ポケットモンスター ホウエン地方編   作:とーさかしゅん

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ペースを上げております。が、そろそろ下がります!
今回は結構動く気が…?
私はいつもラストにレポートとして手持ちとレベルを書いてますが、ペースが難しいですね。進化させるタイミングは予め決まっているので、それに向けてどれだけ出番を増やせるかが問題ですね。それでは、お楽しみくださいませ。


第六話 vsスバメ トウカのもりにて

 

 1 9/3トウカシティ

 

 早朝からジムの扉を叩いた、緑の髪をした気の小さそうな少年はミツルくんというらしい。

 彼は両手をもじもじと弄りながら、父さんに相談を持ちかけた。

「ボク、体が弱くて、今日からシダケタウンで療養することになってるんです」

 シダケタウン、当然だけど聞いたことがない街だな。ジムはあるのだろうか。

「それで、ボク一人だと不安なんです。だからジムリーダーであるセンリさんのポケモンがいれば心強いと思って…お伺いしました」

 確かに、一人は寂しいよな。俺も記憶を失くしてからは、父さんや母さんといても不安だったときがあった。ラナと一緒だったから立ち直れたのかもしれない。

「父さん、ミツルくんの頼みを聞いてほしい」

「もちろんだ。だが、私のポケモン、もちろんジムトレーナーのポケモンを預ける気はない」

「そんな…」

 ミツルくんはうつむいてしまった。俺が父さんを説得しようとすると、父さんはミツルくんに一つのモンスターボールを手渡した。

「…?」

「空だ。これでポケモンを捕まえるんだ。キミのポケモンを」

 父さんはさらにミツルくんにジグザグマの入ったボールを預けた。

「キミが自分のポケモンを捕まえるために、今だけジグザグマを預ける。それからシャモ」

「うん?」

「お前はミツルくんに付き添って、手伝ってあげなさい」

「わかった。ジグザグマとミツルくんのことは任せて」

 俺は身支度を済ませて、昨夜の内に回復させたラナ、ミズゴロウ、アゲハントの3匹を手持ちに加えてから、再び玄関に戻ってきた。

「それじゃあ、行こうか」

「は、はい! お願いします!」

 こうして俺たちは、102番道路へと向かった。

 

 2 9/3 102番道路

 

 しかしまあ、こうやって探すときに限ってポケモンは1匹も出ないんだよな。

 あれから2、3時間が経過した。太陽はすっかり南の空に昇っており、2人とも疲れ果てていた。

「シャモさん、お昼にしましょう」

「いや、でも俺何も持ってきてないぞ…」

 こんなに時間がかかるなんて思っていなかったからな。するとミツルくんはカバンからバスケットを取り出した。

「へへ、サンドイッチを持ってきました」

 女子力が高いな! レジャーシートまで広げて…。昼までかかることを想定していたことも驚きだが、ここまで準備していることにはさらに驚いた。

 俺たちはハム、玉子、レタスの挟まったサンドイッチを食べながらしばらく休憩することにした。

「シャモさんのポケモンって、サンドイッチとかもいけるんですね」

 不意にミツルくんがそんなことを言ってきた。

「どうだろう。まああんまり濃いやつはやっぱしダメだろうけど、ミツルくんのサンドイッチみたいなのだったら大丈夫だと思うよ」

 ミズゴロウとアゲハントにはとりあえずポケモン用のご飯をあげているが、ラナについてはポケモン用のご飯だったり、味の薄い人間用の食べ物だったり、ん? ジョウトにいたときは普通に食卓にいたときもあったような。ラルトスが、というべきかラナが特別なのか知らないが、こいつ意外と何でも食べてないか? 大丈夫なのか?

 というか、

「ミツルくんはどうしてそんな話を?」

「え、いやあ、だって」

 不思議そうな顔でミツルくんは俺の傍らを指差す。

「そこのラルトス、シャモさんのポケモンなんでしょう?」

 そこにはサンドイッチをもさもさと食べる、1匹のラルトスがいた。

 ボールから出した覚えも、ボールから出てきた感覚もなかった。ということは?

