遂にマグマ団と出会います。アクア団と戦い、何故かプラズマ団を挟んでようやくの登場です。
個人的に困ったのは敵のキャラですね。幹部だけでは味気ないのでアクア団側に何人か顔見知りを作ることにしたのですが、後から出てきたマグマ団に今からネームドキャラ…? と。今は構想していませんが、もし原作にいないキャラが出てきたら「あ、こいつだ」と思ってください。次くらいに出しておきたいなぁ。
コータスのレベルが気になる第27話、是非お楽しみくださいませ。
1 10/13 113ばんどうろ
ギリーと戦った後、俺は火山灰が降り積もる場所、113ばんどうろへやって来た。フエンタウンへ行くルートの1つ、ロープウェイを使ってえんとつ山の上を通るルートは現在ロープウェイの故障のため利用できない。"ほのおのぬけみち"を抜けて、112ばんどうろと111ばんどうろの北側を通り、さらに113ばんどうろを抜けた先にたどり着くハジツゲタウンを~、と迂回しなければならない。要はえんとつ山の反対側から入ろうというわけだ。
ロープウェイの工事期間は1週間と言われたので、それまで待つのもアリだったのかもしれない。ただ、俺はフエンジムを攻略した後に父さんとの戦いが控えている。
フエンタウンからトウカシティまでは地理的に近い。先にルートを確認する意味も込みで迂回した。
「とはいえ、1週間以上かかってしまうのは良くないよな」
寄り道は程々に、コータスを仲間に加えたことだし、今は真っ直ぐハジツゲタウンに向かうことにしよう。
それにしても、113ばんどうろは"ほのおのぬけみち"に比べて肌寒い。えんとつ山の火山灰が大量に降る関係で気温が低いのか。
「シャモ!」
腕を擦りながら歩いていると、知り合いと再会した。
ハルカちゃんだ。
「久しぶり、図鑑は集まってるかな?」
「色々行けないところがあって、この辺りではあまり。でも、ちゃんと登録数は増えていってるよ」
「さっすが! …そうだ、お父さんから預かっているものあげるね」
そう言って、ハルカちゃんはディスクのようなものを取り出した。わざマシン…、いやこれは、"いあいぎり"と同じひでんマシンか。
「"かいりき"のひでんマシン! 大きな岩を動かすことができるようになる技だよ」
「ありがとう。ヌマクローにでも覚えてもらおうかな」
「うん、力強いあの子なら大丈夫! シャモはこれからどこに行くの?」
「フエンタウンに向かってるんだけど、その前にハジツゲタウンに行こうかなと」
ハルカちゃんはパァッと顔を輝かせて、
「奇遇だね! 私もこれからハジツゲに行くところだったんだ! ソライシ博士って人に会いに行くの」
「ソライシ博士?」
「石に詳しくてね。ポケモンの中には石で進化する子もいるし、図鑑完成の助けになるかなって」
なるほどな。色々な進化を調べている辺り、ハルカちゃんはすでにかなりの数を図鑑に納めているのだろう。
「もうすぐ街に着くだろうし、一緒に行こうよ」
「そうだね。折角だし、俺もソライシ博士に会ってみたい」
こうして俺とハルカちゃんはハジツゲタウンへ辿り着き、ポケモンセンターにポケモンたちを預けた。
ついでに手持ちが7匹と、多くなりすぎていたためパソコンに1匹預けて、それからソライシ博士の研究所へと赴いた。
2 10/13 ハジツゲタウン
ソライシ博士の研究所は、ミシロタウンのオダマキポケモン研究所よりも小ぢんまりとしていた。一般家庭の一室を研究所として使っているという形だ。外から見ると、天井の一部がガラス張りになっていて、近くには大きな望遠鏡が見えていた。
石以外にも星の研究をしているのだろうか。そんな疑問を抱えながら、俺はハルカちゃんと研究所へ入る。
ところが、ソライシ博士には会えなかった。
「ごめんなさいねえ。うちの主人、3日前に出ていったきり帰ってないの」
「えぇ!? それって大丈夫なんですか?」
応対しているのはソライシ博士の奥さんだ。
「青い服を着た人たちと、"りゅうせいのたき"に行っているの。ここから距離は遠くないし、他の研究員の方もいるし、心配はしていないわ」
「そっかぁ~、残念」
ハルカちゃんは肩を落としてしまった。しかし、近所でフィールドワークをするなら帰ってきても良いのではないか? 何か引っ掛かる。
他の研究員、"りゅうせいのたき"、いや。
「青い服…? すみません。詳しく教えてもらえませんか」
「ええ…? 青いバンダナを着けた、船のクルーみたいな格好だったわ。確かにあそこには水が流れているけれど、海からはかなり距離があるのに、不思議ねえ」
引っ掛かるものの正体がわかった。
青い服の連中、奴らはアクア団だ。
何を企んでいるか知らないが、ソライシ博士は誘拐された? 何か研究を利用されている? 最悪、共犯なのか?
