キンセツジムの前に「ジムチャレンジ」のネタが無い! と言ってましたが、相変わらず6つ目以降が思い付いていません(一応6と8は候補はありますが…)。
しかしまずはこのフエン、そして来たる親子の決戦! ここを書かねばならぬというものよ! 第30話、お楽しみくださいませ。
1 10/15 えんとつ山
サーティーン。裏切者。
こんな所で再び会えるとはな。
プラズマ団『解散』から2年、バラバラになった後に再編成された『新』七賢人の1人による『再結成』の通達が知らされた。
俺たちは、次こそプラズマ団によるイッシュ地方制圧のため、他の地方から伝説のポケモンを捕獲する作戦の実行部隊に選ばれた。
ナンバーズ。
それは、各地方から集められた少年少女から成る、戦闘特化の団員だ。解散後、14人のナンバーズの内、4人が離反したが、残されたメンバーは制圧作戦成功に向けてそれぞれ行動している。
元は15人いたナンバーズは、奴の裏切りを皮切りにバラバラになった。
アクア団の最終目的は、海の化身と呼ばれる伝説のポケモンの復活、そして海の拡大だ。海を増やして何になる。俺にはアオギリたちの野望を理解できなかった。しかし、伝説のポケモンをどさくさに紛れて捕獲できるのであれば、俺はうわべだけでも従う。
そんな時、奴が現れた。
マグマ団どころか、アクア団の作戦を打ち砕いた男。奴こそが、初めてプラズマ団の野望を崩壊に導いた裏切者、サーティーンだった。
1度ならず2度までも。
もうこれ以上邪魔はさせない。
かつては家族のような仲だった。本当の兄弟のように想っていた。
それは全て俺の一方的な思い込みだった。
組織を、俺たちナンバーズを裏切ったお前は、この世にいてはいけない。
「裏切者は、消えろ…」
やがてサーティーンを乗せた鳥ポケモンは火口の縁に衝突し、それっきり上がってくることはなかった。
「オマエ、ガキンチョを落とすほどじゃねえだろ」
「知るか。奴は俺たちの野望を打ち砕く存在だ。ここで消して間違いない」
「船長になんて口の聞き方だよ…オウバラよう」
「そういやリンドウ、オマエあのガキンチョと共闘したって話…」
「わー! わぁぁぁああああ!」
「別に話しても問題ないでしょうに。何が彼を動揺させるんだか」
アクア団のしたっぱ共を見ていると、昔のナンバーズを見ているようで気分が悪い。
だがまだだ。まだこいつらを利用しなければならない。
2 10/17 フエンタウン
フエンタウンのトレーナー、アスナの案内のおかげで俺たちは無事に町に辿り着くことができた。
すぐにポケモンセンターに向かい、オオスバメを預けた。覚悟はできていたが、やはり数ヶ月は飛ぶことができないらしい。それほどの大火傷を負いながら、俺たちを運び、助けてくれた。なんて根性のあるポケモンなんだ。ムロジム戦前の修行でオオスバメもまた、「ポケモンリーグを目指す俺」に着いてきたことを知った。だから、バトンは受け取らなくちゃならない。
「リーグには必ず行く。だから、お前も帰ってこい」
ヤミラミとアゲハントも"りゅうせいのたき"での乱戦で手痛い不意打ちを受けて、しばらく再起不能だと聞いた。みんなと再び戦うときまでに、俺はもっと強くならなくちゃならない。
マグマ団とアクア団の野望を一度止めたとはいえ、奴らがこれで大人しくなるとは思えない。マツブサとアオギリはまた動く。それは止めなければならない。今回のテロ未遂事件で思い知らされた。
「それに…」
"えんとつ山"で俺を火口に突き落とした男、あれはおそらくプラズマ団の刺客だ。それも、俺の記憶喪失にまつわる人物であることに違いない。
どういうわけでアクア団にいて、何が目的かはわからないが、こうして接点ができてしまったのだ。奴ともまた会うのだろう。今度こそ倒せるように、俺もみんなももっと強くならないと。
「そこで、俺はこれから手持ちの強化訓練をすることにした」
「なるほどなるほど。私も良い!?」
「うわぁ! ビックリしたぁ!」
いつの間にか隣にアスナがいた。ポケモンたちは「今さらか…」と呆れた目で見ていた。
そんなに前からいたの? なんで教えてくれなかったの? おいおいラナさんや。
「いや、気づいているのかと」
「さいで」
「ねぇ、私も特訓に参加して良い?」
「助けてもらったし、全然問題ないんだけど、アスナはどうして?」
アスナの格好は、今が秋とは思えないほど涼しそうな服装だ。袖が短い黒いシャツならまだしも、おへそが見えている。お腹、冷えない…?
