ポケットモンスター ホウエン地方編   作:とーさかしゅん

24 / 31
遅刻ッッッ
タイトルはふざけました、ニューキンセツ編!
ホイーガってホウエン図鑑にいないじゃん。正解!
いよいよ奴らがシャモの前に立ちはだかります。というかマグマ団はまだ? な第24話、どうぞお楽しみくださいませ。


第24話 vsホイーガ 突入ニューキンセツ

 

 1 10/8 110ばんどうろ

 

 ニューキンセツでの任務はこうだ。

 発電所最奥部に行き、電源回りに故障がないか確かめる。

 故障があればパーツを差し替え、なければ一度電源を落とし再稼働させる。

 たったのこれだけ。これだけでドククラゲの面倒を全部引き受けてくれるなんて、これから一生、テッセンさんには頭が上がらないだろう。

 再稼働して問題がなければ、キンセツシティ中央のモニュメントに明かりが灯るようで、それを合図にテッセンさんから連絡がくる手はずだ。連絡を受けて不備があれば再確認、なければ任務完了となる。

 俺は110ばんどうろを南下して入り口へと向かった。

 そんな俺に、突然声がかけられる。

「ねぇ、あなたこのポケモン知ってる?」

 振り向くと黄色のシャツにオーバーオールを着た少女がいた。年は同じくらいか。

「どいつのこと、わぷっ!」

 間の抜けた声が出たのは、少女が俺の顔に、ざらざらとした板を押し当ててきたからだ。

 手で押し返すと、それはスケッチブックだった。ページの真ん中に大きく鳥ポケモンが描かれている。

 全身の黄金の毛が逆立った、鋭い目とくちばしを持つポケモンだ。俺は見たことがないが、特徴を捉えており、見る人によってはすぐにわかる、そんな絵だった。

「ごめん、俺にはわからないな」

「そっかー。いきなりごめんね! この近くに電力施設があるって聞いたから、ここにいるトレーナーなら見たかなあって」

 電力施設…、ニューキンセツのことか。

「もしかしたら、その施設にいるのかもしれないんじゃないか?」

 少女はなるほど、といった調子で手をぽんと叩いた。

「問題はその施設の場所なんだけど、どこにも見当たらなくてさぁ。この情報、間違ってたのかなあ」

「いや、施設自体はあるよ。この下」

 つい教えてしまったが、まあ困るもんでもないだろう。

「なるほど! 入り口なんかは教えてくれるかな?」

「俺は今からそこに用事があるんだ。野生のポケモンも多いって聞くし、手伝ってくれないか?」

「わかった!」

 テッセンさんに何も聞いていないが、そもそも専門家じゃない俺を遣うあたり、誰でもできて、誰でも入ることができるのだろう。

 俺と少女は、施設入り口へ向けて歩きだした。

「そういえば自己紹介がまだだったね」

「ああ。俺はシャモ。ミシロタウンから来た」

「私はシルシ。カントーのトキワシティってとこから来たんだ」

 カントー地方の。わざわざ遠くからニューキンセツに来たのか?

 俺の表情から思うことを読み取ったか、シルシは顔を赤くして振る。

「いやいや、たまたまだからね? ポケモンリーグを目指してて、気になったからたまたまね?」

「そりゃそうか。シルシもリーグ目指してるんだ」

「そうだよー。バッジはようやく4つ! 次はキンセツジムに行くつもり」

 バッジの数は負けてるか。まぁ、スタートが遅いわけだし、気にしてはいられない。

 ここから巻き返せば良いのだから。

 オレたちはやがて小さな小屋に着いた。俺はパスカードを通して鍵を開き、中へ入った。

「うわー、なんも無い!」

 シルシの言う通り、中は階段と、日光を部屋に入れる窓以外の機能は無く、ただ階段を雨風から守るためだけの建物だということが伺える。若干埃っぽいのは、そこまで高頻度で掃除をしていないからか。

 日光が差しているとはいえ途中から暗くなっている。懐中電灯を点けてから、階段を下りた。長い長い階段をひたすら降りて地下へ着くと、先導する俺の体をセンサーが反応したのか、明かりが灯されていったので、俺は懐中電灯を消した。

