"えんとつ山"編と勝手に名付けている今のお話は、全3話でお送りします。つまり今回は中編!
中学版よりも手持ちの数が多いため、本来登場するはずのポケモンがだせていないという裏側は置いておいて、私どうやら集団戦が好きな割に苦手なんですよね。すーぐに畳もうとしてしまってます。後々書くであろう"アジト"、"おくりび山"、"海底洞窟"のお話もまた集団の戦いになりそうなので、何とかしたい…!
アゲハントとヤミラミ、初期メンバーどんどん倒れる28話、どうぞお楽しみくださいませ!!
1 10/13 りゅうせいのたき
信用して、いいのか。
この絶望的な状況を、まず負傷したポケモンの離脱を任せていいのか。
「動きが止まっているぞ! ガキンチョ!」
アオギリが、したっぱが、アクア団が迫る。そもそも橋がもう限界だ。時間がない。
信じる信じないじゃない。今は乗るしかない。
「ラナ! アゲハントとヤミラミを連れて逃げろ!」
「…。はい!」
一瞬の間を置いて、ラナは力みだし、そして消滅した。違う。ポチエナがいるところまで、瞬間移動したのだ。
"テレポート"。距離に限界はあるが、一度記録した場所へ飛ぶことができる技だ。
これなら奴らに追い付かれない。
「ハジツゲに戻れ! 俺たちは後から行く!」
ポチエナはヤミラミとアゲハントを乗せると、一度俺の目を見て、それからラナと共に走り去った。
第一段階は解決した。次はソライシ博士だ。
「コータス、"ひのこ"!」
マグマ団のポケモンにコータスを当てる。アクア団のみずポケモンには勝てないからな。アクア団のしたっぱにはヌマクローとゴクリンが対応する。コータスと協力して、ハルカちゃんはソライシ博士のところへ走る。
「ええい、逃がしませんよ! コドラ、"とっしん"です!」
「そんなことしたら、橋が壊れちゃうでしょうが!」
コドラを制して、女のマグマ団員が駆け抜ける。女の団員は白い九尾狐のポケモンを繰り出した。
『キュウコン、きつねポケモン。タイプ:ほのお。9人の聖なる力を持った仙人が合体して生まれたという伝説がある。知能が高く人の言葉を理解する』
「速攻で終わらせれば良い…、どろぼう!」
しなやかな動きでキュウコンがソライシ博士の懐に飛び込んだ。博士が目的じゃ無かったのか!
「博士!」
「ハルカちゃん、キュウコンを!」
「わかってる。ジュプトル!」
「ほのおタイプにくさタイプを当てるなんて、酷なことをッ!」
ソライシ博士との間に割って入ったジュプトルは一撃で倒されてしまい、ソライシ博士は尻餅を付いてしまった。
「キュウコン、よくやったわ」
役目を終えた女が、キュウコンをボールに戻して石の橋から離れた。
「リーダーはね、この"いんせき"を欲しがってたの。これがあれば…アクア団は知ってるからいっか。これがあれば、えんとつ山を活性化させて、強制的に噴火させることができるの!」
えんとつ山を!?
「そんなことをしたら、麓は全滅してしまう。噴火の勢いによっては、西側の海まで達して、ポケモンや人が大勢死ぬぞ」
「それが狙いだからね」
女は口が軽いようで、挑発するようにペラペラ話す。
「ウヒョヒョヒョ! あまり話さないように、カガリ。我々は頭脳で勝つ。橋を挟んで対岸で対立した両勢力。我々は任務を完了した、すなわち最後にやることは1つ!」
まずい、ホムラのやつ橋をッッ!
