「ハジメでーす」
「何でそんなボコボコになってんだ?」
「「あー納得」」
「前回は俺がサーヴァント化したな」
「で最後はー?」
「はいはい、俺が八重樫にキスしたな」
ヒューヒュー!
「お前ら覚えておけよ?」
「さ、さて今回は零斗達のの目線での話ダヨ!」
「露骨に話しそらしやがって. . . んまいいや」
「んじゃそろそろ行ってみようか. . . せーの!」
「「奈落の底!」」
Side 零斗
「あーくそ……全身ずぶ濡れだよ……」
「ウーンウーン」
「ハァーくそが」
えーはい零斗です、天之河に落とされて大変ご機嫌斜めです……はい。とまぁアイツは後で殺すからいいとして……
「ここ何処だ?」
かなり下の階層まで来たのは確かだが明らかに雰囲気が違うな。
「んー、零斗?」
「起きたか……は?」
「どうしたの?え?」
ハジメが目を覚ましたがちょっとした問題が……
「何で女になってんだ俺???」
「こっちが聞きたいよ!?」
うーむ……よりによって強化細胞の暴走が起こるとはなぁ. . . 前世でも何度か起きてるけど突拍子ねぇんだよなこれ (零斗の強化細胞は強力な分大分可笑しな事が起こります)
「とりあえずは濡れた身体を乾かそうか"火種"」
「うん……ヘクチッ」
随分可愛いくしゃみだな… 二十分ほど暖をとると服もあらかた乾いたので、出発することにした。いつ魔物が出てもおかしくないので、とても慎重に奥へと続く巨大な通路に歩みを進めた。
「うーむ、いかにも迷宮って感じだな」
「そうだね……」
周囲を警戒しながら通路を進む。形状は洞窟そのもので、一本道では無くうねうねしてる。あの罠のあった最後の部屋への道みたいだ。ただし、大きさは比較にならない。通路の直径は優に二十メートルはある。狭い所でも十メートルはあるのだから、相当な大きさだ。
「ま、隠れられる場所も多いのは利点だな」
「そうだね……」
「なぁ、何でさっきから返事が上の空なんだ?」
「へ!? ソ、ソソ、ソンナコトナイヨ!?」
いや明らかに挙動不審なんだが? 信憑性0なんだが. . . あーもしかして
「俺が綺麗だから見惚れてたか?」
「ソ、ソンナコトアルワケナイジャナイカ」
「図星かい!」
と巫山戯ながら奥へと進んで行く。
────────────────────────
しばらく進んでいると分かれ道にたどり着いた、巨大な四辻である。どの道に進むべきか逡巡した。
「ハジメそのまま動くなよ?」
「え?わ、わかった」
暫く考え込んでいると視界の端で何かが動いたので、岩陰に身を潜めて顔を少しだけ出して様子を伺った。 すると、通路と真正面の道で、白い毛玉がピョンピョンと跳ねているのがわかった。長い耳もある。見た目はまんまウサギだった。
((デカくね?))
ハジメと同タイミングで呟く……見た目はウサギなんだが大きさが中型犬くらいある。後ろ足がやけに大きく発達していて、赤黒い線が血管のように脈打っている。
(ハジメここでちょっとした問題です)
(え!? ここで!?)
(今の状況で取るべき行動は?)
(……相手の観察と退路の確認?)
(
その通り、まずは相手の力量と不測の事態に備えての退路の確保が重要と言う訳だ。1つ問題があるがあの兎……ベヒモス以上の気配なんだが?どうなってんだ?
(ハジメ、3つ数えたら、飛び出して奇襲を仕掛けるぞ準備しろ)
(分かった)
(3…2…1 ……GO!)
ウサギが後ろを向き地面に鼻を付けてフンフンと嗅ぎ出したところで、今だ!と飛び出そうとした瞬間、ウサギがピクッと反応したかと思うとスッと背筋を伸ばし立ち上がった。警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている……どうやらウサギが警戒したのは別の理由だったようだ。
「グルゥア!!」
獣の唸り声と共に、これまた白い毛並みの狼のような魔物がウサギ目掛けて岩陰から飛び出したのだ。その白い狼は大型犬くらいの大きさで尻尾が二本あり、ウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。再び岩陰から顔を覗かせその様子を観察するどう見ても、狼がウサギを捕食する瞬間だ。だがしかし……
「キュウ!」
可愛らしい鳴き声を洩らしたかと思った直後、ウサギがその場で飛び上がり、空中でくるりと一回転して、その太く長いウサギ足で一体目の二尾狼に回し蹴りを炸裂させた。
ドパンッ!
