織田信長エクシア、天下を統一せんと乱世を駆ける~SDガ〇ダム戦国伝・Soul Of Heroes:序章~信長の初陣 作:ひいちゃ
原作:SDガンダム
タグ:R-15 オリ主 残酷な描写 SDガンダム 戦国時代
その乱世に駆ける群雄の一人、織田家当主・織田信長エクシアは、強国今川との決戦の前に、全ての始まりとなった5年前の初陣のことを思い返していた―――
そしてそのプレストーリー的なものとして、この話を書いてみました。
楽しんでいただけると幸いです。
なお、本編は、てんえん完結後に始める予定。できましたら、応援お願いします!
※備考
この作品の登場人物には、俗名と本名があります。
史実で言うなら、本多正信の弥八郎正信のようなものですね。
例えば主人公である信長エクシアの場合は、
信長が本名、エクシアが俗名となります。
俗名は主に、親兄弟や、とても親しい者と呼び合う時に使われる者で、通常で呼び合う時は、主に本名の方で呼ばれるか、本名と俗名を並べて呼ばれます。(信長エクシアの場合は、信長と呼ばれるか、信長エクシアと呼ばれる、ということ)
つまり、史実とは、俗名と本名の並び方が逆なわけですね。
なお、名乗りを上げる時には、俗名と本名と並べて名乗ることもあります。
あと、混乱を避けるために、武将の名前は有名な名前に統一しています。(徳川家康だったら、松平元信ではなく、いきなり徳川家康、というように)
異世界にある、日本と似て非なる地、由丹恩(ユニオン)。
東方にあるこの列島は、かつて翔軍・足利義輝ガンダムと呼ばれた偉大なる傑物によって治められ、人々は平和な生活を謳歌していた。
だがその平和を打ち砕く闇は、突然訪れた。義輝ガンダムの家臣の一人、松永弾正ジ・O(演者:ジ・O)が突然叛旗を翻し、義輝ガンダムを討ち取ってしまったのである。
ここに平和は焼け落ち、由丹恩は砕け散った。
義輝ガンダムの敗死をきっかけに、かつての威光は失われ、その威光によってまとまっていた諸大名は袂を分かち合い、戦いあうようになってしまったのである。
今やこの由丹恩は、古き世を望む者と、新しい世を望む者。自家の繁栄と栄達を望む者と義を信じる者、色々な大名たちが戦う世になってしまったのだった。
だが、翔軍の志は、いまだ完全に消えてはいなかった。ある伝説に曰く。
『偉大なる将星落ちる時、その魂は欠片と砕け、野望と志を持つ男たちへと宿る。やがて魂を宿しし彼らは、ある時は刃を交え、ある時は手を握り合い、魂は一つへとまとまりゆく。やがては一つとなった魂の元、由丹恩は一つに戻るであろう』
と―――。
これは、翔軍の魂の宿った、その志を受け継ぎし偉大なる男たちの物語である。
SDガンダム戦国伝・Soul Of Heroes
序章・信長エクシアの初陣。
由丹恩のちょうど中央、その南部に尾張国がある。
この国は大名・織田家によって治められ、国は小さいながらも、統率のとれた兵たち、肥沃な土地、そして慈しみ深く、その一方でその手腕極めて鋭利な当主・織田信秀オーガンダム(演者:オーガンダム)の統治の元、周囲の諸国と渡り合いながら平穏な日々を刻んでいた。
だが、その傑物信秀オーガンダムの病死を機に、この国は今、嵐に巻き込まれようとしていた。
尾張の東にある大国、駿河三河を治める大大名・今川義元アルヴァアロン(演者:アルヴァアロン)が、かねてより幾度となく戦った宿敵、織田家を滅ぼし、この地を飲み込もうと侵攻を開始したのである。
信秀オーガンダムが病死したことによって、尾張が混乱し、弱体化したことを狙っての行軍なのは明らかであった。
義元アルヴァアロンが動かした兵は、信秀オーガンダムの後を継いだ信長エクシア(演者:ガンダムエクシア)が動かすことのできる兵力のおよそ10倍。人々は尾張の滅亡を噂し、三河と尾張の国境にある織田家諸城の武将たちは目前に迫る絶望に恐れおののいていた。
そんな中、尾張の拠点、清洲城。その大広間では、この今川軍に対する策が話し合われていた。
だがその中、信長エクシアは、部下たちの意見に聞き入りながら、一言も話さず沈黙を貫いていた。
彼は策に窮したわけでもなければ、うつけでもなかった。
彼は待っていたのだ。千載一遇の勝利をつかむための一瞬が訪れることを、その報告を。
