「立ち話もアレだしな。入ってくれよ。そんで、ようこそ久遠寺法律事務所へ」
五条悟そっくり…ただし身長175cm程の五条始弁護士に連れられてビルの中に入っていく。このビルは久遠寺財閥という、日本やヨーロッパで活躍している財閥が保有するビルのようだ。
ビルに入り、エレベーターに乗って目的の階に向かう。此処には久遠寺法律事務所の他にも様々な企業が入っており、その全てが久遠寺財閥に関する企業ばかりだ。
「久遠寺って何ですか?」
「財閥。日本じゃ三咲をメインに活躍してて、東京は少数かな?主な活動拠点はヨーロッパだからね」
エレベーターが目的の階に到着するまでの間、久遠寺財閥の事を知らない一誠が始に問う。日本では悪魔の企業や悪魔と友好関係を結んだ企業が多く、久遠寺財閥のような人間がメインの財閥は少ないのだ。
「因みにエンマ先生の嫁さんのお父さんが代表。このテナントも安く貸してくれたんだ、俺の育てお爺ちゃんでもあるしな」
「あの人、財閥の婿だったの!?」
なんと言う事でしょう。エンマの嫁さんは財閥のお嬢様であり、物凄い一家だったのだ。
やがて、目的の階に到着したのか、一誠と始は久遠寺法律事務所に到着した。オフィスビルのとある階層をまるごと事務所にした贅沢な仕様であり、床にはゴミが1つも落ちていない。
「こっちこっち、応接間で話をしよう」
久遠寺法律事務所に着くなり、始の案内で一誠は応接間に通された。応接間でも広く、ワンルームマンションの1部屋よりも大きく、フカフカのソファー、机、テレビと様々な物が揃っている。壁際にはコーヒーメーカーも有り、好きなコーヒーを作ることも可能なのだ。
「あの…五条せ…じゃなくて五条さんは」
「五条先生で良いよ。弁護士も先生だしね」
そう、弁護士も一般的には先生と呼ばれる。一誠個人としては呪術廻戦のお陰で、始の事をついついと五条先生と呼んでしまう為か、先生呼びの方が馴染みやすかった。
「ソファーに座ってて。コーヒー準備するよ」
始に言われ、ソファーに座る一誠。一誠はソファーに座り、始がコーヒーを淹れてくれるまで暇なのか応接間を見回す。
応接間は多くの依頼主と話すことが有るためか、写真など始のプライベートに関わる情報は伺えない。まあ、当然だろう。日頃からテレビに出る芸能人や自分を晒しては大金を稼ぐYouTuberと異なり、売れっ子とは言え弁護士個人個人は有名ではない。
「五条先生って幾つですか?」
一誠が始に聞いた。五条始は外見は物凄く若く、更にエンマが経営する孤児院の出だとすると最低でもエンマとは親子ほどの歳の差が有る筈だ。それに始は高校3年生の時には既に、弁護士に成るために必要な司法試験に合格した…いくら優秀でもそんなに若く弁護士に成れるのかと純粋な疑問の為だ。
「俺かい?じゃあ、逆に聞くけど君は?」
コーヒーを淹れ終えた始は一誠に質問で返し、一誠に紙コップに入ったコーヒーを手渡す。一誠がブラックコーヒーを飲めないと思ったのか、一誠のコーヒーはミルクと砂糖が入った物だった。
一誠に質問した始は一誠と向かい合うようにソファーに座る。しかし…そのコーヒーは呪術廻戦の五条悟と違ってブラックコーヒーだった。どうやら五条始は五条悟と違って、多少は甘くなくても問題ないのだろう。
「ブラックコーヒー!?」
「ちょっとは砂糖入れてるよ。ブラックコーヒーにほんの少しの砂糖、これが美味しいんだ」
訂正、どうやら少しは砂糖を入れているようだ。
「俺は今高2の16歳ですね」
「16か…若いね。俺の4つ年下か…俺は今、二十歳。同期の友達は今、大学ライフを満喫してるよ」
始は未だ20歳の若者。昨年、成人式を迎えて大人の仲間入りを果たしたばかりの青年だ。それなのに高校三年生で司法試験に合格し、今では東京の一等地に弁護士事務所を構えるのだからどれほど優秀なのか分かるだろう。なにせ、法科大学院を行かず予備試験を受けて司法試験に合格するのは僅か4%、世界でもトップクラスに難関を制したのだから。
