ウマ娘-日本マぱか話-   作:凍傷(ぜろくろ)

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ウマ娘と日本男児のお話。お馬さんぱかぱか。
ウマ娘フォント搭載おめでたう。
つまりウマ娘とは本来、“馬娘-プリティーダービー-”というのか

アニメとかアプリとかごっちゃにした方が書く方は書きやすい。
そして書いた先で自分でも設定がごっちゃになってどっかしらで失敗する。
そういう風に出来ている。レースに絶対はない。執筆に絶対なぞ有り得ない。それでいいのだ。




短編のいち

00/プリティーじゃなければウマ娘ではないのか……!?

 

 

 ──────“ウマ娘”。

 

 彼女たちは、走るために生まれてきた。

 

 ときに数奇で、ときに輝かしい歴史を持つ別世界の名前と共に生まれ、その魂を受け継いで走る───それが、彼女たちの運命。

 

 この世界に生きるウマ娘の未来のレース結果は、まだ誰にもわからない。

 

 彼女たちは走り続ける。

 

 瞳の先にあるゴールだけを目指して───

 

 

 

「っつーわけだから、ゴールだけ目指したわけだよ。な? ゴルシちゃん悪くないだろ?」

「コースはちゃんと走ろうな!? なにがゴルシワープだよ開始直後に堂々と柵越えて中心横断しやがって! 俺もうレースの時間中恥ずかしくてしょうがなかったわ! インタビューで“ゴールドシップが勝ちます……! 絶対に……!”とか決め顔で言ったあの頃の俺の信頼返せよぅ!」

「なーんーだーよー、いーじゃんかよー、公式が“ゴールだけ目指せ”って言ってんだからさー」

「公式言うなやめろよおい!」

 

 

 

 

01/ウマ娘たちのキャラストーリーにはこんなメッセージがきっと隠されている

 

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園。

 そこはウマ娘の育成を基とした学園であり、この学園の門を潜る者は他の人間らと同じく小学校での生活を修め、家を出て寮に入る。

 中等部から始まる生活はウマ娘として“走るための基礎”を学ぶことばかりであり、トレーナーが付くまではその方法の明確化は為されず、皆が皆、学園に通っているというのに何故か効率のいいトレーニングが出来ないでいる。しかしトレーナーが付くと効率のいいトレーニングを指導され、めきめきと実力をつけていく。

 狭き門らしいんだからちゃんと教えてあげなさいよ学園……トレーナー付くまでろくなトレーニングが出来てないってお前……入学金とか返したりなさい。

 

「これだけフリーなウマ娘が居て、誰一人自身に合ったトレーニングが出来てないって、ある意味すごいよな」

「なんだなんだーサブトレーナー? なんだよおい、ウマ娘ってのはトレーナーが決まるまではパワーセーブの呪いが架せられてるって事実を知らねーのか?」

「マジで!?」

「トレーナーが決まらなきゃレースが出来ないのもそれの所為だからな」

「ためになるな……」

「納得出来たところで、情報料はいつも通りスミスのアレに振り込んどいてくれ」

「誰だよスミス。スイスじゃねぇのかよ」

「ドッキリのためにスイスに口座作ろうと思ったんだけど、マックイーンのヤツが邪魔すんだよー……」

「どの方向に全力で生きてるんだよお前……」

 

 

 

 

02/知ると運命(運勢)変わるかも(P&G:クリスタル風味)

 

「……? あれ? こんなの、前まであったっけ……」

 

 ポッ。

 

「ひゃあっ!? 光った……!?」

「「フクキタルゥー……ッ!」」

「ふええっ!?」

「「フ・ク・キ・タルゥウウーッ……!」」

「えっ? えっ!? な、なに? なんなんですか……っ?」

 

 先日、マチカネフクキタルに占い小屋の宣伝をお願いされた。

 ……ので、ちょろっとメジロマックイーンに相談をした……のをゴールドシップに聞かれていた。

 翌日来てみればこれである。

 

「「フクキタルー(フクキタルー)フクキタルゥー!」」

「「フクキタルー(フクキタルー)フクキタルゥー!」」

「ふ、ふくきたる? マチカネフクキタルさん? え、え? あ、あの、ライスひぃいっ!? スピカさんだーーーっ!!」

 

 何故かチーム・スピカの面々が揃い、声を合わせてえーと……これ輪唱っていうのか? 言えるのか?