長い赤髪を無造作に縛っているせいか、後ろで大輪の花のように開いている。遠くにいても目出す容姿をしている。
「私ジムリーダーを目指しているの。フェンのジムリーダーは私のおじいちゃんなんだけど、そろそろ引退したいって言ってて。じゃあ私が! って言ったら3日後に試験受けることになっちゃったんだ」
「ジムリーダー試験かぁ。昔父さんが受けた奴と同じなのかな」
「どうだろ。ジムリーダーになる方法は2つあって、ポケモンリーグ開催の試験を突破するか、現役ジムリーダーの試験を突破する必要があるんだよね」
となると、父さんは前者かな。生真面目だし。
「おじいちゃんが守ってきたフエンジムを、誰かに渡したくない…! だから、あそこのジムトレーナーで一番強くなって、ジムリーダーと認められたいの!」
「強くなりたいのは俺も同じだ。頑張ろう」
俺はフエンジム戦が控えている。だから優先すべきはジム戦に出るポケモンだが…。
「今の手持ちじゃあ、ほぼ確実に全員が戦うことになるよなあ」
「オオスバメたち、戻ってこれるといいね」
「戻るさ。約束したんだから」
おセンチな気分になる暇で鍛えないとな。
とりあえず、自分のポケモンの技を磨くとするか。
「修行にはまず、バトルだよね! 折角2人いるわけだし」
こうして、俺とアスナはジムのコートを借りて特訓することになった。
3 10/17 フエンタウン
「行け、マグマッグ!」
アスナが繰り出したのは、体が溶岩に包まれたナメクジのポケモンだった。
『マグマッグ、ようがんポケモン。タイプ:ほのお。体の中では血液のかわりに必要な栄養と酸素を運ぶために灼熱のマグマが循環している』
「ゴクリン!」
不定形同士だけど、マグマッグは見た目通り触れたら危険な体をしている。ここは遠隔攻撃で攻めるか。
「"ヘドロこうげき"!」
「"ひのこ"!」
アスナの指示と同時にマグマッグは横へ滑るように移動し、ゴクリンの攻撃を避けつつ攻撃した。
攻撃力は大したことないが、こちらから当てられないのは分が悪いな。
マグマッグは見た目に反して意外と動くようだな。
「あちゃあ」
攻撃を当てたはずのアスナが呻き声を上げた…?
よく見るとマグマッグが苦しそうな顔をしている。避けた"ヘドロこうげき"に、本当は当たっていた? あれだけ素早く移動したというのにか。
いいや、違うな。
地面を見ると、マグマッグのいる場所は赤熱した地面が広がっていた。
つまり、マグマの体を活かして、体の大部分に攻撃が当たらないように薄く体積を伸ばして、『移動した』ように見えただけか。
運悪くかすった"ヘドロこうげき"で"どく"状態になってしまったというわけだ。
ただ、やはり攻撃の数と与えられるダメージから、こちらが不利と言える。
ゴクリンの技はどくタイプのとくしゅ技が中心だ。それを活かし、伸ばすのはここしかない。ゴクリンの強化すべき点は。
「ゴクリン、"たくわえる"!」
(ぼうぎょを上げる技? いや、そんな受け身なこと今はできない。私のマグマッグの攻撃を受け切るとでも?)
アスナのマグマッグは再び体を元の形に戻している。一度避けきった後は、元に戻らないといけないか、あるいは別の技があるか。
だが、今はこれを試す!
「"はきだし"ながら"ヘドロこうげき"だ!」
ゴクリンが力いっぱい、蓄えたエネルギーをヘドロと共に吐き出そうと…。
オエエエエエエエエッ!
「うぎゃああああああああああ! ゴクリンんんんんんんんん!!!?」
急に試そうとしたから無茶させてしまった! ゴクリンのやつは、体の中身を全部出したみたいにシワシワになっている。
アスナも驚愕しながらもかけより、
「大丈夫そ?」
「…一旦中断で!」
ポケモンセンターに駆け込んだ。
こっぴどく叱られた。
「私のマグマッグも一旦預けたから、次はこの子で行くよ! コータス!」
「なるほどな!」
アスナのコータスに合わせ、俺もコータスを繰り出した。見比べると俺の方が少し小さいか?
「「"とっしん"!」」
両者激突。そうなると体格が小さい方が弱い。
与えたダメージよりも受けたダメージの方が大きい。
「"こうそくスピン"で攻めるぞ!」
「"ひのこ"連射!」
俺のコータスは体を回転させながら向かっていく。対してアスナは大量の"ひのこ"で接近を許さない。攻撃を弾いてはいるが、攻めるまでに時間がかかる。
「飛ぶぞ! "かえんぐるま"!」
"ひのこ"を地面に噴射して、コータスは空中で"かえんぐるま"を繰り出した。位置エネルギーが"ひのこ"の猛攻を無視して、アスナのコータスに衝突した。
2匹の亀はごろごろと転がり、再び合間見える。
「私から行くよ、"スモッグ"!」
「"とっしん"!」
毒ガスの攻撃をくぐり抜け、俺のコータスは構わず突っ込む。
激突の直前だった。
「"オーバーヒート"!!」
火炎の大爆発が、アスナのコータスから発せられ、その熱波は俺の顔を叩く。
「あっつ!」
効果はいまひとつ。だが至近距離で受けた一撃は相当デカい。
"オービーヒート"。ほのおタイプの技において最も火力の高い技の1つだ。使えばとくこうが下がるデメリットがあるが、1度きりの大技として使われる。
アスナのコータスは使えた。俺のコータスは、
「あちゃー! コータス大丈夫?」
アスナの声で、俺は自分のコータスを見る。ダメージは大きいが、自慢の耐久のおかげかまだ戦えそうだ。となると、問題はアスナの…?