 そこは広大な空間をいくつもの巨大な機械で埋め尽くされた、工場のようなところだった。

 何かの機械が稼働する音が絶えず一定のリズムで鳴り響いていた。

「ちょっと、不気味だね」

「人が出入りする施設だし、大丈夫」

 もう少し様になった台詞を言うべきだったか。似合わないから止めておこう。

 歩くと足音が響き、その度にちょろちょろと何かが逃げ惑う音や、ポケモンの鳴き声が聞こえてきた。

 構わず前へ進もうとした、その時だった。

「シャモ、後ろ!」

 振り向くよりも先に横から突き飛ばされた。俺がいた場所を光の塊が突き抜けていく。エレキボールだろうか。飛んできた方には、磁石とネジを合わせたようなポケモンが浮遊していた。

 腕のポケギアを向ける。連動した図鑑が、合成した音声で読み上げる。

『コイル、じしゃくポケモン。タイプ:でんき、はがね。生まれつき重力をさえぎる能力をもち電磁波を出しながら空中を移動』

 浮いてるのはそういうことか。だったら、じめんタイプの技が効かないってわけじゃないんだな。

「久々の運動だ、ヌマクロー!」

 あまり無理な動きはさせられないから、使うならとくしゅ技の、

「マッドショット!」

 でんきであり、はがねタイプでもあるコイルには効果バツグン。一撃だった。

「まだだよシャモ! コイルのとくせいは『がんじょう』。まだ耐えてる」

「マジか!」

「私が押し込む、カメール! みずでっぽう!」

 シルシの繰り出した青い亀ポケモンが、反撃しようとしていたコイルを完全に沈静化した。

「助かったよ。ありがとう」

「ううん。あんなに早く反応できないから、私の方こそ助かったわ」

 それにしてもカメール。確か、カントー地方の初心者トレーナーのためのポケモンだったか。ホウエン地方でいうミズゴロウのような。

 似た境遇なのか、ヌマクローはカメールと意気投合した様子だった。

「同じみずタイプだし、仲良くなれそうね」

「だね。コンビネーションもばっちりだ」

 俺たちはニューキンセツをさらに奥へ奥へと進んでいった。

 機械を全部除くと商業ビルくらいの広さになるんじゃないだろうか、そんなことを思っている内に、地下2階より下に続く階段に辿り着いた。

 目的地は地下3階。ニューキンセツ全体は確か地下10階だったか。街として機能させるつもりだったため、住居スペースや、商業スペース、それに、働く場所も設けられていたに違いない。

 地下2階を通り抜けて、地下3階へ。真っ暗なスペースに出たが、ここはまだ電気が通っている。テッセンさんに言われたスイッチを押すと、空間全体に明かりが点いた。目的の装置はこの部屋の最奥部だ。

「それにしても、例のポケモンはいないようだな」

「だねえ。たまたまいないのか、ガセだったのか。うーん残念」

「なんていうポケモンなんだ?」

「そういえば言ってなかったね、てへへ」

 シルシはそう言うと、スケッチブックを取り出した。さっきと同じ、黄金の体毛をもつ鳥ポケモン。

「サンダー。カントー地方には『伝説のポケモン』と伝わってるでんき、ひこうタイプのポケモン。どうして南のホウエン地方に目撃情報があるのかはわからないけど、カントーのトレーナーとしては知りたいじゃない?」

「なるほど、それでここに」

「そうなんだけど。いないねぇ。シャモは何か他の伝説のポケモンについて知ってる?」

「そうだな」

 俺はそもそも記憶が無いわけで。当然ジョウトで聞いていたかもしれない昔話は覚えていない。

 少ない記憶をフル回転させて、何か出てこないか探してみる。

「白い…いや、黒い…、竜?」

「ドラゴンタイプってこと?」

「うう、ん。ジョウトにそんなのいたか?」

「シャモってジョウト地方にいたことがあったんだ」

「ここに来るまではね。だけど、これ。ジョウトなのか?」

 違う。もっと、昔の、遠い所の記憶。

 

 左の頬につけられた傷が開いたような感覚。

 

「ほう。珍しい客人が来たものだ」

 後ろから聞こえてきた、老いた男の声にハッと我に帰る。

 こんなに近づかれるまで、全く気がつかなかった。そして気配を殺して接近するようなやつが、怪しくないわけがない。

 距離を取ろうとする。しかし、足を引っ掻けて後ろへ転びそうになる。

 結果、起きたのはそれ以上だった。

 倒れる直前に、巨大な塊が俺の全身を叩き、俺は何メートルも飛ばされた。

「ゴッ…おがっ!?」

「シャモ! あぐぅ!?」

 朦朧とする視界の端で、シルシが床へ倒されるのが見えた。

 なんだあの格好は。教会の司祭みたいな服を着て、エンブレムにはPの文字に青白い稲妻が横切ったような模様が描かれていて、

(あ、まずい)

 落ちる。

 

 2 ?/? ?????