「えっ!?そんなに若くからでも、弁護士って成れるんですか!?」
「成れるよ。司法試験は受験資格は無いからね」
コーヒーを1口飲み、教えてくれた。世間では法律系の大学を出ないと成れないと思われている弁護士。しかし、実際の所はそうではないのだ。弁護士への門は幅広く開かれており、誰でも学歴関係無くチャンスが有るそうだ。
弁護士に成るための司法試験。それは大きく分けて2つに区分される。先ず1つ、受験資格関係無く受けられる予備試験と呼ばれるもの。これは学歴関係無く受けられ、多くの者はこの予備試験を突破して司法試験に挑むことに成るのだ。予備試験は法科大学院を卒業していない者でも、司法試験に受けられる実力が有るのかを見る試験であり、法科大学院を卒業した者はこの予備試験をパスしても構わない。
「予備試験って物を突破して司法試験に合格したら直ぐに弁護士に成れるんですか?」
「司法試験に合格しても直ぐには弁護士に成れないよ。あくまでもプロ免許を取得して、スタート地点に立っただけさ」
司法試験は便利なプロ免許、それも文系最強の資格らしい。弁護士は勿論のこと、裁判官、税理士、兎に角色々成れる便利なプロ免許だ。
だが、直ぐには弁護士に成れない。司法試験に合格し、プロ免許を得れば1~2年程の司法研修を行って経験を積みようやく弁護士に成れるのだ。
「未だ弁護士としてのキャリアは1年有るか無いかって所かな。遺産相続、離婚、刑事裁判、民事裁判は何度か有るけどね。所で兵藤一誠だったね、君はエンマ先生から何処まで裏側の事を聞かされてる?」
「俺ですか?一先ず…」
一誠はエンマから一先ず教わっている事を話し出した。この世には神話が実在しており、堕天使が危険な神器を宿した人間を殺したりしていること、日本政府が悪魔にペコペコと頭を下げまくり悪魔政府が日本の多くを領地として保有していること、位だ。
「悪魔について知ってるのは日本を領地にして、政治家と仲が良いこと位?」
「成るほどね…」
一誠はそこまで裏側の事情に詳しくない。堕天使に関しても、軽めに自分の現在の状況を把握するためにエンマから教わった事だけだ。
「それじゃあ…五条先生から悪魔と日本の退魔機関に関して教えてあげるよ。でもさ、俺は悪魔も日本の退魔機関も大っ嫌いなんだよね~」
大っ嫌いなんだよね。この言葉から想像できる事は、五条始という男は日本の退魔機関も日本の実質的な支配者である悪魔の事が嫌いなのだろう。
「えっ!?大っ嫌いなんですか!?」
「うん。約束は先ず守らない。日本人を奴隷に変え、我が物顔で闊歩する。そんな悪魔から国民を守らないといけない筈の退魔機関は悪魔と癒着の関係にあって国民を守らない。じゃあ、先ずは悪魔から説明しようか」
始は指を立てて、悪魔から説明し出した。
「悪魔は堕天使と同じく三大勢力の一角。墜ちた神々の末裔であり、堕天使や天使と同じく通常兵器は一切意味がない。寿命も永久にあり、日本の経済に大きな影響を与えている。
悪魔は生粋の貴族社会でね。奴隷制度が認められているんだ。まあ、これに関しては人間も人の事は言えないね、人間だって歴史を見れば奴隷を保有していた」
「奴隷?」
悪魔は生粋の貴族社会。かつて、人間も奴隷を保有していたが、悪魔もかつての人間と同じく奴隷制度を保有しているのだ。
「そっ、奴隷。残念な現実だけどね。奴隷の事は一旦置いておこうか、先ずは悪魔社会の事を教えるよ。
悪魔は生粋の貴族社会って言ったけど、貴族出身の悪魔は平民の悪魔と違って実力が全然違う。産まれ持っての素質も財力も明らかに違うんだ。貴族の悪魔は産まれた時から上級悪魔の称号を持っていてね、普通に成長すれば山さえも簡単に消し飛ばす。でも、平民の悪魔はどんなに頑張っても山は消し飛ばせない。それほどに産まれた段階から素質で大きく差が有るんだよ」