アクア団の目的、確か海を増やしてポケモンが暮らしやすい世界にする、だったか。聞けば随分な理想だが、危険な奴らには違いない。カナズミシティ、カイナシティでの活動に巻き込まれた俺にはわかる。
ロクでもないことになっている。
「ハルカちゃん、今日は諦めてまた明日にしない? 3日も帰っていないなら、そろそろ帰ってくる頃だろうし」
俺は一度、ここを離れようと考えた。
了承したハルカちゃんを連れて外に出る。
「今日はここに泊まろうかな」
「いや、俺はこのまま"りゅうせいのたき"に行く。ソライシ博士が危ないかもしれない」
「どういうこと?」
俺はアクア団について話した。どうせ街を強襲するような連中だ。どこかで遭遇するなら、わざわざ危険から遠ざけるより伝えた方が良いと思ったのだ。
それに、俺は俺1人で全部を解決できると思えるほど自惚れていない。
「じゃあ、今すぐ助けなきゃ!」
「ああ、だけど最悪ソライシ博士も敵だ。助けるにしても警戒していかないと。まずは、ポケモンたちを集めて、それから行こう」
ポケモンセンターでは既に回復したポケモンたちが待っていた。
ヌマクロー、オオスバメ、アゲハント、ヤミラミ、ゴクリン、コータス。
6匹を手持ちに加える。ハルカちゃんは3匹。どうやら捕獲したポケモンを全てバトルに使っているわけじゃないようだ。
足早にポケモンセンターを後にする。その時だった。
「待って!」
…。俺は振り向かなかった。
その声の主を知っているから。
「僕は、手持ちに加えてくれないんですか?」
あれから3日。俺はラナと口をきいていない。
3 10/13 ハジツゲタウン
「僕を連れていってはくれないんですか?」
「あちゃあ~、シャモくん、6匹以上いるから手持ちに加えられないのか」
事情を知らないハルカちゃんは、ラナを慰めようとしていた。
「ごめんね、キルリアはお留守番なの。ポケモンを7匹連れていくのは大変だからね」
「ハルカちゃんごめん。先、115ばんどうろに行っててくれないかな」
「? わかった。なるべく早く来てよね!」
ハジツゲを出ると114ばんどうろだ。そこをさらに南下した115ばんどうろが"りゅうせいのたき"に繋がっている。115ばんどうろで合流できれば問題ない。
ハルカちゃんの姿が見えなくなってから、俺は口を開いた。
「俺はお前を信用できない」
「…」
「今までずっと、黙っていた。俺が記憶を失う前のこと。お前の昔のこと」
「…それは」
「ホウエンに来てから時々、妙なことをしてきたな。キンセツジムで突然テレパシーで話しかけてきた。…いや、ジョウトにいたときも、わざと危険な場所で遊ぶような所があったな。何が目的だ」
「ジム戦のことは、あれは」
「ジョウトでのこと、隙あらばもう一度俺を崖から落として、上手く記憶が戻れば…今の俺でなくなれば良いと思ってたろ」
「…それは、いや、聞いて」
「"ニューキンセツ"には、かつて同じ組織にいた人間がいたってことになるよな。あの時、あそこに偶然居合わせたなんてこと、本当にあるか?」
ラナの行動から、俺に対する感情が無いのは勘づいていた。キンセツジム戦前に俺との話に乗り気じゃなかった気もする。
勘、気がする、もしかしたら。
それらがラナに対する疑惑になっている。
今回アクア団と戦うにしても、背中を刺されるようなリスクを冒す真似はしたくない。
「とにかく、お前を信用できない。これからは今の6匹で戦う。ラナ、お前は置いていく」
ラナは最後、何も言わなかった。言わせなかった、聞きたくなかった、惑わされたくなかった。