 

 目が覚めても真っ暗闇だった。顔を何かで覆われるような感覚と、呼吸が普段通りできることから、目隠しをされているのだと推測した。そして体は縄のようなもので、柱に縛り付けられているのだろう。

「あんた、誰だ…」

 圧迫されているため、潰れた声で訊いた。

「人違いにしては似すぎている。本人か、あるいはその家族といったところだろうな」

 コツコツと靴音がして、声が左から聞こえた。

「プラズマ団、という単語について聞き覚えは?」

 プラズマ団? アクア団に続いてまた妙な組織が出てきたのか。

 俺はこいつを知らない。だから、この施設に入られて困るようなことがあったようだ。

 このままでは口封じに何をされるかわからない。

「一緒にいた子はどうした」

「アスラ、ジャロ、リョクシ、ロット、ヴィオ、スムラ、そしてゲーチス」

 靴音が左から右へ移動する。

「あの子には手を出すな」

「N、アクロマ、ナンバーズ、トリニティ、七賢人」

「ポケモンたちはどうした」

「私の質問にぃぃぃ、答えろクソガキぃぃぃぃ!」

 直後、腹に重たい一撃。

「おっぶ! おげっ!?」

「あなたの態度次第で、彼女やあなたのポケモンがどうなるか、想像ができないのですか?」

「ハァ…ハァ、」

 目隠しを外された。

 薄暗い光は、それでも真っ暗闇にいた瞳には眩しすぎて、俺は一瞬目を背けた。

 やがて目が慣れて、俺は正面を見た。

 両腕を縛られて、床に足が僅かに着くようにされたシルシと、無数のモンスターボール、そして棘だらけのタイヤのようなポケモンと、巨大なガマガエルのポケモンがいた。

「シルシ!」

「…シャモ…?」

 意識はある。無事、ではないな。衣服が乱れているのは、抵抗したからだろうか。

「あなたの顔には見覚えがあるのだよ。かつて、我々を内側から崩壊へ導いた、最悪の裏切者に、とてもよく似ている」

 一体全体、何の話だ。まだ頭が働いていないから、悪態しか思い付かない。

『裏切者は、消えろ!』

 夢で何度も聞いた言葉を思い出す。その度に気持ちの悪い汗をかきながら目を覚ました。

 失った記憶と、裏切者という単語。そして、

「あなたはサーティーンという人間に心当たりはあるかの?」

 この男が言う人物と、似ているという点。

 最悪の想像ができてしまう。

「どうしても答えてくれない。さすがは元プロといったところかの」

 男は近づけていた顔を一度離して、距離を取った。

 この尋問には何かしら答えないといけないだろう。それが信じてもらえるかはさておき、何もしなければずっとこのままだ。

「しかし、付き人を、しかも異性を連れていたのは間違いだった。ホイーガ」

 タイヤのポケモンが、その棘をシルシの足に刺した。

「あああああああああああああああッッ!」

「シルシ! おいやめろ!」

「軽く毒を流しただけじゃよ。しかしまぁ、長引けば当然死ぬかもしれんな。それを待たずしてさらに痛めつけることもできる」

 ああ。

 最悪だよ。これが本当に過去の俺がいた組織だったとしたら、俺もこれと同じことをしていたとしたら。

 男はモンスターボールの1つを手に取り、中を覗き込んだ。

「相変わらずサーナイトの系統を使っているのはこだわりか?」

 そういえば、ラナは記憶を失う前からの付き合いだったっけ。以前の俺を知っている風だし、何も言わなかったってことは、あいつなりに気を遣ってたのか。

 ラナのボールは男の手中。俺の体を縛る縄は、素人の俺じゃあ解けない。シルシは時間と共に毒に侵される。

 詰み、か。

「(まだですよ)」

 諦めかけていた俺の頭に、ラナの声が聞こえた。

「(よくボールを見てください。ポケモンの数を)」

 ボール、そうか。シルシのものと混ざって考えることを放棄していた。

「(足りないんですよ。1個だけ。ボクは全部見られませんでしたが)」

 ヌマクロー、アゲハント、ゴクリン、オオスバメ、そしてラナ。

 確かにいない。とっておきのポケモンが。

「(あなたはもう察しているのでしょう。だけどシルシさんを助けるため、今は戦ってください)」

