アジュカ・ベルゼブブ。彼の功績は多岐に渡る。魔王に成って少ししてから、彼は他者を強制的に悪魔に変えることが出来る悪魔の駒を開発。これにより、過去に起きた血で血を洗うような大戦、大戦後に起きた悪魔の革命戦争で加速するように減少した悪魔は三大勢力最強と称されるほどに人口や軍事力、そして奴隷という労働力を手に入れた。
アジュカが居なければ今の悪魔社会処か、世界の構図は有り得なかっただろう。それ程に世界に取っては重要な存在なのだ。
だが、彼が凄いのはそれだけではない。彼は悪魔最強の一角と言える程に強いのだ。その強さは産まれた時から、同じく魔王と呼ばれるサーゼクス・ルシファー以外の悪魔を越えており、魔力量に関しては貴族悪魔の1000倍…前の魔王の100倍程は有るのだ。並外れた潜在能力、そして魔力の質や減少を方程式として自在に操り…攻防一体の無敵の術式 覇軍の方程式を操る彼は正に世界最強の一角だ。
「ぐふ!!」
しかし…世界で全ての神々を含めたトップ10の強さに入るアジュカは一方的に追い詰められていた。
目にも見えぬ程の速度の打撃を受けて、口から吐血するアジュカ・ベルゼブブ。一体、何が起きてるのか全く分からなかった。
(どうなっている!?何がどうなっている!?速いなんてレベルじゃない!!)
アジュカ・ベルゼブブの方程式は相手の魔力さえもコントロールして掌握できる。相手が強化に回した魔力はコントロール出来ないが、相手が攻撃魔術出とき放った魔力や防御障壁として展開した魔力のコントロールを奪い戦場を支配する事が出来る。そんなアジュカの方程式の前では全てが無意味の筈だが、目の前に例外が居たのだった。
「ハァァ!!」
解き放った魔力を方程式で増幅及び増大させ、山岳部一帯を消し飛ばす程の破壊の雨が降り注ぐ。降り注ぐ魔力の雨は一粒で最上級の存在を消し飛ばす事が可能であり、それが何万発も降り注ぐ。その力の前では神さえも生き残るのは不可能だ。
だが……
「それ、さっきも見たよ。全く…あのね、こっちは環境に被害出ないように手加減してたのに此処まで被害広げる?ハハ、悪魔って本当に火力頼りだな」
アジュカ・ベルゼブブと対峙する若造、五条始は何事もなく無傷だった。その上、空中に立っており…自在に翼も使わずに空を飛んでいる。
「親告罪に成るけど…器物損害は勿論のこと、此処までやって良いのかな?」
「戯言を!!(どうなってる!?なんで攻撃が届かないのだ!!)」
空間を操る絶霧の力、無限を操り空間を司る無下限術式の力。この2つを使い、無下限術式が生み出す無限のバリアーと絶霧が生み出す永遠の距離の前では始にあらゆる攻撃は無意味。そんな事は知らず、アジュカ・ベルゼブブは何度も攻撃を繰り出すが届かない。
「じゃあ、軽くネタバラシ。空間を操る、それだけさ。
俺の力は空間を操り…戦闘では収束と発散。それぐらいしか使わないさ。収束は文字通りの吸込とか引力操作ね…でもね、応用次第で」
その刹那、始がアジュカ・ベルゼブブの眼前に現れ…始の拳がアジュカ・ベルゼブブの顔面に衝撃を与えた。
「移動速度、攻撃速度を限界まで引き上げる」
「ガア!?」
そして…始は追撃するようにアジュカ・ベルゼブブの背後に回り込み、アジュカ・ベルゼブブを蹴り飛ばし…地面に激突させた。
「あっ…そうだ。魔王だから固有結界は使えるよな?ちょうど良いや」
「なんなんだ…あの人間は!?どうなっている!!どうして人間風情が…神器を宿してるとは言え、彼処まで強い!?」
地面に激突し、大ダメージを受けたアジュカは何とか立ち上がる。彼の名誉の為に言うが、アジュカ・ベルゼブブはぶっちゃけ弱くない。と言うか、エンマや始以外の日本人と戦えば一方的に殺せる程の強さを持っているのだ。
「こうなったら…固有結界に誘い込み…殺すしかないな。殺した後は…肉体を魔具の材料にしてやろう」
既にアジュカ・ベルゼブブは全身がボロボロだ。内蔵も幾つかは機能しておらず、此処まで一方的に追い詰められたのは長い悪魔人生の中で初めての事だった。だが…そこでアジュカは気付く。五条始がこの場に居ないことを。
「奴は…何処に?」
周囲を見回し、自分を瞬く間に追い込んだ人間を探すアジュカ。
「おーまたー!」
再び始の声が聞こえ、アジュカは声の方を見る。そこには再び現れた始が立っており、始の隣にはアジュカは勿論のこと…三大勢力が戦力強化や抹殺対象として探し求めていた神器を左手に展開した少年が立っていた。
「バカな…赤龍帝だと!?日本…なんで確保してたなら我々に報告しない!!」
「見学の兵藤一誠くんでーす。宜しくね」
「ここどこ!?五条先生、ここどこ!?」
始は知らない事だが、一誠が宿している神器は赤龍帝の籠手。始が宿している絶霧やエンマが宿している魔獣創造と同じく、神滅具にカテゴリーされる神器だ。その神器にはウェールズの守護龍であるウェルシュ・ドラゴンが封印されており、宿り主に絶大な力を与える。
(成る程ね…一誠も俺やエンマ先生、アレンのように神滅具宿しちゃったのか。
俺やアレンと違って、一度死んで時間が経っている訳でも無いから…今は赤龍帝は一誠だけか。どう鍛えようかな?)