それを待ちながら、信長エクシアは思っていた。
(亡国の危機か。思い出す。あの戦いのことを)
そう、それは信長エクシアが元服したばかりの、5年前のこと―――
* * * * *
5年前。織田家と今川家との間で一つの大きな戦いがあった。
尾張と三河の国境近くにある織田方の城、安祥城。織田、今川両軍にとって戦略の要となるこの城をめぐっての戦いだった。
今川軍に対するは、尾張を治める傑物、これまで幾度となく今川の侵攻を阻んできた名将、織田信秀オーガンダム。軍を率いて安祥城へと向かう彼の傍らに、まだ若き、元服したばかりの信長エクシアの姿はあった。
「エクシア、お前はこれが初陣だ。お前はわしの跡継ぎ。決して無理はするでないぞ」
「安心してくれ父上。俺には夢がある。こんなところで終わるわけにはいかない」
その信長エクシアの言葉に、信秀オーガンダムは怪訝に思いながらも、目を細めた。どのようなものであるにしろ、夢を持つのは悪いことではない。
「ほう、夢じゃと?」
「あぁ。俺はこの尾張だけで終わる男ではない。必ず、この由丹恩の天下を取ってみせる」
それを聞き、父は大きく高笑いをあげた。あまりにも彼の夢が大きいからだ。だが、その夢をかなえるにはまだ厳しく、容易なことではないことを教える必要があるとも感じていた。
「はっはっはっ!! 天下を取るとな。さすがはこの織田信秀オーガンダムの子じゃ。そうではなくてはな。だがエクシアよ。夢を言うはやすしだ。夢をかなえるには実力が必要じゃ。それを忘れてはならぬぞ」
「もちろんだ。まずはこの戦いで、それを示してみせる」
そう力む信長エクシアの前に、一人の武将がやってきた。織田軍の密偵を束ねる、毛利良勝ナイトシーカー(演者:ジム・ナイトシーカー)だ。
「殿、ご報告いたします。尾張西部に今川軍の別動隊が近づいている、とのことです」
「別動隊だと?」
「はい。規模は大きくないようですが」
その報告を聞き、考え込む信秀オーガンダム。この別動隊は規模は大きくないという。その部隊の狙いはなんなのか。
今、目の前に展開している、今川家の将・徳川家康ゼフィランサス(演者:ガンダムGP01ゼフィランサス)率いる今川軍は囮で、実は西から尾張に侵攻する腹積もりなのだろうか? 本隊をあえて囮として、少数の隊で尾張に侵攻、城を落として尾張攻略の橋頭保とする。あるいは、尾張を通ってこちらの後輩を襲う。
あの『由丹恩中央南部一の名将』の異名をとる義元アルヴァアロンであれば、どちらの手も取りそうな気がする。
だが、と彼は考え直す。もしそうだとしても、尾張西部、その別動隊の向かっている先には、織田家と同盟関係にある清洲家の犬山城がある。少数の兵で犬山城を落とすのは至難だ。そのような無茶な手を義元アルヴァアロンが打つはずはない、と。
そして信秀オーガンダムは決断を下した。
「動くには及ばん。その別動隊の狙いは、犬山城を攻略するか、こちらの背後を襲うか、どちらにしろそのようなそぶりを見せることで、こちらの動揺を誘うものと思われる。ここは動かず、目の前の軍に対するが得策よ。一応、諸城には警戒を命じて……」
だがそこで。
「待て、父上」
「どうしたエクシア? 先ほどのわしの言葉を聞いていただろう」
だが、信長エクシアは首を振った。
「父上はかねがね言っていたではないか。今川義元アルヴァアロンは、『自分をもしのぐ由丹恩中央南部一の名将』だと。それほどの男が、父上や俺がそう簡単に考え着く策をとるのか?」
その信長エクシアの言葉に、信秀オーガンダムは目を見開いた。怒ったのではない。息子が、自分も気づいていない何かを見抜いた、その戦略眼、戦術眼に驚き、感心したのだ。
「なるほど、それも一理あるな。だが、目の前に敵の主力がある以上、軍を動かすことはできぬのもわかっているだろう」
「あぁ。だが、奴らを放置するわけにもいかないのもわかっている。だから、俺に一隊を預けてくれ。奴らを探り、必要とあれば奴らと戦い、その狙いを阻止してくる」
信長エクシアに頼もしさを感じながらも、父は腕を組んでうなった。
頼もしいのは確かだが、それと戦術とは別だ。信長エクシアは、将来自分の跡を継ぐ身だ。ここで失うわけにはいかない。
