「ハジメでーす」
「. . . ん、ユエ」
「前回はユエの救出とサソリモドキとの戦闘だったな」
「零斗、気になったんだけどサソリモドキが破裂したのてどうやったの?」
「あれか、"リベリオン"専用弾の1つの炸裂徹甲弾を撃ち込んだだけだ」
「専用弾なんてあったんだ. . . 」
「. . . 何?. . それ?」
「説明はまた今度な長くなるから」
「さて、今回は会話パートだ. . . んじゃ行っていようか」
「OK!」
「. . . ん!」
「「「封印部屋での語らい!」」」
Side 零斗
サソリモドキを倒した後、サソリモドキとサイクロプスの素材やら肉やらを拠点に持ち帰った。その巨体と相まって物凄く苦労し. . . なかったわ。技能の"異空間収納"に全部放り込んで移動したからな。
ちなみに、そのまま封印の部屋を使うという手もあったのだが、ユエが断固拒否したためその案は没となった。無理もない。何年も閉じ込められていた場所など見たくもないのが普通だ。消耗品の補充のためしばらく身動きが取れないことを考えても、精神衛生上、封印の部屋はさっさと出た方がいいだろう。
そんな訳で、現在俺達は、消耗品を補充しながらお互いのことを話し合っていた。
「そうなると、ユエさんって少なくとも三百歳以じょ. . . 」
「おっと? 女性に年齢の話はタブーだぞ?」
「. . . ごめんなさい」
「. . . ん、許す」
ハジメが
「と、言うか吸血鬼族は戦争で滅んだじゃなかったけ? 本来の吸血鬼達って君みたいに長生きなのか?」
俺の記憶では、三百年前の大規模な戦争のおり吸血鬼族は滅んだとされていたはずだ。実際、ユエも長年、物音一つしない暗闇に居たため時間の感覚はほとんどないそうだが、それくらい経っていてもおかしくないと思える程には長い間封印されていたという。二十歳の時、封印されたというから三百歳ちょいということだ。
「. . . 私が特別。〝再生〟で歳もとらない. . . 」
「ほぉー」
聞けば十二歳の時、魔力の直接操作や〝自動再生〟の固有魔法に目覚めてから歳をとっていないらしい。普通の吸血鬼族も血を吸うことで他の種族より長く生きるらしいが、それでも二百年くらいが限度なのだそうだ。ちなみに、人間族の平均寿命は七十歳、魔人族は百二十歳、亜人族は種族によるらしい。エルフの中には何百年も生きている者がいるとか。ユエは先祖返りで力に目覚めてから僅か数年で当時最強の一角に数えられていたそうで、十七歳の時に吸血鬼族の王位に就いたという。
なるほど、あのサソリモドキの外殻を融解させた魔法を、ほぼノータイムで撃てるのだ。しかも、ほぼ不死身の肉体。行き着く先は"神"か"化け物"か、ということだろう。ユエは後者だったということだ。欲に目が眩んだ叔父が、ユエを化け物として周囲に浸透させ、大義名分のもと殺そうとしたが"自動再生"により殺しきれず、やむを得ずあの地下に封印したのだという。 . . 何か裏がありそうだな。
「なぁ、ユエその"再生"なんだが魔力の使用はあるか?」
「. . . ある」
やっぱか. . . 何故魔力が尽きるまで処刑をしなかったかは何となく分かったな。
「ユエ、多分だが君の叔父は君を守るために封印したんじゃないか?」
「!?」
「魔力の消費があると分かっていれば魔力が尽きるまで続ければそのうち殺せる. . . だろ?」
「. . . うん、でもどうして?」
「と、その前に君の前の名前は教えて貰えるかい?」
「. . . "アレーティア"」
「ありがとう. . . 」
この子がエヒトの依代になる可能性がある子なら叔父はエヒトの正体、もしくは真意を理解してしまった. . . そして自分の姪が狙われている事が分かったから封印して存在を悟られないようにした. . . て、所だろうな。
「やはり君の叔父は守ろうとしてくれたんだろう」
「零斗、どうゆうこと?」
「ユエの叔父はエヒトの正体、もしくは真意を理解した. . . そしてユエが依代になり得ることを知ったんじゃないか?」
「だから封印した. . . 」
「そ. . . だがあくまでも仮説だ」
「叔. . . 父様. . . 」
ユエの発した声は震えていた. . . 仮説とはいえ少しは救われたか. . . エヒトには必ずこのツケを払わせてやる。
「. . . ユエ、俺が言ったのはあくまでも憶測に過ぎない」
「. . . ん」
「だから. . .
