『ヴェノムでーす』
「⋯⋯謎のヒロインEです」
「前回は俺とEの戦闘だったな」
「後1歩でしたのに」
『あー、多分無理だぜ?』
「⋯⋯なぜです?」
『コイツ、並列思考でお前の行動パターン分析して、対策してたし。実際その通りに動いてたし』
「私もまだまだですね. . . 」
「何度か危ない場面はあったがな。それと黒幕ぽく言うなら『戦闘が始まった時点で君は私の手のひらの上で踊っていたに過ぎない』ってな」
「⋯⋯潰しますよ?」
「すまんすまん(笑)」
「舐めていますね?」
「おー怖い怖い⋯⋯さて、今回はハジメ達との合流だ」
「ハァ⋯⋯楽しんでいってください」
「「『隠れ家にて!』」」
Side 三人称
心地の良いそよ風が吹き、薄いカーテンの布がその風に合わせて動く。体全体が何か温かで柔らかな物に包まれているのを感じた。随分と懐かしい感触だ。
「んぅ⋯⋯あれ? ここは?」
まだ覚醒しきらない意識のまま手探りをしようとする。しかし、右手はその意思に反して動かない。というか、ベッドとは違う柔らかな感触に包まれて動かせないのだ。手の平も温かで柔らかな何かに挟まれているようだ。
「……ぁん……」
(!?)
何やら艶かしい喘ぎ声が聞こえた。その瞬間、まどろんでいたハジメの意識は一気に覚醒する。
慌てて体を起こすと、ハジメは自分が本当にベッドで寝ていることに気がついた。純白のシーツに
(ここは? ⋯⋯僕は確かあの人型を倒して⋯⋯そうだあの後倒れちゃったんだ)
どこか荘厳さすら感じさせる場所に、ハジメの記憶を繋ぎ合わせるが、それは隣から聞こえた艶かしい声に中断された。
「……んぁ……ハジメ……ぁう……」
「!?」
ハジメは慌ててシーツを捲ると隣には一糸纏わないユエがハジメの右手に抱きつきながら眠っていた。そして、今更ながらに気がつくがハジメ自身も素っ裸だった。
「なるほど……これが朝チュンってやつか……ってそうじゃない!」
混乱して、思わず阿呆な事をいい自分でツッコミを入れるハジメ。
ガチャ「起きた様ですね⋯⋯これは失礼をしましたね、ごゆっくり」
「ちょ! ちょっと待ってください!」
見知らぬ灰色の髪の少女がトレーにハジメ用の昼飯と予想できるお粥と水に浸されたタオルが乗っている。
「誤解です! 誤解ですから!」
「恥ずかしがる必要はありません。ですが二股はあまり感心しませんね」
「だから! 誤解です! と言うか貴方誰ですか!?」
「それは貴方達が行為を終えたらお教えします⋯⋯それでは失礼しました」
身を翻し、凄まじい勢いで出て行く。なお誤解があるようで「白崎さんが不憫ですね⋯」と言い残して出て行った。
(どうしよう!? このままだと最悪⋯⋯何とか誤解を解かないと!)
