俺は『なのちゃん』が好きなんだ!   作:思い出して懐かしめ

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人のハーレムは許せない(自分は無理だから)

 

 

「すまないが貴様の魔力をいただく」

 

普通こんな事を道端で言われたら逃げるよね。これで相手が俺と同じ子供なんだったら何かのアニメなりのマネかな?で済むけど、見るからに成人女性がなんか西洋の剣みたいなの持って初対面の子供に対して言っていいセリフじゃない。100歩譲って俺に魔力とやらがあったとしても、こんな不審者にやるわけもないしね。ちなみに、もしかしたら俺にも霊力があるのかも……と期待して色々とやっていた時もあったけど、今となっては立派な黒歴史となって記憶の奥底に封印されている。そんな事はさておき、まずはここを切り抜けないと……

 

 

「お姉さん誰?」

 

「何も知らない子供か。危害を加えたりはしない…だから大人しくしていてくれないか」

 

やばいな、話が通じなかったわ。この幽霊も吸血鬼も忍者も存在するような世界で一番怖いのは『話を聞かずに襲いかかってくるヤツ』だと思う。というかフェイトの時だっていきなり不意打ちだったし、俺の時に限っては名乗りもせず目的も言わずに襲うってのがデフォルトになってるのか?

 

まぁ何にせよまずはこの危ない状況をなんとかしないとマズイよな。ササッと携帯電話を取り出して110番……繋がらない?恭也……繋がらない。なのちゃん……やっぱり繋がらない。電池切れかと思ったが充電はたっぷり残ってる。なんだこれ?いくら海鳴って場所が人外魔境と呼ばれているとはいえ、携帯の電波が届かないような場所じゃないはずだ。

 

「言っても理解できないだろうが、そんな事をしても無意味だ。大人しく従ってくれれば無事に返す事を約束する。だから余計な真似はしないでほしい」

 

「……今の俺が置かれている状況を見て、素直に了承するヤツなんて世界中探してもいないと思うな」

 

くそっ!無意味だとわざわざ言うって事は、今の電波が届かない状態っていうのはこいつがやっているって事だ。大体大人しくしてれば無事に返すって、裏を返せば言う事聞かなかったら命の保障はないって事だろ…こいつは俺の携帯電話に直接干渉して何かをしているのか、それとも周辺に何か小細工をしているのかわからんが普通の人間ではないって事は確定だろう。思いつく限りでもHGSがサイコキネシスか何かを使っていたり、突拍子もない話だがイデアシードみたいな異世界の何かの可能性だって考えられる。

 

この襲われてる状況が主人公(高町恭也)だったらまだ話はわかるんだが、精々相手を口車に乗せて切り抜けられるかどうかの(子供)が遭遇するイベントじゃないだろ……とにかく今はなんとかして相手から情報を引き出して隙を見て逃げるのが最善だ。

 

「たぶんお姉さんは人違いしてると思うよ。俺に魔力なんてないもん」

 

「それはお前が気付いていないだけだ。とにかく私も子供を傷付けたくはない。少しだけ我慢していてくれないか」

 

言ってる事が強盗の脅し文句とまったく同じなんだよな……これで求められてるのがお金ならカツアゲされたで済むんだが、魔力よこせとかマジで意味がわからん。ぶっ飛んだ考え方をすればどこかの世界では魔力払いという支払い方法があるのかもしれない。持ち歩くのではなく体内で貯蔵することでキャッシュレスに対応した新時代のシステム……なわけないか。いや、待てよ?なのちゃんやクロノたちが使うアレが『法術』という名称だと知っているのは原作知識を持つ俺だからだ。それに正式名称はそうでも主な呼ばれ方は魔法だったはずだよな……つまり、魔力が云々ってのはミッドチルダ関係ってことか!?

 

まずいぞ…下手をすればまだヒドゥンの一件が終わってない可能性だってあるのに、ここで更に新たなる敵とかシャレにならん。もしくはこいつらもヒドゥンを利用して悪い事を企む悪の組織とかって可能性だってあるんだ。だがある程度の予想はできた。そこまでわかれば後は逃げるだけだ。そしてなのちゃんが妖精リンディと一緒に飛び回って活躍する様子を愛でる!

 

「知らない人についていっちゃダメって言われてるんでさよなら!」

 

「待て!手荒な真似はしたくなかったが仕方ない……レヴァンティン」

 

「…なんだこれ!くそ!」

 

簡単には逃げられないと思ってたけど、まさか拘束されるとは……しかもなんか光る輪っかに捕まって動けないだと!?やっぱりこれは法術関係で間違いないはずだ。サイコキネシスだったらこんな光る輪っかを出して、さも『拘束しています』みたいなことにはならない。

 

「心配する必要はない。起きた時にはいつもの日常に戻っているだろう……シャマル」

 

「ええ、ごめんなさいね。なるべく痛くないようにするから……」

 

まさか仲間までいたのか!?子供1人に異世界の魔法使い2人とはやってくれるじゃないか……とにかくこのままじゃマズイ。何か打開策はないのか考えろ俺!