ハルカちゃんも察したのか、慌ててソライシ博士の手を取り、アクア団たちのいる場所まで走ろうとする。アクア団の団員たちも、ホムラから逃げ出し、ある者はひこうタイプで離脱し、ある者はアオギリの所へ走った。
「コドラ! "じならs
「させないよぉぉぉぉぉ!!!」
アクア団のしたっぱの1人が突然巨大な竜を繰り出した。あまりにも速く、その姿を図鑑は読み取れなかった。
飛び出したしたっぱは女だ。竜に股がりと高速で対岸へ飛ぶと、したっぱのポケモンの攻撃を弾き返し、足場を破壊した。
「あっ」
カガリから、声が漏れた。足場をちょうど粉砕されたカガリは、誰の手も間に合わず、そのまま真っ直ぐ滝壺へ墜落していった。
「アオギリ様~、南側に出口があるのでそちらから。いんせきは持ってる女ごと落としたんで、後は死体を確認次第追いかけまぁす!」
にこやかに、したっぱの女は滝壺へ落ちていった。橋は限界を迎え、マグマ団員がいた場所から崩壊していった。
慌てて足場が安定した場所へ避難したホムラは、足元の物を拾うと、
「ウヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョヒョ! カガリさんは名誉の戦死を遂げましたが、"いんせき"は我らが手の内に! 皆さん、えんとつ山へ行きますよ! カガリさんの死を無駄にしないために!」
ホムラを始め、団員の半数が"りゅうせいのたき"を後にした。目的はソライシ博士ではなく、博士の持っていた"いんせき"だった。もうここには用はないということか。
「ガキンチョ!」
「アオギリ!」
「オマエ俺の手下にならねえと思ったが、まさかマグマ団員になったとはなぁ!」
「な訳あるか! お前らがソライシ博士を誘拐したと思って来てみれば、この有り様だ」
「船長、それとトレーナー。言い争っている場合じゃありません。奴らに先を行かれると、ポケモンどころか人も死ぬ。頭脳がとか言ってるけど、大義のための犠牲を厭わないだけのクレイジー集団だぜ」
ドジョッチ使いのしたっぱが仲裁してくる。とはいえ、一番噛みついてきたのはどう考えてもお前だろうが。
アオギリは少し考えてから、
「おいガキンチョ、一時的に共闘だ。マグマ団…というかマツブサの野郎は、陸を増やして人間様の発展を謳う奴だ。オレは海を増やしたくても人間を殺したいとは思ってねえ」
「信用できるとでも?」
「信用しなくていい。ただここでマグマ団を止めねえと一発でアウトだ。今回の作戦が成功すりゃあ、フエン、ハジツゲ、シダケは壊滅。下手したらカナズミやトウカまで更地になるだろうな」
ツツジさん、ミチルさん、それに、父さん。
突然火山が噴火して、ジムリーダーといえどそれを何とかできる人はこの世にいない。
未然に防がないといけない。こいつらと協力してでも。
ただ、
「まぁたアクア団と協力か…」
「まただァ?」
「え、いやぁ船長、これは特に…」
「後で要報告」
こいつ、"カナシダトンネル"でのこと話してなかったのか。まぁどんだけ懲罰を食らおうがどうでもいい。こいつムカつくし。
「言っておくが、マグマ団打倒以上の協力はしないからな」
「ああ、勧誘はまた別件でだ」
「俺はアクア団には入らねえよ」
とにかくまずは脱出だ。俺たちは南へ走り、別の出入り口から外へ出ようとする。
「これから作戦の邪魔になるやつを放っておくかよ!」
ホムラたちと同行しなかったマグマ団のしたっぱたちは、やはり俺たちを追いかけてきた。足止めのつもりだが、相手をしている暇はない。
「お前らァ! ここは任せたぞ!」
「「おう!!」」
数名のしたっぱが立ち止まり、回れ右してマグマ団員へと駆けていく。
殿だ。
その隙に俺たちは"りゅうせいのたき"を出て、115ばんどうろへたどり着いた。
外では先に避難していた団員が集合していた。
「野郎共! これから"えんとつ山"へ向かう。おそらくマツブサの野郎とガチでバトることになるからな、頼もしい助っ人をスカウトした」
おおおっ! と歓声が上がる。
別にそういうつもりじゃないというのに。
「シャモだ。お前らよりかは遥かに戦力になる。"えんとつ山"山頂でマグマ団と殴り合う時、お前らはシャモの盾になれ」