「⋯⋯ぅん⋯」
「ユエ〜」
「……ハジメ?」
「うん、ハジメさんだよ。おはよ」
「ハジメ!」
「!?」
目を覚ましたユエは茫洋とした目でハジメを見ると、次の瞬間にはカッと目を見開きハジメに飛びついた。もちろん素っ裸で。動揺するハジメ。
しかし、ユエがハジメの首筋に顔を埋めながら、ぐすっと鼻を鳴らしていることに気が付くと、仕方ないなと苦笑いして頭を撫でた。
「ごめん。心配かけたみたいで⋯⋯」
「んっ……心配した……」
暫くしがみついたまま離れそうになかったし、倒れた後面倒を見てくれたのはユエなので気が済むまでこうしていようと、ハジメは優しくユエの頭を撫で続けた。それから暫くして漸くユエが落ち着いたので、ハジメは事情を尋ねようとした時⋯⋯
コンコン「入っていいかー?」
「「!? ちょっと待って!」」
「りょー」
ユエにしっかりシーツを纏わせ、ハジメ自身は近くにあったタンスのような物からズボンを取り出して履く。
「入っていいよ」
「んじゃ入るぞー」ガチャ
扉を開けて、部屋に入ってくる男に戻った零斗。傍には先程の少女の姿がある。
「先ずはおはよう、身体の調子はどうだ?」
「僕は問題無い⋯⋯かな?」
「ん、私も大丈夫」
「後、零斗性別戻ったんだね」
「やっとな⋯⋯とりあえずはメディカルチェックするからじっとしててくれよ」
零斗はある程度の医療知識があるようで、素早くそして的確に触診をする。ものの数分で終了した。
「ユエの方は問題無いが、ハジメ」
「何か異常あったの?」
「⋯⋯お前、右目見えてないだろ。それに左腕まともに動かせねぇんだろ?」
「え?」
「⋯⋯バレちゃったか」
「ハァ⋯⋯お前は自分1人で解決しようとする悪いクセがあるぞ。いい加減にそれを直せ」
ハジメの右目は完全に失明してしまっている。見かけだけは治っているがあくまでも目としての機能は回復していない。左腕も同様で見かけしか治っていない。
「しばらくは傷の治療だ。いいな?」
「分かったよ」
「守るって……言ったのに。……ごめんなさい、ごめんなさい」
「ユエ、これはお前の責任ではない」
「でも⋯⋯」
「ハジメはお前とディンリードを守る為に自分から盾になったんだ。これはハジメの自己責任だ⋯⋯それに、ハジメはそこまで気にしてないんだろ? なら問題はないハズだ」
「ユエ、僕は大丈夫だよ、だからそんなに気にしないで」
「でも⋯⋯でも⋯⋯」
「⋯⋯お話の途中すみませんね」
少女がユエの目の前に移動し、ゆっくりと話しだす。
「いいですか、ユエ。彼は自分の意思で貴方を庇い傷を負いました。それは貴方が大切だからこそです。それに零斗」
「なんだ?」
「
「あぁ、1週間ぐらいで治せるぞ」
. . . 医療技術の進歩がエグいなぁ(トオイメ)
「はい、零斗ここで一言」
「我が
読者の皆様には伝わらんけど音割れが凄いんじゃあ⋯⋯鼓膜ブチブチになるで、ほんま。
「ゲホゴホ⋯⋯こんな全力で叫んだの久々だわ、喉いてぇよ」
「まさか、全力でやるとは⋯⋯貴方ホントにバカですね」
「お前さんがやらせたんだろうが」ポコン
「⋯⋯女性を叩くとはいい度胸ですね」ニッゴリ
「え? お前女だったのか?」
「殺す!」チャキ!
「やれるもんならやってみな⋯www」
「お前! オマエェ!」
目の前で険悪な雰囲気になる零斗と少女。
「れ、零斗」
「なんだ? ハジメ」
「その人は?」
「そういや紹介してなかったな⋯⋯こちらのちみっ子の名前はエト・フレイズ。俺の能力から分裂した人物の1人だ」
「この人が?」
「ちみっ子て言うな!」
ちょっとだけキャラ崩壊を起こすエトであった。
────────────────────────
「フゥ⋯⋯喧嘩もここら辺にしてっと、ハジメ一応この屋敷の案内するから着いてきてくれ」
「分かったよ」
屋敷は、相当見事な作りだった。全体的に石造りで、清涼感がある。エントランスには、温かみのある光球が天井から突き出す台座の先端に灯っていた。
「随分綺麗だけど、零斗達が掃除してるの?」
「いや、俺じゃ無いぞ⋯⋯おーい、出て来てくれ」
呼びかけると、トテトテといくつもの小さな影が姿を現わす。ハジメの膝下くらいの、小さなゴーレムだ。
