世代のーー   作:カピバラ@番長

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今回で最終回になります。
それではどうぞ。


next to

 ーー考案!チャンピオンズミーティングとは!!!

それは新しく企画した全てのウマ娘達に捧げる決戦の場である。

通常行われている各種レースとは別にある一定の水準にまで達したウマ娘なら出走できる、いわば天下一ウマ娘レース大会の名だ。

参加可能なウマ娘の条件は第一にデビューしていてトレーナーが付いている事。

この最低限の基準を満たしてさえいれば二種類あるリーグの内どちらか一つに出走可能となる。

ではこのリーグとは何か。

端的に言えばウマ娘の強さを二分割した総当たり戦だ。

その分け方は複雑であり、ウマ娘の成長度合いや出走したレースの成績、ファン数に至るまで、レースに関する情報を協会に所属する者達が数値化して評価し、AリーグとBリーグに分ける。

リーグごとに分けられたウマ娘達は約二週間をかけてそこで競い合い勝者を決める。

三位までに入賞したウマ娘には順位ごとに栄誉ある称号と、最高級食材である宝石にんじん半月~一か月分が支給されるっ!以上!!

 

…………と、いうモノらしい。

 

 「……また壮大な計画を立てたわねあの人は」

 

通話画面の開かれているスマフォの先。

若干眠たげな声をしていたキングは、その眠気も蚊帳の外に置いたようなため息を溢す。

 

 「そんなの、流石にできるわけないでしょう。規模が大きすぎるもの」

 

馬鹿馬鹿しいとでも言いたげな声色で応えた彼女はもう一度深く息を吐く。

URA杯も終わり、成績が認められて彼女のトレーナーを続けられる事となった四年目。その三が日が明けた一月四日夜。

僕の愛バーーもとい、担当する一流のウマ娘・キングヘイローに伝えたのはついさっきポストに投函された手紙の内容。

かなり達筆な筆ペンで書かれていた内容というのが、彼女が無理だとはっきり断言した[チャンピオンズミーティング]と銘打たれたURA杯に次ぐ新たなレースの概要だ。

つまりは[中央トレセン学園にいるウマ娘を二つに分けて競わせよう]といったモノで、トレーニング次第ではあらゆる適正をも覆す無限の可能性を持った彼女達の将来を更に広げるのが目的の企画だろう。

URA杯を夢の舞台と称するなら、チャンピオンズミーティングは可能性の舞台だろうか。

兎も角、これは今後のウマ娘界を大きく左右する催しだ。実現可能かどうかはさておき、一ウマ娘ファンとしては胸の熱くなる話だ。

 

 「……で、その模擬レースに私が選ばれたのね」

 

 「まぁ、そういう事になるかな」

 

そう。僕の元に来た手紙に添えられていたのは招待状。

書かれていたのは模擬レースの内容と出走の有無。

 

 「なるほどね…」

 

画面越しに感じるのは彼女の考えている様子。

今回の模擬レースは皐月賞と同じ条件で用意されたモノで、昨年は短距離レースにばかり出ていた彼女としては少し長い。

 

 「……難しいわね。他に声がかけられている方をもう一度教えてもらってもいい?」

 

彼女はポツリと呟くと、出走者の名前をもう一度挙げるように言ってきた。

 

 「セイウンスカイ、スペシャルウィーク、グラスワンダーにエルコンドルパサーだね。どうやら今回の模擬レースはここ三年で特に活躍したウマ娘を選んでるみたい。

あらゆるメディアを通じて全世界に配信するみたいだから話題性を重視したんじゃないかな」

 

 「まぁ、でしょうね。私達がデビューしてからの盛り上がりは控え目に言っても異常だったもの。私が理事長達と同じ立場でもそうするでしょうね。まして可能性を謳うのなら尚更」

 

 「うん。君たちはたった三年で日本どころか世界にまで名を轟かせた。今後の期待は高く、果ては見えない。アピールするのならこれ以上ない人選だ」

 

 「……そこ、なのよね」

 

ともすれば苦しさとも捉えられる言葉を漏らして彼女は黙り込む。

……キングが悩んでいる事。

それは恐らく、彼女達が与える影響力の大きさだろう。

初めてこの話をした時、彼女は『責任重大ね』と言っていた。

現状の企画通りに実践されれば、通常のレースと同様のサイクルにチャンピオンズミーティングが加わる事になってしまう。とすれば、正しくこれからのウマ娘の在り方に介在するであろう企画だ。