「は?」
アオギリという男、とんでもないことを平気で言い出す。
アクア団員たちは作戦の概要を聞きながらトラックを用意していく。アオギリはメガホンを手にとって、したっぱたちに指示を飛ばしていく。
トラックの1つに俺とアオギリは乗り込んだ。同じ車にドジョッチ使いのしたっぱと、その他3人のしたっぱが乗り込んだ。男1人に女2人だ。
「そこまでして貰う必要はない! 部下を何だと思ってる」
「マグマ団はオレたちアクア団を絶対マークしてくる。特にオレにはな。マツブサのところには辿り着けても、タイムオーバーになっちまう」
えんとつ山に向けて、トラックが走り出す。マグマ団の言う風にアオギリらアクア団は脳筋連中だ。だからといって、決して無策というわけではない。
使える策は全て使う。使える団員は使い潰す。
勝利のために確実に事を進める、それがアクア団のやり方だった。
「別にマツブサに負けるからオマエを雇ったわけじゃねえ。確率を上げられる要素が道に転がってて、何故それを棄てておく」
「アクア団が、お前が俺を変に勧誘するのも…」
「そう、ダイヤの原石は、オレ自身が磨く」
2 10/15 えんとつ山
トラックでの移動とはいえ1日近くかかり、"えんとつ山"の麓へ到着した。それからさらに1日、アクア団は麓を囲うようにキャンプを設営した。
準備に時間がかかりすぎていないか、そう危惧したが、アオギリの見立てでは、マグマ団もまた準備に時間がかかる作戦であるため問題ないと言う。
なんでも、"いんせき"の中に秘められたエネルギーを"えんとつ山"に放つことで噴火を促進するようで、そのために大がかりな器具設置と自身の避難経路確保に時間を要するようだ。
マグマ団の避難経路になり得る場所に、先んじてキャンプを設置することで逃げ道を減らし、作戦実行を遅延しているのだ。
「つーか、妙に噴火事情に詳しいじゃん」
「そりゃあオレたちが"いんせき"を手に入れた暁にゃ、火山活動を完全停止させる計画を立てていたからな」
「あぁ!?」
アクア団もアクア団でとんでもない計画を練っていやがった。短期的な被害は少なくとも1、2年もしたら冷害とかで甚大な影響が出るぞ。
「お前らの好きにはさせない」
「マツブサとオマエを当てて、オレはその隙に"いんせき"を奪う。やれるもんならやってみろ」
「だったらお前がマツブサってやつと…!」
「そのプランは"えんとつ山"噴火エンドだぜ?」
「チッ!」
馬鹿正直に白状したとはいえ、それを防ぐのは至難の業。だからこそ堂々と吐いたのだろうが。周りの団員からの視線が険しいものになる。
「マツブサを止めるのは手伝う。だが、"いんせき"は渡さない」
「あいつの計画を折った後は、思う存分やりあおうじゃねえか」
手持ちは4匹。連絡する時間がなかったせいで、結局ラナとポチエナが連れていったアゲハントとヤミラミの安否、行方はわからない。
また、コータスはまだレベルが低く、戦力として戦い抜けるか怪しい所がある。実質ヌマクロー、オオスバメ、ゴクリンの3匹でこの状況を打破しなければならないと考えるべきだ。
夕方、いよいよ作戦開始の時間になった。
"えんとつ山"を登るルートは2つ。"デコボコ山道"とロープウェイだ。俺はロープウェイルートを通って、いきなり山頂から仕掛けることになっている。
思えば、1週間の工事は丸っきり嘘で、奴らはマグマ団のメンバーだったのだろう。おそらく今も、奴らはロープウェイを占拠している。奴らを倒して乗り込む必要がある。
「すみません、トレーナーのお方。このロープウェイは明日まで工事中でしてぇ、迂回していただくか、工事終了まで待って頂きたいのですがぁ」
「1週間前にも聞いたよ。通して貰うぞマグマ団」
「なっ! 貴様アクア団の手の者か。ならば追い払うまでよ!」
作業員の叫び声に応えるように、周りからマグマ団員がわらわらと現れた。全員モンスターボールを持っている。倒すしかない。
「頼むぜコータス! ヌマクロー!」
「敵を追い払え!」
「ドンメル!」「ポチエナぁ!」
マグマ団のしたっぱは全部で6人、ポケモンは8匹。
対してアクア団員は4人、ポケモンも4匹だ。俺と俺の手持ちを合わせてポケモンの数だけはようやく同じだが、4匹を同時に扱うのは厳しい。