 ともかく昔どっかで聞いたような歌? を披露していた。

 ご丁寧に学園内のロビーにて、購買前の自販機のスイッチの中に“F”と書かれたスイッチを仕込んで。間違えて、むしろ気になってそのスイッチに触れると、隠れ潜んでいたスピカメンバーが聖歌隊みたいな服を着てゾロゾロと出てきて……押してしまった者を囲み、フクキタル。

 

「「フクキタルゥー!!(フクキタルゥー!?)」」

「「フクキタルゥー!!(フクキタルゥー!?)」」

「あ、あの、あのあのっ……! ラ、ライス、ライスは───」

 

 現在は、押してしまったライスシャワーが囲まれてフクキタル。

 ……あれで福が来てるなら、ライスシャワーは涙目になって怯えてないと思うなぁ……。

 ちなみに。……逃げた場合は追いかけまくってフクキタル。

 

「「「「フクキタルッタルッタルゥウウウウウーッ!!」」」」

「みゅぅうううううううううっ!?」

「フクキタル!?(訳:あっ!? 逃げた!)」

 

 キャパオーバーになって涙目をぐるぐるにしながら逃げだしたライスシャワー……だったのだが、まあ言った通り追いかける追いかける。それが強制併走訓練になるってんで、沖野Tも見逃している始末。

 

「フクキタル!!(訳:どうしますか追いかけますか!?)」

「フクキタル!!(訳:ううんボクが行く! スペちゃんはあとからみんなで!)」

「フクキタル!!(訳:分かりましたテイオーさん!)」

「フークーキー……タルッ!!(訳:トウカイテイオー、いっちゃうよー!?)」

「みゅううっ!? あ、やっ、ひやーーーっ!! へぴゅっ……!」

「フクキタルー!!(訳:よーぅしぃっ! ライス確保ー!!)」

「フクキッタルッ!(訳:うっしゃあナイスタックルテイオー!!)」

「フクキタルー!!(訳:それじゃあみなさん最初から! はいっ!)」

 

 タックルは腰から下。でも危ないので胴にドッゴォとタックルをキメたテイオーによるライスシャワーの逃走阻止。倒れたライスシャワーへ、ぞろぞろと近寄るスピカさんら。

 ……こんなことばっかしてるから、ライスシャワーに“スピカさんだー!”って恐れられてるって……どうして分からないかなぁ……。

 

「「フクキタルゥー……ッ!」」

「「フ・ク・キ・タルゥウウーッ……!」」

「「フクキタルー(フクキタルー)フクキタルゥー!」」

「「フクキタルー(フクキタルー)フクキタルゥー!」」

「「フクキタルゥー!!(フクキタルゥー!?)」」

「「フクキタルゥー!!(フクキタルゥー!?)」」

「「「「フクキタルッタルッタルゥウウウウウーッ!!」」」」

「「フクキタルー(フクキタルー)」」

「「フクキタルフクキタルフクキタルフクキタルフクキタルッ!!」

「「フクキッタルッ!!」」

「やっ、やっ……やー! ごめんなさいごめんなさい押しちゃってごめんなさいぃっ!!」

 

 顔同士がもう少しでくっつきそうなくらいの距離でフクキタル。

 しかも全員真面目で全力フクキタルだからやかましいことこの上ないだろう。

 

「おーい、そのへんに───」

「やぁあああああああっ!! たすけてお姉さまっ……お姉さまー!!」

 

 そしてライスシャワーには全力で嫌がられている。うん、ほんとごめん。

 ていうか……え? お姉さま誰? あ、ライスシャワーのトレーナーさんかな? いい人だよなーあの人。おハナさんとはまた違ったタイプのウマ娘思いの人だ。……そしてそんな人がこんな状況を見たらなんと言うだろうか。……あ、やばい、早く止めなきゃ。

 

「事情はどうあれ助けを求められれば、トレーナー違いといえど裁きを申し渡す。おまんら……ゆるさんぜよ」

「フクキタル?(訳:あっ、サブトレーナー? ねーねーサブトレーナーも一緒に……)」

「はいぽちっと…………あ、ああおハナさんですか? どうもです。ちょっと今スピカの面々がライスシャワーを襲ってまた奇怪な行動を……ええ、ええ、はい」

「「「「「「フクキタルゥウウーッ!?(東条トレーナー!?)」」」」」」

「えーとあとは……もしもしー……あ、沖野トレーナーですか? ちょっと学園の購買前まで来てくれません? 飲み物余ったんで奢りますよ。ええ、はい、今です。あ、近くに居ますか、ええ、是非全速力で。……ふう。さぁて、お前らー?」

「おっと電波受信したんでゴルシちゃんはこれで───」

「テイオー、逃がすな。数が多い方が減刑出来ると思う」

「逃がすもんかぁーっ!!」

「おぼぉっふ!?」

 

 激突まがいのタックルが、黄金舟の腰を襲う!