規模が規模だけに下手に世論を扇動して、結果として恒例化すべきではなかったと評価された場合、引くに引けなくなる可能性が出てくる。

勿論、秋川理事長や秘書のたづなさんがそんな分かりやすいリスクを考慮せずに考えたとは思えないし、中継の入る模擬レースにまで話が進んでいる以上協会の者の支援を受けているのは明白だ。何ならこの問題は既に解決している可能性もある。

しかし、それはあくまでも机上の空論で出された解決案に過ぎない。理事長達の手腕を疑うわけではないが何があるのか分からないのがウマ娘のレース。

全くの予想外のところでとんでもない問題が起きるかもしれない。

……が。

 

 「キング」

 

 「なに?」

 

 「僕は出るべきだと思うよ」

 

それら全ての可能性を踏まえた上で、僕は彼女に出走して欲しかった。

 

 「キングの持つ不安は僕にも理解できてると思う。けどね、僕らは一流だ。時にはエゴイストにもなるべきだと思う」

 

キングたちがデビューしてからの三年間。彼女達五人は[最強世代]と称された。

二冠を獲ったセイウンスカイ。

日本総大将とまで言われるスペシャルウィーク。

飛ぶ鳥をも落とす勢いで勝ち上がり海外遠征まで行ったエルコンドルパサー。

怪物二世の名は伊達ではない走りで人々を魅了し続けるグラスワンダー。

そして、彼女達に恐れられる存在キングヘイロー。

この五人が、王道距離の中距離二千メートルで再び集うのは恐らくもうない。

ならばこそ、世論だ何だと言ったつまらない理由で出走を断るのはファンの一人としては許したくない行為だ。。

だから。彼女にはエゴイストになって欲しかった。

結果を残したが故に背負わされた責任なんかに左右されず、自分の意志を貫いてほしい。

だって迷うって事は、彼女は出たいって事なんだから。

 

 「……ふふ、言うじゃないの」

 

スマフォ越しに聞こえたのはどこか嬉しそうなキングの声。

 

 「いいわ。私に任せておきなさい。最高のレースにしてあげるわ」

 

 「キング!」

 

その言葉に思わず僕は拳を握ってしまう。

彼女の返事、それは出走を決めたということ。

 

「えぇ。答えてあげようじゃない。私を応援するファンの期待にね」

 

 「やった!!!」

 

 「静かにっ!ウララさんが起きちゃうでしょ」

 

思わず喜びの声をあげてしまった僕はキングに怒られながら出走表明の紙に[参加]と記入した。

 

 「で、その模擬レースはいつかしら?まさか、明日とは言わないわよね?」

 

 「もちろん。流石に明日ではないよ。でも、期間はそこまで長くないね」

 

出走表明紙の裏面に書かれている開催日は二ヶ月後の第三日曜日。

年明けの肩慣らしに出る予定だったレースがあったけど、この期間しかないとなると出走は見合わせてトレーニングに励んだ方がいいだろう。

彼女達から恐れられてるのはあくまで成長幅の事。今現在のキングではエルコンドルパサーはまだしも他の三人に勝てる見込みは薄い。

 

 「分かったわ。なら取り敢えず明日、トレーナー室に行くわね。そこで今後の方針を話し合いましょ」

 

 「了解。いくつかプランを練っておくよ」

 

 「無理だけはしないようにね」

 

ひとまずの方針を決めた僕らはその後すぐに電話を切り、キングは就寝、僕は数種類のプラン作成に入った。

翌朝、寝坊した僕は先にトレーナー室に着いていたキングに二、三言小言を言われた後、用意したプランを絶賛してもらい、その日の夕方からトレーニングを開始した。

 

                 ーーーー

 

 月日は経ち、模擬レース当日。

中央トレセン学園が大々的に告知しただけあり、中山レース場の観客席チケットが当日枠を含めて数分足らずで売り切れ、かつて無い賑わいを見せていた。

元々のファンは勿論、これを機会に観てみようかと思った人達も多く、一種のブームとしてニュースに取り上げられたほどだ。

そんな彼ら彼女らが目当てにしているのは[最強世代]と謳われる五人のウマ娘。

 

