ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よっと、(˙꒳˙ก)ハーイお馴染みの零斗です」
「ハジメでーす」
と、作者です。

「「3話連続なのなお前」」
まぁね〜さて、アンケートの結果ユエさんの容姿が大人になりましたー。
「差が凄かったね. . . 」
自分でやっといてあれだけどちょっとびっくりしたわ。


「さて、今回は彼女の救出とちょっとした戦闘だ. . . んじゃ行ってみようか」
「OK」


「「救出と罠」」


救出と罠

Side 零斗

 

「ごめんね!ちょっとだけ待ってて!」

「えー?」

「いいから!」

 

ハジメに背中を押されながら少女から離れる。

 

「で?俺の行動に何か問題あったか?」

「大アリだよ!なんであの子を助けようとしないわけ!?」

「そりゃ. . . 明らか罠ぽいじゃん?」

「そ、それはそうだけど. . . 」

「お前はあの子を助けたいん?」

「うん」

「ならいいよ好きにしな」

 

ハジメはそれを聞くと少しだけ顔を綻ばせた。

 

「ごめんね君. . . 今助けるからね」

「. . . うん」

「"錬成"」

 

ハジメの魔物を喰ってから変質した赤黒い、いや濃い紅色の魔力が放電するように迸る。しかし、イメージ通り変形するはずの立方体は、まるでハジメの魔力に抵抗するように錬成を弾いた。迷宮の上下の岩盤のようだ。だが、全く通じないわけではないらしい。少しずつ少しずつ侵食するようにハジメの魔力が立方体に迫っていく。

 

「ぐっ、抵抗が強い!. . . だけど、今の僕なら!」

 

 ハジメは更に魔力をつぎ込む。詠唱していたのなら六節は唱える必要がある魔力量だ。そこまでやってようやく魔力が立方体に浸透し始める。既に、周りはハジメの魔力光により濃い紅色に煌々と輝き、部屋全体が染められているようだった。ハジメは更に魔力を上乗せする。七節分. . . 八節分. . . 女の子を封じる周りの石が徐々に震え出す。

 

「まだまだぁ!」

 

 ハジメは気合を入れながら魔力を九節分つぎ込む。属性魔法なら既に上位呪文級、いや、それではお釣りが来るかもしれない魔力量だ。どんどん輝きを増す紅い光に、女の子は目を見開き、この光景を一瞬も見逃さないとでも言うようにジッと見つめ続けた。ハジメは初めて使う大規模な魔力に脂汗を流し始めた。少しでも制御を誤れば暴走してしまいそうだ。だが、これだけやっても未だ立方体は変形しない。ハジメはもうヤケクソ気味に魔力を全放出してやった。

 

「ほら俺の魔力も貸してやる」

 

さすがにこれ以上無茶されたら困るしな. . . それにハジメがここまでするなら協力しねぇとな。直後、女の子の周りの立方体がドロッと融解したように流れ落ちていき、少しずつ彼女の枷を解いていく。それなりに膨らんだ胸部が露わになり、次いで腰、両腕、太ももと彼女を包んでいた立方体が流れ出す。一糸纏わぬ彼女の裸体はやせ衰えていたが、それでもどこか神秘性を感じさせるほど美しかった。そのまま、体の全てが解き放たれ、女の子は地面にペタリと女の子座りで座り込んだ。どうやら立ち上がる力がないらしい。

 

 

 

 ハジメも座り込んだ。肩でゼハーゼハーと息をし、すっからかんになった魔力のせいで激しい倦怠感に襲われる。荒い息を吐き震える手で神水を出そうとして、その手を女の子がギュッと握った。弱々しい、力のない手だ。小さくて、ふるふると震えている。ハジメが横目に様子を見ると女の子が真っ直ぐにハジメを見つめている。顔は無表情だが、その奥にある紅眼には彼女の気持ちが溢れんばかりに宿っていた。そして、震える声で小さく、しかしはっきりと女の子は告げる。

 

「. . . ありがとう」

 

 その言葉を贈られた時の心情をどう表現すればいいのか、ハジメには分からなかった。ただ、全て切り捨てたはずの心の裡に微かな、しかし、きっと消えることのない光が宿った気がした。

 

「. . . 名前、なに?」

 

 女の子が囁くような声でハジメに尋ねる。そういえばお互い名乗っていなかったと苦笑いを深めながらハジメは答え、女の子にも聞き返した。

 

 

「俺は湊莉 零斗」

「ハジメ。南雲ハジメだよ。君は?」

 

 女の子は「ハジメ、零斗」と、さも大事なものを内に刻み込むように繰り返し呟いた。そして、問われた名前を答えようとして、思い直したように俺達にお願いをした。

 

「. . . 名前、付けて」

「ん?まさか名前忘れたか?」

 