アジュカの言葉から一誠の神器を知り、笑みを浮かべる高卒弁護士 五条始。しかし…どうして此処に一誠が居るのだろうか?それは単純、アジュカが蹴り飛ばされてから起き上がるまでの十数秒以内に答えがあるのだ。
十数秒前。アジュカが地面に倒れている間、始はワープして事務所に帰ってきた。事務所では一誠が黙々と、ペンギンに魔力を流しては魔力の使い方を覚える訓練を続けており、最初より上達したのか一誠は安定的に籠手から発する魔力をペンギンに流し込む。
「一誠!出掛けるよ」
「五条先生!?仕事は!?」
突如として帰ってきた始に驚く一誠。
「てか、出掛けるって何処に?」
「術式の極意の1つ。固有結界について、教えてあげよう」
そして時は今に至る。
「今、この子に色々と教えてる最中でね。まあ、君は気にせず戦ってよ」
とアジュカに告げる始。一方のアジュカは別の事を考えていた。
(日本政府がどうして赤龍帝の事を教えないと思ったが、日本政府ではなくこの小僧が日本に内密で保護してるのか。
4年前にも似たような事があったな。まあ、良い。あの赤龍帝は今後の為にも悪魔が手にいれる。だとすれば、あの赤龍帝は殺しても遺体が無くなる程度には壊せんな)
悪魔の駒で転生させる為には肉体は必要。アジュカとしては赤龍帝は何としてでも悪魔陣営に引き込みたい。しかし…その為には一誠の肉体を完全に壊しては成らない。悪魔の駒で悪魔に変えるためには肉体は絶対に必要不可欠なのだから。
(だとすれば…今後の為にもあの赤龍帝は殺せん。あの小僧を殺した後、拉致すれば良いだけだ)
と一先ず方針は決まったアジュカは笑みを浮かべて始に話しかける。
「自ら足手まといを連れてくるか…弾除けか?」
「はは、その必要は無いよ。だってさ、君弱いもん!」
君弱いもん、君弱いもん、君弱いもん、君弱いもん!!
弱い…産まれて初めての事だった。下等種族である筈の人間に、神さえも滅ぼす悪魔の超越者が侮辱されたのだ。その言葉を受けて、空気が、大地が、アジュカの怒りで震える。
(コイツが弱い!?)
そんなアジュカを見て一誠は恐怖で震える。何が弱いだ、何処から見ても化物だった。レイナーレよりも、エンマがノリノリで差し向けて来たティガレックスよりも遥かに上を行く化物。こんなの…絶望しかない。だけど…
「大丈夫…俺から絶対に離れないように」
そんな一誠を安心させるように始はそう言った。
「灰すら遺さん!!魂さえも遺さずに滅ぼしてやる!!固有結界!!」
アジュカが莫大な魔力を用いて何かを発動させる。眩い光がアジュカから広がり、その光に包まれた一誠と始は何処かに誘われた。
「此処って…なんだよ!!」
それは白い世界に無数の数式が漂う…数学ノートとスーパーコンピューターが合わさったような数字の世界であった。
「固有結界。呪術廻戦で言えば領域展開のような物だよ」
一誠の疑問を張らすように始が説明してくれた。
「固有結界とは結界術の一種でね、自分の心情風景を描いた結界の中に自他を閉じ込める必殺技だよ。
消費する魔力や呪力も絶大だけど、その分…メリットが沢山だ。先ず、固有結界は術者の心情故に環境要因で術者のステータス上昇、固有結界特有な初見殺し的な特殊効果が発動してから結界を解除するまで永続的に発動する」
固有結界とは己の心情風景を魔力や呪力として具現化し結界として機能させるものだ。結界故にその心情風景は結界の中でしか具現化出来ないが、結界術なので閉じ込める事にも特化している。
此処は術者の心情風景であるので固有結界が発動すると、術者に有利な効果が沢山発動する。発動した段階で環境要因でのステータス上昇、固有結界が持つ特殊能力が常時発動する事に成るのだ。
「そして…」
数多の数式で強化、様々な防御を貫通する魔力の弾丸が全方位から始と一誠に襲い掛かる。しかし…その魔力弾を始は見えない壁のような物で防いでしまった。
「固有結界の中で術者が発動した魔術、呪術は相手に絶対に当たる。必中だね」
「必中!?」