 《未だかつてない盛り上がりを見せる中山レース場。開始時刻までは後十分。いよいよ、出走するウマ娘達が入場を始めました》

 

アナウンスに応えるかのように熱気を上げていく観客席。

そうして期待が最大まで高まった時、一人目がターフに両脚を置いた。

 

 「皆さん!こんにちはー!!」

 

ハツラツとした挨拶と共に観客に向けて手を振ったのはスペシャルウィーク。

中・長距離を主とした走りをする彼女は、力強い走りも相まって今回の一番人気に推されている。

 

 「ふぁ〜あ。ま、適当に頑張るよ」

 

続いて登場したのは眠たげな目で青空に浮かぶ雲を眺めるセイウンスカイ。

三強と言われていた時期に二冠を成し遂げた、最も速く最も強いウマ娘としてメディアで取り上げられているが、普段の振る舞いのせいか今回はあまり差のない二番人気として票を集めていた。

 

 「まだまだ寒い中、観に来て下さいありがとうございます。がんばりますね」

 

彼女の自己紹介の後、それほど間なく現れたのは怪物二世改め不死鳥・グラスワンダー。

深々とお辞儀をしている姿とは裏腹にたぎる闘志は微塵も隠すつもりがないらしい。雄々しいまでに力が漲っている様子だった。

短距離・マイル・長距離では恐ろしいまでの差しを見せる彼女だがそれに比べて中距離の成績が振るわない為か三番人気に収まっている。

 

 「どうもデェェェス!今日は誰にも負けまセンよー!!」

 

次いで現れる、マスクが特徴的な少女・エルコンドルパサー。

海外遠征によってひと回りもふた回りも逞しく成長した怪鳥は、しかし中距離での経験が乏しく四番人気になってしまっている。

が、その数少ない中距離レースで結果を残している為、密かに期待されている存在だ。

そして。

 

 「おーっほっほっほっほ!やっぱり大トリは私よね!!」

 

誰よりも派手に登場したのは最後の出走者であるキングヘイローだ。

依然メディアや歴の浅い者からの期待は限りなく少ないが、けれど、他のウマ娘達からの評価は高く、比較的歴の長いウマ娘ファンからは注目を受けている存在となっている。

五番人気とはいえ、四番人気との差は大きく無く、一番人気と比べても半分程も差のない票を獲得している。

 

 《さぁ、出走者全員がターフに降り立ちました。最強世代に於ける[最強]は誰なのか。王道距離二千メートルにて決する事でしょう》

 

川のせせらぎを思わせる静かなアナウンスが会場に木霊する。

キングヘイロー達はそれぞれゲートに脚を踏み入れ、あとは時を待つばかりとなった。

緊張が張り巡らされる。

或いは強張った緊張の糸がゲートの扉を閉じているのだろうか。

その糸が、一本ずつ裁断されていく。

プツリ。プツリ。プツリ。

張った弦の終焉を思わせる断末魔を耳にするは五人だけ。

それはきっとスタートまでのカウントダウンだったのだろう。

五本目の糸が切れた時、開幕の音が鳴ったのだから。

 

 《今、スタートしました!》

 

出遅れる者はいない。皆が最高のスタートダッシュを切った。

先陣を斬るのはやはりセイウンスカイだ。

瞬く間に二番手との差を広げ、大逃げを演じようと一気にトップスピードへ至ろうとしている。

しかし。

 

 ーーま、そう上手くはいかないか。

 

作戦・先行を取ったスペシャルウィークとエルコンドルパサーが彼女の後方一バ身前後のところで追走していた。

 

 ーー逃しません!セイウンスカイさん!

 

 ーー勝つのはエルデェェェス!!