 

……こいつらはなんて言ってた?俺から魔力を奪う?つまり俺には魔力があるということだ。

 

つまり俺は『とらいあんぐるハート4(仮)~恋の魔法は、ありますか?(仮)~』の主人公ということかもしれない……実は今までの出来事はただの導入で、これから本格的なストーリーが始まるみたいな感じなんだ!そこから導き出される答えは『俺がここで魔法に目覚めて事件を解決する』ということだ。

 

なるほど、これは所謂約束された危機ってやつか。だからこいつらも命までは取らないとか、無事に返すとか言ってたんだな。何も知らなければ窮地なんだろうけど、俺のようにとらハシリーズを何度もプレイして二次創作までガッツリ嗜んだ猛者にとっては茶番にしかならない。

 

金髪のドレスみたなの着た女のほうが俺に向かって手を伸ばしてくるが、きっとここで俺の秘めたる力が目覚めて撃退するんだろう。そして「この力は一体……!?次こそはその力貰い受ける!」とか言って撤退するところまで幻視できたぜ。

 

 

って、いてぇぇぇぇぇ!!なんだこれ!?まるで命を吸い取られているというか……とにかくこのままじゃどう考えても良い事にはならないって痛みだぞ!金髪の女が俺の身体に手を突っ込んだかと思ったら、神経が焼け切れるかのような痛みが俺を襲った。あまりの痛みに意識が飛びそうになるが、なんとか我慢して覚醒を待たないと……

 

「お願いだから抵抗しないで……じゃないと……」

 

抵抗するなとか言われてハイわかりましたって言うバカがどこにいるってんだよ……てかいつまで我慢すればいいんだ……?気を抜いたら意識が飛びそうなくらいに命吸われてる気がするんだが……てかもう割と瀕死だと思うんだけど、一体俺に何が足りないんだ。

 

もうダメだ……魂が悲鳴をあげてるのが聞こえる。こんなことならもっとなのちゃんを愛でておけばよかった。最後に思い浮かべるのが両親じゃなくてなのちゃんだったのは仕方ない。「なのちゃんが欲しければこの問題を解いてみろ!」ってクロノに言うために作ってた『なのちゃんに関する1000のこと』も完成させておきたかったが……だがもしなのちゃんとクロノが結ばれたとしても、なのちゃんのファーストキスは俺がもらってある…ざまぁみろだ。お泊りで一緒に寝てるときにこっそりなのちゃんにキスしただけなので、なのちゃんも気づいてないだろうけど……

 

限界だ……心残りは山のようにある。でも魂を吸い取られてしまってはどうしようもない。ここがとらハの世界だけに死んでも幽霊になる可能性は否定できないが、悪霊とかになって退魔師とご対面とかになるのは嫌だなぁ……だからといってアリサ・ローウェル枠が悪いわけでもないんだけど……

 

 

ごめ……な…の……ん……ゆ……お……

 

 

 

 

……

………

 

 

 

 

「……っ……?」

 

目が覚めたら見覚えのある天井がある……この前入院して起きた時に見たのと同じだ。てことはここは病院だな。

 

意識がハッキリしてくるにつれて記憶のほうもだんだん思い出してきた。魔力というか魂を吸い取られてそのまま死んだと思ってたけど、どうやら生き延びることができたみたいだ。身体に力が入らないせいで身動きが取れず寝たままだけど、頭のほうは案外ちゃんと回るようだ。

 

あの後どうなったのかわからないけど、病院にいるってことは誰かが助けに来てくれたのか、倒れているところを見つけて通報でもしてくれたのかな?少なくとも襲ってきたあの二人組が運んだって事は有り得ない。可能性としては御神の剣士たちが助けてくれたってのが考えられるけど、フェイトの時の前例があるから今回も通行人が見つけたってのも有り得るんだよなぁ。

 

とりあえず幽霊にならずに済んだのは運が良かったわ。もし俺が幽霊になったとしても退魔師の人たち以外で俺の事を認識できるとは思えない。なのちゃんだってアリサ・ローウェルと友達になれたといえども、だからといって俺の事を都合良く見つけてくれるかはわからないしな。

 

問題は俺を襲ってきた二人組のほうか。まるで魂を吸い取られているかのような苦しみだったが、本当にあいつらが言っていたように魔力を奪っていったのか?受けた感想としてはまるで生命力を奪われたみたいな感じにしか思えなかったぞ。その証拠に今も胸の奥に痛みが残ってるし、身動きするのが億劫なほどに力が入らない。

 

生命力を吸い取る……もしかしてあいつらが吸い取っていたのは魔力じゃなくて霊力だったんじゃないのか?確かとらハ1の春原七瀬がそんな感じの幽霊だったはず……いや断定するな俺。HGSであるフェイトと夜の一族の女が一緒にいたように、法術関係と霊力関係が手を組んでいる可能性だってあるじゃないか。吸い取ると言えば記憶を吸い取って力にするのがヒドゥンだが、それは俺の知っているリリカルおもちゃ箱の話であってこの世界とは差異があるのかもしれない。もしかしたらこの世界のヒドゥンは生命力を魔力と称して吸い取っているのかもしれない。奪われたのが霊力の場合だったらざからの封印が解かれるなんてのが最初に頭に浮かんだ内容だ。