「よし。1000の兵を預ける。それを率いよ。政秀、良勝、二人はエクシアの補佐をせよ。彼を無駄に死なせることのないようにな」
「ははっ」
「御意」
その言葉に、重臣の一人で、信長エクシアの補佐役である平手政秀プルトーネ(演者:ガンダムプルトーネ)と、良勝ナイトシーカーが膝をついて応えた。
「よし、二人とも、俺についてこい」
そして信長エクシアは、副将の政秀プルトーネ、良勝ナイトシーカー、そして1000の兵を率いて、本隊と別れて出陣していったのだった。
* * * * *
そして。犬山城の近くの茂み。そこに信長エクシア率いる1000の兵は身を潜めていた。
「若様、見ての通り、怪しいところはありませぬが。やはり殿の言われる通り、陽動が目的だったのでは?」
政秀プルトーネがそう言うが、信長エクシアは、目の前の犬山城の様子、そして敵軍の様子にある違和感をすでに見抜いていた。
「そんなわけはない。今川軍があそこまで接近している。本当なら迎撃態勢をとるなり、出陣の準備をしているはずなのに、なぜ犬山城は何も動かない?」
「そういえば、そうですな……あっ!!」
信長エクシアの眼力の感嘆した良勝ナイトシーカーが声をあげた。犬山城の城門が突然、開いたのである。
自分たちはこうして身を伏せているし、犬山城には自分たちがそちらに向かっていることは知らせていないはずだ。彼らが自分たちを受け入れて門を開いたわけではない。ということは……。
「俺の思った通りだ。犬山城は今川軍と通じている。今川軍は犬山城を調略し、そしてそこを拠点として尾張内部を食い荒らすつもりだ」
「なんと……!」
政秀プルトーネも良勝ナイトシーカーも、信長エクシアの才覚にたいそう驚いた。世間では口数の少ないうつけ者と噂される彼が、こんな軍才を持っていたとは。
だが、信長エクシアは、その驚きを意に介さず、良勝ナイトシーカーに命じた。
「良勝、お前はただちに父上の元に戻り、このことを伝えろ」
「御意。若様は?」
「俺は隊を率いて、あの今川軍に突撃する」
その言葉に、政秀プルトーネは表情を険しくした。ここは彼を諫め、止めねばなるまいと決意した。
「お待ちくだされ、若様! 犬山城の兵は2000あります! 彼らまで出陣してきては、ましてや、もし挟撃でもされたとあれば、壊滅するのは我らのほうですぞ! ここは殿が駆け付けるのを待つのが……」
「いや、放置しておけば、今川軍は犬山城の兵と合力して、尾張内部に侵攻していく。それに、兵力に臆して、どうして手柄をあげることができるか。俺は行くぞ」
「若様!」
そして、政秀プルトーネが止めるのを効かず、信長エクシアは功名心の命ずるままに、部下を率いて突撃していった。彼は慌てて馬に飛び乗り、良勝ナイトシーカーのほうを向いた。
「毛利殿、貴殿はただちに、安祥城の殿のほうへと向かい、犬山城のことを知らされよ」
「わかり申した。しかし、平手殿はいかがなされるので?」
そう聞かれ、政秀プルトーネは前方の犬山城のほうをにらみつけた。その視線に、悲壮な光をこめて。
「ここがこの老骨の果てる地のようじゃ。この命尽きるまで、若様を守り参らせる!!」
そして、彼は、良勝ナイトシーカーが止める間もなく、馬に鞭を当て、信長エクシアが突撃していった先へと馬を駆った。
* * * * *
信長エクシアには一つの誤算があった。それは、今川の別動隊を率いるのが凡将や愚将ではなかったことである。
そもそも、大勢力を誇る強大な今川家には、その実力に見合わぬ弱将は少ないものだ。もしかしたら、相手を見くびっていたのは、信長エクシアのほうだったのかもしれない。
その今川の別動隊を率いる岡部元信スローネアイン(演者:ガンダムスローネアイン)は、入城しようとする軍の中で、部下からの報告を聞いた。
「岡部様、織田軍が急速に接近してまいります! 旗印は、織田家の嫡男、信長エクシアのもよう!」
その報告に、元信スローネアインは、かすかに驚きはしながらも、それでも動じたりはしなかった。まるでそれがわかりきっていたかのように。
「殿の策を見抜くとは。織田の倅はうつけ者との噂だが、それは改めねばなるまいな。だが、それだけで殿の目論見を砕くことはできぬ」
彼はにやりと笑うと、全軍に指令を下す!