 

 ーーうわぁ、こりゃ気が抜けないなぁ。

 

走りによって圧を掛けてくる二人に僅かに目を細めるセイウンスカイ。

先頭集団となった三人の後ろ。1/3バ身ほどのところで後を追うのはグラスワンダーとそこから差がなく最後方を行くキングヘイロー。

二人は差しを作戦としているせいか三人よりも若干ペースは遅い。しかし、セイウンスカイに必要以上の差がつけられないようにと走っている為自分の走りはあまり出来ていないようだ。

 

 ーー想定内の状況です。問題はこの後……

 

  ーー誰が最初に仕掛けるのか、ね。

 

先頭集団から付かず離れずを維持しつつ、少しずつ自分の走りを試みる二人。

早る気持ちを抑えながらどうにかペースを作り上げた時には、レースは既に佳境を迎え始めていた。

 

 《さぁまもなく最後の直線がやってくる!最初に抜け出すのは誰だ!?!?中山の直線は短いぞ!》

 

興奮を孕んだアナウンスによって引き起こされる大声援。

中山レース場一帯に湧き上がる、各ウマ娘達の名と応援。

爆発もかくやと言うほどの声塊の中、最初に仕掛けたのはーー

 

 《仕掛けたのは……!?》

 

 「ここです!」

 

 「今デェェェス!!」

 

 「参ります!!」

 

 「見てなさい!!」

 

セイウンスカイを追う、四人だった。

 

 《な、なんと言うことでしょう!?先頭の一人を除き、全員がスパートをかけました!!!!》

 

 「「「「!?!?!?!?」」」」

 

間延びした展開を見せていたレースが一気に動き出す。

差すか、差されるか、置いて征くか、四人の順位は目まぐるしく変わっていく。

二番手が四番手に。かと思えば三番手へ。

まばたき一つの間に全てが変わっていく中、それでも先頭にいたセイウンスカイは、しかし後方をちらりと見て驚愕する。

 

 ーーあはは…。何これ、僕狩られちゃう?

 

八つの漲った瞳が一様に狙うはこの瞬間まで栄光に最も近い場所にいる彼女。

その彼女の在り方を過去の物とする為、スペシャルウィークは、エルコンドルパサーは、グラスワンダーは、キングヘイローは、ターフを蹴り、土と草を巻き上げ音の壁へと迫った。

 

 「……けど!」

 

 《おぉっと!ここでか?ここでなのか!?》

 

刹那。

僅差しかなかった一人と四人の差は確かに離れ始めていく。

 

 「僕だって二冠の意地がある!」

 

 《立ち上がった!最後に立ち上がったぞセイウンスカイ!!微かにだが確実に差を広げていく!!!》

 

 「くぅ!!速いです……!」

 

 「ヌヌヌッ!?どこにそんな体力がぁ!?」

 

 「やはり、一筋縄ではいきませんか」

 

 「でも、それでこそよ!」

 

苦しさに顔を歪めながらそれでも白き背を追う四人。

残りはとうとう百メートル。

それが栄光に残された最後の距離。

 

 「負けません、負けません!!!」

 

 一度は開いたセイウンスカイとの距離。

 

 「エル、だってェェ!!」

 

だがそれは、誰も気が付かぬ間に打ち止めとなっている。

 

 「折角巡ってきた機会、逃しはしません!!」

 

否。寧ろ。

 

 「……まずったかな、これ」

 

距離は縮まりつつあった。

 

 《な、なんということでしょう!!貯金を持ち、その上で差を伸ばしていたセイウンスカイの背を三人は大きく詰めています!凄い、凄いぞ最強世代!とんでもないレースだ!》

 

セイウンスカイを抜く為躍起になる三人。

その走りは徐々に差を詰めている。が、彼女達はそこで一つの違和感に気がつく。

 

 《……え、三人?》

 

アナウンスに乗せられたのは困惑の声。

理由は明白だ。

 

 《き、キングヘイローがいない!セイウンスカイのすぐ裏にお嬢の姿が見えないぞ!?》

 

その瞬間にアナウンサーは驚きの声を上げた。

 

 《お、大外だ!大外にいたぞ!!》

 

アナウンスが指し示すまま視線を僅かに動かすセイウンスカイ、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダー。

そこには確かに。

誰も踏み荒らしていないそのターフには確かに、キングヘイローがいた。

 

 「勝つのは、私よ!!!!」

 

 《き、来たぞ!上がってきた!キングヘイローが移動した不利も物ともせず一気にぶち上がってきた!!》

 

 「させないっ!」

 

 「行かせません!!」

 

 「エルだってェェェェ!」

 

 「はぁぁぁぁあ!!!」

 

ゴールの眼前、彼女達はほぼ横一直線に並ぶ。

一進一退の攻防、抜きつ抜かれつの走り、根性勝負。

このたった数秒の出来事は正にその通りだった。

彼女達に適性の差はあっても実力の差は殆どない。

で、あるなら。この戦いに優劣を付けるのは何か。

皐月賞なら速さ。

日本ダービーなら運。

菊花賞なら強さ。

ならば、チャンピオンズミーティングはなんなのか。

 

 ーー嫌だ、嫌だ……!!