「ミツルくん、ジグザグマのボールを出して。早く!」

「えっ⁉️」

「野生のラルトスだよ!」

 慌ててミツルくんはジグザグマを繰り出し、同じく気がつかれてことに驚いて逃走を図るラルトスの退路を封じた。

「ポケモンは攻撃して弱らせてから捕まえるのが定石。ミツルくん、ジグザグマに指示を!」

「わ、わかった。ジグザグマ、たいあたり!」

 ラルトスがジグザグマとミツルの間を縫うように逃げ出す。そこへ、ジグザグと走り回るジグザグマのたいあたりが命中し、ラルトスはフラフラとよろめいた。

「今だ!」

「う、いっけぇぇ!」

 その声に応じて、ミツルくんがわたわたと空のモンスターボールをカバンから出した。

 決して美しい投球フォームとは言えないが、ミツルくんが投げたボールは見事にラルトスの体に当たった。

 数回の揺れ、それが収まるとボールから星が走った。

 ラルトスを捕獲することに成功したのだ。

「う、うわぁぁぁ…! ボクの、ボクのポケモンだ! シャモさん、ありがとうございます。本当にありがとうございます!」

「お礼なら父さんに、ジグザグマを貸してくれたんだし」

「センリさんにも勿論お礼を言います。でも長い間手伝ってくれたシャモさんにもお礼が言いたいんです!」

 ミツルくんは目を輝かせて喜ぶ。年齢はそう変わらないと思うのだが、なんだか子供みたいだ。

 …俺は、初めてポケモンを手に入れたとき、どんなことをおもったんだろうな。

「そういえば、ミツルくん。シダケタウン? の引っ越しって、何時?」

 ミツルくんは晴れ晴れとした顔から一転、真っ青な顔になった。

 俺たちは慌ててトウカシティへと戻ったのであった。

 

 3 9/3 トウカシティ

 

 当然説教が待っているものだと思っていたが、ジムに戻ると父さんともう一人、おそらくミツルくんの父とおぼしき男性が笑って会話していた。

「やあシャモ、おかえり」

「ミツル、おかえり。それから君がシャモくんか。息子のために、ありがとう」

 お礼を言われることは何もしていないのだが、でも、誰かにお礼を言われるのは気分がいいな。ミツルパパは靴を履き直して、ミツルくんのところへ歩みよった。

「私たちはそろそろシダケへ向かいます。お世話になりました」

「センリさん。ジグザグマをありがとうございます」

「構わないよ、ミツルくん。キミはそのラルトスとたくさんの思い出を作っていくといい」

 トラックの見送りは俺と父さんと、それからミツルくんのお母さんの3人だった。

 シダケタウン。ジムがあるかはわからないけれど、いつか立ちよったときにまた会えるといいな。

 俺はその日の夜もジムに止まった。他のジムトレーナーが修行している傍らで、俺は新人のナオキさんと二人で何度も練習試合をした。

 

 4 9/4 トウカシティ

 

 9月に入っているのに、今日もまた暑い日だった。

 俺は布団を干したり、掃除をしたり、ジムトレーナーの人たちと午前の修行(という名の掃除)をしてから旅に出ることにした。

「もう昼なんだから、明日の朝ではいけないのか?」

「母さんに旅に出るって行っておいてからずっとジムで泊まるわけにはいかないよ」

「野宿をするのか」

「用具は一式あるし、今夜は練習もかねて隣の道路で過ごすよ」

 トウカシティを西に進んだ先にある104番道路は、南北に長い道路で、その中間にはトウカのもりがある。また、南は109番水道に接した巨大な河川、北には池があり、釣りキャンプをするトレーナーもいるという。彼らに混じって一夜を過ごすのも良いだろう。

「そうか。気を付けるんだぞ」

 父さんは心配そうに俺を見つめる。

 わかってるよ。父さんは俺に長くジムに居てほしいという訳ではない。ただ心配なんだろう。また目を離した隙に崖から落ちて、それで大きな事故にでもなったらと、そう思っているんだろう。

「うん、大丈夫。俺にはこいつらがいるから」

 決して強い訳ではない。だけど今はラナに加えて、ポケモンが2匹増えている。

「いってきます!」

 俺は父さんやナオキさんたちに別れを告げて、トウカジムを去った。

 104番道路に入ると、あちこちからポケモンの鳴き声が聞こえてきた。ジグザグマやケムッソの鳴き声も聞こえるが、それ以外に新たに複数。これは、鳥ポケモンか?