まずはポケモンを2匹出しているしたっぱ2人から叩くか。
「ヌマクロー、"みずでっぽう"! コータスは"ひのこ"だ!」
ヌマクローの攻撃は足場をぬかるみにするためでもある。相手のポチエナに命中し、なおかつ地面はほどよく濡れる。コータスの攻撃はズバットに当たった。
「1人で4匹のポケモンを相手にするとは良い度胸だな。ドンメル、"どろかけ"!」
足場が濡れているのを利用して、ドンメルがヌマクロー目掛けてどろを蹴飛ばしてくる。しかし泥の中で高速移動ができるヌマクローには当たらない。
ヌマクローはそのまま泥を伝ってドンメルに接近し、至近距離から"みずでっぽう"を放った。ドンメルは戦闘不能になり、それを確認するよりも前にヌマクローはポチエナに向かう。
「"いわくだき"」
ドゴキッ! と嫌な音を立ててからポチエナが倒れる。
敵に隙は与えない。それがポケモンたちの体力を最大限残す業になる。
「コータス、"こうそくスピン"! ヌマクローはもう1体のポチエナに"マッドショット"だ!」
コータスの攻撃はズバットには届かない。しかし泥の上で高速回転することでそれは"どろかけ"へと変わり、ひこうタイプのズバットへの打点に変化する。
「なっなんだこいつ!」
「コータスがまるで"どろかけ"のようなことを…!」
ズバットが堪らず地面に降りてくると、もうそこはコータスの独壇場だ。
「"とっしん"!」
ヌマクローは既にポチエナを倒しており、2体使いのしたっぱ2人を撃破することに成功した。ダメージはほぼない。
「やるじゃねえか」
ドジョッチ使いのしたっぱから声をかけられる。奴もまた、したっぱを2人倒していた。他3人は3対2の状況に持ち込み、数で制圧することに成功していた。ちなみに俺とロープウェイ組になったしたっぱ4人は、トラックに同乗した4人だ。
「ここからさらに二手に別れるぞ」
ドジョッチ使いは俺含めたロープウェイ組の班長だ。一度倒した相手がリーダーなのが気にくわないが、そうは言ってられない。そもそも俺は部外者なわけだし。
「お前ら2人はロープウェイを使わず、下から行ってくれ。まだマグマ団の連中がいて、狙撃されるかもしれん」
「了解」「わかったわ」
「俺たち3人はこのままロープウェイに乗って山頂へ向かう。降りたら即攻撃されるだろうから、そこはヒノキのポケモンで瞬間移動、後は癪だが、こいつの援護だ」
「ふん」「はいよ」
ロープウェイ乗り場には誰もいなかった。普通、職員の1人や2人はいるはずだが、これもマグマ団の仕業か。
下道ルートの2人がロープウェイを起動させ、俺たちは動き出した1台に乗り込んだ。
しかしマグマ団もタダで乗せてくれる連中じゃない。
「お前たちをその箱の中で蒸し焼きにしてくれる!」
「我らがリーダーの計画の邪魔はさせん!」
今度はドンメルとココドラだ。扉を閉めると攻撃ができない。
足場が不安定な場所からコータスに指示を出す。
「"えんまく"!」
命中率を下げる技をマグマ団員目掛けて放ち、奴らの視界を制限した。
「"ひのこ"!」
追撃の"ひのこ"を撃つが、煙の中の様子はわからない。これでも攻撃してくるようならどうしたものか。
「どいて」
突然ロープウェイの中から女したっぱが前へ乗り出した。
「私のキルリアなら攻撃を当てられる。"マジカルリーフ"!」
"マジカルリーフ"。くさタイプの技で威力も低いが、確実に相手に攻撃を当てられる技だ。この場においては充分な効果を発揮するだろう。
敵からの追撃はなかった。
「これでひとまず安心だな」
「まだ下の2人がやられちまう可能性もあるだろ」
「それについては概ね問題ないさ」
下から木々を薙ぎ倒す、凄まじい音が聞こえた。
見ると、1匹のハリテヤマがマグマ団員を手玉に取って大暴れしているではないか。
というか、
「トウキさん!?」
「そう。助っ人はお前だけじゃねえ。ジムリーダーのトウキも一時的に雇ったわけよ」
「協力なのには変わりないが、一体どうして…」
「事情はどうあれ、今は助かるでしょう? それやりも」
女したっぱは、呆れたような顔をしていた。
何か変なことしたか?
