ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よっと、( *・ω・)ノどーも柊人です」
「悠花でーす!」
「白崎です」

「前回は白崎さんが目覚めたね」
「ホントに心配かけてごめん!」
「気にしなくていいよ?実際、僕は何もしてないし」
「そうよ香織」
「う、うん」

「さて、今回は迷宮の探索だよ!楽しんで行ってねー」

「「「悪夢の再来!」」」


悪夢の再来

 Side 柊人

 

 零斗からの連絡から数日が経った、今僕達は迷宮の攻略を開始した。但し、訪れているのは勇者(偽)パーティーと、元小悪党組、それに永山重吾という大柄な柔道部の男子生徒が率いる男女五人のパーティーだけだった。

 

 理由は簡単だ。話題には出さなくとも、ハジメと零斗の死が、多くの生徒達の心に深く重い影を落としてしまったのである。"戦いの果ての死"というものを強く実感させられてしまい、まともに戦闘などできなくなったのだ。一種のトラウマというやつである。

 

 と言うか、この程度で戦えなくなるなんて軟弱だね. . . 戦場で人が死ぬなんて日常茶飯事だろう? それに自分から進んで戦争に参加したのにも関わらずこの体たらくとは. . . 呆れるね。当然、聖教教会関係者はいい顔をしなかった。実戦を繰り返し、時が経てばまた戦えるだろうと、毎日のようにやんわり復帰を促してくる。

 

 

 しかし、それに猛然と抗議した者がいた。愛子先生だ。

 

 愛ちゃんは、当時、遠征には参加していなかった。作農師という特殊かつ激レアな天職のため、実戦訓練するよりも、教会側としては農地開拓の方に力を入れて欲しかったのである。愛ちゃんがいれば、糧食問題は解決してしまう可能性が限りなく高いからだ。そんな愛ちゃんは零斗とハジメの死を知るとショックで寝込んでしまった。自分が安全圏でのんびりしている間に、生徒が死んでしまったという事実に、そして何よりも心の拠り所の零斗を失ったことに、責任感の強い愛子は強いショックを受けたのだ。(零斗とハジメが生きていると分かった時は歓喜した)

 

 

 だからこそ、戦えないという生徒をこれ以上戦場に送り出すことなど断じて許せなかった。愛ちゃんの天職は、この世界の食料関係を一変させる可能性がある激レアである。その愛子先生が、不退転の意志で生徒達への戦闘訓練の強制に抗議しているのだ。関係の悪化を避けたい教会側は、愛ちゃんの抗議を受け入れた。

 

 

 結果、自ら戦闘訓練を望んだ勇者パーティーと元小悪党組、永山重吾のパーティーのみが訓練を継続することになった。そんな彼等は、再び訓練を兼ねて【オルクス大迷宮】に挑むことになったのだ。今回もメルド団長と数人の騎士団員が付き添っている。

 

「よし、全員武器の点検はいいですか?」

「「「「「「「大丈夫」」」」」」」

「なら行きましょうか」

 

 ちなみに今日で攻略6日目だ。あ、後白崎さんも迷宮攻略に参加してるよ、彼女自身が志願して迷宮攻略に参加した。なんでもハジメを探すとか言って強引に参加してきた. . . 零斗が命令違反を知ったら怒るだろうなー。現在の階層は六十四層だ。確認されている最高到達階数まで後一層である。え? ペースが早いって? この程度の難易度で苦戦するはず無いじゃないか。

 

「白ちゃん、移動するよー!」

「うん、今行くよ」

「檜山くん、少し肩の力抜いていいじゃない?」

「あ、ああ」

 

 . . . 相変わらずですね、彼女は、まぁそんな所が好きなんですがね。

 

「悠花、少しは緊張感を持ってください. . . 」

「えー?」

「『えー?』じゃありません! 貴方は毎度毎度そうやってミスをしてきたでしょう!」

「う、うー. . . えーん白ちゃんー! 柊人が虐めるー」ダキツキ

「え? ええ!?」

「あ、こら! またそうやって逃げて! いい加減にその短所を直してください!」

 

 まったく. . . 注意する側の身にもなってくださいよ. . .