 俺の目に光が戻る。それに気づかない男ではない。

「一体どうかしたのかの? 詰んでおる。洗いざらい吐くまでは帰さない。たとえ小娘が死に、ハエがたかろうと、な」

 問題は2つ。男のポケモンがわからないことと、男のポケモンはあれで全てなのか。

 図鑑が反応していないということは、ホウエン地方にはいないポケモンということだ。情報が足りない。

「(大きい方がガマゲロゲ。みず、じめんタイプです。小さい方はホイーガ。むし、どくです。ボクはガマゲロゲを相手します)」

 ラナ、妙に協力的なのが不思議だがありがたい。

 男がガマゲロゲを連れて迫る。いよいよ我慢の限界なんだろう。

「仕方ないから1個だけ答えてやる…」

「始めからそうしていればよかったものを。まぁまずは適度に痛めて、それから聞こう」

「ヤミラミ、みだれひっかき!」

「なん!?」

 柱の上からヤミラミが降ってきた。ものおと1つ立てない、完璧な隠密行動だった。

 俺を縛る縄をほどき、ガマゲロゲのところへ走る。

「バカめ、アームハンマー!」

「ヤミラミ、石!」

 拳を構えたガマゲロゲの顔に、ヤミラミは小石を投げつけた。苛立つガマゲロゲは命令を無視してヤミラミを追いかけ始めた。

 男は指示を聞かないガマゲロゲに動揺し、まともな指示を出せずにいた。

「ラナ、そして!」

 俺は顔からボールの元へダイブし、ヤミラミたちの方へラナのボールを投げ飛ばした。

 あとはもう見なくていい。ホイーガが既に俺を狙って毒針を用意して迫っていた。

「オオスバメ、キミに決めた!」

 毒針をものともしないひこうタイプ、オオスバメがこんじょうで殴り込む。ホイーガを撃破した俺はシルシの縄を断ち切らせる。

「シルシ、大丈夫か!」

「…う、シャモ」

「ごめん。すぐに助ける、だから頑張れ!」

 俺は自分の服を裂いてシルシの腿を縛った。今さら意味があるかわからんが、やれることはやるべきだ。

 ガマゲロゲはラナとヤミラミを相手にしていた。

 テッセンさんの手伝いは、今回は見送るべきだな。

「いや、待てよ」

「待つのは貴様だ! おのれよくも!」

 ボールを適当に全部回収しリュックに詰めた俺は階段へ走った。壁にはB2とあった。

 素通りした階層にこいつはいたのか。

 俺は地下3階の最奥部へ走る。テッセンさんの任務を、あの男の撃退に利用する!

 パーツは問題ない。確認したところで俺はレバーを引いて電源を落とした。

 バヅン! と一度に施設の電気が全て落ち、大きな音とともに空間全体が真っ暗になる。

「ぐあっ!?」

 男が驚く声をあげた。続いて俺は施設の電気を再稼働させるため、レバーを元に戻す。

 電気が再び灯る。今度は突然明るくなった衝撃に襲われる。俺も相手の男も同じ状態になってしまうが、タイミングを選べるという点で俺に利がある。

「ラナ、サイケこうせん。ヤミラミ、ナイトヘッド!」

 2匹のポケモンがガマゲロゲに一斉に技を放った。ガマゲロゲは耐久力があるのかまだ耐える。

 押し込みをかけようとしたその時。

 けたたましい雄叫びが施設内を震わせた。

「なっ!」

「新手か?」

 男も俺も不意を突かれた。つまり、今のはあいつの仲間ではないのか。

 コイルやビリリダマにあんな声は出せない。となると。

 現れたのは、黄金の体毛に電気を纏った、巨大な鳥のポケモン。

 カントー地方の伝説のポケモン、サンダー。

「やはりいたか! 貴様を捕えて我々の配下としてッ! っあ」

 男は歓喜に震えていたが、サンダーの目を見て何かを察した。

 サンダーが、身を焦がさんばかりのかみなりを男に向けて放った。

「あっ、ぎゃあああああああああああああああ!?」

 ガマゲロゲが壁になったが、じめんタイプであるはずなのにガマゲロゲは意識を失っており、男は絶叫をあげていた。

 サンダーのパワーはあまりにも強大で、とても太刀打ちできそうなものではなかった。俺は男が襲われている隙にシルシを背負い、施設の外へ出た。

 

