙われていると思っていた。当然、自分がやられれば試合終了なのだ。身構えるに決まっている。

 ジョージのラクライはアサナンに目もくれず、ジャングルジムの上を睨んだ。

 ジャングルジムの上にいる、ただ1人のトレーナーは。

「ッッッ! モトヒロぉぉぉ!?」

「おっせェェよでんげきはァァ!」

 衝撃はジャングルジムの柱を貫通し、頂上のバルビートを正確に貫いた。攻撃をもろに受けたバルビートはジャングルジムの頂上から落下していく。

「ジョージ、お前というやつは!」

「戦法は星の数だけあるんだ。これくらいで驚いてんじゃねェよ!」

 マコトの怒りに呼応したか、アサナンはラクライの元へ走り出す。

「ドンメル、やきつくす!」

 ドンメルの攻撃を、ラクライはジャングルジムから飛び降りることで避けた。

「サイケこうせん!」

 空中で無防備になったラクライに、アサナンは渾身の一撃を与えようとする。

 ラクライは、真っ直ぐアサナンの方へ飛び付いた。

「なっ!?」

「戦術は星の数だけあるんだって今言ったよなァ! かみつく!」

 肉体へのダメージ。めいそうでぼうぎょは上がらない。

 アサナンもまた、もろに攻撃を受けてラクライに押し倒される。怯んだアサナンは攻撃を出せなかった。

「マコトちゃん!」

 ハルカは再度ドンメルにたいあたりをさせて、ラクライへの攻撃を試みる。

「ラクライ、でんこうせっか!」

 ドンメルとラクライの頭がかち合い、両者ダメージを受ける。

「マコトちゃん、モトヒロくんのとこ行って! そこで建て直すの!」

「しかしハルカが!」

「私はいいから、マコトちゃんが勝ち残れば私たちの勝ちなんでしょ!」

 マコトは大ダメージを受けたアサナンを連れて走り出した。ラクライはすぐに追いかけようとするが、行く手を炎の塊が防いだ。

 やきつくすこうげきで退路を絶ち、正面からドンメルがラクライを見据える。

 ジャングルジムの上からマコトたちを見送ったジョージは、しんがりを倒すため上からラクライに指示を出した。

「かみつく!」

 

 2 10/5 キンセツシティ

 

 ミツルくんのキルリアに吹き飛ばされたオオスバメを追って、敵陣の最奥部までやって来た俺は、そこでユウキさんに遭遇した。

 ジョージの姿がないことから、すでに彼は俺たちの陣に入ってしまっているのだろう。岩影を上手く使われてしまった。

「タネボー、足止めしていくぞ。かたくなる!」

「でんこうせっかだ!」

 体を硬直させる前に一撃を与える。

『タネボー、どんぐりポケモン。タイプ:くさ。頭のてっぺんを木の枝にくっつけてぶら下がりながら水分を吸い取っている。水を飲むほど体がツヤツヤ光る』

 おそらく見た目からしてタネボーはぼうぎょが高い。そんなやつがさらに固くなるのは避けなければならない。何としても短期戦で終わらせたい。

「でんこうせっか!」

「かたくなる!」

 だぁぁぁ面倒臭い! 足止めするならせめて攻撃して止めてこないのかよ!

 いや、攻撃してこないならここにいる必要はないのでは?

 俺はオオスバメに逃げるよう指示を出す。こんな不毛な戦いに付き合ってられない。

「オオスバメ、戻るぞ」

「足止めすると言ったぜ。ころがる!」

 回れ右をした俺たちめがけて、タネボーが高速回転して追いかけてくる。つくづく、ころがるって技に良い思い出がない。

 ころがるはいわタイプの技だ。ひこうタイプのオオスバメはなるべく受けたくない。背中を見せれば手痛いダメージを受けてしまうだろう。

「オオスバメ、つばめがえしだ!」

「かたくなる!」

 タネボーはオオスバメの2回攻撃を固い房で受け止める。タイミングを合わせてどんどんぼうぎょを上げにきている。本当に手を付けられなくなるぞ。

「オオスバメ、きあいだめだ」

 ぼうぎょを無視して急所に当ててしまえば良いだろう。ユウキさんは意外そうな顔をして、しかしすぐに立て直す。

「すいとるこうげきだ」

 ギュン! とオオスバメの体力が僅かだが吸われる。ぼうぎょを上げながら体力を回復する戦法は非常に厄介だ。だが、きあいだめで急所に当ててしまえば、タネボーもひとたまりもないだろう。

