ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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「よっと、ヾ(ω` )/ハイヨォお馴染みの零斗でーす」
「ハジメでーす」
「ユエ」

「さて、今回は迷宮のボスだな」
「それじゃあ、楽しんで行ってね!」

「「「最奥のガーディアン!」」」


最奥のガーディアン

 Side ハジメ

 

 アルラウネを倒してから数日経った。僕達はいよいよ奈落の最初から数えて百階層目にたどり着いた。

 

「さて、普通ならこれでラストなんだが」

「ああ、次の階層で最後だ. . . だがガーディアンが残っている」

「へぇ. . . ま、何とかなるやろ」

 

 偉く楽観的な零斗。大丈夫かな? 

 

「とりあえずは武器の点検でもしとくか」

「分かった」

「ユエとディンリードは待機で」

「「了解」」

 

 零斗は刀の刃こぼれと銃の点検を始める。僕は"ドンナー"と前に開発した対物ライフル"シュラーゲン"のチューニングをする。うん、問題無いみたいだね。後はステータスの確認. . . と。

 

 =======================

 

 南雲ハジメ 17歳 男 レベル:??? 

 

 天職: 黒幕(フィクサー)の弟子・錬成師

 

 称号:女たらし

 

 筋力:31657

 

 体力:28439

 

 耐性:25893

 

 敏捷:28351

 

 魔力:32193

 

 魔耐:29680

 

 技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成][+高速錬成][+自動錬成][+イメージ補強力上昇][+消費魔力減少][+鉱物分解]・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・剣術・棍術・闘術・銃術[+オートリロード]・抜刀術風爪・夜目・遠見・気配感知[+特定感知]・魔力感知[+特定感知]・熱源感知[+特定感知]・気配遮断[+幻踏]・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・恐慌耐性・全属性耐性・先読・金剛・豪腕・威圧・念話(零斗、造介、幸利、香織)・追跡・高速魔力回復[+魔素集束]・魔力変換[+体力][+治癒力]・限界突破・言語理解・R-Ⅰ型強化細胞・喰種化

 

 =======================

 

 . . . 何か不名誉な称号があるのだけど、レベルは??? になってるし、ステータスはもう化け物レベルだし. . . どうしよ(´・ω・`)

 

「よし、各自準備はいいな?」

「. . . 僕は大丈夫」

「「私も問題無い」」

「なら行くぞ」

 

 足を踏み入れた百階層は、それまでの無骨な迷宮と違って非常に綺麗な作りとなっていた。見た目とかはギリシャにある神殿に近い。柱の一本一本が直径五メートルはあり、一つ一つに螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている。柱の並びは規則正しく一定間隔で並んでいる。天井までは三十メートルはありそうだ。

 

「如何にもって感じの作り込み具合だな」

 

 零斗がそう言って階層内に足を踏み入れる。その瞬間、全ての柱が淡く輝き始めた。警戒する零斗を除いた僕達3人。

 

「少し警戒しながら行くか」

「うん」

 

 感知系の技能をフル活用しながら歩みを進める。二百メートルも進んだ頃、前方に行き止まりを見つけた。いや、行き止まりではなく、それは巨大な扉だ。全長十メートルはある巨大な両開きの扉が有り、これまた美しい彫刻が彫られている。特に、七角形の頂点に描かれた何らかの文様が印象的だった。

 

「こりゃ、また凄いな」

「ここが解放者の住処なのかな?」

「いや、この部屋を抜けると住処だ. . . その前に最後のガーディアンがいる」

 

 ディンリードさんが頷いて、ガーディアンの説明をしてくれた。

 

「先ず魔物としては6首の蛇だ、そしてそれぞれの首によって攻撃方法が変わってくる。赤が炎、青が氷、緑が風、黄が盾役、白が回復、そして黒が精神攻撃だ」

「そりゃ、また多彩な事で」

「間違いなくこの迷宮では最強クラスの魔物だ、用心してくれ」

「. . . アンタは戦闘に参加しないんだな」

「ああ、あくまでもこれは君たちの試練だ」

「まぁ、危なくなったら援護くらいは頼むぜ?」

「勿論だとも」

 

 ディンリードさんがにこやかに告げる。流石に迷宮攻略者が試練に参加しちゃたら狡いよね。

 

「んじゃ行ってみるか」

 

 零斗が最後の柱の向こうへ足を踏み出した。

 

「またかよ」

 

 その瞬間、扉と僕達の間三十メートル程の空間に巨大な魔法陣が現れた。赤黒い光を放ち、脈打つようにドクンドクンと音を響かせる。そして、()()()()()に血のような赤い輝きを放つ魔法陣が現れた。

 

「零斗!」

「ハジメ、お前は自分自身の心配をしろ」

「でも!」

「それに────」

 

 零斗が何か言い終わる前に、魔法陣はより一層輝くと遂に弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする。光が収まった時、そこに零斗の姿は無く、代わりに現れたのは……

 

 体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の化け物。例えるなら、神話の怪物ヒュドラだった。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら六対の眼光が僕達を射貫く。身の程知らずな侵入者に裁きを与えようというのか、常人ならそれだけで心臓を止めてしまうかもしれない壮絶な殺気が叩きつけられる。

 

 同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放った。それはもう炎の壁というに相応しい規模である。

 

「それは、予測済み!」ドパァン! 