 

ざからの封印を解くため、大いなる災いであるヒドゥンを起こすため……どっちにしてもろくでもない事だぞ。しかも両方とも御神の剣士がどうにかできるような内容じゃない。歴代登場人物が総登場してくれないと霊力と魔力については解決できない。しかもそこになのちゃんまで含まないといけないんだから厄介な世界だ。

 

フェイトのビデオレターやなのちゃんとの会話からリンディ・ハラオウンやクロノ・ハーヴェイと出会っているのは間違いない。そして既になのちゃんは、俺が見た限りレイジングハートを持っている。直接それがレイジングハートか確認したわけじゃないけど、ほぼほぼ間違いないと思っている。そこまでの状況でわかるのはレイジングハートがなのちゃんの手元にあり、逆にS2Uを持っていない事からヒドゥンが解決していないのも間違いないということだ。

 

そんな……霊力関係であっても魔力関係であっても大災害になるような事件になのちゃんを送り出すなんて俺にはできない。リリカルおもちゃ箱のなのちゃんなら大丈夫だったかもしれないけど、うちのなのちゃんはきっと耐えられないだろう。

 

 

まさかと思うけど、俺が死ぬ事でなのちゃんに親しい者との別れを味わわせて成長を促すイベントとかじゃないよね?実は俺はもう幽霊で、なのちゃんに悲しい思い出も大切な思い出なんだって悟らせるポジションだったとかないよね?ヤバい……考えれば考えるほど俺のポジションは()()()()にあったと納得できる。この世界ではアリサ・ローウェルではなく俺が……幼少の頃からなのちゃんと親しく、法術関係に巻き込まれた事によって命を落とした幼馴染。そんな悲しみの記憶をなかった事にせず前を向くなのちゃん。マズイ、めっちゃ見たい。いや、たぶんその頃には俺は成仏してるんだろうけど……「なのちゃん、君に出会えて良かった……」とか言って天に召されるんだろうか?

 

 

まぁ妄想はこれくらいにして、俺が生きてるのは間違いない。幽霊にこんな虚脱感とかないだろ。そんなとらハ知識を頭の中で整理していたら、巡回の看護婦さんが意識の戻っている俺を見つけて医師を呼んだりバタバタしていた。俺はというと、頭は働くけど身体は動かないのでその様子を眺めているだけで何もしていなかったわけだ。

 

医師がやってきていろいろと聞かれたけど、答えられるのは「突然知らない二人組に襲われて、気がついたらここ(病室)にいた」という事だけだ。霊力や魔力については明かす必要のある相手になら話をするけど、何も知らない人にそんな事を言っても意味がない。とりあえず必要な問答をさっさと終わらせてもらい、両親にも連絡をしたという事だったので大人しく寝て待つ事になった。

 

「みっくん!大丈夫!?」

 

「なのちゃん、またなのちゃんに会えて嬉しいよ。まさかまた襲われるとは思わなかったもん」

 

「……心配したんだからね」

 

「みんな心配かけてごめんなさい。とりあえず動けないし元気じゃないけど生きてるよ」

 

病室に飛び込んできたなのちゃんに再会の喜びを語り、続けて病室へと入ってきた母親たちにも心配かけたことを謝っておく。胸の痛みは取れてないし、虚脱感も全然抜けてないけど男の子の意地ってやつで普通に会話していく。フェイトの時に続いて2回目の入院、しかも両方とも突然見ず知らずの相手に襲われての負傷のため余計に心配をかけてしまったらしい。母親からは「お祓いに行くべきかしら?」って言葉すら聞こえてくるくらいだ。だが残念だったな母さん、たぶんだがお祓いといっても本業の退魔師に頼むくらいじゃないと意味がないと思うよ。

 

急な連絡にも関わらず来てくれたのはなのちゃんと桃子、そしてうちの母親だった。うちの父親は仕事があるし、翠屋は士郎に任せて桃子はなのちゃんの付き添いで来てくれたようだ。恭也と美由希は学校だからわかるんだけど、なのちゃん学校は?早退したの?なんだかわざわざ申し訳ない。そして桃子はスイーツをお見舞いとして持ってきてくれた?食べたいんだけど起き上がれないので「あ~ん」を所望します。なのちゃんがやってくれるの?これは襲われた甲斐もあるってもんだね。

 

「みっくん、ほんとに大丈夫?」

 

「うん、身体はぜんっぜん力が入らないけど頭はちゃんと動いてるから大丈夫だよ」

 

「たぶんもうちょっとしたらリンディさんたちが来ると思うの。みっくんにもちゃんと説明しないといけないって言っててね」

 

「リンディがねぇ……とりあえずなのちゃんがわかってる事だけ先に聞かせてくれない?話しにくいなら二人で聞くからさ」

 

「ううん、お母さんもおばさんも知ってるから……ええと、みっくんが襲われた後なんだけどね…………」

 

リンディが説明をするって言葉から、今回の件はやはりミッドチルダ関連確定だ。そこからなのちゃんの口から出てきたのは俺には理解ができない内容たちだった。なのちゃんも魔力を集めるというヤツらに襲われた?フェイトも魔力を奪われた?しかもそいつらの主がはやてだった?はやてってあのふんわりおっとり京都訛りの八神さん家の童話仲間のはやてちゃん?最後は闇の書の闇とかいうのと戦ってなんとかいうのががお空に還った?