「この子達が定期的に管理していたらしい。数回出入りするうちに仲良くなってな」
頭を撫でると、くるくると嬉しそうに回転するゴーレム。
「んじゃ、先ずは1階からだな」
1階はリビング、台所、トイレなど、普通の家と変わらないものが一通り揃っていた。どれも清潔感が保たれており、ゴーレムは優秀らしかった。
「調理器具なんかはちょっと古いが使えないことは無い⋯⋯オーブンが無いのはちょっと残念だがな」
零斗は不満を漏らしながら案内を続ける。妙に説明が上手いのが気に触るが⋯⋯この際どうでもいいだろう。
「そんで、ここがメインだ」
そこは⋯⋯
「「お風呂!」」
同時に叫ぶハジメとユエ。目の前には大きな円柱状のくぼみが存在しており、縁にはライオンみたいな彫刻が口を開けて座っている。
「零斗の魔法なんかで汚れとか病気は気にしなくても大丈夫だったけど、入れるなら入りたかった!」
(言えねぇ⋯⋯俺だけちょこちょこ風呂入ってたの⋯⋯)
「ハジメ」
「なに? ユエ」
「……入る? 一緒に……」
「……一人でのんびりさせて?」
「むぅ……」
素足でパシャパシャと温水を蹴るユエの姿に、一緒に入ったらくつろぎとは無縁になるだろうと断るハジメ。ユエは唇が尖らせて不満顔だ。
「さて、次は2階なんだが」
二階に向かう。こちらには書斎や工房らしきものがあったが、封印されていたので入れなかった。
「2階は後々開けれるだろ⋯⋯て、事で3階にGO!」
「テンション高いなぁー」
3階は一部屋しか無く、厳かな雰囲気が漂っていた。扉を開ける。すると部屋の中には、これまでで一番複雑かつ精緻な術式の施された巨大な魔方陣が存在していた。
零斗が探知魔法を使い、危険なものでないか確認を取る。無事だとわかったら、その奥にある豪奢な椅子に目を向けた。
そこには、一体の骸骨が鎮座していた。すでに全身が白骨化しており、その上から見事な金色の刺繍の入った黒いローブを纏っている。
「とりあえず、魔方陣調べてみるか。危険なものじゃないのは確かだし」
「貴方が言うなら心配は⋯⋯多少ありますが、まぁ大きな問題にはならないでしょう」
「……ァハハハ……ハハ……ハ……」
少々険悪な雰囲気になりつつも全員で魔方陣の中に入る。そして中央に立った瞬間──カッと純白の光が魔方陣から爆ぜた。
その直後、〝真のオルクス大迷宮〟に落ちてからのことが走馬灯のようによぎる。なかなかいい演出するじゃないか! しばらく待っていると、やがて光は収まり……代わりに、目の前に黒衣の青年が一人、佇んでいた。
「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな? ⋯⋯ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」
そうして始まったオスカーの話は、聖教教会で教わった歴史とはまったく異なる内容だった⋯⋯が長いのでざっくりと説明する。まぁ、ノイントと吸血した使徒の記憶があるからな説明せんでもいい気がするが一応な?
1.神代の少し後の時代、世界は争いで混乱を極めていた。
2. 神々は今のトータスより多くの種族、国にそれぞれ信託を授けて言葉巧みに操り駒にすることでゲーム感覚で戦争をさせて楽しんでいた。
3.そこでオスカー・オルクス含める〝解放者〟と呼ばれた集団が戦争を終結させる為に行動を始めた。
4.神代から続く神々の直系の子孫という共通点を持って集まった彼らは、神の真意を知り世界を救おうとした。
5.神々のいる〝神域〟を突き止めたはいいもののバレて結局神々は人々に彼らを神に仇なし世界を滅ぼす〝反逆者〟であるとし、守るべき人間と敵対するわけにもいかずあえなく一人、一人と討たれた。
6.最後まで残ったのは先祖返りの七人だけだった。世界の敵である彼らは、自分たちでは神殺しは不可能と判断し、世界各地に迷宮を創り潜伏することにしたのだ。試練を用意し、それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを祈って。
と、まぁこんな感じだ。ある程度噛み砕いたがこれでも長くなったな⋯⋯ま、仕方ないよネ!