 

 迫り来る炎を横っ飛びで回避し、ドンナーの電磁加速された弾丸が超速で赤頭を狙い撃つ。弾丸は狙い違わず赤頭を吹き飛ばした。

 

「よし、効きはするみたいだね」

「ん、でも回復が厄介」

「先ずは白頭からだね」

「任せて」

 

 内心ガッツポーズを決めた時、白い文様の入った頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、まるで逆再生でもしているかのように赤頭が元に戻った。

 

「〝緋槍〟!」

 

 燃え盛る槍が白頭に迫る。しかし、直撃かと思われた瞬間、黄色の文様の頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。そして淡く黄色に輝きユエの〝緋槍〟も受け止めてしまった。衝撃と爆炎の後には無傷の黄頭が平然とそこにいて僕を睥睨している。

 

「これなら、どうだ!」

 

 ドンナーを速射して全弾を白頭に弾丸の雨を浴びせようとするが、またしても黄色頭に邪魔をされる。

 

 一か八かだ!ドンナーをゼロ距離から連射するために突撃しようとする。そこに. . .

 

「イヤアアアアアアア!!」

 

 ユエの悲鳴が轟いた。ユエの方を見ると、頭を抱えて蹲っていた。そこに青頭が大口を開いてユエを喰おうとしている。

 

「ディンリードさん!」

「分かっている!」

 

 ディンリードさんの使役している魔物がユエを抱えて退避する。それをヒュドラは追うように移動する。

 

「行かせないよ!」

 

 閃光手榴弾とドンナーでヒュドラの目を潰してユエのいる柱へ滑り込む。

 

「ユエ! 目を覚まして!」

「いや、いや……ひとりにしないで……」

「ハジメくん、ユエの事は任せた」

「何をする気ですか?」

「時間稼ぎだ」

 

 ディンリードさんはそれだけ言うと亜空間から使役している魔物を大量に出してヒュドラの方へと向かった。ユエは呼びかけにも反応せず、青ざめた表情でガタガタと震える。ペシペシとユエの頬を叩く。

 

「ああ、もう! こうなったら!」

 

 袋から試験管を取り出し神水を口に含む。 そして、ユエに口づけした。ピクッと震える唇を無理やりこじ開け、ポーションを口移しで流し込んだ。ごめんなさい、香織さん。

 

 全て移し終えると、唇を離す。ユエの顔はまるでタコのように真っ赤になっており、虚ろだった目はうるうると潤んでいた。

 

「ユエ!」

「……ハジメ?」

「はい、ハジメさんだよ。大丈夫?」

「よかった……ちゃんといる……」

 

 弱々しい声で呟いたユエは、服の裾を掴む。身体が小刻みに震え、何かに怯えているのがわかった。

 

「……よかった……見捨てられたと……また暗闇に一人で……」

「そう言う精神攻撃か. . . 」

 

 トラウマを突くようなビジョンを見せられたらしい。まだフラッシュバックしているのか、キュッと服の裾を掴まれる。

 

「大丈夫だよ。僕達はそんなことはしないから」

「ハジメ⋯⋯」

 

 不安そうな面持ちのユエに、僕ははっきりと断言する。この気持ちがただの同情なのか、はたまた. . . 恋心なのか。それはわからない、と言うか香織さんに何言われるか分からないから現実逃避したいだけかもしれない。

 

 でも、ユエが大切な存在なことだけはわかる。だから、ユエを見捨てる可能性などゼロだ。

 

「⋯⋯私⋯⋯わたし」

 

 でも、この状態のこいつにどう伝えるよ? いや、わかってるんだけど流石に二回は香織さんに嫌われるんじゃないだろうか。でも今はこれ以外方法が無い。

 

「ユエ」

「なに……んっ!?」

 

 もう一度唇を重ねる。先ほどよりも長く、少しだけ深く。ユエは体を強張らせていたものの、すぐに脱力した。

 

「⋯⋯ぷはっ。これで安心した?」

「んはっ⋯⋯」

 

 とろんとした顔のユエに一瞬どきりとしながらも、まっすぐその目を見て言葉を紡ぐ。

 