 長い間幽閉されていたのならあり得ると聞いてみるだが女の子はふるふると首を振る。

 

 

「もう、前の名前はいらない。ハジメ達が付けた名前がいい」

「うーん、そう言われてなぁ. . . 」

 

 前の自分を捨てて新しい自分と価値観で生きる。この子は自分の意志で変わりたいらしい。その一歩が新しい名前なのだろう。女の子は期待するような目でハジメを見ている。ハジメはカリカリと頬を掻くと、少し考える素振りを見せて、仕方ないというように彼女の新しい名前を告げた。

 

 

「〝ユエ〟なんてどうかな?」

「ユエ? . . . ユエ. . . ユエ. . . 」

「確か中国語で月だったか?君の金髪と赤い瞳から連想したんだろうな」

 

思いのほかきちんとした理由があることに驚いたのか、女の子がパチパチと瞬きする。そして、相変わらず無表情ではあるが、どことなく嬉しそうに瞳を輝かせた。

 

「. . . んっ。今日からユエ。ありがとう」

「さて、その前に. . . 」

「?」

 

 礼を言う女の子改めユエは握っていた手を解き、着ていたローブを脱ぎ出す俺に不思議そうな顔をする。

 

「今はこれしかない羽織っておけ」

 

そう言われて差し出されたローブを反射的に受け取りながら自分を見下ろすユエ。確かに、すっぽんぽんだった。大事な所とか丸見えである。

 

「零斗とハジメのエッチ」

「「. . . 」」

 

何を言っても墓穴を掘りそうなのでノーコメントで通す。ユエはいそいそと外套を羽織る。ユエの身長は百四十センチ位しかないのでぶかぶかだ。一生懸命裾を折っている姿が微笑ましい。

 

「さて、話を聞く前にお客さんだな」

「「え?」」

 

ハジメとユエを抱えその場を飛び退く。直前までいた場所にズドンッと地響きを立てながらソレが姿を現した。

 

 

 その魔物は体長五メートル程、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足をわしゃわしゃと動かしている。そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。一番分かりやすいたとえをするならサソリだろう。二本の尻尾は毒持ちと考えた方が賢明だ。明らかに今までの魔物とは一線を画した強者の気配を感じる。

 

「やっと骨のありそうなヤツが来たな」ニチャァ

「. . . 怖い」

「僕も. . . 」

 

失礼だな君たちは!

 

「とりあえずこれ飲んどけ」ズドム

「ムグ!」

 

ユエの口に神水の入ったボトルを押し当てる。

 

「ハジメ、ユエの事背負って退避しておけ」

「え!?なんで僕が!?」

「お前. . . 病み上がりのこの子が戦闘できるか?」

「. . . 無理だね、分かったよ」

「任せたぞー」

 

 

サソリモドキの初手は尻尾の針から噴射された紫色の液体だった。かなりの速度で飛来したそれを、ハジメはすかさず飛び退いてかわす。着弾した紫の液体はジュワーという音を立てて瞬く間に床を溶かしていった。溶解液のようだ。俺はそれを横目に確認しつつ、"リベリオン"を取り出し発砲する。

 

「話の途中に攻撃とは空気が読めないのかねぇ?」ドパァン!

「キシャァ!?」

「!?」

 

 

ハジメの背中越しからユエが驚愕しているのがわかる。そりゃそうだわな見慣れない武器を何もない空間から取り出して更にはいとも容易く頑強そうな装甲を砕いたんだ. . . そりゃ驚くわな。

 

「うーむ、硬いな. . . ハジメー焼夷手榴弾ちょーだいー」

「. . . なんなのそのテンション. . . 」(*ノ・ω・)ノ⌒。ぽーい

「サンキュ〜. . . ほらやるよサソリモドキ」

 

 

ピンを抜きサソリモドキの頭上に向かい投げる。そしてそれを撃ち抜く。タールの階層で手に入れたフラム鉱石を利用したもので、摂氏三千度の付着する炎を撒き散らす。流石に、これは効いているようでサソリモドキが攻撃を中断して、付着した炎を引き剥がそうと大暴れした。その隙に、"リベリオン"のリロードをする。やっぱりこの銃だけは自分でしたのよねー。

 

 

 それが終わる頃には、 〝焼夷手榴弾〟はタールが燃え尽きたのかほとんど鎮火してしまっていた。しかし、あちこちから煙を吹き上げているサソリモドキにもダメージはあったようで強烈な怒りが伝わってくる。

 

「キシャァァァァア!!!」

 

 絶叫を上げながらサソリモドキはその八本の足を猛然と動かし、ハジメ達に向かって突進した。四本の大バサミがいきなり伸長し大砲のように風を唸らせながら迫ってくる。

 

「おいおい. . . お前の相手は俺だろ?」スパァン!