 

「え、えーと. . . よしよし」ナデリ

「えへへー」(*´ω`*)

「(可愛い. . . じゃなくて)ほら警戒してください。ここのマップは不完全ですからね。何が起こるかわからないんですから」

「( ˘•ω•˘ )むぅ. . . わかった」

 

 ──────────────────────

 

 しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく嫌な予感がする。その予感は的中した。広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がったのだ。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。

 

「. . . やっぱりですか」

「うん、そんな気はしてた」

 

 ラノベ系の本だとテンプレだからね。

 

「ま、まさか……アイツなのか!?」

 

 カスが額に冷や汗を浮かべながら叫ぶ。他のメンバーの表情にも緊張の色がはっきりと浮かんでいた。

 

「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」

 

 龍太郎も驚愕をあらわにして叫ぶ。それに応えたのは、険しい表情をしながらも冷静な声音のメルド団長だ。

 

「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」

「了解しました. . . 悠花、私達は退路の確保をしておきましょう(正直言って面倒い)」

「分かったー」

 

 いざと言う時、確実に逃げられるように、まず退路の確保を優先する指示を出すメルド団長。それに僕達が即座に従う。だが、ゴミカスがそれに不満そうに言葉を返した。

 

「メルドさん。俺達はもうあの時の俺達じゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」

「へっ、その通りだぜ。何時までも負けっぱなしは性に合わねぇ。ここらでリベンジマッチだ!」

 

 龍太郎は兎も角、君は鍛錬を怠っていたのに強くなったとか笑わせてくれるじゃないか。と、そろそろかな? 

 

 遂に魔法陣が爆発したように輝き、かつての悪夢が再び光輝達の前に現れた。

 

「グゥガァアアア!!!」

 

 咆哮を上げ、地を踏み鳴らす異形。ベヒモスが光輝達を壮絶な殺意を宿らせた眼光で睨む。全員に緊張が走る中、そんなものとは無縁の決然とした表情で真っ直ぐ睨み返す女の子が一人。

 

 香織である。香織は誰にも聞こえないくらいの、しかし、確かな意志の力を宿らせた声音で宣言した。

 

「もう誰も奪わせない。あなたを踏み越えて、私は彼のもとへ行く」

 

 強くなったね. . . さて、僕達も仕事に戻ろうか。

 

 

 ●○●

 

 Side 三人称

 

 先手は、光輝だった。

 

「万翔羽ばたき 天へと至れ 〝天翔閃〟!」

 

 曲線状の光の斬撃がベヒモスに轟音を響かせながら直撃する。以前は、〝天翔閃〟の上位技〝神威〟を以てしてもカスリ傷さえ付けることができなかった。しかし、いつまでもあの頃のままではないという光輝の宣言は、結果を以て証明された。

 

「グゥルガァアア!?」

 

 悲鳴を上げ地面を削りながら後退するベヒモスの胸にはくっきりと斜めの剣線が走り、赤黒い血を滴らせていたのだ。

 

「いける! 俺達は確実に強くなってる! 永山達は左側から、檜山達は背後を、メルド団長達は右側から! 後衛は魔法準備! 上級を頼む!」

 

 光輝が矢継ぎ早に指示を出す。メルド団長直々の指揮官訓練の賜物だ。

 

 

「ほぅ、迷いなくいい指示をする。聞いたな? 総員、光輝の指揮で行くぞ!」

 

 メルド団長が叫び騎士団員を引き連れベヒモスの右サイドに回り込むべく走り出した。それを機に一斉に動き出し、ベヒモスを包囲する。前衛組が暴れるベヒモスを後衛には行かすまいと必死の防衛線を張る。

 

「グルゥアアア!!」

 

 ベヒモスが踏み込みで地面を粉砕しながら突進を始める。

 

「行かせるかァ!」

「行かせん!」

 

 クラスの二大巨漢、坂上龍太郎と永山重吾がスクラムを組むようにベヒモスに組み付いた。

 

「猛り地を割る力をここに! 〝剛力〟!」

 

 永山重吾は身体能力、特に膂力を強化する魔法を使い、坂上龍太郎は魔法を使わず素の能力だけで対峙する。地を滑りながらベヒモスの突進を受け止める。

 

「ガァアア!!」

「重吾! もっと踏ん張れぇ!」

「てめぇこそ! 力込めろ!」

 

 坂上龍太郎と永山重吾は互いに叫び力を振り絞る。ベヒモスは矮小な人間ごときに完全には止められないまでも勢いを殺され苛立つように地を踏み鳴らした。その隙を他のメンバーが逃さない。

 

「全てを切り裂く至上の一閃 〝絶断〟!」

 

 雫の抜刀術がベヒモスの角に直撃する。強化された身体能力と"血狂い"の斬れ味により、ベヒモスの角を切断する。

 

「ガァァァ!?」

「よし!」

「よしやったぞ、雫!」

 

 角を切り落とされた衝撃にベヒモスが渾身の力で大暴れし、永山、龍太郎、雫、メルド団長の四人を吹き飛ばす。

 

「優しき光は全てを抱く 〝光輪〟!」

 