「全軍、入城を中止! ただちに迎撃態勢をとれ! それと、犬山城に伝令を走らせよ!」
* * * * *
「まさか、俺たちの奇襲を読まれていたとは……。奴らを甘く見ていたのは俺のほうだったというのか。だが!」
信長エクシアはそう言いながら、目の前の足軽を切り捨てた。
彼の部隊は激戦の中にあった。敵将・岡部元信スローネアインは、こちらの奇襲を読んでいたかのように、迅速に迎撃態勢を整え、速やかにこちらとの戦いを開始したのである。
奇襲による利を失い、戦いは互角の乱戦の中にあった。
だが数のほうはいまだこちらのほうが有利である。それを頼りに、信長エクシア隊は奮戦していた。
しかし!
「若様、大変です! 後方から犬山城の兵が!」
「なんだと……!?」
互角の戦いを繰り広げていた織田軍は、一気に窮地に叩き落された。犬山城の軍の参戦により、戦力は織田軍1000に対し、今川軍2500と、一気に逆転。しかも挟撃を受けたのである。
織田軍はここに至り、一気に崩れた。それでも兵士たちは力を振り絞り、必死に戦っていた。
それを見る信長エクシアの胸にある疑問が浮かぶ。
(なぜだ……なぜ、彼らはここに至っても戦うんだ。ここに至れば撤退するか降伏するのが最善のはず。なのになぜ……)
そう思い悩む一瞬が、彼にとって致命的な隙となった!
「織田家嫡男、織田信長エクシア、その首、この岡部元信スローネアインがもらいうける!」
「!!」
上空から元信スローネアインが急襲してきた! その手から、二振りの短刀……磁得牙(ジエファング)が放たれる!
そのうちの一本を、信長エクシアは持っていた得物の短刀で切り払うが、もう一本が変幻自在の軌道で彼の死角を突き、彼の脚を払って転倒させる。
そこに、信長エクシアが払った一刀が、彼の首をめがけて―――!!