「あなた、ジムリーダーの名前はちゃんと覚えているのね」
「は?」
「私やリンドウの名前、それに下に残った2人の名前、覚えてないでしょ」
「そうだな。俺に関しちゃ、これで3回目だってのに、未だに『ドジョッチ使い』だからな」
確かにそうだが。
したっぱA、Bで良くない?
「そもそも名前聞いたことないし。俺もアオギリくらいにしか名乗ってないぞ」
「はぁ、わかったわ。私はヒノキ。幹部イズミ様の班員でパートナーはキルリアよ」
「俺はリンドウ。ズバットとドジョッチが手持ちだ。次、お前だぞ」
「そういやズバットがいたな」
「は?」
「いや別に。俺はシャモ。今はヌマクロー、コータス、ゴクリン、オオスバメが手持ちだ。仲良くはしない」
「別に私たちだってする気は無いわ。トラックで聞いたもの。マグマ団を倒したら、ついでにアオギリ様の計画を叩こうと言うもの」
「それは当たり前だろ」
あくまで共闘はこの場においてのみ。状況が変わればいつでも敵対関係に戻る。アオギリは勧誘し続けていたが、したっぱはそこまで新メンバーを求めている様子ではない。
敵は敵。味方は味方。
俺たちを乗せるロープウェイは間もなく、今の敵、マグマ団が跋扈する山頂へと至る。
3 10/15 113ばんどうろ
2日前、ハジツゲタウンに着いた僕らはヤミくんとソーさんをポケモンセンターに預けた。直前にシャモと施設内で口論になったこともあり、僕の顔は覚えられていて、ポケモンでもすんなり手続きができたなは僥倖だった。
問題はそこから。
僕と、付いてきたポチエナは再び"りゅうせいのたき"に蜻蛉返りしたけれど、戦闘の跡が残るだけでシャモだけでなく、マグマ団もアクア団も『誰もいなかった』。
「もう誰も"りゅうせいのたき"にいないってどういうこと!?」
「わからん! だが、ロープウェイにマグマ団の連中がいたのは確かなのだろう?」
シャモの次の行き先を予想した。
問題が全て解決しているなら次の目的地であるフエンタウン。彼の身に何か問題があった場合は最寄りのカナズミシティ。そして第三の候補が"えんとつ山"。
ロープウェイで道を塞いでいた赤い格好の連中は、マグマ団のメンバーだった。
「マグマ団の最終的な目標と、ロープウェイにいた団員たちに関係があるなら、もしかしたら…!」
「"えんとつ山"で何か良からぬことをしでかすつもり、というわけだな!?」
「そこにシャモがいるかは分からない。でも、無事でいて、連中の計画を知ってしまったなら…」
「確実にそこへ行くというわけだな。ハハッ!」
「?」
ポチエナが不謹慎にも突然笑い出した。
「そこまで奴のことを理解しているのなら、問題なさそうだな!」
「騙していたことを謝らないといけない。でも誤解されていることには変わりない。僕は、気がついたんだ」
"りゅうせいのたき"でヤミくんとソーさんがやられたとき、自分の無力を噛み締めるような顔をした彼。かつてプラズマ団の一員であったときにも、彼は同じ顔をしたことがあった。
彼と『彼』は同じだ。
記憶がなくなろうが、その底にある、彼を形成するものは、全く変わっていなかったのだ。
だから。
「今は急ぐぞ」
「うん…!」
どうか間に合って。