およそ蹴りが出せるとは思えない音を発生させてウサギの足が二尾狼の頭部にクリーンヒットする。ゴギャ!という鳴ってはいけない音を響かせながら狼の首があらぬ方向に捻じ曲がってしまった。そうこうしている間にも、ウサギは回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で空中を踏みしめて着地寸前で縦に回転。強烈なかかと落としを着地点にいた二尾狼に炸裂させた。断末魔すら上げられずに頭部を粉砕される狼二匹目。その頃には更に二体の二尾狼が現れて、着地した瞬間のウサギに飛びかかった。
今度こそウサギの負けかと思われた瞬間、なんとウサギはウサミミで逆立ちしブレイクダンスのように足を広げたまま高速で回転をした。飛びかかっていた二尾狼二匹が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。グシャという音と共に血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。
最後の一匹が、グルルと唸りながらその尻尾を逆立てる。すると、その尻尾がバチバチと放電を始めた。どうやら二尾狼の固有魔法のようだ。
「グルゥア!!」
咆哮と共に電撃がウサギ目掛けて乱れ飛ぶ。しかし、高速で迫る雷撃をウサギは華麗なステップで右に左にとかわしていく。そして電撃が途切れた瞬間、一気に踏み込み二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。二尾狼は、仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。二尾狼の首は、やはり折れてしまっているようだ。
蹴りウサギは、「キュ!」と、勝利の雄叫び? を上げ、耳をファサと前足で払った。可愛いな……ペットとして飼えないか?まぁ、魔物だし無理か。
(……ハジメ撤退するぞ)
(う、うん)
目の前であの様な惨状が繰り広げられたら嫌でも撤退せざるを得ないだろう。と、動き出そうとした瞬間……
カラン……
その音は洞窟内にやたらと大きく響いた。下がった拍子に足元の小石を蹴ってしまったのだ。やべぇやらかしたわ笑
蹴りウサギは、ばっちりこっちを見ていた。そうしているうちに、首だけで振り返っていた蹴りウサギは体ごとこちらを向き、足をたわめ、グッと力を溜めた。
(来る)
と本能で感じ取った瞬間、蹴りウサギの足元が爆発した。後ろに残像を引き連れながら、途轍もない速度で突撃してくる……だが
「ほい」パシ!!
「は!?」
ウサギの突進を片手で受け止める。そしてそのまま……
「フン!」ゴシャ!
ウサギの頭を握る潰す。思いのほか速度はあったが、動きが直線的だったので何とか捉える事ができた。
「むぅ、返り血が凄いな……」
「僕の親友が可笑しいよ神様……」
ハジメの呟きが聞こえたが無視する。実際そうだから反論はしない!
「グルルルル」
やけに低い唸り声が聞こえたぞー?
「ハジメ今すぐここを離れますよ」
「分かった」
全力でその場を立ち去り近場の岩場に身を隠す。そして、覗き見るように先程居た場所を確認すると……
「グルルル?」ヌゥ
通路から魔物が姿を現した。その魔物は巨体だった。二メートルはあるだろう巨躯に白い毛皮。例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。その姿は、たとえるなら熊だった。ただし、足元まで伸びた太く長い腕に、三十センチはありそうな鋭い爪が三本生えているが。
(流石にあれを殺すとは言わないよね?)
(殺りますよ?)
(デスヨネ)
(まぁ、流石にあいつは俺一人でやる。ハジメは此処で待機だ)
(……了解)
ハジメを置いて岩場から出て仮称名称"爪熊"の目の前に出る。武器は……試験運用も兼ねて、籠手にするか。
「グルルルル」
「俺を食う気か?」
「グルゥアアアアア!!!」
「威勢がいい事で……んじゃ死ね」
異空間収納から"レヴァリー"を取り出して装着し軽く感触を確かめてから爪熊と向き合う。
ヒュオオオオオオ
「ん?風?」
「ルグゥオオオ!」ブン
「!? (ガキィン!)なるほど不可視の風の刃か……まぁ、種が割れちまったら、避けるのは簡単だな」
1度見れば簡単に対処は出来るしな。だが、速度と威力はかなり高いだろうな、食らったら普通の人間くらいならバラバラに切り刻まれてる所だろう。
「フゥー…フゥー……!」
「おうおう息が上がってるぜ?」
「グゥルルル!」
挑発しているのが分かるのか怒り始める爪熊.……短気な事で。
「まぁ、ウォーミングアップ相手には丁度良さそうだな。じゃ、死んでいいぞ」
「グルォ!?」
爪熊との間合いを一気に詰め、全力で殴る。すると爪熊の上半身と下半身を泣き別れさせ後方の壁まで吹き飛ばす……やり過ぎちった♡
「どうすっかなこれ?……とりあえずはこいつらを食糧代わりにするか」
「零斗!?大丈夫!?」
「問題ない」
「そ、それならいいけど……無理はしないでね?」
「ああ、分かってるよ……とりあえず移動するぞ血の匂いで魔物達が寄ってきてる」
「分かった」
ハジメが錬成で壁に穴を作りそこへ入る。さて、しばらくはここで生活だな……
「ハジメ……1つ問題がある」
「何?」
「食糧があまり無い」
「え?」
「現状食えるのが魔物の肉くらいしか無い」
「マジかぁ……」
あるにはあるけど1週間位で無くなる。それにあくまでも保存食糧であって必要最低の栄養しか確保出来ていない、この状況ではあまりにも心もとない。
「とりあえずは俺が先に食うから、大丈夫そうだったらお前にも食ってもらうからな」
「……あんまり気は進まないなぁ」
蹴りウサギの方から調理すると……と言っても捌いて軽く塩振って焼くだけやけどな。
ストン「ん?」
「どうしたの?」
「いや明らかに上層の魔物とは肉質が変わってな」
上層の食ったカメレオン型の魔物の肉は噛み切るのにも相当な咀嚼力が必要だったが、ここの魔物の肉質はすまじく柔く、簡単に包丁の刃が入った。これがここの魔物だけのものなのか、天職の料理人の効果による物なのかは要検証だな。
「ほい一丁上がり」
「これ本当に魔物の肉?」
「そのはずなんだがな……」
出来た上がった料理は普通の物と遜色ない程に出来栄えが良かった……これが天職の効果な効力強すぎじゃね?