 

「ちょっとゴールドシップどういうこと!? サブトレーナーが面白いこと企画したーっていうからボク手伝ったんだよ!?」

「ある日電波のヤツが言ったんだ……お前はやれば出来る子だって。だったらやらなきゃ……嘘だろ?」

「なにちょっとイイ声で語ってんのさ! ボクたちこれ完全にとばっちりじゃん!!」

「ぁああ……こんなに怯えてしまって……! ごめんなさいライスさん、ゴールドシップさんはこちらで始末もとい処理しておきますわ」

「え? それ意味あんま変わんなくね?」

「スカーレットさんとウオッカさんが、最近トモの張りに悩んでいるそうなので。是非もう一度ゴールドシップさんにあのトレーニングの協力をお願いしたい、とのことですわ」

「だからあれアタシ要らねーだろ!! あんなもん最初の通り柵をおいてだな───って聞けよ!」

「さ、スカーレットさん、ウオッカさん、スペシャルウィークさん。やっておしまいなさいな」

「はいっ!」 マックイーンさん!」

「お、おいやめろ……! それより今はリギルのトレーナーから逃げることがだな……!!」

「───そう。なら当てが外れたわね」

「ア。オワタ」

 

 カツン、と一際大きな靴の音。

 サブタイ:振り向けばそこに。

 チームリギルのトレーナー、東条ハナその人が、眼鏡のフレームをクォィイと動かし……そこに居た。

 

「あ、ボクはこれからトレーニングがあるからサブトレーナーと一緒に───」

「今日は休め」

「やだー!! ボクゴールドシップに騙されただけなんだってばー!」

「では連帯責任という言葉を使わせてもらわね。……っと、責任者も来たところで───」

「あれ? おハナさんじゃないか。おハナさんも飲み物奢られに来た勢か? あ、っとと……───おいおいおいぃいっ、それで? どんな飲み物くれるんだ? 俺に奨めるってことはアルコールがあったりとかありまくったりなアレとかだろうな……?」

「ええ、奢りますよ。ただし───」

 

 ちらりと二階を見上げる。と、丁度その様子を苦笑気味に眺めていたルドルフと目が合う。

 はい、ここで一言。と促すようにゼスチャーをすると、きょとんとした顔をしたのちに言った。

 

「……ああ、ふふっ、なるほど。“一杯食わされた”、というわけか」

 

 彼女からこぼれる微笑みとともに、お話はオチたのでした。

 ……言うまでもないけど、スピカのメンバー(特にゴールドシップ)は呆れと怒りのおハナさんのもと、沖野Tもろともものすっごいお叱りを受けた。

 途中で呼ばれたマチカネフクキタル氏は何故自分がお叱りを受けるのかがまるで分らなかったご様子。

 すまない、ゴールドシップっていう歩く自然災害の所為なんだ。

 あ、お詫びと言ってはなんだけど、ライスシャワーには屋台のたい焼きを10個おごった。

 美味しそうにたい焼きをハムハムするライスシャワーはとても可愛かったです。はい。

 ……まあのちに、勝手にたい焼きを10個も食わせたことで、ライスシャワーのトレーナーに怒られたが。食事制限中だったらしい。まあ……10個はヤバいよなぁ。

 

 

 

 

03/貴族のグルメ

 

 知っての通り、トレセン学園の購買には熱々の肉まんが売られている。

 冷却モードふーふーは有名ですね。

 さて、そんな購買にて、期間限定カップスイーツに目を奪われている一人のマックイーンさんが……おがったとしぇ。

 

「限定スイーツ……何故購買という特殊な販売店に、このようなものが……」

 

 見るからに美味しそうな盛り付け。少量だというのに何故か馬鹿高いお値段。

 買えないことはない。けれど、自分を律している現在、手を出せば確実に……肥ゆる。

 嗚呼しかしスイーツ。もはや一週間も我慢しているスイーツ。しかも限定。

 一日くらい……一週間耐えたのだから、今日くらいいいのではないでしょうか。彼女の中で悪魔が囁く。

 

『おっすオラデービルシップ! ほらほら我慢はよくないぜー? いっちょぱくっといっちまいなよYOU!』

 

 しかしそれに対抗すべく、今まで耐えるためにともに戦ってきた心強い戦友、囁きの天使が……!