荒れた土地の114ばんどうろを駆け抜けて、岩肌が見える115ばんどうろへやって来た。
"えんとつ山"とは逆方向、つまりカナズミシティの方面に行くにつれて岩が大きくなり、先の道が曲がりくねり見渡しづらくなってきた。そんな岩の影になるように、ハルカちゃんが待っていた。
「あ、シャモくん」
小声でハルカちゃんが俺を呼ぶ。岩の向こうに何かいるのか?
「この裏、そうそこ。シャモくんやソライシさんが言っていた人とは別の人たちがいるんだけど、どう思う?」
指差す方へ、身を屈んでから見ると、なるほど確かにアクア団ではない別の集団が20人ほど集まっていた。
赤色の装束。赤い生地に黒い角のような装飾が付いた深くフードを被っているため素顔は見えない。
耳を澄ませて話し声を聞いてみる。
『他の団員がもう半日は戻ってこないとなると、やはりここにいるようですねぇ、ウヒョヒョヒョ!』
『隠れていればいいものを、わざわざ返り討ちにしてしまうところが、奴らの脳の無さですね』
『えんとつ山を利用した私がリーダー…じゃなかった、我らがリーダーの作戦を成功させるべく、必ずやソライシ博士を奪取せねばならない!』
部下の話を聞いて指示を出すような素振り、あのコートの上からでもわかるほど丸々と太った男が、あの連中の中ではトップといったところか。組織自体の長はいないようだが。
『そこそこの人数を送って全員帰還してこないとなると、やはり幹部以上、最悪アオギリがいると見て良さそうですねぇ。気を引き閉めて行きますよお!』
『『おーっ!』』
赤装束の連中は"りゅうせいのたき"へと入っていった。
俺は立ち上がり、ハルカちゃんの所へ戻る。
「俺たちも行こう」
「うん、でも"えんとつ山"で何か悪いことをしようとしてるのさ赤い人たちだったね。アクア団は何をしているんだろう?」
「それは、中に入ってからわかること!」
俺はポケモンたちを一斉に繰り出した。
アゲハントとヤミラミの組と、ヌマクローとゴクリンの組を作る。オオスバメとコータスはボールで待機だ。
「アゲハントたちはハルカちゃんを手伝って赤装束を止めてくれ。ヌマクローたちはこのまま俺とアクア団と戦うぞ」
「わかった! よろしくね、2人とも」
危険になったら即離脱。オオスバメに掴まってコータスで目眩ましをする、という作戦だ。
アクア団と正体不明の赤装束、そして俺たち。三竦みにはならないだろうが、せいぜい乱してやろうじゃないか。
「そーそー! その調子っすよ!」
「あぁ!?」
突然上空から声が聞こえた。だが見上げても誰もいない。いるのは1羽の鳥ポケモンだけだ。
「おいらはチルット、人の言葉を話せる世界一賢い鳥ポケモ
『チルット、わたどりポケモン。タイプ:ノーマル、ひこう。綿雲のようなふさふさの翼を持つ。人を怖がらず綿の帽子みたいに頭にちょこんと乗っかるポケモンだ』
「ちょっとー! 今人が話してるでしょうが! 鳥だけど!」
本当に、鳥ポケモンが喋ってるのか? 口も同じタイミングで動いているし、余程な芸でもない限り、本当に。
ちょっと、この場に置いては緊張感に欠けるが。
「おいらも連れてっておくれよ~。マグマ団に暴れられて困るのはおいらも同じなんだし」
「マグマ団? さっきの赤装束か」
「そっすよ。てか知らずに首突っ込んでるのやべえっす、バカウケっす」
「やかましいわ。こっちも用事があるんだ!」
こんなことしてる場合じゃないんだよ。
「そりゃおいらもっすよ。先に伝えておかないと、最悪味方同士でやりあっちまうと大変だ」
「そりゃ助かるよ。何が目的か知らんが味方は多い方が良い!」