「とりあえず、エセ神はぶち殺すとして⋯⋯帰還方法はどうすっかな」
「迷宮の攻略を進めれば何かヒントがあるんじゃないかな?」
「それもそうか⋯⋯なら、これからの目標は世界各地の迷宮の攻略だな」
しばらくの目標は決まったし、しばらくはハジメの治療でここを動けなさそうだし、ここで旅の準備をしておくか。
「⋯⋯
エトがそう唱えると突如として再び魔法陣が輝いた。流石に想定外の事態に、驚愕して身構える。そんな俺たちの前に、もう一度オスカーの映像が浮かび上がった。しかし先ほどとは違い真剣な顔をしている。
「ようこそお越しくださいました、
「は?」
「これは特定の言葉で再生される記録だ、心して聞いてくれ。僕たちは迷宮を作る時に貴方の仲間に協力を得て完成させた。そして、彼女達は各迷宮に残って貴方だけの試練を用意している。この迷宮ではエトくんがやってくれるそうだ⋯⋯その試練を突破すれば貴方が失った力の一部を取り戻せるだろう」
ナンテコッタイ⋯⋯面倒事が増えたちまったな。この世界に来てから能力の一部が使えないと思っていたがパスが切れてたらそら、使えないわな。
「エト、お前何時からこの世界にいた?」
「⋯⋯迷宮が完成してからはずっとあの空間にいたから分からない」
「そうか. . . なら本人に聞いてみるか」
「まさか、ディンリードさんみたいに喚ぶの?」
「そのトーリ!」
って事で一度リビングまで戻り、召喚用の魔術式を描く。
「よし、これでいいな⋯⋯ハジメ」
「なに?」
「今回はお前が喚べ」
「え!?」
「俺はもう魔力の余裕は無いし、ユエもディンリード1人で精一杯だしな、今回はお前だ」
「⋯⋯分かったよ、喚ぶためのヤツは?」
「ほい、これ」
「ありがとう」
ハジメは英霊召喚用の詠唱文の書かれた紙を受け取ると、魔術式の中に入り、詠唱を始める。
「
降り立つ風には壁を。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻ときを破却する。
────告げる。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理ことわりに従うならば応えよ。
誓いを此処ここに。
我は
我は常世総ての悪を敷しく者。
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──!」
屋敷一体が光に包まれる⋯⋯そして光が収まる頃には魔法陣の中央には⋯⋯
「聞こう、君が僕のマスターかい? 南雲ハジメ」
金色の刺繍の入った黒いローブを纏った青年が立っていた。
「えっと⋯⋯多分そうです?」
「なんで疑問形なんだよ」
「⋯⋯実感がないからかな?」
「フフッ⋯一応自己紹介をしておこうか。オスカー・オルクスだ。クラスはキャスターだが主に肉弾戦をする。よろしく頼む」スッ
「よろしくお願いします。オスカーさん」ギュ
ハジメとオスカーは固く握手をする。ハジメの右手に花のような模様が浮かび上がる。『令呪』と呼ばれるそれは、間違いなくマスターと選ばれた示唆に他ならない。
「これは?」
「そいつは『令呪』て物だ。サーヴァントに対しての絶対命令権だ⋯⋯だが三度きりのモンだからな? 使う場面を間違えるなよ?」
「零斗みたいに回復はしないの?」
「俺の令呪とお前の令呪は違うんだよ。俺のは絶対命令権は無いし、命令したとしても対魔力が高いと効かないし、回復ぐらいしか出来ない」
「デメリットしか無いじゃないか⋯⋯」
「利点は1日経てば回復する⋯⋯ぐらいか」
なかなか不便だね(笑)。まぁ、こっちの令呪はそうだけどネ! 一応本契約してサーヴァントもいるから両方使えるし。
「⋯⋯零斗」
「ん? なんだユエ」
「ディン叔父様がいない⋯⋯どうして?」
「あー⋯⋯カルデアに再召喚してる」
「?」
「こっちじゃ、霊核の修復は出来ないからな、カルデアに行ってもらってる。まぁ、しばらくしたら帰ってくるさ」
「私も行った方がいいか?」
「そうだな⋯⋯強化の為に行ってもらえるか?」
「あぁ、了解した」
一応はサーヴァントだけならカルデアに行けるからな。
「あ、そうだ、ハジメ」
「何?」
「白崎と連絡が取れるんだが⋯⋯どうする?」
「⋯⋯え?」
─────────数日後────────────
『了解した、今後はその様に行動していく』
「おう、頼んだわ」
『あぁ、そちらも頑張ってくれ』
「おうよ! んじゃこれからは定期的に会議すっからな」
『了解した』
「そんじゃ、また近いうちにな」
通信での会議を終え、各メンバーにメールで今後の指示をする。
「ふぅ、こんなもんか」
『ハジメくん?』
「ハイ」
『私は怒ってないよ? 離れている間に恋人候補がいることも、怪我で片腕と片目が使えなくなってることも⋯⋯怒ってないから』
(ぜってぇ嘘だな)
青筋を立てて、背後に般若のスタンドを現界させてんのに怒ってない訳が無いんだよなぁ⋯⋯ま、ハジメの自業自得だし多少はな?