 

『……行っちまえ、マックイーン。気にすんな、チートデイって言葉がある。あ、ちなみにこっちはエンジェルシップ様でゴルシ。……あん? ちっとも対抗してない? してるだろ? 応援の仕方がダンチだろー? ほれほれー、食え、食っちまえってー。何があってもチートデイって言葉で片付くんだからさー』

 

 ……チートデイ……なんと素晴らしい響きッッ……!!

 天使は間違いなく天使であった。彼女は限定スイーツをソッと両手でやさしく包み、やさしい笑顔のまま会計へ向かった。

 ……ちなみに。

 チートデイというものはダイエット戦士にとっては救世レベルのステキネームではあるが、停滞期にもなっていない甘えダイエッターがそれに手を出すと、ただの欲望を引きずり出すための、文字通り甘い罠にしかならないことをここに記す。

 

「……ねぇマックイーン。最近スイーツ食べすぎじゃない? 大丈夫?」

「あらテイオー。……ふふっ、ご存知ありませんの? チートデイ、というものですわ」

「や、知ってるけどさー。それ、確か思うように体重が減らなくなってきた人が、飢餓状態になった体を誤魔化すために取る行動じゃなかったっけ? マックイーン、もう連日じゃん」

「こふっ……! ……も、問題ありませんわ。主治医の許可も得ています。ええ、なんの問題もありませんわよ。ね、主治医?」

「主治医です」

「なんで主治医さんここに居るの!? え!? ここ学園だよ!?」

「それは私がメジロ家の主治医だからです」

「ワケわかんないよー!!」

「彼にはわたくしが食べすぎてしまわないよう、目を付けてもらっています。ですからなんの心配も───」

「お嬢様、その辺りで。それ以上は摂取量をオーバーしてしまいます」

「ッ…………! ……しゅ、主治医? あの……最後の楽しみに取っておいた、キャロットチョコが……」

「駄目です」

「こっ……このスイーツの名は“キャロットチョコ入りクリームパルフェ”ですのよ!? 主役を食べずして食事を終えろと!? 我慢しろと言う気なの!? 何故っ……何故そのような悪魔的所業を!」

「それは私が主治医だからです」

「……ッッ……!」

「ふーん? ふっふーん? じゃーあー、マックイーンゥ~、それ、ボクが食べたげよっかー♪」

「なっ……!! あげません……あげませんわ! 誰かにあげるくらいならわたくしが───」

「なりません」

「主治医!? ……主治医、これを口にしたのち、思い切り運動します。なので───」

「駄目です」

「ほらほらだめだってさー? だからほらー、もうボクに渡しちゃいなってばー」

「いやですっ! あげませんっ!!」

「あー、そーいうこと言うんだー。ボクが骨折した時、他のみんなはお見舞いくれたのにマックイーンは走ってばっかでー? ボクはちゃーんと木刀とスイーツ持っていったのに、マックイーンは無茶して走ってたのにさー?」

「ンッグ……!! そ、それを今出すのはあまりにもっ……!!」

「だからさー、ほらほらー、ほーらー。ボクにそれ渡して楽になっちゃいなってばー」

「時にテイオー様。有馬記念ののち、足をふらつかせておりましたが、調子の程は───」

「アッボク急用思イ出シチャッ……なんでお注射持ってるの!?」

「それは私がメジロ家の主治医だからです」

「だからそれお注射持ってる理由にならないしなんならボクに近づいてくる理由もギャーァアアア!! ななななんで刺そうとしてんのさー!」

「主治医だからです」

「知ってるよゥー! でも関係ないよね!?」

「……マックイーンお嬢様」

「んっがっごっご!?」

「……今口に入れたものをお出しください」

「…………なんのことでほう。口にものなど入れておりまへんが?」

「マックイーン。口、おーきく開けて舌、どかしてみて」

「………」

「………」

「………」

 

 ピキュゥン!