「かたくなる!」

「オオスバメ、いい加減に終わらせるぞ。つつくこうげきだ!」

 オオスバメは体を大きく捻って回転しながらタネボーの体の中心を突く。体を回して吹き飛んだタネボーは大きな岩に叩きつけられ、ばったりと倒れた。

「やられたな」

「ここでいつまでも道草を食ってるわけにはいかないのでね。失礼します」

「はいはい。あんまりトシマサの言う通りにするなよ」

 ユウキさんは手を振って見送ってくれた。自分のポケモンがやられて笑っている人は本当に恐ろしいのだが。それに今の発言、何のことだ。どちらも気にしていられない。

 フィールドの中央部に戻ってくると、すでにミツルくんとキルリアの姿はなく、タロウとトシマサが戦っていた。ホエルコは体の周りを岩で塞がれて身動きが取れなくなっていた。がんせきふうじをされたのだろう。

「みずのはどう!」

「ローキック!」

 ホエルコが放つ水の球体を足で蹴り潰し、ゴーリキーは距離を詰める。

「かわらわり!」

 手刀を頭から受けたホエルコは衝撃を流すことができず大ダメージを食らう。ホエルコ対策はあんなやり方もあるのか。俺はついつい感心してしまった。

 ホエルコが反応する前にゴーリキーは止めを刺す。

「みずでっぽう!」

「ローキック!」

 ホエルコは力を振り絞り、自身の足元にみずでっぽうを当てる。僅かに浮いたホエルコに、ローキックがクリーンヒットした。体が少しだけ浮いていたホエルコは地面に叩きつけられ、反動で岩肌フィールドの彼方へ飛ばされた。

 トシマサの余裕がない様子は、初めて見た。

「おい、ホエルコは問題ないから、お前はそいつを何とかしろ!」

 そう言い残して、トシマサは岩肌エリアの中を駆けていった。

 残ったのは俺とタロウ。オオスバメとゴーリキー。互いに弱点を突き合う技を持ち、戦力はほぼ互角。

(いや、俺の方が弱いかもしれない)

 とっくに、いや、初めから俺はタロウよりも弱かったのかもしれない。ゴーリキー自体のレベルは元々高かった。そこに戦略が加わったのだ。

 負けるかもしれない。俺がここで負けると、味方に影響が出てしまう。

 それでも、逃げ出すわけにはいかなかった。

「タロウ、勝負だ」

「っす。兄貴」

 互いを見据えた両者とポケモンたちは、俺たちの指示で同時に動き出す。

「つばめがえし!」

「がんせきふうじ!」

 

 3 10/5 キンセツシティ

 

 ジョージという男は、自らが勝つことに重きを置いていた。誰かが敵将の首を取るのを本陣に持ち帰るのを待つのではなく、自ら前線に赴き敵の本陣で暴れ、なおかつ勝鬨をあげるのだ。

 それはジョージ自身の性格でもあるが、昔はまだ大人しかった。

 キンセツジムに来て、テッセンという男に負けて変わったのだ。カラクリを駆使したジムチャレンジで遊ぶような男が一変して、試合中の容赦のない猛攻に惚れたのだ。

 キンセツジムはこうでなくてはならない。ジムトレーナーとなったジョージはテッセンのスタイルに憧れて、見よう見まねで貫いた。

 ジムトレーナーはでんき使いが2人、その他2人。でんきタイプを、そしてテッセンのバトルスタイルをこよなく愛する彼にとって、モトヒロとマコトの存在は邪魔でしかなかった。戦法も、なによりタイプもキンセツジムに相応しくない彼らを、次期ジムリーダーになどはさせない。

 何がなんでもジムチャレンジで、普段の修行で負けるわけにはいかないのだ。

 でんげきはが得意なラクライに、かみなりのキバやでんこうせっかを覚えさせてでも、阻止しなければならない。

「ひとまず、ドンメルはなんとかなった」

 マコトとモトヒロはおそらく一緒にいるだろう。そこを間もなく合流するミツルと共に強襲し撃破する。

 やがて階下にいる標的の姿を捉えたジョージは、勝負を決めに行く。時間が経ち、少し回復しているアサナンとバルビートは、先に着いていたミツルと相対していた。

 挟み撃ちにして、倒す。

「次期ジムリーダーは、俺のもんだァァ!」

 

 4 10/5 キンセツシティ

 

 ゴーリキーの攻撃は重たく、一撃のダメージが大きい。その上、特性ノーガードのせいでがんせきふうじが必ず当たってしまう。

 連戦でオオスバメはそろそろ限界だった。何か機転が効くような技は。

『あんまりトシマサの言う通りにするなよ』

 既にトシマサの作戦は崩壊している。あれは俺が噛みついた相手が俺に反応する前提で練られていた。俺がトシマサに余計な情報を与えてしまったせいだ。一度は相手チームの性格を否定したが、結局トシマサの作戦を濁らせることとなった。

 もう、トシマサに従う必要はない。さっきから行動の1つ1つがあいつに気を遣うものだった気がする。癪だが、あいつの強さを認めた上での行動だった。

 でも今はどうだ? 作戦は機能しておらず、おまけにトシマサのホエルコはしばらく戻ってこない。こんな状況で、まだあいつに気を遣えと?