「若様!!」
「!?」
彼の耳に届く、良く知る者の叫び。目を閉じていた信長エクシアが目を開くと……。
「う……ぐ……」
「爺!?」
彼の補佐役、彼が生まれた時から一番近くにいた親に近い存在、平手政秀プルトーネが、信長エクシアの身代わりとなり、磁得牙をその身に受けていた。
「エクシア様は我らの光、うぬらなどに……討たせはせぬ!!」
そう叫ぶと政秀プルトーネは、その身から短刀を引き抜くと、それを元信スローネアインへと投げ返した! それを払いのけた彼は、払いのけたそれを鞘に戻すと唸った。
「討ち損ねたか……。私も、功名にはやりすぎた、ということか」
そういうと、彼は陣の後方に飛び去って行った。それと同時に、政秀プルトーネは倒れこんだ。
「爺!!」
「若様……ご無事で……」
「お前のおかげだ……それより爺、しっかりしろ、傷は浅いぞ!!」
そう励ますように言う信長エクシアに、政秀プルトーネは首を振って応えた。
彼がこのように感情を表に出すのを見るのは初めてだ、と思いながら。
「いいえ、爺はもはやこれまでのようです……。若様、あれをご覧ください」
彼が指さした先には、いまだに今川軍と奮闘する信長隊の兵たちの姿があった。
「雑兵たちは私たち武士とは違います。彼らが戦うのは決して、功名のためではないのです」
「……」
「彼らが戦うのはただ一つ……彼らの暮らし、大切な家族、それらを守るためです」
「守るため……」
信長エクシアがつぶやいたその言葉に、政秀プルトーネはうなずいて続けた。
「彼らはわかっておるのです。ここで今川に負ければ、田畑は荒らされ、男たちは奴隷にされ、女子供は死ぬよりもひどい目にあわされる、と。それらの暴虐から自分たちの大切なものを守るために……ゴホッゴホッ」
その言葉は、信長エクシアに衝撃を与え、また彼に新しい目を開かせた。
彼は今まで、自分たちが戦うのは、全ては手柄のため、自家の安泰、そして栄達のためだと思っていた。
だが、人生五十年という。その中での一時の手柄や栄華など、果てしない時の流れの中では一瞬の輝きに過ぎない。
本当に戦うのは、民のため、平和のためだということ。
それを悟った信長エクシアの体が淡く輝き始める。
「ありがとう爺……俺は今わかった。俺たちが戦うべきは、功名や栄華のためではなく、民たちのためだということを。俺が間違っていた」
「おお……若様、わかっていただいてありがとうございます……ゴホッゴホッ。なにとぞその力をもって、尾張に、いや、この由丹恩に平和を……ごふっ」
「爺……!!」
遺言と断末魔を残して息絶えた政秀プルトーネを看取った信長エクシアは、悲しみと喪失感に震えた。
だが彼は数瞬の後、それを抑え込んだ。なぜなら、彼が今すべきなのは、それではないからだ。
(人生五十年、この由丹恩に平和をもたらすにはあまりに短い。悲しみにくれる暇などない。今はただ、この戦いを切り抜け、天下を統一する戦いを続けるのみ。悲しみ、失った者たちに思いを馳せるのは、その後だ……!)
そう心を決めると同時に、信長エクシアの体がまばゆい光に包まれる。彼の中の「魂」が目覚めたのだ。
* * * * *
「あの光は……」
織田信長エクシアが放った光、それは旗本隊を率いて、息子の救援に駆け付ける織田信秀オーガンダムの目にも見えていた。そして。
「なんと、激しく、しかし清らかな光だ……。あの光を放ったのが織田の倅だとしたら……」
安祥城の東で、織田軍とにらみ合いを続けている今川家重臣・徳川家康ゼフィランサスの目にも。
* * * * *
「も、元信様、武者が一人、こちらに急速接近してきます!」
「なんと!?」
本陣に戻ってきた岡部元信スローネアインに、部下の飯尾連竜ヴァラヌス(演者:スローネヴァラヌス)がそう報告してくる。
彼が指さした先を見ると、そこには……。
光に包まれ、立ちふさがる兵たちを切り捨てながら、この本陣に突撃してくる信長エクシアの姿があった。
「織田の倅め。向こうからやってくるとは手間が省けるわ。皆の者、迎撃態勢をとれ! 信長エクシアの突撃を阻み、奴の首を、我が主君、義元アルヴァアロン様に捧げるのだ!」
彼の号令一下、彼の部下たちが一斉に、信長エクシアに襲い掛かる。だが!
斬りかかった雑兵の一人を、信長エクシアは造作もなく切り捨てる。もう一人の雑兵も同じく。
その力はまさに。
「鬼神のごとき、か……。だが、そう簡単にはやられぬ!」
そう言って、連竜ヴァラヌスは、長砲身銃(ロングバレルライフル)と、回転式連装銃(チェインガン)を構えた。
「くらえ! ヴァラヌス乱れ撃ち!!」
信長エクシアに、構えた長砲身銃と回転式連装銃を撃ちまくり、弾幕を浴びせる連竜ヴァラヌス。しかし。
「うるさい、邪魔だ」
信長エクシアはその弾幕を苦も無くかいくぐり、短刀を振るい、彼を一刀両断した。
自分がどうなったかわからない連竜ヴァラヌスは、銃火器を乱射したまま倒れ伏した。
そして、その場に立っているのは信長エクシアと、岡部元信スローネアイン、そして二人の周囲を取り巻き、恐れおののく今川の雑兵たちだけとなった。
「ヴァラヌスを倒すとはな。だが、お前ごとき若造に、この岡部元信スローネアインは倒せぬ!!」
そう言うと、元信スローネアインは舞い上がり、その腰から二振りの刀、政秀プルトーネを屠った磁得牙を抜き放った。
「受けよ、この岡部元信スローネアインが奥義! 磁得牙乱れ咲きの舞!!」
その叫びとともに、二振りの磁得牙は、彼の意思が宿ったかのように、複雑な軌道を描き、信長エクシアに襲い掛かる!