更に恐ろしい事に術者が固有結界の中で発動した魔術や呪術は絶対に相手に当たるのだ。これには訳がある。固有結界は言わば魔術の中だ。そんな魔術の中に相手を閉じ込めるので必然的に魔術は当たるのだ。
棺を固有結界と考えたら分かりやすいだろう。棺に閉じこめられ、脱出は不可能。そこへマシンガンを撃ち込まれるのだ。避けるのは先ず無理であり、絶対に当たる。
「だけど…対策はある。俺がさっきやったように此方も呪術や力で受ける。
しかし…それは難しい。本来なら固有結界に対して対策を行えば良いんだ。これはオススメしないけど、領域から全力で逃げる…これは先ず無理。じゃあ、どうするのか」
「あれ、なんかデジャヴ」
その時、始が右手の人差し指と中指を交差させた。
「此方も可能なら固有結界を展開する。実力が似てるなら拮抗し、大差が有るなら強い方の固有結界が弱い方の固有結界を塗り潰し制圧する。
固有結界…無量空処…」
始が固有結界を展開させる。その瞬間…始を始点に発動した固有結界が瞬く間にアジュカの固有結界を塗り潰し、結界内は瞬く間に数式ノートやスパコンの世界から宇宙空間を思わせる世界に変化した。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ーーー!!ぎぁぁぁぁあ!!頭が…頭が割れる!!なんなんだ!!この情報量は!?情報が完結しない!!あがぁぁぁあ!!」
突如、アジュカ・ベルゼブブが発狂するように頭を抱えて血涙を流しては悶え苦しむ。
「此処は無下限の内側だ。相手の脳内に、伝達、知覚を無限サイクルで行わせ無限の情報量を相手の脳内にぶちこむ」
固有結界 無量空処。それはざっくり言うと無限の情報量を相手の脳内にぶちこみ、脳をショートさせる恐ろしい初見殺しの必殺技である。
「先生!!俺はなんとも無いけど…」
「一誠には俺が無限バリアー張ったから大丈夫」
と…一誠が無事なのは始のお陰だそうだ。
「さてと…終わらせるか。虚式…」
始が両手を前に出し、収束の力と発散の力が合わさる。そして…始がそれを出そうとした瞬間、突如として始の携帯が鳴り響いた。
携帯が鳴り響き、始は技の発動を中断して懐からスマホを取り出した。
「もしもし?エンマ先生?なに、《アレの完成品》が出来た?今から魔王ベルゼブブ殺す所だけど…へ?分かった分かった、それじゃあそうするよ」
電話の相手はエンマのようで、話をすると始はあろうことか固有結界を解除してしまった。
「五条先生!?」
「大丈夫。ちょっと、魔王ベルゼブブには死ぬより可哀想な目に遭遇してもらうのさ」
始はそう告げ、脳内に絶大なダメージを受けたアジュカ・ベルゼブブを悪魔領土…ベルゼブブ領土に送り付けた。
「うぐぐ…あの人間め…」
何とか意識が目覚めたアジュカ・ベルゼブブ。彼はベルゼブブ領土の病院に居ており、隣には弟のディオドラが眠っている。
だが…外が眩しい。何事かと思い、アジュカは窓の外を見る。そこには
巨大な茎がそびえており、その茎の先端には巨大なドリアンのような謎の木の実が有ったのだ。その木の実からは激臭が漂い…匂いだけで他の木々を腐敗させ、衣類を溶かし、鉄骨を錆び付かせる。
「なっなんなんだ!!」
その瞬間、茎から木の実が落ち…木の実が大地に激突した瞬間、激臭の核爆発が起きた。半径100kmの草花は一瞬で枯れ、川や湖の魚は死んだ。臭いは堕天使や悪魔の世界を一周し、瞬く間に激臭が世界を回る。
その植物の名前はドドリアンボム。最強の激臭兵器であり、熟して茎から墜ちた時に激臭の核爆発を巻き起こす最臭兵器である。
そしてアジュカは世界で一番臭い悪魔にディオドラ共々成ってしまった。
そして…原作2巻へ
次のドドリアンボムの被害者は誰だ!!
小話希望アンケート()は時系列
-
シュールストレミング改良記録
-
ドドリアンボム被害者の会
-
五条先生の青い春(スラドク+月姫)
-
孤児院の日常
-
一誠の理不尽修行
-
エンマの青い春(魔法使いの夜)
-
YouTubeネタ(色々)