『⋯⋯ハジメくん、何か言うことは?』
「誠に申し訳ございませんでした!」
見事な土下座を披露するハジメ、これが白崎が惚れた土下座かぁ⋯⋯確かに綺麗な土下座だな。
「あー⋯⋯白崎?」
『なぁーに?』
「そろそろ、許してやってくれないか? ハジメだって悪気は無い⋯⋯はずだ」
『ふぅーん⋯⋯ハジメくん?』
「ハ、ハイ!」
『⋯⋯会った時は覚悟しておいてね、それとユエちゃんによろしく伝えてね』
「はい」
白崎はそう言い通信を切る。ハジメはやっと解放された事が嬉しいのかそれとも後々白崎に会うのが怖いのかなんとも微妙な表情をしている。
「ハジメ、なんか夕食のリクエストあるか?」
「⋯⋯おにく」
「分かった、とびっきりのやつ作ってやるから元気だせ」
「⋯⋯うん」
「気分転換に風呂でも入ってきな」
「⋯⋯うん」
ダメだこりゃ⋯⋯暫くはそっとしといてやるか。
「零斗⋯⋯手伝うことある?」
「ユエ⋯⋯なら、これを切ってくれ」
「分かった」
最近ユエは料理を手伝う様になった、たまにアレンジと称して料理を炭に変えることを除けば、料理は出来ている。
ゴォォォ! 「あ⋯⋯」
「ユエ? 何してんだ?」
「⋯⋯私、ハジメの所行ってくる」
「なんだ? いきなり⋯⋯(炭になった肉の塊)よし、説教コースだな」
ユルザン!
●○●
Side ハジメ
「ふぅ、気持ちいいなぁ~」
隠れ家内のお風呂に浸かっている、湯の温度も丁度よく熱過ぎずぬる過ぎずの温度だ。
「香織さんには申し訳ない事しちゃたな⋯⋯会った時は全力で謝らないと⋯⋯それから⋯⋯」
呟きが風呂場に響く。全身をだらんとさせ思考していると、突如、ヒタヒタと足音が聞こえ始めた。ハジメは戦慄する。一人で入るって言ったのに!
タプンと音を立てて湯船に入ってきたのはもちろん、
「んっ……気持ちいい……」
一糸まとわぬ姿でハジメのすぐ隣に腰を下ろす大人モードのユエである。
「……ユエさん、僕はもう出るから離れてくれないかな?」
「……だが断る」
「ちょっと待て! 何でそのネタ知ってるの!?」
「……」
「……せめて前を隠して。タオル沢山あったでしょ」
「むしろ見て」
「……」
「……えい」
「……あ、当たってるんですが?」
「当ててんのよ」
「だから何でそのネタを知ってんだ! ええい、俺は上がるからな!」
「逃がさない!」
あ、喰われる⋯⋯ヒッ!
「ユ、ユエサン⋯⋯」
「大丈夫、天井のシミを数えてればすぐに終わる」
「ユエー! ウシロ! ウシロー!」
「?」
「よぅ、随分と楽しんでるみたいだな?」
殺意の波動に目覚めた零斗が仁王立ちでユエの背後に現れた。
「⋯⋯テヘ♡」
「説教3時間な」
「シニタクナイー! シニタクナイー!」
「本来なら料理を炭にした分の説教だけなんだが⋯⋯ハジメを逆レ〇プしようとしたからなその分の説教もプラスな」
「助けて! ハジメ!」
「ごめんユエ⋯⋯後でケアはするから」
「イヤ──!」
──────────黒幕説教中────────
「⋯⋯」
「ユエ⋯⋯」
「ほら、夕食さっさと食べるぞ」
「う、うん」
「まったく⋯⋯私は止めたのに」
真っ白に燃え尽きていたユエを横目に零斗とエトさんの作ってくれた料理を食べる。うん、美味しい。
エトちゃんの設定⤵︎ ︎
エト・フレイズ 女性 23歳 主武器 大型の刺剣と直剣、ハンドガン
零斗の能力から分裂した存在の中の1人で纏め役。常に冷静沈着で冷酷. . . の様に見えるがかなりの恋愛脳でちょっとポンでツンデレをこじられたような少女。
容姿はクール系で前世では周りから『王子様』と呼ばれる事も多々あった。灰色の髪を赤いキクを模したのレリーフのあしらわれた簪で纏めている。身体付きはスレンダータイプ。
赤いキクの花言葉は『貴方を愛している』
こんな感じでーす。感想お待ちしております。