「うぃっす! 空からはお任せを~」
若干雰囲気に合わないが、とにかく突撃だ。時間に猶予はない。
4 10/13 114ばんどうろ
騙していた自覚はあった。
かつては記憶を戻すために、確かに崖から落としてやろうと考えたこともあった。
僕はシャモを見ていなかった。彼の中にいるであろう、記憶を失う前のシャモを見ていた。
それがバレてしまった。怒られて当然。
りゅうせいのたきから帰ってきたら僕はパソコンの中に押し込められてしまうのだろう。もう、彼の手持ちには戻れないのだろう。
本当にそれで良かったのかな。
「そこでうずくまっていれば、悩みは解決するのか?」
知った声が聞こえた。人間じゃない、これは。
「ポチエナさん…?」
101ばんどうろでの戦いに始まり、何度も僕らの前に立っては勝負を仕掛けてきた、あの子だ。
とうとう、こんなところまで来てしまったのか。いや、むしろ101ばんどうろには近づいているな。
「見ていた」
「…え」
「ムロで奴が敗北したときも、キンセツで折れそうになったときも、先ほどの喧嘩も、俺はあの男のものになりたいからな。ずっと見ていた」
「正直、君がずっとわからなかったけれど、ようやく、その性格がわかったよ」
「俺の話などどうでもいい。お前はこれからどうするんだ?」
どうするか? 僕はパソコンに押し込められて、それっきり、もう手持ちに戻れないんでしょ。
だったら、もう何も考えなくて良いじゃないか。
シャモから距離を取る。引き留めようとはしたけれど、彼が望むならそれで。
例え、あの"シャモ"じゃないとしても、生きているし。
「声に出てる」
「えっ!?」
「ぐちゃぐちゃだ。記憶喪失を治したいのか、今の奴を壊したいのか。昔の奴を取り戻したいのか、今の奴といたいのか。お前の本音はどれなんだ」
わからないよ。
どっちとも思える。
最初は昔のシャモにもう一度会いたかったのに、今は手持ちから外されたのがとても悲しいんだ。
何でだ。僕は"シャモ"のポケモンじゃないのに。
「僕はどうしたらいいんだ」
「奴は"りゅうせいのたき"に行ったのだろう? どうしてすぐに追いかけない」
「僕が行ったところで、彼は拒む…」
「それはお前の思い込みだ。奴が本当にそうするかは、実際に対面しなければわからない」
「初めて会って、まだ二月も、会った日数で数えたらもっと少ない君に、何がわかるんだ」
「じゃあ聞くが、お前にあの男の何がわかる。わかっていながら、お前はここにいるのか、わかっているから、ここにいるのか?」
わからないから、動けないでいるんだよ。
「だったら着いてこい。俺が認めたいあの男を、俺に見せろ」
5 10/13 りゅうせいのたき
洞窟の中は明るかった。入ってすぐ、人工的に削られた石の階段があり、その下で赤装束…マグマ団と、アクア団が対立していた。ソライシ博士も、アクア団側に立っている。無事だ、そして、
「アクア団に囲まれている。守られているにしては…怯えていない?」
「目がいいね。だったら多分シロだ! ソライシ博士を助けるよ」
「うん、わかった!」
洞窟には、その名の通り巨大な滝がいくつもあり、全体的に少し湿っていた。地面には何ヵ所も水溜まりができていて、それらは段差から流れて、いくつもの小さな川のようになっている。
敵は厳密には滝のすぐ前の、削り出され橋のようになった岩場にいる。他の場所に比べ下はかなり深い。あそこで暴れるのは得策じゃないな。崩れると全音危険に晒すことになる。
「ヌマクロー、みずでっぽう!」
まずは団員を橋から離す!