 衝撃に息を詰まらせ地面に叩きつけられそうになった四人を光の輪が無数に合わさって出来た網が優しく包み込んだ。香織が行使した、形を変化させることで衝撃を殺す光の防御魔法だ。香織は間髪入れず、回復系呪文を唱える。

 

「天恵よ 遍く子らに癒しを 〝回天〟」

 

 香織の詠唱完了と同時に触れてもいないのに四人が同時に癒されていく。遠隔の、それも複数人を同時に癒せる中級光系回復魔法だ。以前使った〝天恵〟の上位版である。光輝が突きの構えを取り、未だ暴れるベヒモスに真っ直ぐ突進した。そして、先ほどの傷口に切っ先を差し込み、突進中に詠唱を終わらせて魔法発動の最後のトリガーを引く。

 

「〝光爆〟!」

 

 聖剣に蓄えられた膨大な魔力が、差し込まれた傷口からベヒモスへと流れ込み大爆発を起こした。

 

「ガァアアア!!」

 

 傷口を抉られ大量の出血をしながら、技後硬直中の僅かな隙を逃さずベヒモスが鋭い爪を光輝に振るった。

 

「ぐぅうう!!」

 

 呻き声を上げ吹き飛ばされる光輝。爪自体はアーティファクトの聖鎧が弾いてくれたが、衝撃が内部に通り激しく咳き込む。しかし、その苦しみも一瞬だ。すかさず、香織の回復魔法がかけられる。

 

 

 

「天恵よ 彼の者に今一度力を 〝焦天〟」

 

 先ほどの回復魔法が複数人を対象に同時回復できる代わりに効果が下がるものとすれば、これは個人を対象に回復効果を高めた魔法だ。光輝は光に包まれ一瞬で全快する。ベヒモスが、光輝が飛ばされた間奮闘していた他のメンバーを咆哮と跳躍による衝撃波で吹き飛ばし、折れた角にもお構いなく赤熱化させていく。

 

「ふわぁ〜. . . あれ? まだ終わって無かったの? . . . えい!」ドゴン! 

「グガァァ!?」ベッシャ!! 

「「「「「「「「「. . . え?」」」」」」」」」

 

 悠花がベヒモスを殴り肉塊に変換する。

 

「悠花. . . やりすぎです。魔石ごと砕いてどうするのですか. . . 」

「あ! ごめん!」

 

 あまりの展開に呆然とする香織達。

 

「か、勝った. . . んだよな?」

「え、ええ、一応」

「や、やったー?」

 

 皆が皆、呆然とベヒモスがいた場所を眺め、ポツリポツリと勝利を確認するように呟く。同じく、呆然としていた光輝が、我を取り戻したのかスっと背筋を伸ばし聖剣を頭上へ真っ直ぐに掲げた。

 

「そ、そうだ! 俺達の勝ちだ!」

 

 キラリと輝く聖剣を掲げながら勝鬨を上げる光輝。その声にようやく勝利を実感したのか、一斉に歓声が沸きあがった。男子連中は肩を叩き合い、女子達はお互いに抱き合って喜びを表にしている. . . 訳も無く、なんとも微妙な表情だ。

 

 

「. . . 何か来ますね」

「え?」

 

 柊人が意味深にそう告げる. . . その瞬間。

 

 フォオン! 

 

 ちょうどベヒモスの倒れた辺りに魔法陣が現れる. . . だが規模がベヒモス以上の物だ。直径は20mほどで色は紅い。

 

「そ、総員! 警戒を怠るな!」

「「「「「「「は、はい!」」」」」」」

 

 直後、魔法陣が爆ぜ、辺り一帯が光に包まれる. . . そして、そこに姿を現したのは. . .

 

「グオォア──!」

 

 マハナーガだった。

 

「な、なに. . . あれ」

「クソ、体が動かねぇ!」

 

 あまりの気迫に気圧されるメンバー達. . . だが柊人と悠花と言うと

 

「ねぇ、柊人」

「なんだい?」

「真理の卵の在庫てあったけ?」

「. . . ありませんね」

「アイツ、落としたよね?」

「ええ」

「なら」

「「狩り尽くす!」」

 

 やっぱコイツらイカれてやがる! 

 

 ─────────少年少女ハント中─────────

 

「落としませんか. . . 」

「ちぇー」

 

 1分程でマハナーガを殺した、柊人と悠花. . . それを呆然と眺めるメルド達。

 

「しゅ、柊人さん?」

「ん? 何かな? 八重樫さん」

「その. . . 中々のお手間で」

「雫ちゃん!?」

 

 

 

 

 




柊人と悠花はケンカップルなのです。後、エネミーの強さとしては トータスの魔物<<FGOのエネミー になります。感想お待ちしております。
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