僕はもう一度、会って話したいんだ。
4 10/15 えんとつ山
直後に火炎の塊が、ロープウェイの車内に投げ込まれた。
"テレポート"。3人はキルリアの力で近くの草むらに飛ぶ。
予想はしていたが、完全に殺しにきている。ここまで奴らが本気だとは、いや、舐めていたわけだ。
アクア団と話しすぎた。こいつらも街を襲ったり、水族館を占拠したり、立派なテロ行為をしていたはずだ。
相対する組織がその程度のことをやらないわけがない。
「オオスバメ! つばめがえし!」
背後から接近していたドガースには気づいていた。オオスバメの攻撃と同時に、俺たちは草むらから飛び出した。
「アクア団の増援だ!」
「奴らを止めろ! 何としてでも計画を成功させるのだ!」
十数匹のポチエナが攻めてきた。下の奴らよりもさらに数が多い。今度はこっちが数で押される番か!
ドジョッチ使い…リンドウが前に出る。
「シャモよ、さっさと切り抜けるぞ。山頂とはいえ、マツブサのいるところはそのさらに上だ!」
「ああ! コータス行くぞ!」
コータスの"こうそくスピン"でポチエナたちを蹴散らし体力を削る。そこへオオスバメとズバットが、翼で倒していく。
ヒノキは俺の後ろを走り、倒し損ねたポケモンたちを"ねんりき"や"マジカルリーフ"で仕留めていた。
途中、アオギリを見かける。増援という言葉から分かっていたが、アオギリたちの方が先に到着していた。そして、予想されていた通り、アオギリは多数のしたっぱに囲まれて苦戦しているようだった。
「ガキンチョ! 無事だな!」
「そっちも、残念ながらくたばってないようだな!」
「ハッ、生意気を! だがやっぱ頼らねえといけねえようだ。マツブサを止めろ!」
「わかってる」
やがてアオギリと戦っていないマグマ団員たちが俺たちを囲むようにやって来た。それをリンドウとヒノキが遮り、俺は間を走り抜ける。
「頼む」
「任せろ」
俺はリンドウにそれだけ言うと、"えんとつ山"をさらに駆け上がり、やがて火口が見える道にまで走った。
したっぱはいなかった。目の前で道を塞いでいるのは、丸々と太ったマグマ団の幹部、ホムラだ。
「フウヒョ」
マグマの名を冠する組織にいてもやはり熱いのか、その顔は汗まみれだった。糸目のホムラは一度汗を拭い、ポケモンを繰り出した。
コドラ。
「あなたのようなチャイルドがここまで来るとは、思ってもいませんでしたよ」
「そこをどけ」
「"りゅうせいのたき"で我々の邪魔をし、ここでもまた邪魔をし、突然現れたチャイルドのあなたに、私の計画を邪魔させない! ウヒョヒョヒョヒョヒョ!」
俺はゴクリンを繰り出した。相性が悪い相手をさせてしまうが、マツブサとの戦いにヌマクローとオオスバメを使いたい。
「握りつぶしてあげる。コドラ、"アイアンテール"!」
「せめて踏み潰す、だろうが! どろかけ!」
レポート
10月15日 えんとつ山
手持ち
LV27 ヌマクロー オス
LV27 オオスバメ メス
LV22 ゴクリン オス
LV18 コータス メス
別行動
LV21 アゲハント メス
LV25 ヤミラミ オス
LV29 キルリア オス
図鑑
57匹(新:キュウコン)
中学版との違い
・アクア団と共闘していない