 草むらを探索していると早速ポケモンが飛び出してきた。背中が黒で腹が白、そして顔から胸にかけて赤い毛並みが揃った、ツバメのようなポケモンだ。

 俺はすかさずポケモン図鑑をスバメに向ける。

『スバメ、こツバメポケモン。タイプ:ノーマル、ひこう。どんな強い相手でも勇敢に挑む。負けてもへこたれない根性の持ち主。お腹が空くと大声で泣いてしまう』

 根性のあるポケモンということか。根性となると、こいつも負けてはいないだろう。

「ゆけっ、ミズゴロウ!」

「ミズゴッ!」

 ミズゴロウは久しぶりに野生のポケモンと戦うからだろう。やる気に満ち溢れている様子が伝わってくる。前足を上げて拳を打ち付けるかのようなポーズをとり、再び4足で構える。

「ミズゴロウ、たいあたり!」

 ミズゴロウの攻撃を受けたスバメは、すぐに翼を羽ばたかせて舞い上がった。そして鋭くさえずる。

「! ミズゴロウ、スバメのなきごえ攻撃だ。強い攻撃に備えるんだ!」

 スバメは空から急降下して、ミズゴロウにくちばしを叩き込む。つつく攻撃だ。

 なきごえからの物理攻撃は大ダメージになる。だけど、ミズゴロウはそれを受け止めても大丈夫な程の根性がある。

 くちばしを両手で挟んで、つつくのダメージを最小限に留めたのだ。

「みずでっぽう!」

 至近距離の攻撃でスバメはなす術もなく倒されてしまう。そこへ俺はモンスターボールを投げつけた。

 数回の揺れの後、星が瞬いて、捕獲成功を知らせる。こうして俺に4匹目の仲間ができた。

 俺は夕方までにトウカのもりに入り、主にアゲハントとラナのレベルアップを目指した。森の中だから、虫ポケモンが多く、すでに何匹のケムッソを倒したかわからない。

 森の中全体が暗くなってきて、日が沈みかけていることを知らせてくれる。

 今日はこの辺りで野宿、かな。

 俺は背中の大きなリュックを降ろして、野宿するための道具を取り出した。

 テント、寝袋、ポケモンたちのご飯、俺の夜ご飯…はカップ麺だけど。

 さて、火起こしだが。

 まずは松ぼっくりを探したいところだったが、いきなり困った。ここは松の木が一本もない。

 まあ、9月だからそんなに冷えないだろう。雰囲気で欲しいと思ったまでだから、そんなに気にすることはない。寝るまではランタンをつけて過ごすことにした。

 晩御飯を食べていると、森の奥から一人の男性が現れた。

「となり、いいかな?」

 白衣を着ていて、見たところどこかの研究員のようだった。

「構いませんよ」

 男は自分のカバンから非常食とポケモン用のご飯、そして1つのモンスターボールを出した。

 ボールからは1匹の、両腕で抱えられそうなサイズのドーム型のポケモンが出てきた。

「図鑑、いいですか?」

「おや、運がいい。こんなところで図鑑所有者と出会えるとは! 是非とも」

「ありがとうございます」

 俺は礼を言ってから図鑑をポケモンにかざした。

『キノココ、きのこポケモン。タイプ:くさ。深い森の湿った地面に生息。落ち葉の下でじっとしていることが多い。落ち葉が積もってできた腐葉土を食べる』

「ですから、私はキノココにはポケモン用のフードに、栄養価の高い腐葉土を混ぜたものを食べてもらっているんです」

 図鑑に付け足すように解説をした男性は、もさもさと食事を摂るキノココの頭を撫でた。キノココは気持ち良さそうに頭を震わせて、粉を吹いた。

「あ、粉には触らないようにしてください。毒ができないような食事を摂らせているとはいえ、人の体には害がないわけじゃないので」

「おっと、」

 俺は興味半分でつまもうとした手を、慌てて引っ込めた。男性はそんな俺を見て微笑む。

「興味を持つというのは素晴らしいことです。研究の第一歩ですから。私もこの胞子に触れてから、キノココに夢中なんですよ」

 それは、なんだか危険な粉を触ったのでは? という疑問を、俺はスープと共に飲み込んだ。

「私はハルシオン。森を抜けた先にある、カナズミシティのデボンという会社で研究をしております」

「俺はシャモです。ポケモン図鑑のデータを集めながら、強くなるために旅をしています」

「おお! でしたら是非カナズミに。あそこにはポケモンジムかありますから」

「そうなんですね。ありがとうございます。カナズミシティに行ったら必ず挑戦します」

 ハルシオンさんとの会話はゆったりとしており、不思議と穏やかな気分になった。俺とハルシオンさんは、長い時間、自分のポケモンたちについて語り合った。

 

 5 9/5 トウカのもり

 