 

俺はこの話をなのちゃんから聞かされてなかったら信じてなかったかもしれない。一応これでもとらいあんぐるハートの知識はかなりあると自負している。だからこそそんなストーリーはOVAなどを含めてもなかったはずだ。

大体闇の書ってなんだよ……黒歴史を人から奪っていっぱい書かれてる本とかか?普通なら黒(歴史)の書とか呼ぶところを、厨二病発揮して闇とかつけちゃったんだろうか?その中でもキングオブ黒歴史が闇の書の闇って呼ばれてるとか?

 

 

リリカルおもちゃ箱が『悲しい記憶』を集めるのに対して、俺主人公のとらハ4は『恥ずかしい記憶』を吸い取るコメディ路線だった……考えれば考えるほどそんな感じがしてきた。マズイな、俺の(黒歴史)もその中に入ってるのかもしれない。

 

 

もし違ったら赤っ恥もいいとこだし、これはちょっとだけ確認しておいたほうがいいな。

 

「ねぇなのちゃん。襲われた以上当然かもしれないけど、その闇の書の中には俺の(生命力)も入ってたりするよね?」

 

「…うん、みっくんの(魔力)も闇の書さんの中に入ってたんだって……」

 

「あと確認なんだけど、その奪われた中には…なんというか、人それぞれのものも奪われたりとかしてない?」

 

「うん、でもどうして(魔法の術式も)コピーされるって知ってるの?」

 

「えーと…なんとなくかな……?でも、てことは結構な量(の黒歴史)が入ったんだろうね」

 

「うん、普通の(魔導師)は1ページもないんだけど、みっくんの(魔力)は10ページくらいあったって言ってたよ」

 

うそだろ……道理で胸が痛いはずだ。普通の人(一般人)の黒歴史が1ページもないのに、俺の場合10ページ近くもあってしかも見られてるとか恥ずかしくて死ねる……霊力があるかもと思って同じ霊力を使用する霊光波動拳や霊丸の練習したり、背中から羽が出るイメージしながらサンダーブレイク!とか叫んでみたりサイコキネシスを使えないかと物を浮かせる特訓したりと思い出すだけで悶える黒歴史がわんさかある。それを全部見られてる?

もしかして俺を物理的に殺すんじゃなくて精神的に殺すの?それをなのちゃんたちに見られてるとか拷問どころの話じゃない……これはもうなのちゃんと今まで通りの関係ですらいられないかもしれない。

 

「なのちゃん……びっくりしたよね?俺がそんなに(黒歴史を)持っていたなんてさ」

 

「ううん、確かに(なのは以外にも魔力を持ってる人がいたことは)ビックリしたけど、みっくんだった事は納得したというか……それはみんなも同じだったよ」

 

「みんな……?みんなってどこまでか聞いてもいい……?」

 

うちの家族は当然として高町家も全員知ってる?関係者であろうリンディとクロノは当然として、そんな忌まわしいアイテムの所持者であるはやても知っているだろうけど……偶然巻き込まれたからアリサもすずかも知ってる?HGSで夜の一族と関わりがあるだけのはずのフェイトまで知ってる?なにそれそんなに俺を精神的に殺したいの?微笑ましく見られるのならまだいいが、みんなが俺を可哀想な目で見てくるかもしれない……

 

もういっそのこと幽霊になりたい……!!

 

きっとなのちゃんやフェイトは黒歴史なんてあっても1行とかそんなもんだろ?フェイトの場合は生まれたてのクローンHGSな事を考えれば何もない可能性だって有り得る。なのちゃんだってきっと似たような感じだろう。それに引き換え俺は10ページ……いや俺が存在するからそんなイベントで済んだと思えば気が楽に……なるか?悲劇が多いとらハ世界が、俺がいることで喜劇の世界になるのなら俺の羞恥心なんて……いややっぱ恥ずかしいわ。

 

そして俺を襲った二人組が言っていた意味もちゃんとわかった。「魔力(黒歴史)をよこせ」ってことだったんだ。つまり魔力ってのは隠語だったってことだ。もしくは黒歴史って言葉が存在していないから、吸い取る=魔力って事にでも変換されてるんだろう。

 

なのちゃんの話では高町家にも協力してもらい、そいつらが魔力()を奪うのを止めようとしていたらしい。さすがなのちゃんだな、でも黒歴史を吸い取ったとしてもきっとヒドゥンと違って大した災害にはならんと思うのは俺の気のせいなんだろうか。

 

「なのちゃん……俺は(黒歴史が周知された事に)耐えられない。いっその事襲われたときに死んでおけばこんな苦しい思いをしなくても良かったかもしれないね…」

 

