ありふれた黒幕で世界最凶   作:96 reito

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はーい、作者でーす。今回は私1人になります。

さてさて、前回はヒュドラの討伐と変化でしたね。今回はハジメの覚醒ですよー。


では『喰種としての覚醒』お楽しみください。

次回は零斗くんの目線でーす。


喰種としての覚醒

 Side ユエ

 

 私はその光景を呆然と眺めていた。ハジメが. . . 私の大切(好き)な人が極光に飲み込まれる様を。

 

 ハジメと零斗はあの暗闇から救い出して、こんな私を受け入れてくれた。

 

 零斗はディン叔父様と再会させてくれた、それに私達に居場所をくれた。故郷へと連れて行ってくれると言ってくれた。すごく嬉しかった。

 

 皆で一緒にいるととても楽しくて、とっくの昔に固まったはずの顔が笑顔になった。皆でなら、ハジメたちの故郷でもうまくやっていけると思った。

 

「ユエ! 今すぐ逃げなさい!」

「いやだ! ハジメが. . . ハジメが!」

 

 それなのに。私を救ってくれた英雄(ヒーロー)は今、光の中に飲み込まれていた。それがまるでスローモーションのように見える。

 

 極光が消えていくところだった。そして完全に消えたとき……そこには全身から煙を吹き上げている、ハジメがいた。それを見た瞬間、頭の中が真っ白になる。

 

 ハジメの足元には溶解したシュラーゲンが転がっており、あの銀の人型の極光の威力を示していた。どうやら咄嗟にあれをかざしたみたいだった。

 

「ハ、ハジメ?」

「……」

 

 ハジメは答えない。そして、そのままグラリと揺れると前のめりに倒れこんだ。

 

「ハジメ!」

「ユエ!」

 

 焦燥に駆られるまま痛む体を無視して駆け寄ろうとする。しかし、魔力枯渇で力が入らず転倒してしまった。もどかしい気持ちを押し殺して神水を取り出すと一気に飲み干す。少し活力が戻り、立ち上がってハジメの下へ今度こそ駆け寄った。

 

 仰向けにしたハジメの容態は酷いものだった。指、肩、脇腹が焼け(ただ)れ一部骨が露出している。顔も右半分が焼けており右目から血を流していた。角度的に足への影響が少なかったのは不幸中の幸いだった。

 

「ユエ! ハジメを連れ離れなさい!」

「でも、ディン叔父様!」

「いいから早く!」

 

 ディン叔父様の気迫に気圧されながらハジメを抱えて人型から死角になる柱へと運び込む。それを人型は待ってくれる筈も無く。

 

 グルァアアアアッ! 

 

 雄叫びをあげながら、またしても極光を吐き出す。今度は単体じゃなくて、大量に吐いてきた。

 

「させん!」

 

 ディン叔父様は人型を殴りつけ無理矢理射線を変える。

 

 ハジメに神水を傷口にかけて、もう一本神水を飲ませようする。だが、飲み込む力も無くむせてしまう。ユエは自分の口に神水を含むと、ハジメに口付けをして、むせるハジメを押さえつけ無理やり飲ませた。しかし、神水は止血の効果はあったが、中々傷を修復しない。いつもなら直ぐに修復が始まるのに、何かに阻害されているかの様に遅々としている。

 

 技能の魔力変換で少しずつではあるが傷が塞がっていく。

 

「ゴハァ!」

「!? ディン叔父様!!」

 

 グルゥルルルッ

 

 ディン叔父様を柱に叩き付けるようにして抑え込む。その表情は嘲笑うようなものだった。 . . あの野郎許さない。

 

 ハジメの左頬にそっと口付けをして、ドンナーを手に取った。

 

「……私が二人を助ける……」

 

 魔力はゼロに近く、神水はもう無い。それでもドンナーを握り締めて人型へ駆ける。ディン叔父様はこちらを見ると驚いた表情をするが人型を挑発する様に笑う。人型はディン叔父様を柱に叩き付ける。

 

 ユエはそれを見てチャンスとばかりに走るスピードを上げて空中に飛ぶ。

 

「ユエ! 撃って!」

 

 ハジメと零斗の様に纏雷を持ってはいないが、雷系の魔法で電磁加速を行い人型の眉間に銃弾を撃ち込む。

 

 グルゥアアァ! 

 

「な!?」

「うそ⋯⋯でしょ⋯⋯」

 

 人型はドンナーから放たれた弾丸を易々と受け止めた。

 

「あがっ!」

「ユエ!!」

 

 人型の放った光弾を腹に喰らってしまう。腹は光弾に撃たれて穴が開き血が流れている。それでも起き上がろうともがくが、体が言う事を聞かず、手を着いてもすぐに肘が折れて倒れてしまう。

 

「くそ! 離せッ!」

 

 グルウゥ! 

 

「ガッ!」

 

 ディン叔父様を壁へと投げ飛ばす、そして此方へとゆっくりと歩み寄ってくる。それはまるで処刑人の様だった。

 

「ごめんなさい」

 

 人型が腕を振り上げる。

 

「ハジメ守れなかった. . . 」

 

 人型が腕を振り下ろす。

 

「大好きだったよ. . . 」

 

 

 

 

『そう言う事は面と向かって言って欲しいかな』

 

 

 

 グガァア!? 