「ぎゃああああああああ!?」
アクア団を狙った攻撃が見事に命中。2人のしたっぱが悶える。
「なにごとだ!」
「ウヒョヒョヒョ! 新手ですかぁ!」
これで見つかった。だが、ハルカちゃんは既に階段を下りて接近している。
「アゲハント、ねむりごな!」
戦力を削る。戦いができないと思わせるほどしたっぱの戦力を削り、撤退させる。
そう上手くいくなんて、思っていないが。
「貴様ら、ソライシの手の者か!」
「いや、ありゃカナズミやカイナで邪魔してきたムカつく野郎だな。追い払え、ドジョッチ!」
ちっ。すっかり顔見知りか。
「ベトベター」「コイキング!」「キバニアぁ!」「ポチエナ!」「ドガースっっ!」「ココドラ」「ドンメル!」「ズバット!」
『ベトベター、ヘドロポケモン。タイプ:どく。汚い場所に現れる。工場が流すヘドロ廃液を飲んで生きている。ドガース、どくガスポケモン。タイプ:どく。薄いバルーン状の体に猛毒のガスがつまっている。近くに来るとくさい。ドンメル、どんかんポケモン。タイプ:ほのお、じめん。たたかれても気がつかない鈍さだが空腹は1秒でも我慢できない。体の中ではマグマが煮えたぎっている』
マグマ団と聞いてから作戦を変えるべきか考えていた。予想通りほのおやいわタイプが多いからな。
だがアクア団の驚異を考えると俺自身が、ヌマクローとともに戦いたかった。アゲハントたちには悪いが、戦力を削って戦い抜いて欲しい。
「まずはベトベターからだ。マッドショット!」
「てめっ、俺を無視すんな! みずでっぽう!」
「戦術知ってる奴なんて構ってられるかァ!」
ドジョッチのみずでっぽうを避けると、その一撃がマグマ団のココドラに突き刺さった。一撃で倒れたココドラの間をすり抜けて、ヤミラミがドンメルにひっかくを連発する。
マグマ団とアクア団も、俺たちだけが敵というわけではない。互いが互いに攻撃し合うためどんどんポケモンが減っていく。
ベトベターを倒したヌマクローが、俺のところへ帰ってくる。橋の上で戦うのは避けて、俺たちは徹底して敵を引き付けてハルカちゃんたちが割り込む隙を作る。バトルは俺がメインで、ハルカちゃんは妨害とソライシ博士の救出がメインだ。
「騒がしいと思えばァ、とうとうマグマ団が本格的に攻めてきやがったか!?」
階段の下から威圧感のある声とともに、ついにあの男が現れた。
アクア団ボスのアオギリ。その風貌は他の団員と格の違いをまざまざと見せつけてくる。
「いや、違うな。お前かガキンチョ!」
「久しぶりだなアオギリ。邪魔するぞ」
「本当に邪魔なんだよ! ドジョッチ、たいあたり!」
「ゴクリン、ヘドロこうげきだ!」
この中じゃドジョッチ使いが一番しつこいな。顔見知りだからって噛みつきすぎだろ。
「ウヒョヒョヒョ! アクア団に邪魔が入っている隙にソライシ氏を拐うのですよぉ!」
丸いマグマ団員が回りに指示を出している。だが、アゲハントたちが善戦している所から、マグマ団の方が戦力は弱いと見ていいな。
「我々は頭脳で戦うのです。脳まで筋肉のあの男に負けてはいけませんよぉ!」
「ホムラァ! オマエはもう一度ボコらなきゃわからねぇみたいだな」
「ソライシ博士! 今のうちに逃げますよ!」