「どうしてそんな事言うの!?みっくんは今はちょっとだけ弱気になってるだけだから、そんな事言わないで!」

 

そこからなのちゃんと桃子と母親による励ましが襲ってきた。その励ましが今の俺には辛い。なんだろう……超特殊な性癖が家族友人みんなに暴露された時ってこんな感じなんだろうか……?いや俺はそんなのないからわかんないけどさ。つい口から出てしまった言葉だけど、これ以上みんなから優しい言葉を聞きたくなかった俺は大人しく説得された事にしてその場を凌ぐことにした。

 

 

 

……

………

 

 

 

今回はさすがに前回と違ってすぐ退院というわけにはいかなかったので、病室で大人しく天井を見つめるという仕事を繰り返した。母親には余計に心配をかけてしまったため、泊まりこみで近くにいて様子を見られるという事態を引き起こしてしまったわけだ。そしてなのちゃんも同じく学校を休んでまでずっといてくれようとしたため、俺と母親で説得し学校はきちんと行く事で納得してくれた。小学校の勉強くらい俺でも教える事はできるが、だからといって行きたくないわけでもないのに休ませるなんてとてもじゃないができない。あと俺が恥ずかしい。

 

そんな入院生活を数日過ごしていたら、予てより説明に来ると言っていたリンディたちの見舞いが今日来るということだった。

 

母親となのちゃんは全部知ってるならわざわざ席を外してもらう必要はないし、その結果病室にはなのちゃんとうちの母親に加えて高町家のみんなやリンディとクロノという大人数が集うことになった。

この全員が俺の黒歴史を知っているのか……男衆はきっと俺の傷口を抉るような事はしないはずだ。御神の剣士たちは俺の妄想とは全然違うけど、永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術という剣術を体得している。だからこそ、俺がそういうのに憧れを持っているだろう事は理解してくれているはず……と思いたい。

 

 

 

 

「はじめましてミツキくん、私はリンディ・ハラオウン。あなたの事はなのはさんから聞かせてもらっているわ」

 

「僕はクロノ・ハラオウン。今回の件の説明のために同席させてもらうよ」

 

「クロノ・()()()()()?」

 

「ああ、クロノの私の子供なの。これでも結構優秀なのよ?」

 

目の前にいるリンディとクロノは俺の記憶にあるリンディとクロノだった。だが引っかかったのはそこじゃない。クロノがハーヴェイではなくハラオウンと名乗った事だ。リンディはそれをファミリーネームが同じだからと子供と補足してくれたが、俺はそんな事はとっくに知っている。そして俺が引っかかったのはそこじゃない。

まずリンディがまるで普通の人間かのような姿でいること、クロノを自分の子供として紹介したこと、そしてクロノがハーヴェイを名乗らなかったことが引っかかったんだ。リンディが妖精のような姿ではなく人間と同じような姿でいるというのはヒドゥンを食い止めた後の事のはず……つまり今はもうヒドゥン事件は解決した後という事になる。だが俺はなのちゃんからヒドゥンなんて単語は1度も耳にしていない。つまりヒドゥンの代わりに(黒歴史)の書事件が発生したという事なんだろうか?

 

そこからリンディとクロノから改めて説明を受けた。魔法(法術)の存在やミッドチルダはわかってる。だが時空管理局ってなんだ?なのちゃんとはジュエルシード事件の時に出会った?イデアシードじゃなくて?フェイトは時空管理局の嘱託魔導師になった?HGSでもなれるものなの?てかフェイトはHGSなのに夜の一族とも関わりがあるだけじゃなくてミッドチルダとも関わりがあるのかよ…闇の書事件?それはなのちゃんから聞いてるからいいや。

 

「ミツキくん…突然こんな話を聞かされて戸惑っているかもしれないけれど、今の話はすべて事実なの。本当はそういった事(魔法関係)を忘れてもらって平穏に過ごしてもらうっていう方法もあったのだけど、なのはさんからの言葉もあってきちんと説明させてもらったの」

 

「正直、いろいろと(俺の知識と違いすぎて)混乱しているところはあります。でも、もしそれら(黒歴史)を忘れても決して無くなるわけじゃない。ならば同じ過ちは繰り返さないように戒めとするべきだと思います」

 

「確かに(魔力が)無くなるわけではないわね。ふふ、なのはさんが言った通り立派な男の子みたいで安心したわ」

 

きっとリンディが言いたいのは「黒歴史の流出なんて悲劇は忘れてもいいのよ?」って事なんだと思う。でもそれを受け入れたところで、黒歴史を知られるという悲劇を忘れてしまったら更に新たな黒歴史が量産されてしまう事だろう。そして第2第3の闇の書が出てきたとき、きっと俺の黒歴史は20ページにも30ページにもなってしまうだろう。

 

なのちゃんがリンディに俺の事をなんて言ったかわからんが聞きたくない。それがどんなフォローの言葉だろうと、確実に間違いなく俺の心に致命傷を与えてくる事がわかってるのに聞くなんて無理です。

 