 事件は翌朝、唐突に起こった。

 ハルシオンさんと一緒にカナズミシティに行く途中、突然道を塞がれたのだ。

「おいおいテメエ、デボンの人間だろお?」

 ガラの悪い男は、青と白のボーダーのシャツを着て、少し変わったAの文字が刷られたバンダナをおり、海賊のような見た目をしていた。

「ハルシオンさん、下がって」

「う、うん」

 俺はハルシオンさんを庇うような格好で前に出て、海賊風の男の前に立ち塞がった。

「なんだなんだテメエ。もしかして、そこのおっさんを守ろうってんじゃあ、ねえよなぁ?」

「あんたは一体何者なんだ。いい大人がバカなことやってないで、やめろよな」

「おーおー、アクア団はそんな簡単には名前を明かさねぇ。知りたきゃ俺を倒してみな?」

 あーあー。程度が知れる…。

 俺が呆れたように首を振ると、アクア団? の男は自分の失態に気がついたようで、

「ふざっけんなよ、まさか誘導尋問? テメエいい度胸してんじゃねえか! ポチエナ!」

 アクア団はボールを地面に叩きつけるようにしてポチエナを繰り出した。俺も、放っておいたらハルシオンが危ないから、ミズゴロウを繰り出した。

「かみつく!」

「みずでっぽう!」

 真っ正面から突進をするポチエナに対して、ミズゴロウもまた正面からみずでっぽうをぶつけた。当然、遠距離攻撃のみずでっぽうが先に当たるわけで、ポチエナは一撃で伸びてしまった。

「なんだとぉぉぉ‼️」

 ポチエナとはなんだかんだよく出会っているから、あのポチエナとこのポチエナが違う個体だということはすぐにわかった。野生のポチエナの方が頭がいいってどういうことだ…。

「くそっ、手持ちがもういねぇ。覚えていやがれ!」

 アクア団の男は、ポチエナをボールに戻すと、来た道を回れ右して走り去っていった。

「シャモくん、どうもありがとう」

 したっぱがいなくなったところで、ハルシオンさんはへなへなとへたりこんでお礼を言ってきた。

「何言ってるんですか、当たり前のことをしただけです」

「ミズゴロウもありがとう。これをどうぞ。保存食用にしたオレンのみだ」

 ハルシオンさんはそう言って、干した青い木の実をミズゴロウに与えた。そういう回復アイテムもあるのか。勉強になる。

「そうだ。ついでにこれをあげよう。学習装置といって、ケーブルをボールラックに繋いでおくだけで、戦闘に加わっていないポケモンにも経験値が入るというデボンのイチオシ商品だ」

「受け取れませんよ。そんな貴重なもの!」

「旅には必須のアイテムになる。それに、キミが私を助けてくれたことは、私だけでなくデボン、いや、ホウエン地方にとって良いことだったんだよ。いくらでも礼をさせてくれ」

 ハルシオンさんを助けたことが、デボンどころかこの地方にとっても良かった?

 一体、彼の身柄、いやカバンなのか。あれにはどれ程の価値があるのだろう。

 俺がいくら食い下がってもハルシオンさんも止まらない。本当に、この人はいい人だ。

「わかりました。ありがたく受け取ります」

「うん。是非とも使ってくれると嬉しいよ」

 俺とハルシオンさんがカナズミシティに到着したのは、夕方ごろだった。

 俺たちはポケモンセンターの前で別れることになった。

「ここまでありがとう、シャモくん。本当に助かったよ」

「俺の方こそ、色々教えてもらって、それに冒険に役立つアイテムをいただいて。またお会いしましょう」

「ええ。私も、またあなたに会いたい」

 去り際に、ハルシオンさんはこう言った。

「今度は、是非とも手合わせをしましょう」

「戦えるんですか?」

「いいえ、これから学ぶのです。ですから、手加減はしてくださいよ?」

「勝負はいつでも本気でやりますよ」

「ははっ、敵わない」

 俺はポケモンセンターに、ハルシオンは街の北にある大きな建物に入った。

 

 

レポート

九月五日 カナズミシティ

 

 

 

手持ち

 

LV9  ラルトス

 

LV12  ミズゴロウ

 

LV10  アゲハント

 

LV5  スバメ

 

図鑑

13匹(新:スバメ、キノココ) 




中学版との違い
・スバメの捕獲(元は鳥ポケモンの追加はもっと後だったんですが、トウキさん戦のハードルが下がる下がる)。
・デボン研究員の名前(公開はずっと後だった、というか後々再登場する予定だった。BW2の殿堂入り後もやっていた方なら検索しやすいかも?)
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