 3 10/8 110ばんどうろ

 

 夕方になってた。長い時間眠っていたのだと今さら知る。

「こうしてる場合じゃない」

 シルシは毒に侵されている。早くキンセツシティに戻らないといけない。

 重い足に鞭打って歩き出すが、俺も体力に限界が来ていた。今まで興奮していて、疲れ知らずだったが、今になって思い出したかのように動かなくなってしまった。

「シル…シ!」

 シルシはまだ眠っていた。

 まずい、誰か。彼女だけでも。

 川の水面が盛り上がり、何かが飛び出した。それは俺たちの方へ飛んできて、ニューキンセツ入り口の建物に止まった。

 しばらくすると体が宙に浮くような感じがして。

「…サンダー?」

 

 4 10/9 キンセツシティ

 

 目が覚めると朝になっていた。キンセツシティの病院の部屋に寝かされていた。

 慌てて起き上がると、ポケモンたちが見守っていたこたに気づく。

「まったく、何があったんだ」

 声の方へ顔をやるとテッセンさんが呆れた顔をしていた。

「俺、いつここに」

「昨日の夕方、連絡を入れても返事がなかったから南のゲートまで行ったところ、見知らぬ少女と一緒に寝かされておったもんで驚いたわい」

「そうだ、シルシは!」

「安心せい」

 そう言って、テッセンさんはカーテンの向こうを指差した。

「隣におる」

 俺は安堵し、息を吐いた。テッセンさん曰く、モニュメントは正常に光っており、無事、任務を達成できたそうだ。

 ただ、問題はまだ残っている。

 プラズマ団のことだ。あの男、サンダーに襲われてはいたが、あれで死ぬような男じゃないと本能が訴えている。かといって、テッセンさんに相談はできない。

「お前さんは無事任務を達成した。だからドククラゲの治療費は任せるんじゃな」

「あ、ありがとうございます!」

「あと、こいつは忘れていたが、ダイナモバッジじゃ。ドククラゲの健闘を称え、こいつをお前さんに渡そう」

 色々なことが起きすぎてすっかり忘れていた。

 俺はバッジを仕舞うと、ベッドから降りた。俺の方は気を失っていただけだから、特に問題はなかった。

「ワシはジムに戻るからの。何かあったらいつでも連絡するんだぞ」

「はい、ありがとうございました」

「必ず、出場するんじゃぞう?」

 テッセンさんはいつも通り、高笑いをしながら病室を出ていった。

 それから数秒置いてから俺は、

「シルシ、良いか?」

 と声をかけた。

「起きてるよー」

 返ってきた声は、意外に普通だった。

 カーテンを開けると、病院でよく見る衣服を着たシルシが起きていた。

「昨日は、ごめん」

「いいよいいよ。私何にもできなかったけど、なんか良い夢をみれたんだよね」

「夢?」

「サンダーの背中に乗せてもらう夢」

 そういえば、俺たちをキンセツシティまで運んでくれたのは、結局誰だったんだろう。優しい人かポケモンでもいたのだろうか。

「シャモ、今度はバトルしようよ」

 シルシは体を伸ばしながらそう言った。

「私は足治してからジムに行くから、今回はここまで。次会うとき! ポケモンバトルしよっ!」

 俺のバッジ数は3、シルシは4でこれから5つ目に挑む。まだまだ俺は負けているのだ。

 シルシにも、ユウキやトシマサだってそうだ。

 俺は進むしかないんだ。

「わかった。必ず、必ずまた会おう。そして、次はバトルだ!」

「うん! 負けないからね」

 伝説のポケモンを探す少女と別れた俺は病院を後にして、キンセツシティの北ゲートへと進んだ。

 

 

 

 レポート

10月9日 キンセツシティ

 

 

手持ち

 

LV24  キルリア オス

 

LV23  ヌマクロー オス

 

LV20  アゲハント メス

 

LV24  オオスバメ メス

 

LV24  ヤミラミ オス

 

LV18  ゴクリン オス

 

図鑑

49匹(新:コイル)




中学版との違い
・シルシではなく、別のキャラがいた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。