リンディの説明を頭の中で整理し、俺のとらハ知識とすり合わせて結論を出していく。最初はこの世界が高町士郎が生きていた事によるバタフライエフェクト(とらいあんぐるハート3外伝の外伝)なのかとも思ったいた。でもそうじゃないのは間違いないだろう。

なのちゃん(幼馴染枠・仮ヒロイン)、フェイト(HGS枠ヒロイン)、月村すずか(夜の一族枠ヒロイン)、アリサ(元幽霊枠ヒロイン)、はやて(薄幸少女枠ヒロイン)、この全員が俺と同い年なんだぞ?フェイトだけは見た目年齢判定というか、実年齢だったらたぶん2~3歳くらいになるかもしれないけど…

 

主人公だと思っていた高町恭也に月村忍という公式ヒロインが恋人というポジションで存在し、ミッドチルダの法術組が堂々と目の前に現れているんだから大きくズレていることはないはずだ。

俺が主人公かどうかというところには大いに疑問点が残るけど、今のところ俺以外に近くに主人公っぽいやつは見かけないしなぁ……そう思いながら視線を巡らせると静かに状況を見守っていたであろうクロノと目が合った。

 

 

って、まさかとは思うけど実はクロノが主人公のリリカルおもちゃ箱外伝的な世界だったりするのか?それだったら……いろいろと辻褄が合うぞ。

 

 

ミッドチルダで問題が発生し地球が巻き込まれ、そこで出会う様々なタイプの美少女たち……時には敵対し、時には手を取り合いながら大災害を防ぐために立ち向かう。

 

『クロノくん…悲しい思い出にも、意味はあるんだよ』

『作られた命だからこそ…当たり前に気づけるんだ』

『あなたに嫌われるかもしれないけど…それでもこの(夜の一族の)力をみんなのために…』

『何があっても信じて見守ってるから…アンタはアンタらしく頑張りなさい!』

『うちにはできることは何もないかもしれへんけど…迎えに来てくれるのを待ってるからな』

 

やべぇ、頭の中でみんなの声がリアルに想像できたわ。しかも俺と違ってクロノは法術を使って戦えるし、俺の場合は毎回襲われて寝込んでる間にいろいろと終わってるし……クロノもリンディも自己犠牲精神溢れるキャラだったはずだから、そこに共感したなのちゃんたちが惹かれても納得しかない。

 

 

 

 

だからと言って、そう簡単になのちゃんをあげられるほど俺は甘くないがな!

 

 

 

 

これでもなのちゃんと出会った時から可愛がり続けてきた俺だ。シスコンではないが、なのコンならば高町家を含めても誰にも負けないという自信がある!たとえとらハ二次創作版のシスコン高町恭也であろうと俺には適うまい。

 

「ねぇみっくん、ボーっとしてどうしたの?」

 

「ん?なのちゃんを(クロノに)簡単に渡すわけにはいかないなーって考えてただけだよ」

 

「ふぇっ!?」

 

「あらあら…そんなに警戒しなくても(時空管理局が)取ろうなんて思ってないわよ?」

 

いろいろと考えた結果少々放心していたらしく、なのちゃんに声をかけられて我に返ることができた。ついクロノには簡単にやらん!って言っちゃったけど、驚くなのちゃんはともかくとして母さんと桃子はアラアラウフフと微笑んでいるし、士郎と恭也と美由希は苦笑しているような…なぜだ?そこは俺に便乗して「なのはを渡すわけにはいかん」みたいな感じじゃないのか?

 

きっとリンディはリリカルおもちゃ箱を知らないからそんな簡単に言えるんだろう。なのちゃんとクロノの甘酸っぱい小さな恋の物語を知れば手のひらクルーすること間違いなしだ。

 

「リンディはそれでもいいの?なのちゃんは(お嫁さんとして)喉から手が出るくらい欲しいんじゃないの?」

 

「確かになのはさん(の力)はとても魅力的だけど、本人の意思を無視して(時空管理局に)引き込もうとは思わないわ」

 

本人の意思が大事か……確かにリンディの言う通りではあるが、それはつまりなのちゃんを落とせばいいんだろ?って事でもあるわけだ。そこまで自分の息子に自信があるのか。だがリンディが続けた「それに…」という言葉に俺は絶句してしまった。

 

「既にフェイトさんも(嘱託魔導師として)協力してくれているし…今はまだ形にもなっていないけど、はやてさんにも協力してもらうつもりなの。はやてさんたちには少しばかり負担をかけてしまう事になるし、これから(上層部を)説得しないといけなかったりもするんだけれど……なんとか(闇の書事件も)うまく纏められると思うの」

 

 

 

まさか母親(リンディ)がハーレム容認……だと……?

 

 

 

リンディからまさかの嫁複数OK宣言に戦慄してしまう。くっ…ハーレムエンドをクロノではなくリンディが目指しているなんて予想外もいいとこだろ。フェイトが既に協力体制になっていて、更にはやてまで取り込む算段ができてるのか……さすがにそれは認めるわけにはいかん!なのちゃん一筋ならまだ認めてやらんわけでもないくらいの気持ちはあったが、いくらリンディ(母親)公認とはいえハーレムエンドなんてダメだ!そんな羨ま…けしからん事はいくらリンディが許しても俺が許さない!