悪魔は産まれた時から大きく素質が異なる。勿論、例外という物が存在するのだが、多くの貴族悪魔は産まれた段階から優れた素質を持っているのに対し、平民は貴族悪魔と比べると数千分の1と言える可愛そうな素質しか無いのだ。とは言え、平民の子供と言えど当然ながら並みの人間よりは強い。
「貴族は主に例外も有るけど、ソロモン七十二柱の末裔達だね。とは言え、その幾つかは途絶えて滅んでる家系も有るけど。因みにソロモン七十二柱の内の四柱はエンマ先生がぶちギレて滅ぼした」
なんと言う事でしょう。悪魔の貴族の内、4つの家系をエンマは滅ぼしてしまったのだ。それも単独で。
「えっ!?」
「あの人、本気でキレたら誰の手にも負えないほど強いからね。因みに、悪魔の貴族は成り上がりで成った家系も有るんだ」
悪魔の貴族には成り上がりで成ることも出来る。やり方は単純、武功や功績を上げて下級悪魔や中級悪魔等の平民層や奴隷層から上級悪魔に昇給すれば良いのだ。
「因みに貴族悪魔の階級には悪魔の駒って物が与えられる」
「悪魔の駒?なんですか、それ」
悪魔の駒。初めて聞いた単語に首を傾げる一誠。そんな悪魔の駒に関して始は説明してくれた。
「悪魔の駒は上級悪魔以上の階級の悪魔が持てるアイテムでね。魔王の1人が開発したチェスの駒で、他の種族を問答無用に悪魔に変えるんだ、しかも死体に使えばあら不思議!!悪魔に成って甦る胸糞アイテムだよ!」
「悪魔になるの!?てか、甦るの!?」
悪魔の駒は魔王アジュカ・ベルゼブブが開発したアイテムだ。効果は駒を持つ上級悪魔が他者に使い、使われた者を眷属として悪魔に転生させるスペシャルアイテムである。
悪魔に転生した者は肉体のスペックも純粋な悪魔と同じになり、頑丈になる。死者に使えばその死者を甦らせる事も出来るのだ。
「因みに悪魔の駒で悪魔に成った人は悪魔社会では転生悪魔、下僕悪魔と呼ばれてね。下僕から分かる通り、悪魔社会での奴隷は彼等さ。
中には奴隷ではなく部下として使う悪魔も居るけどね」
そう、悪魔社会での奴隷とはこの転生悪魔の事である。中には出世し、奴隷の身分から貴族に成り上がった転生悪魔も存在している。しかし、それは主人に恵まれた極一部の存在だけだろう。大半は奴隷として使役し、出世出来ずにその生涯を終えるのだ。
「まあ、この悪魔の駒。何が問題かって言うとね…転生の乱用と強制が多発してるんだよ。悪魔に転生されたら、奴隷だから人権は無いに等しい。奴隷の境遇が嫌だから、命がけで逃げ出しても《はぐれ悪魔》って烙印を押されて賞金首として処理される。
はぐれを出したのは主人の貴族が悪いとしても、その貴族に罪はないと言われてね。その貴族は新しい駒で新しい奴隷をゲットすると言った悪循環が有るんだ。因みに年間、千単位で多くの日本人が悪魔に成ってるよ」
なんと言う事でしょう。逃げ出してもはぐれ悪魔として処理され、主人は新しい下僕をゲットしてはお咎め無し。その上、年間千単位で日本人が転生悪魔に変えられているのだ。
「人間は神器も宿してるし、純粋な悪魔は神器を宿せない。だから神器持ちの人間を悪魔陣営に引き込んで、戦力にするためにも人間の乱獲は毎日のように行われてるよ。まあ、大半の悪魔はコレクション感覚じゃないかな?人間以外にも、妖怪や他の人外も悪魔に出来るからね」
「マジで世界世紀末!!人間に神器以外で補正無いんですか!?」
「無いよ、残念だけど。嫁の後見人である宝石爺さんが言ってたけど、爺さん曰く…人間に補正がかかる人理が肯定された場合は抑止力って補正の手で過去の英雄が守護者として呼ばれて助けてくれるそうだけど、この世界は並行世界と違って人外を肯定してるからね。しょうがない」