 

 ーー負けない、負けません!

 

 ーー絶対に抜いてみせマァァァス!!

 

 ーーこの瞬間に全てをッ!

 

 ーーここは、ここだけは!ぜっったいに勝つのッッ!

 

尋常ならざる激戦に息を呑む観客達。

あれほど沸き上がっていた歓声は今や無くなり、誰もが祈りを捧げていた。

勝て。勝て。勝ってくれ。

勝って最強を示してくれ。

今日この瞬間に、今この時に。

貴女が最強なんだと。

 

 《ゴォォォォル!!!僅差、僅差です!!五名全員が僅差でのゴール!!ビデオ判定を行います!!》

 

そして、戦いは終わる。

その一瞬、レース場にいた全ての人間・ウマ娘の時が止まった。

電光掲示板と一体化している大型モニタは今は暗く落ち込み、数分後、映像が映し出される。

セイウンスカイ、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、グラスワンダーにキングヘイロー。

ほぼ横一列に並び到着した彼女達の写真に、しかし会場からは大きく、大きく歓声が上がった。

 

 《一着は!世代最強は!!》

 

次いで電光掲示板に映し出される番号と名前。

この日、たまたま人気順に割り振られていたその番号は、五。

 

 《キングヘイローだ!!振り上げた手の小指が僅かに、僅かに最初に入っていた!!》

 

アップにされるゴールの瞬間。

そこでは確かに、キングヘイローの右手の小指がゴールのライン場を最初に通過していた。

 

 《二着はスペシャルウィーク、三着はセイウンスカイ!エルコンドルパサーとグラスワンダーは同着だ!》

 

その後確定した着順が電光掲示板に映し出されると同時にアナウンスが入る。

 

 「……や、やった、の?」

 

今後見られないであろうレースを終えたキングヘイローは呼吸も荒いまま電子掲示板を見上げてはいるものの放心状態。

それほどまでにこのレースは激戦だった。

 

 「そ。とうとう本当になっちゃったね。キング」

 

 「……スカイさん」

 

 「おめでとうございます!キングちゃん!本当に強かったです!!」

 

 「うぅ…負けましたぁ。けど!次は負けまセェェン!」

 

 「……また、手合わせをお願いします。今度こそは、決して」

 

 「………」

 

一人、また一人とキングヘイローの周りに集まる四人。

彼女達四人の目には称賛と畏怖、そして対抗心が煮えたぎっている。

 

 「さ、いつも通りやっちゃってよお嬢様」

 

 「………えぇ、そうね」

 

キングヘイローは頬に伝う一筋の煌めきを拭うと観客席の前へと歩を進める。

そうして着いた時、高らかに手を頬元まで上げた。

 

 「おーっほっほっほ!!!あなた達に権利を上げるわ!!一流の私達を褒め称える権利をね!!!!」

 

途端。

会場に万雷の喝采が降り注いだ。

 

                 ーーーー

 

 後日、テレビにCMが流れた。

内容はこの間生放送された模擬レースの再放送。

その煽り文句にはこうあった。

 

 《チャンピオンズミーティング。それは、最も勝利に拘ったウマ娘のみが勝てる誉れあるレース》

 

と。

 

 「さ、トレーナー!今日のトレーニングを伝える権利を上げるわ!」

 

それでも、一流を名乗る彼女のするべき事は何一つ変わらなかった。

 

 

end.

 

 

 

 

 




 ということでこれで終わりです。
いやぁ、もっと早くウマ(もとい馬)に目覚めたかった。そうしたらモチーフになった彼ら彼女らにご挨拶が出来たのに……

ところで、私としてはこれをきっかけにキングヘイローの育成をしてもらえたらなと思うのですがそこはそれ。
ライアンもフクキタルもスカイもスペもエルもグラスもその他の娘達も、皆魅力的な作品・ウマ娘。
もしまだ育成していない娘が手持ちにいるのなら、是非やってみませんか?
その時に出来ればキングを。
彼女を是非その手で。

それではまた、何かの作品でお会いしましょう。
さよーならー
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