「はっ」

「兄貴?」

 無理に決まってるだろ。バーカ。

「オオスバメ、すなかけ!」

 大きく羽ばたき、ゴーリキーに砂をかける。互いの攻撃が全て当たる、特性ノーガードのゴーリキーに対して効果はない。だが、鬱陶しいだろう?

「くっ、かえんほうしゃ!」

「突っ込めオオスバメ!」

 ゴーリキーが砂を払うために炎を吐く。それをオオスバメはわざと当たりに行く。

 正直、トレーナーとしては最悪の戦法だが、オオスバメはこれでいい。

 オオスバメがやけどを負う。そして俺は指示を出した。

「つばめがえし!」

 ひときわ大きく鳴いたオオスバメは、力の限りゴーリキーを攻撃した。態勢を崩したゴーリキーへ、俺は止めを刺しに行く。

「ゴーリキー、」

「でんこうせっか!」

 みぞおちに攻撃を受けたゴーリキーは、目を回して倒れた。そういえば、きあいだめをしていたな。

 オオスバメの特性はこんじょう。どくややけどになっていると攻撃力が上がるというものだ。ここからジムチャレンジ終了までやけどを引っ張るのはキツイデメリットだが、やるしかなかった。

「兄貴、やっぱ強えっすね」

「いや。さっきユウキさんと戦ってなければ負けてたよ」

「?」

 俺はジャングルジムから出てきたミツルくんを見つけた。まだキルリアは脱落しておらず、2対1でアサナンと戦っていた。

 小突くだけの俺はもういない。

 俺は叫んだ。

「ミツルーーーーーーーーーーーー!!」

「!?」

 ミツルくんとキルリアが俺の声に反応した。キルリアの動きが止まったところへ、俺はオオスバメを差し向けた。

「オオスバメ、つばめがえしだ!」

「シャモさんっ!? サイケこうせんで応戦です!」

 サイケこうせんをもろに受けたオオスバメは、それでも体を回転させてつばめがえしを当て、キルリアを倒した。

 直後、オオスバメの背後から見たことのないポケモンが飛び出した。

「シャモくん。タネボーの戦闘不能を確認しておくべきだったね」

 ジャングルジムの上にユウキさんがいた。タネボーは戦闘不能になったはずでは!? しかも、その姿はタネボーとは全く違うものになっており、

『コノハナ、いじわるポケモン。タイプ:くさ、あく。頭の葉っぱを抜いて草笛をつく

「メガドレイン」

 説明の途中でコノハナが攻撃に入る。そこへ別の影が飛び出した。

「これで最後! ドンメル、ひのこ!」

「なんだと! お前は倒したハズッ」

 ハルカちゃんのドンメルが飛び出し、ジョージが驚きの声をあげる。

『ーーノハナが奏でる草笛の音色は森で迷った人を不安にさせる』

 ドンメルの不意打ちがコノハナの狙いを狂わせる。2発目のメガドレインが速やかにドンメルの体力を吸い尽くす。オオスバメはアサナンではなくドンメルに狙いを定めていた。

 そこへさらに、巨体が降ってくる。ホエルコの攻撃だ。

「ヘビーボンバー!」

「次から次へとッ! コノハナはっぱカッター!」

 巨体をギリギリかわしたコノハナの繰り出す無数の葉が、ホエルコを倒す。

 そして、それが限界だった。

「でんこうせっか」

 俺のオオスバメは、技を撃ち切って果てているコノハナに攻撃をし、撃破した。やけどのダメージも蓄積し、オオスバメもまた倒れた。

「マコトっ決めろ!」

 俺は非情とわかりつつオオスバメではなくマコトに声をかける。今の一瞬の乱闘は、周囲の人間の思考を奪っていた。一時放心していたマコトとジョージ、そしてポケモンたちだったが、そこで我に返った。

 名前を呼ばれたマコトが僅かに早く、アサナンへ指示を飛ばした。

「かみなりパンチ!」

「ッでんげきは!」

 ラクライが構えた頃にはすでにアサナンの拳が胴に突き刺さった。

 衝撃の後、ラクライはゆっくりと倒れた。

 静寂に包まれたフィールドに審判がやって来て、宣言した。

「大将ジョージのポケモンの戦闘不能を確認! よって勝者、大将マコトのチーム! チャレンジャー、シャモ、トシマサ、ハルカ!」

 

 

 

 レポート

10月5日 キンセツシティ

 

 

手持ち

 

LV20  アゲハント メス

 

LV24  オオスバメ メス

 

LV29  メノクラゲ メス

 

LV21  ヤミラミ オス

 

LV17  ゴクリン オス

 

図鑑

44匹(新:タネボー、コノハナ)




マコトとジョージはエピローグでまた出したいな。
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