 

 

 

「え?」

 

 

 いつまでも衝撃がやって来ないため、恐る恐る目を開くと、人型は後ろの壁へめり込んでいた。

 

 空中で抱き抱えられていた。どうなっているのか、混乱しているその時に、

 

『ユエ、怪我は大丈夫?』

 

 声が聞こえて自分が向いている方向の後ろをみる。そこには額に短い角の様な物があら、全身を灰色で鎧のような外骨格を纏った人型に抱き抱えられていた。

 

「ハジメ. . . なの?」

『そうだよ. . . ごめんね、守れなくて』

 

 表情は分からないが申し訳なさそうに告げるハジメ。

 

『ここからは俺が相手だ. . . 俺の大切な人に手を出したんだ、楽に死ねると思うな』

 

 . . . かっこいい。

 

 

 

 Side ハジメ

 

 時間は少し巻き戻り. . . ドンナーの銃弾が人型に弾かれて二人が叩きつけられていた頃、僕は真っ白な空間に独りで立っていた。

 

「ここは. . . あの時の?」

『やぁ、マスター』

「君はあの時の. . . そういえば名前聞いて無かった」

『名前は無いよ?』

「え?」

『僕はあくまでも君の中の強化細胞の源みたいな物だからね. . . ま、好きに呼んでもらっていいよ』

「. . . なら、『ハク』でどうかな?」

『ハク. . . かいい名前だね、気に入ったよ』

 

 ハクの容姿は僕そっくりで違うのは髪が白い事と、瞳が青い事だろう。

 

『さて、本題に入ろうか』

「本題?」

『今マスターは死にかけている』

「. . . そっか僕はユエとディンリードさんを庇って」

『でも、まだ死んでは無いよ。瀕死ではあるけどね』

「でも、アイツには勝てない. . . 」

『今の状態ではね. . . 君が喰種として覚醒すれば勝てる』

「喰種として覚醒?」

 

 喰種化はできるけど変化できる時間は少ししかない最長でも30秒ぐらいだった。

 

『それは、マスターの『意思』が弱いからだよ』

「『意思』?」

『そう、マスターは最初に言ったよね『誰かを護れる力、誰かを優しく包み込む力が欲しい』って』

「う、うん」

『でも、その『意思』は余りにも弱い. . . それに、君はもっと貪欲になった方がいい』

「貪欲?」

 

 誰かを護れる力、誰かを優しく包み込む力. . . でも一体()()護れればいいのか分からない. . . 零斗(親友)か、香織(恋人)か、柊人(友人)さん達か. . .

 

『マスターは. . . いや、君は誰を護りたいんだい?』

「僕の護りたい人は⋯⋯」

 

 そんなの最初から分かっていたじゃないか。

 

「全員だよ」

『へぇ. . . 実に貪欲で傲慢で偽善に満ちた答えだね』

「ウグ. . . でもこれは嘘偽りのない僕の本心だ」

『フフ、いい『覚悟』だ. . .っと、どうやら時間みたいだね』

「色々とありがとうね、ハク」

『僕は別段何もしてないけどね. . . さぁ、目覚めの時だよ。存分に殺って来な!』

 

 ハクが言い終わると同時に僕の身体に零斗が喰種化した時と同じような外骨格が現れる。

 

『さぁ、逆転の時間だ』

 

 

 ●○●

 

 

 Side 三人称

 

「ハジメ……良かった……! 死んだかと思った……!」

 

 ユエは涙を流してハジメに抱きついている。ハジメはそれを何をするわけでもなく、ユエをディンリードの近くにおろす。ディンリードは既に意識をなくしていた。

 

「ハジメ⋯」

『大丈夫だよ、ユエ。今度は負けないから』

 

 ユエが心配そうにハジメに呼び掛ける、ハジメはユエの頭を撫でて、人型の方へ向き直る。

 

『来いッ!!』

 

 グルァアアアアッ! 

 

 言われなくともとでも言うかのように咆哮を上げて人型はハジメへと光弾を放つ。

 

『. . . フッ!』

 

 グルゥアアァ!? 

 

 次の瞬間ハジメの姿が掻き消え、人型の両腕が斬り飛ばされる。ハジメの手には零斗の持っていた"()()()"が握られていた。

 

「あれは. . . 」

『どうした? それだけか?』

 

 ルグゥアアァアア!! 

 

 人型は腕を再生させ、ハジメに殴り掛かる。

 

 ドゴォ! 『この程度か?』

 

 グルァアァ!? 

 

『"錬創(れんそう)"』

 

 ハジメが短文詠唱で唱えたのは完全な喰種化によって強化された"錬創"だった。本来錬成は物体を変形、加工するだけだが、錬創は対象が再現可能であれば必要な物体は無いというチートな能力へと変化した。

 

 そしてハジメの手に現れたのは. . .

 

 ドパァン! 

 

 "リベリオン"だった。リベリオンから放たれた弾丸は人型の身体を易々と貫く。

 

 ルグゥゥウ⋯⋯グルゥルルル

 

 人型は既に満身創痍といった唸り声を上げて膝をつく。だがその目には未だにハジメ達を見据えている。

 

『次で終わりだ』チャキ

 

 ルグゥゥウウゥ⋯⋯

 

 

 階層中に緊張感が走る。

 

 ガルゥゥア! 

 

 先に動いたのは人型だった。ハジメへと一直線に飛び付く。

 

 

『. . . "不知火"』

 

 ハジメは1歩踏み込み、姿勢を低く構え、人型の横を抜ける。

 

 

 ルグゥアァ. . .

 

 人型の首がゴトリと音を立てて床へと落ちる。

 

 

『流石に⋯疲れたな⋯⋯」

「ハジメ!」

 

 

 ハジメはそのまま、前のめりの倒れ意識を失った。

 

 

 

 

 

 




はい、こんな感じです。イメージがwarframeなのは私の趣味と私の思い描いた通りの姿だからです。感想お待ちしております。
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