「くっ……!」
信長エクシアは、自分に襲い掛かった一刀を、愛刀である短刀で打ち払うと、彼にとびかかろうとする。だが、そこにもう一刀が襲い掛かり、出鼻をくじかれる。
見事な連携を見せながら襲い掛かる磁得牙に、彼は防戦一方だ。
「どうだ! お前のような若造が私を倒そうなどと片腹痛い! おとなしく、その首を渡すがよい!」
「俺は……負けん!!」
すると、信長エクシアの体が、さらにまばゆい光に包まれた。それと同時に、彼の周囲に6本の光の刀が浮かび上がる。
それの使い方を悟った彼は、ただちに反撃に転じる!
まずは二振りの光の短刀で、二本の磁得牙の刃をたたき折る。
そして飛び上がる! 残り4本の刀たちは、まるで主に付き従うように、彼に追随していった。
「天下を統一し、この由丹恩に平和をもたらす! それが我が望み!!」
続いて、元信スローネアインの上空から、光の長刀と短刀をもって舞い降り、彼の身に斬撃を加える。
「俺がそれを為す! この魂と、光の刀たちと、家臣たちの結束をもって!!」
「ぐふっ……!」
二本の光の太刀を、元信スローネアインの胸に突きさす。
「そうだ! 俺が……俺たちが……覇王、この地に平和をもたらす者だっ!!」
そしてとどめに、彼の愛刀である短刀の斬撃を放ち、元信スローネアインの身を縦一文字に切り裂く。
そして数瞬の沈黙。
「若造……いや、織田信長エクシア。私を倒すとは見事なり……」
「……」
そして再び沈黙。
「だが、天下を統一し、平和をもたらすというその理想、為すのは容易なことではないぞ……」
「……わかっている」
「ふふふ……お前のその道、どこまで歩むことができるか、地獄から見物させてもらうぞ……ぐはあぁ!!」
その言葉を最後に、岡部元信スローネアインは絶命し、地に墜落した。それと同時に、雑兵たちは慌てて逃げ去っていった。
誰もいなくなった今川軍の本陣跡にて、信長エクシアは一人たたずみ、政秀プルトーネに心の中で言葉を送っていた。
(見ていてくれ……爺。俺は必ず、由丹恩を統一し、この地に平和をもたらしてみせる……。その時まで、しばしさらばだ……)
* * * * *
かくして、信長エクシアの初陣、犬山城の戦いは幕を閉じた。
安祥城に展開していた今川軍は別動隊の敗北を知るや速やかに撤退。犬山城は、それを知るやただちに降伏。清洲家は、今回のことは清洲家の総意ではなく、犬山城城主の独断として、かの城を実質上切り捨てた。
信秀オーガンダムは、清洲家に切り捨てられた犬山城が主家に対して不満を持ったことに乗じて、かの城を調略して我がものとし、さらに織田家は力を高めた。
清洲家が織田家に滅ぼされたのは、その翌年。信秀オーガンダムがこの世を去ったのは、さらにその二年後のことである。
* * * * *
そして現在。起死回生につながる情報を手に入れた織田信長エクシアは、決戦の地、桶狭間へと向かう馬の上にあった。
(人生五十年……確かに、我が望みをかなえるには短いし、立ちはだかる敵は強大だ……だが、やらねばならぬ。爺や、俺とともに戦い、散っていた者たちのためにも……。そのためには立ち止まっている暇はない。ただ突き進むのみ……!)
そして彼は、部下たちとともに暗闇の向こう……桶狭間に展開している今川軍の本陣へと駆け抜けていった。
今川軍を討ち破り、その先にある天下統一の道への入り口を開けるために―――。