 

「時は来ました……参りまふ!」

「あっ! 逃げた! ちょっとマックイーンー!!」

「ふふっ……わたくひ、こう見えへも……先行ほどではなくほも逃げの才も───ありまひへよ!!」

「……!! なんて綺麗な走り……! あの時みたいだ……! ……でも、今のボクなら!!」

「テイオー様におかれましては、急に走るのはいささか───」

「ギャー!! だからお注射持って近づかないでってばー!!」

 

 ───二人は駆けた。ひとつの目的を胸に、必死で。

 そしてこの後、エアグルーヴに見つかって盛大に怒られた。

 

 

 

 

04/オッペ~ラーオ~♪

 

 それはある日のことだった。当たり前だ。

 

「はちみーはちみーはっちっみぃーをなぁ~めるとォ~ッ♪」

 

 音程を変えて、ラデツキー行進曲調で歌うテイオーがひょいと訪れたところから、めんど……もといお話は始まった。

 

「それでですね、さっきそこで出会った……えーと、名前なんでしたっけ……」

「あ、スペちゃん。どしたの?」

「あ、テイオーさん。今サブトレーナーさんにさっき出会った人の名前を聞こうとしてたんですけど、どう特徴を言っていいものかと……」

「ふーん……? どんな人だったの? たとえばほら、前髪が三日月みたいに綺麗にシュッとしてて、その周りの髪は黒いのに後ろ髪は茶色でー、緑を基本とした勝負服はその在り方を───」

「それシンボリルドルフさんじゃないですか!」

「あっはははは、まーねー♪」

 

 どうでもいいんだが、呼び止められてまで名前を訊きたいと思う相手だったのだろうか。

 シンボリルドルフは一度覚えた名前は忘れないっていうけど。

 

「それで、特徴は?」

「えっと、こう、ちょっと、ていうかかなり明るめな人で……」

「ふんふん……?」

「髪の毛はちょっぴり短めです。肩に届くかなーってくらいで」

「なるほどなるほどー?」

「で、はーっはっはっはっはとか笑うんです」

「あ、ボクわかった」

「ホントですか!?」

「うん。えっとね、オペラバクシンオーだよ!」

「オペラバクシンオーさん……!!」

「おーい。混ざってる。混ざってるぞー」

 

 でも後日二人に出会ったら、確かに二人とも明るく、髪が短めで、はーっはっはっはと笑っていた。

 後日、スペに「お二人の特徴を誰かに伝える場合、どうしたら分かりやすいですかね」と訊ねられたので、オペラっぽいのかバクシンしてるかで決めなさいと言っておいた。

 

 

 

 

05/春だからな……

 

 春。それは───

 

「まったく、テイオーにも困ったもんだ……」

「でも、最初の頃に比べると随分と変わった気がしますよ? 一応私の方が年上ですけど、テイオーさん、たまにすっごく大人っぽい顔つきになるんです」

「…………まあ、わかるんだけどな、それも。やっぱり辛い経験って、良くも悪くも人を成長させるもんだよな……っと?」

「ウララー! ウララー! ウーララー!!」

「おっ、今日も元気だなハルウララ。ライブのための発声練習か?」

「ううん? 違うんだよトレーナー! こうすると、サンシャインが砂になるんだって!」

「誰だー! ハルウララにアパッチの雄叫び教えたやつはぁああっ!!」

「トレーナーさん! ゴールドシップさんが窓から飛び逃げました!」

「ここ三階なんだが!? ってやっぱりお前かゴルシィイイイイッ!! ~……悪いスペ! 追ってくれ!」

「えっ、は、はい! ……えっ!? 飛び降りるんですか!?」

「そうじゃなくてだな!」

「あっはっはっはっは! あばよぉ~っ!? とっつぁ~ん!!」

「あっ、こら待てゴルシッ……ていうかどこでどう方向転換して着地してんだお前!」

「そりゃお前ー! 飛び降りるなら翔り蟲くらい使えねーでなにがゴールドシップ様だよー!」

「普通使えんわ! 何処のゴールドシップ様だよおまえはー!」

「あっ、サブトレーナーさんあそこです! フック付きロープが!」

「……なぁスペ。ゴルシのああいうその……ロープとか? を買う金ってどっから来てるんだろうな……」

「…………ええっと」

 

 ……誰も彼もが、どこか頭のネジを外し、ハメをも外す季節である。

 

 

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