 

だがどうすればいい?フェイトがすでに陥落している。たぶんだけど生まれたてHGSクローンのフェイトはきっとコロッといっちゃったんだろうなぁ。フェイトに独占欲とかあればハーレムエンドを阻止してフェイトエンドに終わるだろうけど、リンディがはやてに協力してもらうって言ってるのを普通に何も言わずに見てるあたり望みは薄そうだ。

 

こうなったら『クロノのハーレム計画を阻止して、ちゃんと良識ある恋愛をしよう』計画でいこう!クロノはフェイトエンドで満足して幸せになってください。

 

そうなるとまずはリンディより先にはやての説得だな。リンディはまだハーレム計画は形になっていないと言っていた。つまり計画はしているが行動はしていないって事だ。リンディめ、相手が9歳の子供だからといって油断したな。ならば俺はその油断を利用させてもらうぜ。

 

俺が見ている限りでは寂しがりやな感じのする八神はやてだから、そこを突かれて「あなたは何も気にせずにクロノと家族になって、そしてみんなで幸せになりましょう」とかリンディに言われたらコロッと落ちちゃいそうだ。それを防ぐには真っ当な感性と常識を俺が先に叩き込んでおく必要がある。フェイトにも後で「独占欲は悪いことじゃないよ」って刷り込んでおかないとな。

 

「なるほど…言ってる事は理解したよ。でも俺は思うんだけどさ、リンディが思ってるほど人はたくさんの人(クロノはなのちゃんたちを)を幸せにはできないと思うんだ。そこに様々な感情(嫉妬や独占欲)がある限り、本当の意味で受け入れるっていうのは難しいと思うよ」

 

「ええ、確かにあなたの言っている通りだと思うわ。今回の件(闇の書事件)を、(はやてさんたちの無償奉仕で終わらせるとなれば)納得しない人たちも出てくるでしょうね」

 

「自分たちだけ良ければそれでいいって言うのなら俺に言える事は何もなくなっちゃうけど…俺にも(ハーレム阻止っていう)譲れない部分はあるし、少しはそういった人もいるって事も考えてみてよ」

 

「そうね…それにしてもミツキくんは随分と大人びた考え方をするのね。ふふっ、あなたにも(闇の書事件の後始末を)協力してもらおうかしら?」

 

「いやいや、俺はそんな(クロノハーレムを許せるような)器じゃないよ。なのちゃんが(ハーレムに)入ろうとするなら止めるくらいなんだもん」

 

「さっきも言ったけれど、私たち(時空管理局)は無理やり入れようとは思っていないわ。だからその辺りは安心してちょうだい」

 

リンディは本当にわかってるんだろうか?そりゃあ本人の意思で「ハーレムでも構わない」っていうんなら俺がどうこう言う筋合いはないかもしれないけどさぁ。しかも俺たちまだ小学生だよ?いくらなんでも小学生ハーレムを築きたいわけじゃないだろうし、10年後くらいの未来の話を今からしても仕方ないと思うんだよな。

 

そんな机上の空論みたいな世間話はこれくらいにして、一応ミッドチルダとかの説明をし終えたリンディたちは次の用事があるからということでクロノを連れて帰っていった。ただフェイトは一緒に帰らずに残るみたいで、なのちゃん含む高町家とうちの母親とフェイトがいることになった。

 

つまりフェイトへの説得チャンスである。

 

「フェイト、一緒に帰らなくても良かったの?」

 

「うん、リンディさんがゆっくりお話してきたら?って言ってくれて…」

 

「そっか、ちゃんと再会の挨拶もできてなかったけど元気そうで何よりだよ」

 

「…うん、ミツキは元気そう…じゃないけど、また会えて嬉しいよ」

 

直接会うのは久しぶりだけど、ビデオレターで交流があるだけにそれほど久しぶりって感じはしないなぁ。ただフェイトは何やら思いつめてるような雰囲気が出てるんだけど、これってフェイトの標準仕様なんだろうか?まさか俺の黒歴史を知った事で態度が変わったとかだったら泣ける。

 

「ねぇフェイト、なんとなく様子がちょっとおかしい気がするんだけど何かあったの?」

 

「そんなことないよ……」

 

フェイトよ、知っているか?「そんなことない」って言うヤツの9割はそんなことあるんだぜ?これはアレだ。『本当はハーレムなんて嫌だけど言い出せない』みたいな悩みのはずだ!きっとそんな事すら言っていいのかわからずに自分の内側に溜め込んでしまっているんだろう。ここには桃子一筋の士郎と月村忍一筋だと思われる恭也がいる。秘めたる思いを吐き出して、それが間違った認識である事を教えてあげようじゃないか。

 

 

言いよどむフェイトをベッドの前に招き寄せ、両手を優しく繋いで語りかけた結果…俺が言った「次に会った時は守ってね」っていう約束を守れなかったのを気にしていたらしい。思いっきり原因俺でした。ごめんよフェイト……確かにリスティに似たHGSの力を持ってるから守ってもらおうとしたけど、いくらなんでも「約束したのに守ってくれなかった!」って恨むほど愚かではないつもりだよ。