そう、この世界は人外を肯定する世界。なので悪魔や堕天使、神々はハツラツとしてるが…残念な事に人間に補正はかからず、エンマや一部の例外(五条始含む)のように与えられたカードをフル活用して乗り越えるしか無いのだ。
「む?嫁さん……もしかして五条先生、結婚してます?」
そして今、始は嫁さんの後見人という言葉を使った。まさかと思い、一誠は確認した。良く見ると始の指には指輪が填められており、間違いなく結婚指輪である。
「うん。4年前に出会って、昨年結婚したよ。因みに嫁さんは吸血鬼を物凄くパワーアップさせた、真祖って呼ばれる人種だね」
なんと言う事でしょう。五条先生は結婚していたのでした。しかも、吸血鬼を物凄くパワーアップさせたと言う真祖と呼ばれる種族である。
「マジっすか!?てか、嫁さん人外!?」
「因みに馴れ初めは4年前、俺が流れ弾で嫁さんを殺しちゃったこと」
「どんな馴れ初めぇぇぇぇえええ!?」
応接間に一誠の叫びが響いた。
「あっ、でも五条先生。さっき、悪魔の駒で蘇生出来るって言ってましたよね?悪魔の駒もエンマさんと同じ様な事が出来るんですか?」
悪魔の駒は死者すら甦らせる。その事をさっき知らされた一誠は始と会ったばかりの事を思い出す。始は悪魔ではないが、エンマの力で蘇生された存在だ。ならば、悪魔の駒もエンマと同じ様な事が出来るのだろう…彼方は悪魔には成るが。
「うーん、まあ条件が揃えばね。だけど、厳密には違う。悪魔の駒は肉体がないと出来ない、一方のエンマ先生は魂さえあれば問答無用に蘇生できる。
死んだ直後の人間の魂が未だ死体にくっついてる時に使えば、悪魔に成るけど完全に蘇生できる。しかし、魂が肉体から離れた時に悪魔の駒を使えば、不思議な事に悪魔の駒が魂の代わりと成って悪魔となった肉体を動かすんだ。まあ、六眼が有るから分かったんだけどね」
「代わり?」
「正確には悪魔の駒が魂の代理を行い、残った脳ミソの記憶を元に自我を作るって事かな?」
始の説明が難しいのか、首を傾げる一誠。
「まあ、分かりやすい例が孤児院に居るから。その時に説明するさ。
ざっくり言えば、魂が完全に去った死体に悪魔の駒を使えば、蘇生ではなく悪魔の駒が死体を動かすって解釈で良いよ。
面白い事にね。魂の無い肉体を悪魔の駒が動かす訳だけど、時間が経つと馴染む為か悪魔の駒が真新しい魂に成ってね…場合によっては魂と成った悪魔の駒が外見を作り替える」
始はコーヒーを飲み干す。
「エンマ先生曰く…呪術廻戦と同じで肉体の形は魂に寄るんだ」
「あっ、真人の説明ですね」
「つまり、悪魔の駒が魂の無い肉体を動かしてる場合に限り、外見が変わる時が有るんだけど。女性から男性に変化する場合がある。有名処で言えば、沖田総司だね…新撰組の」
「沖田総司!?超有名人ですよ!!」
沖田総司。知識に疎い一誠でもその名前は知っている。京都の幕末で活躍した新撰組の一番隊隊長であり、新撰組最強剣士と呼ばれた男だ。
「本当は可愛らしい女の子だよ」
「女の子!?」
なんと言う事でしょう。五条先生曰く、沖田総司は女の子だったのです。
「訳有って沖田総司は魂がプラプラ京都に有って、エンマ先生が蘇生させたけどね。
魂と別れた肉体の方は魔王ルシファーが悪魔に変えてたよ。だけど、悪魔の駒が新しい魂に成って男性に変化してたな」
「魂が肉体に引っ張られて、悪魔に成った肉体だけの沖田総司は男性に変化したって事ですか?」
ビンゴ。始は一誠の言葉に対し、指を指してそう言った。
「つまり、この世には沖田総司が2人存在するんだよね。魂の方の沖田総司、悪魔の駒の影響で男性に変化した沖田総司の肉体だった転生悪魔。この2人ね(まあ、このタイプ…死体が動いた転生悪魔は悪魔政府を裏切れば、醜い怪物に成るけど。これは未だ一誠に教えなくて良いか)」