「. . . ん?」
「零斗? 何を言ってるの?」
さて、そうと決まれば魔法陣の準備だな。
カッカッカッ「よしっと、ユエさーんちょっとこちらに. . . 」
「. . . ?」
「この前に立って。これを詠唱してくれ」
「. . . 分かった」
ユエに英霊召喚用の詠唱式が書かれた紙を渡す。
「零斗. . . 一体何をするつもりなの? 仮にユエの叔父さんを召喚出来たとしても敵だったらどうするの? まず本人が来るかどうかも分からないんでしょ?」
「ま、そうだな. . . 仮に敵だったら殺すだけだし、俺としては行動の真意を知りたいだけだ」
「. . . 優しいね」
「. . . そんなじゃねぇよ」
「
降り立つ風には壁を。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻ときを破却する。
────告げる。
聖杯の寄るべに従い、この意、この
誓いを此処ここに。
我は
我は常世総ての悪を敷しく者。
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」
瞬間辺り一体が光に包まれる。 . . そして光が収まる頃には魔法陣の中央には金髪紅眼の初老の男が立っていた。
「サーヴァント、キャスター。召喚に応じ参上した。真名はディンリード・ガルディア・ウェスペリティリオ・アヴァタール。──かつて、吸血鬼の国 アヴァタール王国で宰相を務めていた者だ」
「. . . 叔父. . . 様. . . 」
どうやら成功の様だな. . .
「アレーティア. . . 久しいな. . . と言うのは少し違うな。君は、きっと私を恨んでいるだろうから。いや、恨むなんて言葉では足りないだろう。私のしたことは. . . 」
「私をアレーティアと呼ぶな!」
ディンリードはそう言われた瞬間、悲しげに微笑む。その様子が気に触れたのかユエは殺意を滾られて、手を前に突き出した。
「"蒼天"!」
サソリモドキの殻を融解させた魔法を放つ。
「. . . はぁー. . . やっぱりこうなるか. . . "デスぺル"」パキン!
「. . . !? 零斗! 何を!」
「ユエ、少し落ち着け」
「うるさい! "緋槍"!」
ユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線に俺に向かってくる。 . . 殺す気ですか?
「. . . フゥー. . . ここ!」ヒュパン!
「!? 何で!」
居合いで"緋槍"を両断する。
「話を聞いてやれ. . . いいな?」
「. . . 」
「無言は肯定と取るぞ. . . ディンリードさん、まずは初めまして。そして貴方が彼女を封印した理由を聞いても?」
「あぁ、勿論だ」
一息置いてディンリードはユエを封印した理由を話始めた。
「アレーティア. . . いやユエ。私が何故、あの日、君を傷つけ、暗闇の底へ沈めたのか。君がどういう存在で、真の敵が何者なのか」
「. . . 真の、敵?」
「そうだ。私は真の敵から君を守るために、この奈落の底へと君を封印したんだ」
その言葉にユエは動揺を隠せぬ様だった。
「ユエ、彼が召喚に応じてくれたのなら、少なくとも協力する意思があると言うことだ」
ディンリードも召喚に応じた以上は自分達に協力する意志があるはずだ。彼のことを信用しろとまでは言わないが、話くらいは聞いてもいいはずだ。
「君達は. . . そうか。君が私の用意したガーディアンから姪を救い出してくれたのか」
「あまり気にしないでくれ、と言うか俺は1度見なかった事にしたしな」
「. . . 後で1発殴らせてくれ」
「. . . ウィス」
やっべぇ、墓穴掘ったわ. . . ま、いいや。
「. . . んん! 先ずは感謝をこの子を救ってくれて、寄り添ってくれて。そして何よりも、またアレーティアと話す機会を与えてくれてありがとう」
そう告げて、ディンリードは頭を下げると、改めてユエの方へ向き直る。
「君にあの日の真実を伝えよう。何故私が君を封印する事になったのか」
そうして始まったディンリードの話は、裏切りにより奈落の底へと封印されたのだと思っていたユエにとって、驚愕せずにはいられない真実の歴史だった。
「2つの大迷宮を踏破した時に私は神の真意を知った」
「. . . 神の真意?」
「神代よりこの世界の人々は幾度となく戦争を繰り返してきたことは君も知っているはずだ。戦争の理由は様々だ。領土拡大、種族的価値観、支配欲、他にも色々とあるが、その一番は”神敵”だからというもの。神からの神託で私達は争い続けてきた」
「やっぱり宗教絡みか. . . 」
大凡の予測通りだな. . .