「キシャァァァ!?」

 

伸ばしていたハサミを斬り飛ばす。やっぱり関節部は弱いのな。

 

「更にはもういっちょ」ズガァン!

 

"縮地"を使用し、サソリモドキの背に乗り"リベリオン"をゼロ距離で発砲する。うーむやっぱり装甲を破れても肝心の中まではダメージが行かないか. . .

 

「おっと、危ねぇ」

 

サソリモドキが「いい加減にしろ!」とでも言うように散弾針を自分の背中目掛けて放った。

 

「キィィィィィイイ!!」

 

 その叫びを聞いて咄嗟に"縮地"で距離を取る。絶叫が空間に響き渡ると同時に、突如、周囲の地面が波打ち、轟音を響かせながら円錐状の刺が無数に突き出してきたのだ。

 

「ほう、そんな攻撃方法もあるのか中々多彩だな. . . 」

 

中々決め手に掛けるな. . . 関節部をひたすら攻めにも時間が掛かりそうだな. . . 。

 

「零斗!避けて!」

「は?. . . Wow. . . 」

 

サソリモドキの頭上に直径六、七メートルはありそうな青白い炎の球体が出来上がる。直撃したわけでもないのに余程熱いのか悲鳴を上げて離脱しようとするサソリモドキ。だが、奈落の底の吸血姫がそれを許さない。ピンっと伸ばされた綺麗な指がタクトのように優雅に振られる。青白い炎の球体は指揮者の指示を忠実に実行し、逃げるサソリモドキを追いかけ……直撃した。

 

「グゥギィヤァァァアアア!?」

 

 サソリモドキがかつてない絶叫を上げる。明らかに苦悶の悲鳴だ。着弾と同時に青白い閃光が辺りを満たし何も見えなくなる。ハジメは腕で目を庇いながら、その壮絶な魔法を唯々呆然と眺めた。やがて、魔法の効果時間が終わったのか青白い炎が消滅する。跡には、背中の外殻を赤熱化させ、表面をドロリと融解させて悶え苦しむサソリモドキの姿があった。

 

 

あの摂氏三千度の〝焼夷手榴弾〟でも溶けず、ゼロ距離からショットガンを撃ち込まれてもビクともしなかった化け物の防御を僅かにでも破ったユエの魔法を称賛すべきか、それだけの高温の直撃を受けて表面が溶けただけで済んでいるサソリモドキの耐久力を褒めるべきかねぇ?

 

「ナイスアシストだ、ユエ」

 

これなら行けるな。"縮地"を使用して、サソリモドキの背に移動する。

 

「キシュア!?」

 

 

 

 声を上げて驚愕するサソリモドキ。それはそうだろう、探していた気配が己の感知の網をすり抜け、突如背中に現れたのだからな。赤熱化したサソリモドキの外殻が肌を焼く。しかし、そんなことは気にもせず、表面が溶けて薄くなった外殻に銃口を押し当て連続して引き金を引いた。本来の耐久力を失ったサソリモドキの外殻は炸裂弾のゼロ距離射撃の連撃を受けて、遂にその絶対的な盾の突破を許した。サソリモドキは自分が傷つく可能性も無視して二本の尻尾で俺を叩き落とそうとするが、それより早く動く。

 

「デザートだッ!」ドパァン!ドパァン!ドパァン!

 

"リベリオン"をスピンコックで高速連射する。そして、サソリモドキに攻撃される前に〝縮地〟で退避した。サソリモドキが、背後に離れたハジメに再度攻撃しようと向き直る。だが. . .

 

 

「お前はもう死んでいる」

 

ゴバァ!

 

そんなくぐもった爆発音が辺りに響くと同時にサソリモドキがビクンと震える。動きの止まったサソリモドキと向き合い、辺りを静寂が包む。やがて、サソリモドキがゆっくりと傾き、そのままズズンッと地響きを立てながら倒れ込んだ。

 

ピクリとも動かないサソリモドキに近づき、その口内に"リベリオン"を突き入れると念のため二、三発撃ち込んでからようやく納得したように「よし」と頷いた。止めは確実に!というポリシーだ。

 

 振り返ると、呆れた表情の親友と何故か成長しているユエが俺の事を見ていた. . . ん?ユエさん?

 

「なぁ. . . ユエさんや君そんな大人びた人だったの?そっちが本来の姿なの?」

「零斗、落ち着いて」

「. . . ん、ハジメの血を吸ったらこうなった」

 

んな馬鹿な. . . いや強化細胞の影響でそうなる傾向があったわ. . .

 

 

 

 

 




ユエさんの容姿ですが身長172cmで体重は54kgほどで体型はボンキュッボンです。顔は変わらずです。感想お待ちしております。

零斗達が転移する前の話とかいる?(転生したぐらいから)

  • いる!
  • いらん!
  • そんな事よりおうどん食べたい
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