「悪魔の事は分かりました…あの、日本の退魔機関は?」
悪魔の事は大体は理解できた一誠。悪魔の駒、貴族社会と馴れない所は有るが基本は大丈夫だろう。
「オーケー。それじゃあ…腐ったミカンのバーゲンセールである日本の退魔機関について教えよう」
「何処の呪術廻戦!?」
日本の退魔機関。当然ながら存在するだろうとは裏側に踏み込んでから少しは思っていた一誠。サブカルチャーでたまに聞く、陰陽師や呪術師も日本で活躍する祓魔師…ジャパニーズ・エクソシストと思う一誠。
「説明しようか。日本の退魔機関は家々が管理してるような感じでね、呪術廻戦のようにスカウトされる事は無いよ。
大きめの家業と思ったら良いかな?その中でも影響力を持つのが五大宗家だね」
五大宗家。その単語を聞き、一誠は呪術廻戦に出てきた呪術御三家の事を頭に浮かべる。呪術御三家は大昔から影響力の有る呪術師の家系であり、きっとそれのリアルバージョンだと一誠は期待を寄せるが…
「事前に言うけど、五大宗家って陰陽道とか使うけど。技的には日本と言うより、中国系なんだよね」
「中国!?」
「それについても説明するよ。五大宗家は名前の通り、5つの名家から成っている。トップが百鬼、その下に姫島、櫛橋、真羅、童門の4つ、系5つの家系から出来ている。この5つが退魔機関のトップだ」
百鬼、姫島、櫛橋、真羅、童門。初めて聞く家々の名前に本当に一誠はこの5つが日本を守る退魔機関なのか、疑わしく成ってきた。と言うよりも陰陽師等では普通、安倍や藤原等がそれでは無いのかと思った為だ。
「初めて聞いた名字ばっかですね。姫島と真羅は学校の先輩に居ますけど」
「彼等は日本の神々から加護をもらってるそうだけど、それはない。だって日本の神々は表に出てこれないからね。
彼等は各々、黄龍、朱雀、青龍、白虎、玄武を式神として使役し力を借りてるみたいだけど。彼等ってキトラ古墳とかで有名だけど、中国の四神だから日本関係無いんだよね」
そう、余り知られていない事だが方角を示す朱雀、青龍、白虎、玄武、そして彼等を束ねる黄龍は日本発祥ではない。彼等は中国発祥の四神であり、日本の神話の者では無いのだ。
「そして…まあ、彼等は自分達より強い奴とは争いたく無いんだよね。堕天使とも友好的だし、悪魔とは癒着してる。神器持ち暗殺もスルー、悪魔の眷属狩りや領地管理も見てみぬフリを行う。
だけど神器は絶対に赦さない。身内に出たら絶対に排除し、殺す」
五大宗家は4年前の事件では堕天使と手を結び、同じく事件を解決しようとしたエンマと始達とは手を結ばなかった。この点以外にも自分達の所に神器持ちが産まれてきたら徹底的に排除し、冷遇し、殺すことさえも躊躇わない。この事から彼等は神器を絶対に赦さないのだ。
「なんで…」
「アイツ等曰く。神器を宿したら日本神話を裏切ってるって事らしいよ」
神器は聖書の神が造り出した存在。五大宗家からすれば、神器を宿せば神器を造り出していない日本神話を裏切っているという事に成るのだろう。
「一誠も気を付けた方が良いよ?殺されちゃうよ、マジで」
「マジで!?」
「うん。マジ…それでね一誠。俺は童門の長男だったんだよ」
始からのカミングアウト。それは五条始は元々、五大宗家の長男だったのだ。
「呪力も魔力も歴代1位。赤ん坊の頃はモテモテだったよ…だけど、俺は神滅具ってヤベー神器を宿していた」
「えっ?それじゃあ…」
五大宗家の長男だった始、しかし彼は神器を嫌う五大宗家の童門に産まれながら神器を宿してしまった。つまり…
「俺を産んだ事を責められ、母親は物心着く前に殺された。
俺は神器が明らかに成った1歳頃から食事も与えられず、虐待の日々。1週間マトモに飯も食えない日々が続き、4歳の頃かな?餓死寸前の状態で嬲り物にされて、大阪湾に棄てられました!