アスナのコータスは口から黒煙を吐いて気絶していた。
「私のコータス、"オーバーヒート"を使うと反動でこうなっちゃうんだよ…」
「反動で戦闘不能になるなんて聞いたことないな…、原因はわかるの?」
「たぶん、レベルが足りないんだと思うんだよね」
なるほどつまり、さっきからアスナのコータスが"ひのこ"しかほのお技を使ってこなかったのは、そういう戦法だったからではなく、それしか無かったから、といったところか。
ほのおのジムにおいて、ジムリーダーのポケモンがほのお技を使う度に自爆するのは論外だ。
だがこれで課題が見えてきた。
「俺はゴクリンの火力上げと、コータスに"オーバーヒート"を覚えさせる!」
「私はコータスのレベルアップと、今回わかったマグマッグの弱点克服だね!」
4 10/19 フエンタウン
俺たちはお互いのポケモンを何度もバトルさせて、その度にポケモンセンターに駆け込んだ。
「ゴクリン、"ヘドロこうげき"!」
「コータス、もっと火力上げて"ひのこ"!」
「俺たちもやるぞ、"オーバーヒート"!」
「マグマッグ避けて!」
レベルの近いポケモンたちが度々戦うため、レベルも上がっていった。
そして、
「ゴクリン、"たくわえる"! …んなっ!?」
「マグマッグ、"やきつくす"! …ぅわあっ!」
ゴクリンは体の色が毒々しく変化し、巨大なスライムみたいな見た目になった。マグマッグもまた大きくなり、背中に溶岩が冷えて固まった鎧のような甲羅を背負った姿になった。
進化したのだ。
『マルノーム、どくぶくろポケモン。タイプ:どく。歯が 1本も ないので なんでも 丸のみ。いっぱいに開けた口はとても大きく自動車のタイヤだってすっぽり入るぞ。マグカルゴ、ようがんポケモン。タイプ:ほのお、いわ。カラは皮膚が冷えて固まったもの。触っただけでボロボロと崩れてしまう。マグマに入ると元の大きさに戻る』
「進化した!」
「良いぞ。マルノーム、その体格に慣れていくぞ!」
体が大きくなったマルノームは"たくわえる"からの"ヘドロこうげき"で、より広大な範囲を攻撃できるようになり、マグカルゴは避けきれなかった攻撃を甲羅で防ぐという盾を手に入れた。
俺たちは夕方に特訓を切り上げて、明日に備え、手持ちをポケモンセンターに預けて解散した。
俺はジムチャレンジ、アスナは試験。どちらかが落ちても恨みっこはナシだ。
「おいらを連れていってはくれませんかねえ、マスター」
「うおっ! …最近急に話しかけてくるヤツ多くないか? って、お前」
突然俺に話しかけてきたのは、あの喋るチルットだ。どうやら、"りゅうせいのたき"の事件以来こっそり付いてきたようだ。
「俺、お前のことそんなに知らないんだけどな」
「おいらはマスターの実力に惚れた…ってのは冗談で」
冗談なのかよ。
「"りゅうせいのたき"はおいらの故郷なんすよ。そこで被害を最小限にして壊さないよう戦ってくれたマスターには恩がある。つまり、チルの恩返しってヤツっすね」
「語呂が良いな。何か元ネタあんの?」
「知らないんすね、バカウケっす」
どうやら教えてくれないらしい。
マグマ団やアクア団との戦いを知って俺と一緒に来ると自分から言うポケモンなんて、そうそういたもんじゃないだろう。
「わかった、一緒に行こう」
「うっす! マスター、よろしくっすよ!」
俺がボールを差し出すと、チルットはあっさり入り、ゲットされた。
翌日、俺はこの選択を少しだけ後悔することになるのだが、当然、今の俺はそれを知らない。
レポート
10月19日 フエンタウン
手持ち
LV30 サーナイト オス
LV28 ヌマクロー オス
LV26 ゴクリン→マルノーム オス
LV26 コータス メス
LV27 チルット オス
図鑑
64匹(新:マグマッグ、マルノーム、マグカルゴ)
中学版との違い
・アスナと修行する