「大丈夫だよ、僕も零斗もディンリードさんも君を見捨てる事なんてしないから」

「⋯⋯んっ!」

 

 僕の言葉に、今度こそユエはしっかりと答えた。いつもの無表情は、いつしかあの暗闇から解放した時と同じ微笑みに変わっている。

 

「ハジメ! これ以上は無理だ!」

「ありがとうございます、ディンリードさん」

「ああ、私も消耗が激しい、魔物の数も大分減ってしまった」

 

 ボロボロになってしまったディンリードさんに神水を渡す。

 

「ユエ、シュラーゲンを使うから時間稼ぎをお願い」

「⋯⋯任せて!」

 

 頷いたユエが前に立ち、魔法を連発してヒュドラの注意を弾き始める。その間に背負っていたシュラーゲンを撃つ準備を始めた。

 

 元はドンナーの威力不足を補う為に作ったけど撃つためには少し時間が必要で最大出力で撃つには1分弱掛かってしまう。ヒュドラはそれを見逃すはずも無く、僕に一直線で向かってくる。

 

「〝緋槍〟! 〝砲皇〟! 〝凍雨〟!」

 

 クルァアアン! 

 

 シュラーゲンに魔力を充填している間にも、ユエは魔法を放っている。最上級は一発撃つと魔力が枯渇するので、連射性の効く魔法にしているようだ。

 

 グルァ! 

 

 それに見かねたのか、またしても黒い頭がユエの方を向いてジッと見つめる。しかしユエは止まらなかった。

 

「もう効かない!」

 

 強い語気で静かに言ったユエは、黒い頭に炎槍を放ってさらに黒焦げにした。そろそろチャージが終わる。

 

「ユエ!」

「ん!」

 

 ユエが離れたのを確認して、シュラーゲンの引き金を引く。シュラーゲンが紅いスパークを起こす。弾丸はタウル鉱石をサソリモドキの外殻であるシュタル鉱石でコーティングした地球で言うところのフルメタルジャケットだ。シュタル鉱石は魔力との親和性が高く〝纏雷〟にもよく馴染む。通常弾の数倍の量を圧縮して詰められた燃焼粉が撃鉄の起こす火花に引火して大爆発を起こした。

 

 ドガンッ!!! 

 

 凄まじい轟音と共にフルメタルジャケットの赤い弾丸が、更に約一・五メートルのバレルにより電磁加速を加えられる。その威力はドンナーの最大威力の更に十倍。単純計算で通常の対物ライフルの百倍の破壊力である。

 

 黄頭も"金剛"らしき技能で防御したがまるで何もなかったように弾丸は背後の白頭に到達し、そのままやはり何もなかったように貫通して背後の壁を爆砕した。残ったのは、断面のからブスブスと音を上げて焼け焦げた首のないヒュドラだけ。一拍遅れて体が死を自覚したのか、倒れ伏す。

 

「思ったより反動でかいね……」

「ハジメ!」

「流石の威力だな」

 

 スリスリと甘えてくるユエの頭を撫でながら、ヒュドラの死体に注意を向ける。すると. . .

 

 ズル…………

 

 突如焼けた胴体の中から人型の物体が出てきた。

 

「「「ッ!?」」」

 

 異様なまでの悪寒が走る。バキバキと音を立ててヒュドラが人型の物体に吸収されていく。

 

 グルァアアアァアアッッッ!!!!! 

 

 凄まじい雄叫びをあげる、銀の人型。空間がビリビリと震え、肌に風圧が叩きつけられる。

 

「何だ、あれは?」

「テンプレ感が否め無いけど. . . ()()()間違いなくやばい」

 

 ゆっくりとこちらに目線を向ける銀の人型。そして手をかざす

 その瞬間、これまでで最大の悪寒を覚えて、ディンリードとユエをその場から突き飛ばして離れされる。錬成で壁を創る. . . が

 

 バキンッ!! 

 

 抵抗虚しく、即席の壁は砕け散る。即座に回避は不可能と判断し、防御系の技能を発動して身構える。

 

 

「「ッ! ハジ──!」」

「ごめん、香織」

 

 ゴウッ!!!!! 

 

 僕は最愛の人の名前を呼び謝罪をした。

 

 ごめんね、香織. . . 約束守れなかった。

 

 

 そして瞠目するユエとディンリードさんの顔を最後に、白い光に飲み込まれた。

 

 

 

 




アンケート結果ですが、『いる』が37票、『いらん!』が19票、『そんなことよりおうどん食べたい』が62票となりましたー. . . どうしてこうなった(自業自得)

まぁ、日常編みたいなのを書いて行きたいと思いますー。

長くなったので今回はここまで。感想お待ちしております。
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