「大迷宮は何者が作り出したものか? ユエは覚えているかい」
「反逆者. . . 世界を滅ぼそうとして、神代に神に挑んだ神の眷属」
「大迷宮の最深部には”反逆者”──いや、”解放者”の住処が遺されていた。そこで、彼らが何のために神々へと反逆したのかを私は知ったのだ」
「なにを. . . 」
「神々は、人々を駒にして遊戯のつもりで戦争を促している」
神々. . . ねぇ? たった1人の神モドキが複数の名称を持つなんて随分と生意気だねぇ? どこぞのブリカスじゃないんだから無理にやろうとしない方がいいのに。
「そして、個人的に神々の動向を調べていた私は、ユエ、君の天職である"神子"が、エヒト神に地上で活動するための器として見初められた証左と知ったのだ」
「……私が、神の器?」
「アレーティア。君は天才だった。魔法の分野において、他の追随を許さないほどに。だが、その強さは目立ちすぎたんだ。だから目をつけられてしまった。そして私は、信用できる部下たちと相談した上で、君を守るために手を打つことにしたのだ。尤も、打てる手は限られていたけどね」
「. . . それで、私を封印したの?」
「そういうことだ。欲に目が眩んだ私のクーデターによって殺されたことにして、この真のオルクスへと君を封印した。いつか、この封印を解く者が現れるのを信じて」
そう言って、ディンリードは俺達に視線を向ける。
「. . . 改めて礼を言わせてほしい。ありがとう。ユエを救ってくれて」
それから、再びユエに視線を戻した彼は沈痛な表情を浮かべていた。
「君に真実を話すべきか否か、あの日の直前まで迷っていた。だが、奴等を欺くためにも話すべきではないと判断した。封印の部屋に長く滞在すれば、それだけ気取られる可能性も高くなる。それに. . . 」
「. . . それに?」
「. . . それに、私を憎めば、それが生きる活力にもなるのではと思ったのだ」
その選択がどれほど苦渋に満ちたものであったのか、握り締められるいる拳の強さがそれを示している。
「それでも、君を傷つけたことに変わりはない。今更、許してくれなどとは言わない。ただ、どうかこれだけは信じてほしい。知っておいてほしい」
ディンリードの表情が苦しげなものから、泣き笑いのような表情になった。それはひどく優しげなものであり、慈愛に満ち溢れた表情だった。
「愛している、アレーティア。君を心の底から愛している。ただの一度とて、煩わしく思ったことなどない。──娘のように思っていたんだ」
「. . . おじ、さま。ディン叔父様っ。私はっ、私も. . . ! あなたのことを本当のお父様のようにっ!!」
そんな彼女の頭を撫でながら、彼女の父は謝罪の言葉を口にする。
「すまない. . . こんな情けない親で. . . 」
「そんな. . . そんなことありませんっ! 貴方は最高の父親ですっ!」
父娘は静かに抱き合った。まるで300年分の寂しさを埋めるように. . . 強く強く抱き合っている。
「. . . ハジメ、しばらく2人っきりにしてやろう」
「うん」
ハジメを連れ拠点の外へ出る。魔法の余波で魔物も集まって来ているからそれの始末もしねぇとな。
──────────数分後──────────
「ふぅ、こんなもんかねぇ?」
「やっっっと、終わったー」
魔物の殲滅を終えて、拠点内に戻る。
「. . . ん、戻ってきた」
「話はもういいのか?」
「あぁ、勿論だ」
「そりゃ、よかったよ. . . んじゃ飯作るからちょっと待っててくれ」
「. . . ん!」
「私は. . . いや私も頂くとしよう」
さすが魔物の肉を食べさせる訳にはいかんので普通の肉を出す。この際奮発してやるか。
「よしっと、はい出来たぞー」
「. . . (*‘ω‘)ゴクリ」
「これは. . . 凄いな」
メニューは時短ローストビーフ、ポトフ、米粉パン、シーザーサラダ、俺とユエ、ディンリードはワイン付き。
「冷めない内に頂くとしよう」
「「いただきます」」
「. . . ? それ何?」
「これか? 俺らの故郷での習慣だ」
「. . . いただきます」
「いただきます」
こっちの世界では無いのか. . . んま、そうだろうな。
「. . . 零斗、気になってた」
「ん? どした?」
「. . . 女の子なのになんでそんな喋り方なの?」
「私も思っていたが. . . やはり淑女たる者言葉遣いには. . . 」
「俺、男だが?」
「「. . . え?」」
「ま、そんな反応やろな」
「. . . 嘘良くない」
「嘘じゃねぇよ」
「嘘だな」
「:( ꐦ´꒳`;):ほーん? ならこれでもか?」
"R-Ⅰ型強化細胞"を使用して一時的に男の姿に戻る。
「「!?」」
「こっちが本来の姿だ!」
「「嘘だっ!」」
「嘘じゃねぇ!」
ユエさんの容姿に付いては次話で触れます。感想お待ちしております。
零斗達が転移する前の話とかいる?(転生したぐらいから)
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いる!
-
いらん!
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そんな事よりおうどん食べたい