そんな事を言い聞かせたら納得してくれたみたいで、この件については無事お悩み解決したと言っていいだろう。これでもう大丈夫かと思ったんだが、フェイトにはもう1つお悩みがあるらしかった。

 

「リンディさんに家族にならない?って言われたんだけど、私には(プレシア)母さんがいて…捨てられたかもしれないけど、やっぱりまだ踏み出せないんだ…」

 

家族になろう(クロノの嫁に)…ねぇ。俺の正直な意見としては(小学生で婚約なんて)早すぎると思う。勿論有り得ないとかいう話ではないし、みんな意見はそれぞれ違うかもしれないけど、フェイトがそれで幸せになれるのか次第としか言えないねぇ」

 

「…そっか」

 

「これでもフェイトの事情はわかってるつもりだよ。母親(製作者)がどんな人だったのかまでは知らないけどさ、フェイトが今こうやって一人の人間として生きていられるっていうのが答えじゃないのかな」

 

さすがにここは慎重に言葉を選んでフェイトに言い聞かせていく。間違っても『大事にされてたはず』とか言えない。HGSのクローンっていうのは戦争の道具として生み出されてるし、クローン同士で殺し合いだってさせられてるだけに否定されるのは目に見えてるからだ。それにフェイトが製作者を慕っているっぽいのは刷り込みみたいなもんだろうし、ここで俺が製作者の悪口を言っても逆効果だろう。

 

だからこそ俺が言えるのは『フェイトは捨てられたかもしれないけど廃棄されるほどじゃなかったわけだから、つまりそれは好きに生きてもいいって事なんだよ』って事だけだ。決してハーレム要員になることが新しい生活じゃないんだよ?

 

「ねぇフェイト。もう君は言われるがままの人形(道具)じゃない。自分の気持ちを言葉で、態度で伝えることができるだろう?拙い言葉でも構わない、フェイトが思っていること(ハーレムなんて嫌だってこと)を伝えてごらん?」

 

「わたしが……思っていること……」

 

何を難しく考えてるのかわからんがフェイトの中では何かを考えているようだ。フェイトが一人で寂しいと思うのなら俺の家とか高町家とかに住めばいいだけじゃね?と思うのは安易すぎるんだろうか?高町家なんて本来ならばフィアッセと晶とレンが住んでたんだから、今の4人暮らしなんて逆に寂しい気がするんだよなぁ…俺視点だと。

 

「答えを急がなくてもいいよ。なんなら俺の家とかなのちゃん家でしばらくのんびりしながら考えてみるのもいいんじゃない?今なら特典として『なのちゃんの可愛い寝顔』写真が付いてくるよ!!」

 

「どうしてみっくんがそんなの持ってるの!?」

 

「ふへへ…なのちゃんが家に泊まりに来た時に携帯で撮っておいたのさ!あ、安心してね?ちゃんとアングルとか色々考えて、なのちゃんめっちゃ可愛く写ってるからね?あと高町家のみんなにも送ってあるから」

 

「ふぇぇ…」

 

フェイトを説得するための特典を提示したというのに、なのちゃんから疑問の声が上がってしまった。一応寝てるなのちゃんに「写真撮るからね」って声かけてあるから無断ではないよ?なのちゃんは確認のために自分の家族を見回しているが、そこにあるのは微笑みながら頷く高町家の姿…そりゃあ可愛いなのちゃんの寝顔写真なんだから共有するよね。仕方ないよね。

 

おっと、今はなのちゃんを可愛がるのは程々にしてフェイトのほうに集中せねば。

 

「フェイト、そんなわけだからさ、とりあえず家においで?」

 

「でも……」

 

「遠慮することないよ?俺もなのちゃんもフェイトと一緒にいたいもん。それに俺たちまだまだ子供なんだし、甘えるだけ甘えちゃえばいいんだって」

 

「それは私も一緒だけど、ほんとにいいのかな……?」

 

どうやらフェイトもこっち寄りに揺れてきているようだ。そりゃ今まで自分と同じクローンは近くにいても、結局殺し合いさせられるから甘えるとかもわからないよな。ちなみに俺のこの勝手な提案について、俺の母さんも高町家の面々も特に否定はなかった。むしろウェルカムな方向で各々がフェイトに声をかけていたくらいだ。

最終的にはかなり傾いてくれたみたいだが、それでも「一応リンディさんにもきちんと話して相談してみる」という結論になった。流石にリンディといえど現段階で無茶な事はしないだろうと思う。俺の予想が正しければ10年後くらいを目処にハーレム完成を考えているはずだから……

 

 

ひとまずフェイトを説得し終わった後『俺に会いたい』という子がいると聞かされ、その名を聞いた俺はここが正念場だと気合を入れた。何せこの子を説得できれば流れがかなり変わるはずだから…

 

 

その子の名前は、八神はやて……

 

 

そう、童話が大好きで月村すずかと共に議論を交わした車椅子の女の子だ。

 

 

 

 

 

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