その後に運良く、エンマ先生に蘇生されて拾われましたと」
「神器宿しただけでその扱い!?マジで!?マジで!?この国終わりじゃん!!」
この国では神器を宿したら堕天使に命を狙われ、退魔機関は助けてくれない。更には悪魔が眷属に加える為に狙うと言った、デンジャラスな日常だったのだ。
「悪魔でも眷属を家族のように接する人は居るらしいよ?俺の知る限り、課金ソシャゲーでの10連ガチャで最高レアキャラ8枚同時に当てる位の確率かな?勿論、確定ガチャじゃないよキャラと装備ごちゃ混ぜの闇鍋ガチャ」
「ほぼ無いじゃん!!」
そうならない為にはどうすれば良いのか?答えは1つ、理不尽に抗う為に強くなるしか無いのだ。
「人間誰しも呪力はある。古来から呪いは有るからね。想像系ではない神器を宿してるなら、神器を展開すれば魔力も使える」
その結果、一誠は五条先生からも修行を着けて貰える事にした。幸いだったのが、始はエンマから一誠がどのような修行を今まで受けてきたのか教えて貰ってたようで、すんなりと始まった。
「必要最低限の基礎体力はティガレックスから逃げるので備わったみたいだから、俺からは魔力や呪力の基礎を教えるよ」
「待ってました!!五条先生!!」
一誠はこれまで、エンマが召喚したティガレックス等の猛者から命懸けで逃げる事で基礎体力を強制的に成長させる訓練所を受けてきた。しかし、本格的な訓練は未だ受けたことがない。ようやく、神器や呪力に魔力と言ったファンタジーな力を学べるのだ。嬉しくて当然だろう。
すると、始の右手に霧が集まり、霧が去ると…なにやらペンギンのぬいぐるみが握られていた。
「可愛い!!」
「このぬいぐるみはね、俺の育てのマザー…エンマ先生の嫁さんが作った物さ。マザーは人形を用いる魔術師でね、こう言うのが得意なんだ。この人形は一定出力以上の魔力か呪力を流さないと襲ってくるから、魔力の使い方を覚えるにはもってこいさ」
呪術廻戦で見たような訓練を自分が体験するためか、一誠は笑みを浮かべてペンギンを受け取る。
しかし…
『プー!!』
「早速襲ってきた!?」
始の手からペンギンが離れた瞬間、ペンギンの飛び蹴りが一誠の顔面に直撃した。
「ほらほら、神器だして呪力か魔力流さないと」
「呪術廻戦でも襲ってくるまで時間有ったよね!?有ったよね!!」
ぺしぺしとペンギンに叩かれ続ける一誠であった。
次回はエンマとアザゼルのお話(笑)
エンマ「オーケーオーケー、レイナーレ達は返してやるよ。但し、エンマ印シュールストレミング投下とボンビーを付けてやる」
その瞬間、臭いのクラスターが起きる。
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