丸い男、ホムラというのか。アオギリとは面識があるみたいだし、アクア団とマグマ団は元々対立関係にあるようだ。
ハルカちゃんがソライシ博士のところへたどり着いた。ヤミラミがかなり好戦的で、回りのアクア団のしたっぱを倒してしまっていた。
「ドンメル、ひのこ!」
乱戦に予想外はつきものだ。アゲハントを狙ったひのこに対して、アゲハントは見事に避けた。
「まずい、ヤミラミ!」
ひのこは真っ直ぐ、ヤミラミに命中した。
「オマエ。ガキンチョをやれ」
「了解! ドジョッチ!」
「邪魔だ!」
「邪魔ですよぉ! 小娘!」
アオギリ、したっぱ、俺とホムラの声が交差する。ヤミラミは不意の直撃に反応できず、足をふらつかせる。
「やってしまいなさい! コドラ!」
ホムラがついにポケモンを繰り出した。鋼の鎧に身を包んだ、4足歩行の巨大な怪獣が橋を揺らす。
『コドラ、てつヨロイポケモン。タイプ:はがね、いわ。石や水に含まれている鉄分を食べる。鉄鉱石の埋もれた山に巣をつくるが鉄を取りに来る人間と争いになる』
石が削れてできた橋は、縄で繋がれた橋と違って衝撃を逃がせない。
振動がヒビを生む。その前にヤミラミが、揺れに耐えきれず、
「ヤミラミ起きろおおおおおおおおおおおお!」
橋から落ちた。
「オオスバメ助けろ!」
俺はすぐに緊急脱出のため待機させていたオオスバメを繰り出した。しかし、アクア団もマグマ団も、邪魔物を許さない。
「たいあたり」「みずでっぽう!」「がんせきふうじ!」
一斉射撃がオオスバメを襲う。空を飛べるオオスバメはそれらを避けるのは容易だ。
だがヤミラミを助けるには届かない。
「誰か…」
アゲハントは誰かを担いで飛べない。チルットも飛び込んではいるがあの大きさではせいぜい時間稼ぎが限界だ。
「誰か…!」
チルットがなんとか追い付く。だが、ヤミラミを捕まえた瞬間からチルットも緩やかに墜落していく。
「ふぐぅぅうううううううううう! 落ちるっすうううううううううう! 濡れるから、重い…!」
さらに事態は悪転する。
「ポチエナ、ほのおのキバ!」
「キバニア、こおりのキバ!」
マグマ団とアクア団の激突に巻き込まれたのではない。明確に敵と認識されたアゲハントが、その牙に掴まった。どちらも効果はバツグン。同じように滝の底へ落ちていく。
最悪の事態。だが、余所見はできない。助けは呼べない。周りからは敵が迫る。
絶体絶命の状況だ。
「こっちです!」
声とともに、1匹のポケモンが橋の下へ飛び込んだ。俺や、マグマ団とアクア団がそれに反応するよりも早く、さらに上から攻撃が降ってきた。
上にいたのはポチエナだった。あれは…いつものポチエナか?
そして、この場の全員の意識を反らしている間にヤミラミたち3匹を助けたのは…。
「ラナ…キルリア…」
絶望的な状況で、俺は一筋の希望に安堵してしまっていた。
レポート
10月13日 りゅうせいのたき
手持ち
LV26 ヌマクロー オス
LV26 オオスバメ メス
LV22 ゴクリン オス
LV15 コータス メス
別行動
LV21 アゲハント メス
LV25 ヤミラミ オス
LV28 キルリア オス
図鑑
56匹(新:チルット、ベトベター、ドガース、ドンメル、コドラ)