「……いただきます」モグッ
兎肉を小さく切り分けて、口に含み、咀嚼する。
「美味いな、普通の肉と何ら変わり無いくらいには美味い」
「良かった……」
獣肉独特の臭みは多少気にはなるが、それを差し引いても地上で食べた肉類と遜色はないくらいにはしっかりとした肉だった。これなら、他の魔物の肉にも期待は出来そうだな。
「……次は爪熊の方を食べてみるか」
爪熊の肉を切り分け、こちらも塩を軽く振り焼く。
「いただきます……こっちも問題はなsッ!?」
「ど、どうしたの!?零斗!?」
爪熊の肉を咀嚼し、飲み込んだ瞬間全身に鈍い痛みが駆け巡る。痛みは直ぐに引いたが身体にはわずがな違和感が残った。
「大丈夫だ……多少の違和感はあるが支障は無い」
「なら…いいけど……」
恐らくだが、爪熊の肉に残っていた魔力か毒素が全身に一気に回ったのだろう……まぁ、強化細胞のお陰で一瞬で抑えられたのだろう。
「とりあえずは残りを食べよう」
──────────青年食事中──────────
「ふぅ……とりあえずは食糧問題は解決したと言っても大丈夫そうだな」
「ん、結構美味しかったね」
残っていた狼型の魔物の肉も食べてはみたが特質するべき点は無く、ただただ獣臭いだけの肉だった。食べきれなかった分は水分を飛ばし、ジャーキーにして置いた。
「さて、しばらくは此処で生活する事になりそうだな」
「そうだね……早く救援隊が来てくれればいいんだけど……」
「まぁ、来ないだろうな」
「……だよねぇ」
俺とハジメは同時に深いため息を零した。いくら俺たちの実力を理解して居たとしても、あの状況じゃ死んだと思われていても可笑しくは無い……まぁ、救援隊を期待するだけ無駄だろうな。
「一応、恭弥達と連絡が取れないか試しているんだがな……念話もスマホ(魔改造)にも反応が無い……とりあえずは俺はどうにか出来ないか模索してみる、ハジメは少し休んでろ」
「え?でも……」
「お前はまだ本調子じゃないだろ?魔力も使い過ぎたみたいだしな、少し休んで体力の回復をして置いた方がいい」
「う……分かった」
ハジメに簡易的な寝具を手渡し休ませる。そして、ハジメが寝たのを確認してから、少し離れた位置で頼みの綱である通信機の電源を入れる。
「こちら、零斗。聞こえたら返答を頼む」
『ザッー…ザッー……』
ノイズが酷く、イマイチ上手く通信が出来ていない様だった。どうやら中の機械が水に濡れたせいで上手く動作していない様子だった。
「こちら、零斗。聞こえたら返答を頼む」
再度、電源を入れ直し呼びかける。これが無理だったら諦めるしかないんだが……
『零斗!?』
「お、繋がったか。ちょいと通信が不安定でな手短に話そう」
通信機越しに恭弥の驚いた声が響いた。今度は上手く動作してくれたみたいだな。良かった良かった……
──────────────────────ー
恭弥との通信を終え、ハジメの居る場所へと戻る。その道中で数体の魔物と戦闘になったが、難なく撃退した。さて、これからが大変だな……
零斗くんが零斗ちゃんになりましたね。まぁそのうち戻しますけどね。感想お待ちしております。